それでもボクはやってないのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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それでもボクはやってない

[ソレデモボクハヤッテナイ]
I Just Didn't Do It
2006年上映時間:143分
平均点:7.60 / 10(Review 225人) (点数分布表示)
公開開始日(2007-01-20)
ドラマ法廷もの犯罪もの
新規登録(2006-09-18)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2024-01-27)【イニシャルK】さん
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監督周防正行
助監督片島章三
キャスト加瀬亮(男優)金子徹平
瀬戸朝香(女優)後藤莉子
山本耕史(男優)斉藤達雄
もたいまさこ(女優)金子豊子
田中哲司(男優)浜田明
光石研(男優)佐田満
尾美としのり(男優)新崎孝三
小日向文世(男優)室山省吾
役所広司(男優)荒川正義
大森南朋(男優)山田好二
鈴木蘭々(女優)土井陽子
唯野未歩子(女優)市村美津子
柳生みゆ(女優)古川俊子
田口浩正(男優)月田一郎
山本浩司(俳優)(男優)北尾哲
徳井優(男優)西村青児
清水美砂(女優)佐田清子
本田博太郎(男優)三井秀男
竹中直人(男優)青木富夫
益岡徹(男優)田村精一郎
北見敏之(男優)宮本孝
菅原大吉(男優)
大和田伸也(男優)広安敏夫
矢島健一(男優)
本田大輔(男優)
田山涼成(男優)和田精二
高橋長英(男優)板谷得治
中村靖日(男優)司法修習生
正名僕蔵(男優)大森光明
大谷亮介(男優)
野間口徹(男優)小倉繁
宇野祥平(男優)
坂田聡(男優)
鈴木浩介〔俳優〕(男優)
脚本周防正行
音楽周防義和
作曲周防義和「静けさの中で」
編曲周防義和「静けさの中で」
撮影栢野直樹
製作亀山千広
東宝
フジテレビ
アルタミラピクチャーズ
企画清水賢治
島谷能成
プロデューサー関口大輔
配給東宝
美術部谷京子
鈴村高正(装飾)
赤松陽構造(タイトルデザイン)
編集菊池純一
録音郡弘道(整音)
照明長田達也
その他吉川威史(キャスティング)
藤原正道(「それでもボクはやってない」アソシエイツ)
IMAGICA(協力)
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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76.「自分たちの仕事は犯人らしき人間を見つけ出すことであって、そいつを起訴するかどうかを決定するのは検事さん」と考える刑事がいて、「自分たちの仕事は警察が上げてきた犯人を有罪にすることであって、被告が無罪である可能性を探索するのは裁判官」と考える検事がいて、「警察と検察が調べ上げた結果として起訴したのだから、恐らくこいつはクロなんだろう」と考える裁判官がいる。冤罪製造マシーンとも言える無責任トライアングルが我が国には存在しているのですが、その結果が99.9%という驚異の有罪率に表れています。これはもはや中世の魔女狩りをも凌駕するレベルであり、運悪くこのトライアングルに捕まったら最後、身の潔白を認めさせることはほぼ不可能という恐ろしい事態が待ち受けています。。。
そんな司法の問題点について、痴漢冤罪という奇抜なネタで切り込んできた監督の戦略には恐れ入りました。一般人にとって縁遠い殺人事件等の重犯罪とは違い、多くの男性にとっては対岸の火事とは言ってられない身近な題材だったわけですから。おまけに、痴漢裁判は司法の問題点の宝庫でもあります。世間的な注目度の高い事件ではないため検察も裁判所も本気ではなく、「めんどくさいからさっさと認めろよ」という姿勢で審議しているからです。実際、被害者女性と容疑者男性の身長差が30cmもあり、容疑者が被害者のお尻を触ることは物理的に不可能という状況にありながら起訴にまで至った事例や、容疑者男性は難病を患っており、痴漢行為をはたらくことは100%無理であるとする医師の証言がありながらも有罪判決が出されて収監に至った事例までが存在しています。本作のモデルになった男性などは、この映画への協力が原因で裁判官の心証を害し、本作公開の2週間後に実刑判決を出されるという報復的な扱いまでを受けています。痴漢裁判は、もはや無法地帯と化しているのです。。。
「映画の魂はディティールに宿る」という言葉を実践した丁寧な演出にはなかなかの見応えがありました。拘置所とはどんな場所であるか、もし逮捕されればどんな扱いを受けるのかといった通常の映画が見落としている点を丁寧に拾いあげ、これを見せ場としているのです。裁判の過程にも映画的な誇張(「異議あり!」の連呼等)がなくて、良心的な作りだと感じていました。それでいて娯楽への一定の配慮もあるわけですから、これは驚異的によく出来た映画だと思います。
ザ・チャンバラさん [DVD(邦画)] 8点(2012-10-27 16:44:58)(良:5票)
75.この作品は裁判も含めた日本の司法制度という物の不備を描くだけでなく
人が人を裁くという正義や法律の原点原理が
いかに不完全で嘘っぱちな物かを明らかしにた作品でしょう。

