2.《ネタバレ》 原作は当然読んでいないが、掲載された雑誌からして中学生以下の女子向けだったと想像される。この映画は結構シビアなので対象年齢はもう少し上かと思うが、特に前半ではマンガ原作の雰囲気を出そうとしたようにも見える。
内容としては一応邦画ホラー様式に乗っているようだが、実際は延々と学校内のイジメが続く話になっている。主に問題にされていたのはイジメの首謀者になるのがどういう人間かということかも知れないが、それとは別に、誰でもいいから自分以外の誰かを貶めたがるその他一般大衆も指弾されていたように見える。理科室にいた「黄泉」(優美)という人は、相手によって向ける顔が違うところが「大魔神」(1966)のようでもあるが、この孤高の存在に比べれば、主人公もわれわれ観客もみな「有象無象の人間ども」といったところではなかったか。
ところで波瑠という人は自分が見た限りでもいろんな映画に出てきているが(最悪だったのは「山形スクリーム(2009)」)、今回は美形で心優しく繊細な雰囲気の美術教員役で、序盤の生徒に挨拶している表情など見て少し惚れてしまった。ただ登場人物としてあまりいい所がないのは残念である。
また桐谷敦子役の松本花奈は、名前だけ見れば他の出演者と同じ美少女タレントのようでいながら実はとんでもない汚れ役をやっているが、この人はもともと映像制作の志望とのことで、現在は慶應SFCに在籍しながら映画も撮っている“女子大生監督”だそうである。誰よりも可愛いかどうかなどという価値基準にとらわれていない好例である。
そのほか主人公の友人役(松岡茉優)など見ても要所にそれなりの人物を配した印象があった。