1.1940年の「レベッカ」以降、アメリカに渡ったヒッチコックですが、49年の本作はイギリス映画となっています。
ヒッチコックのアメリカ映画、特に全盛期を迎える50年代以降の作品とは全く趣を異にする異色作。
1700年代のまだイギリスの流刑地だった頃のオーストラリアを舞台にした史劇的メロドラマ。
オーストラリアで財を成した大富豪のもとに嫁いできた、精神的な不安定さを見せる美しい妻、嫌な雰囲気を醸し出す家政婦。
そんな人物描写には「レベッカ」を思わせる部分もあり、18世紀イギリスの階級社会を感じさせる人間関係にはサスペンス的要素が内在しますが、
軸となるのはあくまでも2人の男とイングリッド・バーグマンを巡るメロドラマとなっています。
後にヒッチコックは本作を失敗作と評したそうですが、カラーで撮られた40年代のバーグマンを見ることができる作品。
特に中盤の舞踏会での彼女は、大勢が一堂に会する舞踏会シーンにあって際立つ美しさがありました。