1.世界初シネマスコープ作品として有名な「聖衣」という作品の続編とは全く知らず、こちらから最初に観てしまいました。巻頭に「聖衣」の結末シーンが出てくるので、別段これから単独で観ても内容はすぐ理解出来るはず。ビクター・マチュア氏といえば「荒野の決闘」か「サムソンとデリラ」のマッチョという印象しかない役者ですが、ここでも若干肉体に衰えは見られるものの、そのマッチョぶりは健在。その逞しい肉体にのみ惹かれる淫蕩な人妻役の赤毛の美女スーザン・ヘイワードも美しい。厚みがある古代ローマ時代のセットも誤魔化し無く作られていて迫力充分。セシル・B・デミル監督作品ほどの大掛かりなここぞという見せ場がないのは残念だけれど、前出「サムソンとデリラ」「十戒」「クオ・ヴァディス」「ソロモンとシバの女王」あたりの、50年代製作一連の史劇を楽しめた方ならお勧めです。イエス・キリストの「聖衣」の行方がストーリーの主軸なのに、宗教色があまりないのも有り難い。