また、日本の場合、江戸時代からの大岡裁きとも言うべき
「まず、お上に対して恐れ入れ、罪を素直に認め、恐れ入るなら許してやる」
こういう封建的俗習に元付いた起訴便宜主義が、未だに当局側で罷り通っている。

逆に考えればこれは犯罪者側にとってはオイシイ話です。
軽微な犯罪なら、被害者に相応の示談金を払い
後は素直に「ハイハイ」と従っていれば、自動的に検パイ(検事裁量の起訴猶予)に成り、釈放だからです。

逆に、今回の主人公の様な冤罪被害者にとっては非常に不利です。
やってもいない犯罪を「やったと言え、やったと言えば許してやる」
と、言われて否認すれば、お上に楯突いた事となり、当局は何が何でも有罪に持ち込もうとする。

警察側の意図でワザとズサンな証拠集めと捜査が成され
有罪を前提とした誘導尋問や、証拠の歪曲が行われた後、検察が強引に起訴に足る証拠固めをする。

裁判所は裁判所で有罪に都合の良い証拠だけを、裁判官の独断で取り上げ
それを合理的根拠として強引にコジ付け、有罪判決を下す
全てが可及的速やかに効率重視で、一方的に進められて行く。

これでは有罪率99.9%もうなずけます。話に成らないのです。

何故、欧州などの先進国には死刑制度が無い国が多いのか?
つまり、人が人を裁くという行為がいかに不完全で理不尽な行為であるかを
裁判員や裁判官自身が認識し、だから死刑判決の様な重い責任は負えない。こういう事ではないでしょうか?

そもそも、海外の裁判員制度は素人の国民でも裁判に参加させる事で
民意を判決に反映させる事が出来るという、公平原理の大儀名分からですが
しかし内実は当局側の責任分担(責任逃れ)として作られた制度とも言えます。

翻って考えれば日本の様に死刑制度が有る国が
今までよくも無神経に、こんな司法制度を続けて来たものだと
再認識させられる作品でも有ります。

話は変わりますが電車内の痴漢被害は
「満員電車という、馬鹿馬鹿しい電車の乗り方を無くすだけで0に成る」とは思いませんか??

