1.《ネタバレ》 序盤は、厩舎で働くことになった少年と馬の心の交流を描くハートウォーミング系かと思って見始めましたが・・・。
色んな意味でキレイごとを排したストーリー。その馬が少年と二人三脚で連勝街道を歩む奇跡は起きない。
スティーヴ・ブシェミ演じる調教師は、稼げなくなった馬は容赦なく売りに出すと言う。
クロエ・セヴィニー演じる女性騎手は「馬を愛してはダメ。ペットじゃないの。勝てなくなったらクビよ」と言い放つ。
ピートという名のその馬は間もなく売りに出される。その行きつく先は殺処分という現実。
夢のある競馬の世界ではなく、競馬の残酷な側面を思い知らされますが、この前半に登場するブシェミとセヴィニーの2人がいい。
身寄りを失った少年は、行き場を失った馬を連れて現実から逃げ出すように旅に出る。その旅もまた過酷。
こんなストーリーもまた、アメリカの現実の一部か。それだけに、ようやく巡り合えた叔母と迎えるラストが胸を打ちます。
主人公の少年を演じたチャーリー・プラマー。この先も色んな映画で彼とは巡り合うことになりそうです。
そしてそう遠くないうちに、アカデミー賞などの大きな勲章を手にすることになるのだろう。
少年が心を通わす馬の名前を取った原題に対し、「荒野にて」という邦題がなかなかに秀逸です。