1.作品をすべて観た訳じゃないので断言は出来ないけれど、これは80年代の井筒作品の中では最高傑作ではないでしょうか?戦後まもなくの、食うか食われるかの時代だった日本を活き活きと描いた西村望の原作は、内容がしっかりしているというだけでなく井筒監督の作風に見事マッチしているし、西村晃・蟹江敬三といった魅力的な脇役・悪役がしっかりと物語を支えている。何といっても真田広之・佐藤浩市という、おそらく当時最もイキの良い俳優二人が演じる主人公の存在感が凄い。その二人と、井筒監督の人間臭い演出が幸福な出会いをした結果、監督が愛するアメリカンニューシネマの影響を感じさせながら、同時にムチャクチャ熱い青春映画が生まれた。僕はこの作品を観た後、しばらくぼうっとなって、何をする気にもなれませんでした。井筒作品を苦手とする人にも、これは胸を張って勧められます、マジで。追記:今井美樹のヌードは確かにあまり見応えはないけれど、船べりで座り小便するシーンを堂々と演じた彼女の「役者根性」はもっと評価されてしかるべきだと思う。