5.《ネタバレ》 映画史に残る傑作『アパートの鍵貸します』の大成功に引き続いて翌年?に撮られた純然たるコメディなのですね。しかし、主役が彼のジェームズ・キャグニーにバトンタッチしてるのでまず雰囲気自体がだいぶ異なるとゆーか、非常にキビキビとハイテンポとゆーか当時から更に3,40年位むかしの戦前のスラップスティック・コメディみたいな質感だな…とも感じますね。内容も、また当時の時代背景をモロに投射して結構ドギツいってレベルで全方面に対してごくシニカルだとゆーか、出世欲の権化みたいなキャグニーを始めとして老いも若きも男も女も+右も左も(ちょっと笑い難いってレベルで)イカレポンチのコンコンチキだらけ!てゆう闇鍋状態ではあります。その辺、シンプルに当時の政治状況等の理解が必須であるコトも含めて、少し余りにも「キョウビの若者向けじゃない(⇒たぶん皮肉な台詞の意味がイチイチ分らない)」みたいな感じであるかとは思えてしまってまして、正直ちょっと「玄人向けかな…」みたいな感覚もあるって感じなのですよね(意外なマデに)。
しかし、特に後半の怒涛の如きハイテンポなボケの連続+その辺りのパフォーマンスの完成度の高さは、コレも正直『アパートの鍵貸します』や後続の『あなただけ今晩は』よりも頭抜けて凄まじいキレの好さだったな…と思ったりもするのですね⇒個人的には、純粋にコメディとして笑えたかどーかで言うなら今作が最強だったかもな、と。特に好きなシーンは、無理やりオットーを養子に取らせようと伯爵を買収するくだり(の伯爵の電光石火の如き変り身の早さ)と、そのオットーが叫ぶ「清涼飲料水の奴隷たちよ、蜂起せよ!⇒お前はスパルタカスか!」のトコロ。今回、なんと態々『あなただけ今晩は』と観比べたんですケド、少なくとも今の私にとってはコッチの方が(やはり)好みでしたよね⇒なのでこの評点で。