1.ヨナタンは額縁職人である。額縁、それは絵画になくてはならないものだが、所詮は絵を引き立てるための物・・・これは象徴的な設定にも思える。しかし、奇妙なアメリカ人、トムとの出会いが彼の人生を変える。ヨナタンの体調不良の原因は白血病であり、どうやら余命幾ばくもないらしい。「死の病⇒殺し屋」コレ、小説&映画ノ基本ネ。という訳で、ヨナタンは報酬を条件に殺しを引き受ける。ここで、殺人シーンに至るまでのゾクゾク感がたまらない。街には冷たい光が溢れ、殊更に孤独を煽る。さらにその孤独を嘲笑うかのような原色の色使いが、時に目を刺し、カメラマン、ロビー・ミュラーの面目躍如といったところだろうか。やがて事態は抜き差しならぬ展開、第2の殺しへと。しかしこの辺りから、ヨナタンとトムの関係に変化が現れ始め・・・ところで、カウボーイハットを被ったアメリカ人=トムを演じるデニス・ホッパー、彼にとって70年代は不遇の時代であった。仕事を干され、アルコールとドラッグに溺れた彼、しかし紛れも無くアメリカ映画の良心のひとりである彼は、もしかしたら、さしずめ「生きたロード・ムービー」だったのかもしれない。そしてヨナタン、いや、ヨナタンを演じるブルーノ・ガンツと不思議な関係を結ぶホッパーの姿を目にして思うことは、「ホッパーこそがすなわち、アメリカの『ニューシネマの』友人、なのだなあ」ということ、なのである。