荒野にてのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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荒野にて

[コウヤニテ]
Lean On Pete
2017年上映時間:122分
平均点:6.60 / 10(Review 5人) (点数分布表示)
公開開始日(2019-04-12)
ドラマ青春もの動物もの小説の映画化ロードムービー
新規登録(2019-06-03)【sim】さん
タイトル情報更新(2020-06-01)【とらや】さん
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監督アンドリュー・ヘイ
キャストチャーリー・プラマー(男優)チャーリー・トンプソン
クロエ・セヴィニー(女優)
トラヴィス・フィメル(男優)
スティーヴ・ブシェミ(男優)
スティーヴ・ザーン(男優)
アリソン・エリオット〔1970年生〕(女優)
脚本アンドリュー・ヘイ
配給ギャガ
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4.《ネタバレ》  原題は Lean on Pete 。馬の名前。殺処分が決まったピートの命を少年が救い、旅に出る。父と死別し、天涯孤独となった少年を、ピートが言わばアニマルセラピー的な役割で寄り添い、不遇の少年の心は徐々に癒されていく、という話かと思ったが、ちょっと違った。もちろん二人(一人と一頭)の友情関係のようなものは描かれるが、現実はもっともっと厳しく、16歳の少年を容赦なく落としていく。原題に騙された。この物語の主題は、少年が大人になる過程の話だった。
 子供とはまず親が用意した環境によって、その人生を大きく左右される。これは残念ながら生まれた時から発生する不平等。子供ってあくまでも受動的な存在なんだ。そう言えば「生まれる」って、I was born 受動態。生まれさせる。育てられる。対して「産む」は、give birth 生を与える。子供のうちは、親もしくは保護者から与えられ、それを受けとって、生かされる。これまで受動的に生きてきた15歳の少年チャーリーが、大切な者の死を乗り越えて、厳しい現実というサバイバルを乗り越えて、受動的子供から、大人になっていく。もちろんこのサバイバルは大人になってからも続くが、ひとまず、温かいベッドで寝て、辛かったことが堰を切ったように涙として溢れ、犯した罪に懺悔の気持ちを持ち、今後のことを考える。与えられたものを受け取るだけじゃない、自分から発信し、対処していく必要がある。そして死なせてしまった唯一の友達ピートのことを思うと、これからも辛い気持ちを抱えていかなければならない。それが大人になるということ。
 チャーリー、がんばったね、と声をかけてあげたい。少年役の俳優が、子供と大人の中間と、大人になって行く過程の変化を見事に醸し出すことに成功している。今後を期待したい俳優だ。
ちゃかさん [インターネット(字幕)] 7点(2023-07-25 12:46:46)
3.《ネタバレ》 中盤に起こる父親の死や、心を通わせ共に旅をした競走馬のあっけない退場など、やりようによっては感動の押し売りみたいな展開にできたものをそれをせず、ひたすら残酷な現実に向き合う姿とそれと対照的に、出会う人々の小さな親切や街の喧騒、雄大な荒野の景観などが美しく映り、派手さはないにしろ非常に心に残る作品でした。
カメラワークが落ち着いており、長回しも多様されているので、作品の時間感覚が非常にゆっくりで、とても丁寧な語り口だな、と感じさせてくれました。
そして、ようやく行き着くことのできた叔母さんの家、親友と呼べるものは失ったけど、安住の地を手に入れ、彼(ピート)の思い出とともに帰ってこられる場所を見つけられたラストの描写や余韻が、とても心地よかったです。
クリムゾン・キングさん [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-23 23:36:15)
