8.人の“あこがれ”と言うモノは、要は自分にないモノ(要素)への興味、羨望。
二人の相反する人物が互いに交流し、友情が生まれる。それは、“あこがれ”から派生した絆。
人は“あこがれ”に対し、得がたいものと知れば、強くなり、一方では簡単に諦める。そんな関係をこの作品は描いているように感じられる。
リプレーはその“対象”が友情を通わせる者に為ろうとは、四方や考えもしなかった筈。
ナヨタンとっても、その“対象”に一時でも強い信頼を持とうとは思いもしなかっただろう。
リプレーの“あこがれ”「幸せな家庭、平穏な日々」
奔放に闇を掻き分けながら歩いて来た彼にないモノ。
ナヨタンの“あこがれ”「自由(奔放)、冒険、陰を落とす危なさ」
平凡だが、愛する妻子と暖かい家庭を病を抱えながらも守ってきた彼にないモノ
二人の間に出来た絆は互いにの引き合っていれば、長年の友情(愛情)よりも硬く強い。其れも、情が他へ向けられない程の強さだ。一種のヒステリー状態なのかも知れない。
だが、一端に何らかの綻びが生じれば、その絆は脆く、あっ気無く切れてしまう。始めに綻んだのはナヨタンか……。愛する家族を振返った結果なのか...それとも、あまりにも違い過ぎる“対象”への諦めが生まれたか…。何れにせよ情が水の様に引いて行った。
リプレーは再び孤独に為った己を哀れ、ナヨタンは家族へ還る代わりに妻子に悲しみを残した…
寂しさが全面を覆う様な、灰色の印象が強い。そんな気分にさせられる。