まあ、これも司法制度と同じく、効率重視の社会倫理の中では馬鹿げた方法だと
一笑に付されてしまうのでしょうけれど。
一般人さん [DVD(邦画)] 8点(2010-06-15 03:56:31)(良:3票)
74.《ネタバレ》 置換冤罪という誰にでも起こりうる身近なテーマを題材としたことで、多くの人が感情移入でき、日本の司法制度や刑事裁判について深く考えさせられる(考えたくなる)映画となっている。一般的に、人は被害者の立場を第一に考える。被害者感情に立ち、加害者を罰するべきだと。たとえ、本人が否認していても「それはウソだ!」と思う人が多いのが現実だろう。もちろん、ウソを付いている場合も多く、むしろそちらの方が多数と思う。ただ、この映画を観た人は今後一歩引いた客観的な立場で、被告人の声に耳を傾けることができるかもしれない。冤罪で罰してしまったら、被害者がもう一人増えてしまうということを肝に銘じなくてはならない。一番印象的だったのは「刑事裁判で無罪にするのは国家権力に喧嘩を売ってるようなもの。そんな裁判官は出世はできない。被告人を無罪にして、裁判官が得をすることは何もない」ということ。「無罪の人を有罪にすることはできない」というポリシーをもっていた裁判官は左遷された。もちろん、この映画が全てだとは思わないし、メディアが作ったものを100%信じることほど危険なことはない。しかし、それを否定することもできない。少なくとも、この映画の話も一つの真実としてありうると考えなければならないと思う。自分がもし主人公と同じ立場に立たされたとしたら、とても戦う気にはなれない。おそらく、本当にやっていなくても耐え切れず示談で済ませてしまう気がする。しかし、それは間違っていると思う。だから、防衛するしかないのだ。
グングニルさん [DVD(邦画)] 8点(2008-10-26 12:00:46)(良:2票)
73.《ネタバレ》 いい映画だと思う。映画というのはそもそも主観的で恣意的なもの。中立である必要性は全くないし、そうあるべき意味もない。
この作品を一方的な見方で糾弾することは簡単だけど、これってそんな簡単な作品なのかな? ものごとを単純化してしまうと本来そこにあるはずの多様性を感じることができないと思う。中立であるべきなのは僕らであって、必ずしも作品の方ではない。
僕は多少首をかしげるところもあったけど、概ね作品の流れには感心した。主人公は痴漢をしたのか、していないのか、それを真実と言うのならば、結局のところそれは主人公以外に分からない、ということが最後に分かったのである。判決はあくまで有罪であり、それが事実の結果なのだから。ラストの宙吊り感は作品に深みを与えていると思う。
onomichiさん [映画館(邦画)] 8点(2008-03-06 02:01:08)(良:2票)
72.この映画は痴漢そのものよりも日本の裁判制度、法律、警察のおかしさ、自分の身は自分で守るべきであるというものを徹底的に見せ付けられることになる。見ていて腹が立って仕方ないが、だからといって人ごとには思えないのだ。もしも自分がこの主人公と同じ立場に立たされたら人はどういう行動を取るだろう?女性から見れば男は女の敵だが、男からしたらやってないのにやったとされ有罪になるという事への怒り、つまり被害者は女だけでなく男も被害者なのだ!そして、何よりもこの映画を見ると本物の痴漢がのほほんとしているのに、無罪な人間が痴漢で捕まり有罪になるという矛盾。無実の人間を有罪にすることへの怒りに満ちた作品として、見応え十分!どれだけ頑張っても結局は認められず有罪になるのが真実なら、そんな真実など真実であって真実じゃない。全てが矛盾の塊、それが現実だと思わせるだけの力作です。こんな許せない裁判制度、法律を見ると、それなら女性専用車両だけでなく男性専用車両も今すぐにでも作るべきだと思わずにはいられない。
青観さん [映画館(邦画)] 8点(2007-01-21 19:00:02)(良:2票)
71.怖い。
男の自分としてはとっても怖い映画。
おそらくこの映画が公開されても絶対この流れは変わらないところも怖い。
aimihcimuimさん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-13 22:58:57)(良:1票)
70.《ネタバレ》 まず一点。問題提起の為とはいえ、道理に反しているという意味での「悪」の描き方がデフォルメしすぎでは?もしくは実態は本当にここまで不条理なのだろうか。ただこのようにハッキリ描く事で観客は(ある種洗脳チックかもしれないが)映画の伝えたいベクトルと同じ方を向き、苛立ちなどを共有する事となります。

