4.「何のこっちゃ」な邦題ですが、映画を見ればこれが意外に「どストライク」な邦題であったことに気づきます。
映画の内容の方も、あくまでホラーでありファンタジーなので、こういう事が実際に起こり得るかどうかは問わないことにし、細かい部分まで納得のいく説明がなされているかも問わないことにすると―――そういう事を問うのは元々、野暮というものだけど―――「何のこっちゃ」な展開かと思いきや、最後まで見ると、邦題のコンセプトに沿ってそれなりにまとまった内容であり設定であったことがわかります。
にも拘らずこの作品には、気持ち悪さ、落ち着かさなさ、といったものが横溢しています。何とも言えぬ、割り切れなさ。
前触れなく、突然、映画に登場する襲撃者。映画の中でその正体は明かされるものの、この最初に登場した時の「いる訳のないものがいた」「見てはいけないものを見てしまった」という感覚、これがずっと尾を引いて、最後まで何とも言えぬヤな感じが続きます。確かに、「怒り」の象徴としてこの異形のものたちは存在するのだけど、そういう可視化された「怒り」の裏には、可視化しきれない人間関係のドロドロしたものが渦巻いている。もっとも近接した人間関係である家族、その家族の中にすらドロドロが渦巻いている、という落ち着かなさ。わかっちゃあいるんだけど、それをこうやって映画で突きつけられると・・・。
音楽はハワード・ショア。まだキャリア初期の仕事だと思いますが、これまたなかなかに落ち着かない音楽を響かせて、ヤな感じをしっかり増幅してくれます。