2.《ネタバレ》 【未知空間の恐怖/光る眼:1960年】【続・光る眼/宇宙空間の恐怖:1963年】【光る眼:1995年】…と【光る眼シリーズ?三作品】の投稿をして以来、諸事情で1年強、経ってしまいました…このままでは、今年は未投稿になりそうだったので、頑張って投稿します。
実は、当作品は“昨年の7月=上記三作品とほぼ同時期”に観ていました。厳密に言うと、まず、某レンタル店で【妖怪…】が目に入ったのが最初です。そのとき、以前は取り寄せ不能だった【未知空間の恐怖/光る眼】と【続・光る眼/宇宙空間の恐怖】のことを思い出したのです。【光る眼】と【妖怪…】は公開年が近いと知っていたので、念のため調べ直したら、取り寄せが再開されていると判明。そこで1995年版も含めた【光る眼シリーズ三作品】をレンタル。一通り観て投稿してから、当作品を観たのでした。さて、結果は…
当作品の出来は、↓の【なにわ君】がおっしゃっている通りです。
ストーリー自体はいたって真面目です。本編(ドラマ)で笑える要素は、本来、コメディーリリーフとして登場している保安官助手‐チャーリーの言動だけのはずですが…特殊撮影の“質”があまりにも低いために、作り手の皆さんが意図していないシーンで笑いが触発されてしまう…そんな仕上がりになっているのです。
私が印象に残ったのは、巨大化した主人公(の手)を見て看護師さんが悲鳴をあげる場面です。迫真の演技ではあるのですが、否、真に迫っているからこそ、おそらく、現在、マニアの方々が集まる上映会では、この場面で大爆笑が巻き起こるんだろうなぁ…と想像しました。
以下、特殊撮影の“質”について、合成場面に絞り、私なりに真面目に解説してみます。
合成場面の大半はフィルムの2重露光のようです。着陸して動かないボール状の宇宙船では、背景の荒れ地に対して明るく合成することで、背景が透けるのをカバーしているとわかります。しかし巨大宇宙人や巨大化した主人公という“動く被写体”では、明るく合成しただけでは限界があり、どうしても背景が透けてしまっています。
透けるのを防ぐには【①:トラベリングマット(被写体と同じ輪郭を持ち、被写体とシンクロするように動くシルエット)を、背景に重ねて未露光状態にしたフィルム】に対し【②:人物の被写体だけの映像】を焼き付ける、といった必要がありますが、それをしていない。そもそもトラベリングマットを作るには【人物を、無地の背景のスタジオで別撮りし、光学処理をする】もしくは【一コマ一コマ手書きする:これはこれで大変です】といった方法があるのですが…そういった予算も時間も無かったのでしょう。なお“浮気した夫を握りしめたまま絶命している主人公に、町の人々が集まるラストシーン”では、主人公が動かないので、ステーショナリーマット(被写体と同じ輪郭を持っていて、かつ、動きのない固定されたシルエット)を使っているらしく、透けずに済んでいます。
…と、この合成の解説を読んで、果たして若いレビュアーさんはピンと来るでしょうか?。スッと頭に入るレビュアーさんは、おそらく相応に年配で、しかもフィルム合成に興味があった人達に限られることでしょう。因みに、上記の“無地の背景のスタジオ”で使う背景の色は、かつては青色(俗にいうブルーバック)が主流でしたが、現在の映画・TV・CMの舞台裏を紹介する映像を見ると緑色が多くなっているようですね。合成はトラベリングマットを作るまでもなく“デジタル処理”で済むようになっており、隔世の感があります。
見方を変えれば、一口に「合成」といっても、フィルムによる光学合成は、お気軽な技術ではなかったことが垣間見える貴重な作品と言える…かもしれません。
また、ネイザン・ジュラン監督を始めとするスタッフの皆さん達の「この予算と時間で作ること自体、無理があったんだ~」といった苦悩に満ちた声が聞こえてきそうな気もします。
それでも本国ではヒットし、現在でもカルト的な人気があり、日本でも字幕付きでDVDがレンタルされるくらいですから、ある意味、すごい作品と言えるかもしれません。これでスタッフの皆さんの苦労も報われた…のかなぁ?…
さて、採点ですが…お世辞にも良作とは言えませんが、長年の夢だった【未知空間の恐怖/光る眼】を観るきっかけをつくってくれた作品です。その感謝を込めて1点プラス。また、上記の“見方を変えれば”で述べたことも、一応、意義があると言えなくもないので、おまけとして1点プラス、計2点を献上します。
*ダリル・ハンナさん主演のリメイク「ジャイアント・ウーマン」も、取り寄せできたので、別途、鑑賞・投稿しています。
*【光る眼シリーズ三作品】も、別途、投稿しています。