しかし2時間強の中で色ーんな問題を提起してますね。(早く処理したいという理由だけでの)警察の取調べでの自白強要、どうせ勝てないからと示談を進める弁護士、警察にさっさと身柄を渡したい駅員、裁判官が途中で変わる(しかもそれにより傍聴人への対応が違う)、出世の為に有罪に仕立てる検察官…。
そしてそれらだけでなく、被害者の大変さも一応提示されてはいる。被害を受けただけで苦痛なのに、法廷という場で追い込まれるような質問をされる辛さ(時間的拘束ももちろん、わずか15歳が大人から攻め込まれるきつさは想像を超えるだろう)。時間も経ってるわけだし思い出そうにも記憶だって曖昧になるよねそりゃ。ただ、そんな曖昧の記憶の中、思い込みだけで後ろの青年を犯人と決め付けた事により99%その人が有罪になるという、「被害者の申告が絶対的な事実となってしまう」問題、つまり被害者の落ち度については、触れ方が弱かったですかね。

ちなみに、僕は何十回と裁判傍聴に行った事がありますが、細部の再現まで完璧でした。僕も帽子を取りなさいと注意をされましたから笑。

あとは役所広司の演技が神すぎる!!こんな弁護士ホントにいましたもん。自然すぎて演技という感じがしない。素晴らしすぎる俳優さんだと思いました。

とにかく引き込み方が分かりやすく見応えのある2時間強ではありました。結果が最後まで気になる進め方のおかげかな。ちょっとプロパガンダチックな匂いがするので鵜呑みにしすぎるのは健全じゃないとも思いましたが。

ただ、この映画を見て色々現状の裁判には問題があるよなと認識はできても、結局一市民はなす術なし、という結論に落ち着いちゃいますよね。恐ろしや満員電車、僕ら男にできる事は疑われないように両手をしっかり挙げるか時差通勤をするかしかないですね。正義のはずの司法は業務的に案件をこなすのみで冤罪から市民を守ってくれるわけではない。自分の身は自分で守るしかないのが実態だという事が本作から改めて学べました。
TK of the Worldさん [DVD(邦画)] 8点(2013-02-24 17:04:04)(良:1票)
69.裁判の途中で裁判官が交代した。最初の大森裁判官のままだったら、おそらく有罪にはならなかっただろうと思う。最初の裁判官は、「検察側の証明を吟味して、有罪の確信が持てなかったら無罪なのです」と言った。すなわちこの映画の主題ともいうべき「十人の真犯人を取り逃がしても、無実の罪を一人でも作ってはならない」が守られていたのだ。だが・・・。この映画は警察の取り調べや日本の裁判に警鐘を与えているのだが、通勤の満員電車解消も考えていかなければ、この問題はなくならないのかもしれない。
ESPERANZAさん [DVD(邦画)] 8点(2013-02-10 22:20:28)(良:1票)
68.ガリレオ・ガリレイの宗教裁判での有名な言葉「それでも地球は回っている」からタイトルが引用されていると思われるが、昔からある「裁判」という制度も、ひとつの問題に対して「区切りをつける」という人智のひとつであって、必ずしも真実を担保してきたわけではなかった。本作は、痴漢冤罪事件という、多くの人が我が身にあてて考えやすいテーマを取り上げ、冤罪と裁判というテーマを考える機会を提供した点は評価できる。我が国では普段は縁遠いと思われる「刑事裁判」の実態を多くの人に知らしめたいとの製作者の意気込みが伝わってくる。今年4月にも電車内で痴漢をしたとして1審、2審では有罪とされた大学教授を、一転無罪とした最高裁判決があったばかりだ。痴漢行為そのもののは決して許すことのできない、憎むべき卑劣な犯罪行為であることは論を待たないが、最初の裁判官が劇中で言っていた、刑事裁判の最大の目的「罪のない人を罰しないこと」、そして冒頭のテロップ「十人の真犯人を逃したとしても、一人の無実の人を罰してはいけない」との主張の妥当性は、鑑賞者自身が本作の主人公の状況に遭遇したと想像すれば容易に首肯できるはずだ。映画自体はまさにドキュメンタリーのように進行していくが、映画という手法を上手に使って、事件の本質を表現することに成功している。特に度重なる公判でのやりとりは息詰まる見せ場であり、「沈黙」という間もきちんと表現しているのは秀逸。主役の演技も自然であり、平凡な日常から一転被疑者として扱われることになった普通の人間のとまどいが見事に表現されている。ラストの結論も、安易に後味の良さを求めることなく「これが今の現実」とのメッセージが込められており、良かったと思う。この作品はこうしたメッセージ性と共に、最後まで観客を引っ張る娯楽性をもバランスさせており、現代社会を生きる全ての人が見て損はないと言い切ることができる。


