1.《ネタバレ》 ハンマー男は何者なのか。どんな目的で殺戮を繰り広げるのか。一切説明はありません。言わば『CUBE』と同じ方法論によるアプローチ。物語の背景は、観客自身が想像するしかありません。ただし、ホラーにおいてこの趣向は危険であることが分かりました。何故なら観客が導き出す答えは、自身の価値基準を満たした、“理に適う”ものだからです。観客に背景を推理させる暇など与えず、有無を言わさぬ展開で物語を引っ張れないとキツイ。ちなみに自分が想像した背景は、“ハンマー男は、ゾンビ風シスターズの守護者。彼女たちの食糧を得るために人を狩っている”あるいは“熱狂的モンスターハンターのコスプレマニア”。どうです?つまらない解釈でしょ。狂気を描くには、狂状を描くだけではダメなのだと思います。本当に怖い人は、常人が思いもつかぬ理屈を持ち出すもの。『悪魔のいけにえ』のリアルな○チガイぶりを見習って欲しいところです。なお、小回りの利かぬハンマーは、凶器としてリアリティを欠くかと思いましたが、クローズド空間でなら有効であることが証明されました。何より破壊力が魅力。べらぼうですもの。『バイオハザード』シリーズでも斧が登場していますし、スプラッターホラーで大型凶器は流行っているのかもしれません。ただ残念ながら本作の場合は単なる殺戮ショー。悪趣味なだけで、エンターテイメント性は感じ取れませんでした。映画としての評価は出来かねます。