1.《ネタバレ》 ミスリード、スカシ、伏線など、脚本テクニックの手数は多いものの、どれも効果的とは思えません。あからさまで驚きが無かったり、そもそも意味が無かったりするからです。例えば発狂原因について。当初『綿毛』の可能性が疑われました(序盤から延々と伏線を張っています)。しかし直ぐさま検証を完了しシロが確定します。本来仕事が早いのは良いことですが、映画の場合はそうでもありません。折角ミスリードしたなら、少しは引っ張らないと。間違った方向に進むから意外な展開が生まれる訳で、アッサリ看破してはミスリードした意義が失われます。とはいえ感心するアイデアも見受けられました。敵と味方が頻繁に入れ替わる『バトルロイヤル』はスリリングで、どのキャラが途中退場するのか先が読めません。打開策も気が利いていましたし、オチも納得できました。ただ着想が良いだけに、もう一工夫すればもっと面白くできたとも思います。『バトルロイヤル』は大人数が参加することで変化や広がりが生まれます。視覚(メガネ)の喪失も意外とホラーでは見ませんが、相当怖い話。敵見方を間違って攻撃とか、ピンホールメガネをつくるとか、いくつも展開が生まれる種だったと思います。よく若手芸人が使う言葉で例えるなら、『跳ねた』とまでは言えないものの『爪痕を残した』くらいの満足感は得られる脚本でした。