田吾作さん [DVD(邦画)] 8点(2009-10-22 11:02:26)(良:1票)
67.《ネタバレ》 今後、生きていく為にも観ておくべき(役に立つ?)映画だと思います。2時間超の映画ですが、長さは感じませんでした。主人公は「やってない」としても真犯人が今更、見つかるわけでもないから被害者救済と自分の立場(この映画によると無罪が多い裁判官は国家権力に逆らってるということで左遷させられるらしいので)を優先すればおのずと有罪という判決になってしまうのでしょう・・・。その昔、おニャン子クラブが「おっとCHIKAN!」という「満員電車の中で女子高生がオタクっぽい男子をイタズラで痴漢にしたてて騒ぎストレス解消~!」って怖ろしいシングルを出していたのを思い出しました・・・。(映画評と関係ない話でスイマセン)次の周防作品が早くも楽しみですが(一体今度は何年後?)今度は明るいテーマでお願いしたいです。
よりさん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-03-09 02:52:52)(良:1票)
66.裁かれたのは痴漢行為ではなく、やっていないのだから「やっていない」とあくまでも主張してやまない西洋的近代個人主義精神なのである。そしてさらに左遷という形で裁かれたのは自分自身の判断で裁判を行う裁判官の西洋的近代個人主義による精神なのである。つまり個人の本心にもとづいて行動するアイデンティティはこの国では排斥され、場の空気を読め、と常にみんなが期待する役割を演じることが強制されるのである。だから交通事故をおこしたら被害のない方が、悪くなくてもまず謝り、不祥事を引き起こした省庁は、関係のない新任の大臣がまず国民に謝るのである。そもそもこの国の裁判制度は、もし無罪が乱発されたら、みんなが裁判で決着をつけるようになり、そうなると制度的に機能しなくなる貧弱なつくりになっているのである。そもそも西洋の正義なるものは未だに通用していないのに、形式的に西洋の正義が機能しているふりをし、学校でもそのように教えながら、実は個人を徹底的に圧殺する場の空気が支配する人権後進国なのである。年金さえ自国民の政府では管理できず、役人たちが食い散らかしてしまう公認汚職は裁けない社会制度後進国なのであり、ごまかしだらけのGDPによる偽装先進国だったのである。だから個人が個人の良心にもとずいて声を上げる精神は、制度の根幹に関わるとして統治機構により圧殺されるのである。よくできた脚本なので社会的示唆に富む映画になっていると思う。
マンフロントさん [映画館(邦画)] 8点(2008-03-07 22:28:25)(良:1票)
65.丁寧に作ってあって、完成度が高い作品だと思います。内容のことを言えば、裁判官や検察官をちょっと悪者っぽく描きすぎでしょうか。彼らの立場を想像すれば、この映画の中で語られていること(証拠や証言)から、あの結論は仕方なかったように思います。観客は事実を知らされているから、奇妙な結論のように見えてしまうのも理解できますけど。映画の中で「無罪にしておいて後で引っくり返ると左遷」みたいな背景が説明されているけど、逆もまたしかりで、「有罪」にしておいて後で引っくり返って「無罪」になったって、今度は第3者やメディアに叩かれるのだから、裁判官が「無罪」にしたがらないという説明も、ちょっと一方的だったと思います。結局、犯罪を公平に裁くためにはそれなりの証拠が必要だという、ギリギリの方法が「裁判」なのだということでしょうか。
かねたたきさん [地上波(邦画)] 8点(2008-03-02 02:49:10)(良:1票)
64.被告側の視点に立った話だと理解はしているが、体の中が震えるてくるほど腹の立つ作品でした。駅員に押し込まれるほどの満員電車に乗ったことのある人(大勢いるでしょうが)なら判ると思いますが、故意にしろ過失にしろ何が起きても不思議ではないあの空間は、本当に異常です。もう随分前ですが、ある日の車内で僕の後ろにいたOL風の女性が突然、「いつまでさわっとんじゃ!ボケ!!」と大声でまくし立てたことがありました。当の女性はそれだけ言うと素知らぬ振りをしていたのですが、その女性を取囲む男性陣(6~7人)は僕も含め穏やかではありません。離れている乗客たちは、(どいつやどいつや)という風にこちらを興味深げに覗っています。そして次の瞬間、僕ら男性陣の下ろしていた手がもぞもぞとゆっくり上げらてゆく光景は、緊張感の中の変な可笑しさと(あ~みんな考えるのは同じなんだな)という妙な連帯感を感じた忘れられない体験でした。そんなこともあり、ちょうどTVなどで騒がれていた痴漢犯罪の問題は予備知識としてもっていたので、一方的とはいえこの作品の進め方に異論はありませんし、警察の体質や裁判の在り方に問題があるとは思いますが、裁かれるべきは何が起きてもおかしくないあの通勤ラッシュの殺人的混雑に元凶があるような気がしました。そんな特殊な空間での難しい犯罪だけど、改めてこういうことが起こっていると今一度“傑作”として仕上げ、世に送り出した本作の功績と静かで熱い演技をした役者たちには素直に拍手を送りたいものです。最後に一言いわせて下さい。日本アカデミー賞のバカヤロ~!
