12.《ネタバレ》 この監督の作品は『時をかける少女』、『サマーウォーズ』と観たが、その中では“言わんとすることの分かりやすさ”という点で、これが一番まともな出来だったような気がする。
が、この監督の作品って、人の描き込みが浅いから、出てくる奴らがみんなちょっとおかしな変わり者に見えてしまうんだな。
今作の蓮も、何が気に食わなくて親族一同にあそこまで反抗してるんだかが分からない。9歳の子供が何もかも捨てて失踪するって、単なる反抗期で済まないだろ。w
……という設定のヌルさはあるが、話が始まってしまえば(その設定のヌルささえ許せれば)テンポ良く、判り易く話は進んでいく。
ただまあ、判り易いとは言っても、見てる側の推察による補足はかなり必要なんだけれど。w
九太が図書館で唐突にメルヴィルの白鯨を読み始める。……え? なんで白鯨??? 唐突すぎるだろ? いきなりすぎるだろ?
観ていくうちに「ああ、誰もが知ってて、『復讐』というキーワードを持つ、モンスター的な題材が欲しかったんだろうな」と分かっては来るのだが、それにしても違和感は残る。そして終盤、復讐に燃える一郎彦のクジラをモチーフにした襲撃。……なんか、イマイチ怖さが伝わってこないよね。w
それにしても日本のマスコミは、やれ天才だの、やれカリスマだのと大仰な修辞が大好きで、マスコミに言わせると、この監督も天才アニメクリエイターなんだそうな。
でも……、天才が作ってこの程度なんじゃ世界に冠たるジャパニメーションも、もう長く無いんじゃないか?w