152.《ネタバレ》 まざまざと正義と悪の境界線の曖昧さを見せ付けられた。
…正義と悪とは何か?
うン、正義と悪。
…「光と闇」
…「強き者と弱き者」
…「カッコいいとカッコ悪い」
…「快楽と苦痛」
…「美味しい物と不味い物」
…「薬と毒」
相対、いや対立するその因果関係。
正義とは?そして悪とは?
そンな事を考えさせられる映画だった。
ヒーローでありつつ究極のダークサイドに位置するバットマン。
ヒールでありつつ究極のライトサイドに位置するジョーカー。
劇中で表現されたジョーカーという男を現す台詞。
奴は世界を終らせる火を放ち、それを見て嘲う男 だ…と。
確かにその言葉に相応しい狂気。
奴の行動は全て娯楽でしかない。
金品強奪、殺戮と破壊はゲーム…その結果には興味はなく…
報酬も自分の価値の測定で存在意味への確認。
途方も無く積み上げられた金に火を点けて笑う彼に正直シビレた。
そう、その瞬間…彼は悪のカリスマとなった。
例えるなら…幼少の頃、昆虫の足を捥いで観察してるような惨酷性。
人はその中で傷みを知り成長し、大人になっていくのだが…
彼はその幼少の惨酷性をそのままに、全ての狂気の根源としている。
バットマンは、最後に人殺しの濡れ衣を自ら背負う。
トゥーフェイスとなったデント検事を自ら殺めた事にする事でゴッサムの秩序を保つことを選んだ。
そして、その瞬間…彼は忌み嫌われる闇の騎士となった。
最も秩序であり正義にたったデント検事asトゥーフェイスだったのも興味深い。
使命感が過多で心の余裕無き故に、使命感という名の元…悪にも転化する。
彼のコインは善悪表裏一体。
しかしそのジャッジは危ういほど偶然と運が支配する。
バットマンに憧れた者がジョーカーによって悪として誕生した。
そんな善と悪、光と闇の間で翻弄されたトゥーフェイスが哀れでならなかった。
彼の善と悪に別れた顔…
それはバットマンとジョーカーに翻弄された、悲しき光と陰の映し鏡。