カリプソさん [地上波(邦画)] 8点(2008-03-02 01:42:19)(良:1票)
63.《ネタバレ》 題名からしてこれは有罪になるんだろうな~とおもっていたが、最後の砦、目撃者の女性が現れた時はもしや、形成逆転か!とも思ったが、結局最初から、有罪が確定していたがごとく主文を読み上げる裁判官がなぜか滑稽に思えた。「あなたは間違いを犯した。」そう裁判官は主人公の人生を目茶苦茶にするような判決を言い渡しているにも関わらず彼は罰せられない。『疑わしきは罰してはならない』などとうい言葉など無に等しく、『無罪を主張するには確定的な証拠が無ければならない』のである。いくら証人がいても人の記憶など当てにならないのだ!それなら、証拠など先ず出てくる訳がない痴漢など女性はいくらでも男性をはめる事が出来るではないか! ん?待てよ、男性が女性の手を掴んで、「この人僕のお尻触りました。」と訴えたらどうなるんだろ?女性が痴漢をしないという証拠も無い訳だし。う~んいろいろ考えさせられた映画だった。←考えがズレとる。
みんてんさん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-13 15:41:13)(笑:1票)
62.《ネタバレ》 画としては何の面白みもない(ハッキリ言ってつまらん画だ)、音もあなたが通う映画館の自慢の音響システムも出番はない。演出も映画としての飾り付けもなけりゃ、仕掛もなし。
音声なしでみたらこれほどつまらん映画はない(それこそ、伝説の「死霊の盆踊り」や「デビルマン」などの方が100倍面白いでしょう…見てませんがw)。
でも、ものの数分で入り込んでしまいました。それだけ脚本に力がある。そして、完全に自分はスクリーンの中の主人公になっていた…判決の瞬間の衝撃は凄かった。見ている私が突き落とされた。…なんなんだコレ。
いままでの自分なら猶予ありの3ヶ月なんてどうってことないじゃん。って鼻で笑っていたと思う。いや~重い!有罪と無罪はこれほど掛け離れたものだったとは。判決の瞬間の緊張や判決後の無力感、そんなものをリアルに主観的に体験することができるでしょう。現代の日本の裁判とはどういうものなのかをリアルに体験できるアトラクションとも言える。百聞は一見に…って意味で見る価値あり!
まあ、DVDでも問題ない映画ではありますが。ただ、上映前に予告編として流れた他の映画(プルトニウム?とか爆破シーン多様等のハリウッドを模造したようなくだらん映画)を見るのであればこの映画を見た方がいいと思う。
いい映画とか好きな映画とかそういうものじゃなく、見る価値はある映画というわけで8点!
アップルマークさん [映画館(邦画)] 8点(2007-02-23 07:36:45)(良:1票)
61.《ネタバレ》 日本映画の(悪い意味での)独特の癖の塊のような演技ではなく、好演だったと思います。評価が高い日本映画について実際に観てみると自分の好みには合わないという事がしばしばありましたが、この映画は見入ってしまいました。終わり方もああいう終わり方でしたが、だからこそ色々と見終わった後に考えさせる余地を残しているのだと思います。
珈琲時間さん [インターネット(邦画)] 8点(2018-09-09 09:25:14)
60.満員電車、怖いね。私も毎日通勤で満員電車乗ってるけど、こんなの観たら思わず女性を避けてしまいますよね。だって、こんなカン違いは普通にあり得るし、それで濡れ衣着せられて、人生の信用パーやもんね。どうしても触れられたくない女性は、女性専用車両に乗って欲しいものです。
しかし、主演の加瀬亮、抜群に上手いね。
SUPISUTAさん [ビデオ(字幕)] 8点(2016-05-06 20:22:09)
59.《ネタバレ》 「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」みたいな痛快な映画と比べると、この映画はそういった楽しさが徹底的に削がれてしまった印象を受ける。

