1.『若き仕立て屋の恋』は勿論素晴らしいが、やはりアントニオーニの『危険な道筋』でしょう。
何かと批判されがちな本作のアントニオーニ短篇ですが、個人的にはかなり気に入っています。
まず映像が綺麗。
そして、アントニオーニ色が、そこかしこに散りばめられていて、思わず目を細めてニンマリしてしまいました。
車が三叉路を戻ったり、支柱すれすれに通ったりする何気ない(意味のない?)シーンに、アントニオーニの香りを感じました。
それと、男性が女性の住むお城を訪ねる際に階段を登った時、不自然な風が吹きますが、あれを観て私は『欲望』を思い出しました。
『欲望』の公園に吹いたあの不自然な風。
あれを想起させませんか??
え?想起させない??
いや、そんなことはないですよ。
想起させますよ!
いや、絶対に!!
ところで傑作間違いないウォン・カーウァイの「若き仕立屋の恋」ですが、本作の魅力を女性諸氏には理解できないのでは?という不安が沸き起こりました。
なぜならば、男性側から見た非常に直接的な性的欲求が根本に横たわっているからです。
そして、自慰的行為として青春時におぼえる「手」による行為。
その流れから、憧れの女性の「手」というものは、女性から見た単なる「手」とは異なり、感動的で純愛的な感触を生む。
「手」という器官を通して伝わる男性の純愛的な性的欲求。
これがまさに本短篇の副題に掲げられた“純愛”を指すわけなのです。
それにしても主演のコン・リーは色っぽい!