1.《ネタバレ》 それまで反復されてきたセリフが最後に映画を支配するメッセージとして結実した瞬間に「ああ、なるほど!」と納得しました。
開発の問題も、それぞれが抱え込んだ問題も、そしてこの物語が受け手に向って投げかけたものも、全てはそこに集約されてゆくのだと。
であるならば、当然、そこに明快な判りやすいオチなどが存在する訳もなく。
犯罪とそれにまつわる人々のあり様は基本的に前作『容疑者Xの献身』と似たような話に思えます。ですが、今作では海洋資源開発の是非が早々に語られる事で、パーソナルではない、もう少し広い何かを語ろうとしているのが垣間見えます。そして、それは湯川の言うように決して0か100かではない、選択の問題。
数値化できない人の心に対する湯川なりの解答。
美しく捉えられた海の映像に対比されるように描かれる閉ざされたそれぞれの心。
杏の日焼けした健康美と内に秘めた秘密。
幾つにも渡って描かれる対比構造が、この映画のキーとなり、そのメッセージを織り成してゆきます。
登場した人々に対して道を示した湯川は伝道者のような存在であったのかもしれません。
『ガリレオ』自体には興味が無い状態ゆえ、前作では『ガリレオ』的部分が余計に思えたのですが、今回はそれを全く感じさせず、一本の独立した映画として冒頭から終わりまで一切ダレる事なく楽しませて貰えました。
杏と比較してしまうと可哀想なくらいに魅力を消されまくっているつまんない吉高由里子はどうかと思いはしましたが。