ビルを走る一本の電車。その密室では、突然尻をなでてくる者の手が“恐怖”へと変わるし、手を掴んだり密告される瞬間も恐怖と化す。

その恐怖を知る者は、その領域に入った瞬間に両手をあげて命乞いをする。まるで拳銃や刃でも突きつけられている様に。それを知らない者は、出会ったばかりの赤の他人に殺されてしまうのだ。社会的に。

この物語は、そんな社会的に殺されかけた男の孤独な闘いを描いていく。途中挿入されるわずらわしい音楽(最初から無音なんだから最後まで音楽の挿入はして欲しくなかった)も、監督がこの男に同情するが故だろうか。
絶望を語る筈の独房も妙に白いし、照明まで彼を暖かく照らすように明るすぎるのではないだろうか?
「どうしてこうなった」と無言で泣く男の姿だけで充分です。

動く密室の次は、取調室という密室で数人の男に尋問されるという恐怖。常に同じような事件に振り回される男たちの苛立ちは、捕まってしまった人間にブチまけられる。
捕まった人間にとっては「知ったことか」である。誘導尋問、脅し、レッテル貼り、疑心暗鬼、偽善、指紋。
そこに人権とか、偽善がどうとかといった感情は消えていく。あるのはブタ箱にブチこむという“作業”の繰り返し。
何度も何度も何度も「アナタハ痴漢ト疑ワレマシタ。ナノデ逮捕シマス」という具合に延々と同じ言葉を繰り返す。そのしんどさ。二度と見たいと思わない退屈さ。音楽まで似たようなBGMを繰り返しやがる。
あの気の遠くなるような説明は本当に早送りしたくなった。
主人公も感情が消えかけ嫌気が差しているのだから。この辺は社会派映画の悪いクセです。

独房の中で出会う常習犯たちの奇妙さ。それは事件の捜査に疲れて荒んだ警察も、態度をコロッと変える管理人にも、興味本位だけで犯罪を追っかけまわす男たちにも共通する。

痴漢被害に遭ってきた筈の少女の姿にも奇妙さが目立つ。彼女の親は何故裁判所に来ないのだろう。親は既に亡くなってしまったのだろうか。
だとしても、代わりに先生がくるとか、友達が来るとか。そういうのが描かれていないのが不思議だ。
壁に覆われて、主人公やその支持者たちも背中すら見る事が出来ない。主人公も、自分を警察に突き出した女性と一度キリしか会っていない。
そんな奴らに「貴様は犯罪者だ!悪魔だ!」と言われてみなさいよ。誰だって怒りますよ。憎みますよ。ガラスを叩いたり鉛筆を砕きたくもなりますよ。ピーポ君を傘でしばきたくもなりますよ(あのやり取りだけ唯一といってもいいギャグシーン)。
女子高生の視点を知るのは観客だけだ。観客だけがその映像に誘導され、揺さぶられるのである。

