3.このタイトルいいですね~。ある団地の一家で繰り広げられる舞台劇のような空間を会話とカメラが所狭しと行き交い交錯し、ただでさえ熱気の充満する冷房装置のない夏時間を、登場人物のギラギラした生きる欲求がムンムンと湿度を上げているにもかかわらず不快指数は高くない。出てくる人間を傍から見れば、なんちゅう連中なんや~、と顔をしかめてしまうような無味無臭の良識をあざ笑うかのように、あっけらかんと悪意なき彼ら彼女らの言動は涼しげに。高級洋酒、キャビアに託される<生きていることそれだけで素晴らしい>といった虚妄の突貫は軽やかに。踊り狂う姉弟から聞こえてくる肉体の声の生々しさは高らかに。乱れぬ足並で行進する彼ら彼女らが奏でるマーチが痛烈痛快な映画であります。ラストシーンに合掌。