2.《ネタバレ》 女癖の悪い父親とともに暮らす15歳の少年、チャーリー。何かとトラブルの絶えない父に愛想を尽かせた母親は、彼が赤ん坊の時に家を出たまま消息不明だった。学校にも通えないほど貧しい生活だったが、それでもチャーリーはそんな父との生活に満足していた。そんなある日、彼は地方競馬の競走馬を専門にする調教師デルと出会う。少しでも生活の足しにしようと、彼の元で働き始めたチャーリーは、デルの今の稼ぎ頭である若い馬ピートの世話を担当することに。そんな折、チャーリーの父親の浮気がばれ、激高した愛人の夫になんと父親が殺されてしまうのだった。天涯孤独となってしまったチャーリーは、馬のピートに深い愛情を注ぐようになる。だが、ピートは長いスランプから次第にレースで思うような結果を残せなくなってしまう。するとデルは、ピートをメキシコへと売り飛ばすと言い出すのだった。「ピートは僕の友達だ、それだけは絶対ダメだ!」――。そんな彼の意見などデルは到底聞こうとしない。どうしようもなくなったチャーリーは、ピートを連れ密かに荒野へと旅立つのだった……。家族をなくし孤独の中に生きていた少年とピークを過ぎた一頭の馬との逃避行を雄大な荒野の景色の中に描き出すロード・ムービー。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、これが丁寧な演出の力が光る佳品に仕上がっておりました。少年と馬との友情物語という、これをディズニー辺りが撮れば心温まる安定のファミリー・ドラマになりそうなものだけど、本作は全く違います。ここで描かれるのは、圧倒的な貧困の現実。主人公がどれだけ不幸な境遇にいようが、誰も助けてくれたりなんかしません。せいぜい働き口を紹介する程度で、時には主人公のなけなしの金を毟り取る輩さえ出てくる始末。それは馬も同じで、「競争馬はペットじゃない。勝てなくなった馬は処分する」という厳しさが徹底しているのです。だから、主人公は行く先々で窃盗や無銭飲食を繰り返すしかありません。それでも希望を捨てず、一人と一頭とで荒野をゆく彼らの姿がとても切ない。風呂にも入れずどんどんと汚れてゆく主人公と対照的に雄大な大自然の映像はますます美しさを増してゆく。この監督の無常観に満ちた、その詩的センスの良さには唸らされます。ただ、惜しいのはピートが途中で呆気なく物語から退場してしまうこと。たとえどんな最期を迎えるにしても、ピートにはこの少年の旅路を終わりまで見届けて欲しかった。とはいえ、この少年がどん底に堕ちるぎりぎりのところでほんの少しの希望へと辿り着くラストには思わず涙してしまいました。いつまでも余韻に浸っていたいと思わせる青春ドラマの良品と言っていいでしょう。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 7点(2020-09-19 00:11:41)
1.《ネタバレ》 序盤は、厩舎で働くことになった少年と馬の心の交流を描くハートウォーミング系かと思って見始めましたが・・・。
色んな意味でキレイごとを排したストーリー。その馬が少年と二人三脚で連勝街道を歩む奇跡は起きない。
スティーヴ・ブシェミ演じる調教師は、稼げなくなった馬は容赦なく売りに出すと言う。
クロエ・セヴィニー演じる女性騎手は「馬を愛してはダメ。ペットじゃないの。勝てなくなったらクビよ」と言い放つ。
ピートという名のその馬は間もなく売りに出される。その行きつく先は殺処分という現実。
夢のある競馬の世界ではなく、競馬の残酷な側面を思い知らされますが、この前半に登場するブシェミとセヴィニーの2人がいい。
身寄りを失った少年は、行き場を失った馬を連れて現実から逃げ出すように旅に出る。その旅もまた過酷。
こんなストーリーもまた、アメリカの現実の一部か。それだけに、ようやく巡り合えた叔母と迎えるラストが胸を打ちます。
主人公の少年を演じたチャーリー・プラマー。この先も色んな映画で彼とは巡り合うことになりそうです。
そしてそう遠くないうちに、アカデミー賞などの大きな勲章を手にすることになるのだろう。
少年が心を通わす馬の名前を取った原題に対し、「荒野にて」という邦題がなかなかに秀逸です。
とらやさん [DVD(字幕)] 7点(2020-05-28 21:37:21)
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【点数情報】

Review人数 5人
平均点数 6.60点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5120.00%
600.00%
7480.00%
800.00%
900.00%
1000.00%

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