1.画面に語らせず、「高知県は最高。」「凄い計画。」と
幾度も抽象的な台詞で説明する愚。
クライマックスまでがテレビ演説というのだから、安っぽい。
たかだか5名の課員の具体的「仕事」・労働をロクに描出できない愚。安っぽい。
誰も仕事するなとは言っていまいに、「仕事がしたい」「仕事をさせろ」
と叫ばせるセンスに頭を抱えたくなる。高知県庁はよほどヒマなのだろうか。
工事中のHPも、トイレの改善の件も、すべて放り投げられているわけだ。
幾度も同じようなシーンで同じパターンで甘いBGMを入れてくる芸の無さ。安っぽい。
ご当地映画でありながら「自然しかない。」のセリフの通り、
フレームから郷土の人々を締め出し、
人間の気配の無い絵葉書のような景観だけをキレイに収めることにのみ
躍起になっている似非郷土愛。致命的に安っぽすぎる。
マーケットのシーンですら、無機質な群衆の場でしかない。
この作品、本当に登場人物が少ない。職場の人間関係、主人公らの家族関係、
街の人々の表情。何もないので、生活者としての人物像がまるで浮かび上がらない一方、
主要俳優約5名の思い入れ過剰なクロースアップだけがひたすらくどい。
「パンダ誘致論?さあ、知らない。」の三回反復の編集に象徴的なテンポの悪さ。
折角の自転車を映画の中でロクに活用しきらない感覚の鈍さ。
欠点の山である。
こういうのは、テレビだけでやって欲しい。