1.球形の飛行船や類人猿の登場もユニークなルノワール唯一のSF映画、というよりほとんどダンス映画であり、何といっても大股開きで当時流行のチャールストンを踊る娘カトリーヌ・ヘスリングの奔放なエロティシズムにつきる。
女性のダンスは最初期の映画から登場する原理的かつプリミティブな題材であり、
本作の彼女はエジソンのキネトスコープに登場する『Serpentine Dance』(1895)のごとき振り付けで身体をくねらせ、脚を跳ね上げるのだが、より大胆な衣裳と野性的な動きがとにかく強烈だ。
球体から降りてきたジョニー・ヒギンスを尻餅つきながら興味深々に追いかけ回す彼女の動きがコミカルで楽しい。
やがて踊りによって意思疎通出来た二人のダンスセッションとなる。その即興感覚もルノワール的といえるだろう。
二人のダンスシーンに用いられるスローモーションとコマ落としもまた躍動感とリズムとエロティシズムを相乗させていい味を出している。
大らかな動きの楽しさに溢れた17分間だ。