1.「ハウルの動く城」で著しく失望をした。が、それでも僕は、自分の「映画を観る」ということを構築してくれた“天才”の息子の処女作に期待せずにはいられなかった。
結論から言うと、映画作品としては「ハウル~」よりはよっぽど面白い。それは確実。でも、宮崎映画の他の傑作たちの内どれか一つにでも匹敵するか、もしくは何かそういう要素があるかというと、それもない。
テーマはあり、物語もある程度まとまっているが、映画としてそれほど大きな魅力がないという感じだろうか。
一番分かりやすい要素を挙げると、キャラクターにインパクトがないというところだろう。それぞれが様々な葛藤や想いを抱えてはいるが、映画のメインとして語るべきキャラクターにどれも達していない。だから、展開の起伏のわりにどうも抑揚が付かず淡々とした印象を受けてしまった。
まあそれでも。何といっても「処女作」なわけで、充分な及第点レベルだとは思う。
でもね。やはり「天才の息子」というレッテルは絶対に付いてまわる。どうやったって酷評は逃れられないだろう。
何度も言うが、「ハウル」よりは面白いがね。