それとは対照的に、家族や友人たちはその奇妙さが消え去っていく。真実を知れば知るほど彼らは主人公を支え、一緒に闘うようになっていく。元カノも“信じている”からこそ体を張る。
最初は疑っていたからこそ、それに対する贖罪と共感・共に戦うからこそ得られる頼もしさ。
事件の再現から突破口を開こうとする瞬間、ここで初めて違う音楽が観客の心を洗い流す。様々な人間の視点や感情が真実を探り希望を見出し始めるのである。

それを嘲笑う社会の闇。
小日向文世を殴りたくなったのは初めてだ!素晴らしい演技!予告の躍りかかる主人公のように、あのにやついた顔面をブチのめしてえええっ

裁判のクライマックス。
そこには「それでもボクはやってない」と頑強に戦う覚悟を決めた男の表情だけがある。
主人公が一度挫折し、そこから立ち上がり成長していく姿は「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」にも共通している。

怒り裁判所を出て行った友人も、また彼のために戻ってくるのだろう。それでもカレはやっていないと信じているのだから。
すかあふえいすさん [DVD(邦画)] 8点(2015-06-02 20:01:18)
58.加瀬亮がいい。これをみると電車では両手を挙げて乗らなくてはいけなくなります。
なこちんさん [DVD(邦画)] 8点(2010-12-17 22:00:40)
57.《ネタバレ》 面白かった。絵に描いた様なダメ人間風の男だ。その印象が最後まで続く。なぜあのときあんなことしてたのかという様なことや、なぜあのとき疑問にきちんと答えないのかということ、なぜあのときなんな態度をとったのか、なぜあのとき常識的な機転が利かないのか。諸々。

その主人公の造形が秀逸で、巧く話が進んでいく。一方でお話的でない裁判の部分では実にありそうな進み方をしていく。現実的な部分と、居そうなダメ人間という部分がお互いを補って、巧妙にいやな結末を生む。

痴漢冤罪は本当に怖いものであるが、一方で被害者側の安易な行動や自動思考を助長している。根本には刑事裁判において、他先進国と比較したとき供述の整合性を偏重する裁判理論と、科学捜査の軽視という事実認識の欠落が存在する。記憶や類推を事実とは無関係なリアリティを伴った造形物として、それを競う場となって裁判所は機能しているのだろうか。この国はここが怖く、本質的に共産圏のような閉塞感が知られていないことも恐怖だ。

この映画では冤罪の実態と、裁判理論のおかしさに焦点を当てていて、その広さではなく深度において造形のうまさを実現している。また主人公の性格造形においても丁寧なので、人間ドラマが実に面白い。しかしそのために具体的に何がどう変なのか、直すべきところがどこなのか。という部分については受け手が持っている情報量で問題認識と再提起するしかない。つまり、感想が千差万別になってしまう。

そういう意味でより普遍的な社会問題を扱う話としては他者の他作品に譲ることになるのだろうが、フォーカスされている部分の完成度は非常に高く、非常に巧くいっている。
黒猫クックさん [DVD(邦画)] 8点(2010-04-30 16:09:56)
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【点数情報】

Review人数 225人
平均点数 7.60点
020.89%
100.00%
220.89%
341.78%
462.67%
562.67%
6229.78%
74319.11%
87633.78%
94118.22%
102310.22%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.42点 Review26人
2 ストーリー評価 8.48点 Review35人
3 鑑賞後の後味 6.18点 Review32人
4 音楽評価 5.85点 Review21人
5 感泣評価 5.61点 Review21人
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