3.《ネタバレ》 傑作ですね。テーマは「冤罪」、裏テーマは「法(良心)」でしょうか。現代日本でも往々に起こりうる冤罪というテーマを通し、良心を説く。
ラストシーンの手紙の「法こそは良心なんだ」。深いですね。捉え方によってはそんなわけない、ともなりそうです。「法こそは良心」つまり「良心こそは法」であると。手紙の「法」を「良心」に読み替えるとすっきりします。「法(=良心)とは正義のすべて、そして善悪のすべてだ」「人々が良心(=法)を持たないと文明は成立しない」。なるほどその通りだなと。この場合の「法」は法律とかの成文法のことではなく社会一般のルールのことですね。
また、冤罪にされた男が手紙に記した、自分に私刑を施した連中に対しての「彼らは善い人だ。あおられていたんだ。彼らが可哀想だ」という一文。一番の良心を持っていたのは、良心に従わない者たちによって私刑に処された彼だったと。なんというか、グッとくるものがあります。
本作は登場人物が多く上映時間も短いですが、それぞれきっちりとキャラが立っており、会話劇の面白さがより際立ちます。
なおDVDでの視聴ですが、パッケージ裏のあらすじは開幕からほぼ閉幕までの完全なるネタバレでした。笑