2.《ネタバレ》 あまり期待せずに見たのですが、なかなかよかったです。なんといっても主役の2人、特に石橋杏奈嬢がすばらしい。ほかの若い出演者も、青春時代のもろくて傷つきやすい心情を好演していました。ロングのショットとカメラを固定しての長回しが多用されていて、全般的にリアルな絵作りがなされています。ドキュメンタリーっぽい撮り方ですね。あと、長回しによるなんとも言えない「間」があり、それが魅力的でした。静かで落ち着いた雰囲気の映画で、こういうところが好きです。
複数のエピソードを連ねた、半ばオムニバス風の物語なのですが、話によってわりと好き嫌いがあったためか、中だるみしたという印象でした。肝心の由香ちゃんがまったく出てこなくなったというのも、マイナスだったのではないかと思います。個人的には、あの2人のエピソードをもう少し見たかったのですが、それで映画を一本作るのは苦しいでしょうか。
終盤での雲の絵や最後の写真など、ベタですが伏線が生きているし、なにより人の心情を考えたときに納得できる展開なので、よかったと思います。アイドル映画だと思われて敬遠している向きもあるかもしれませんが、その点は違うと思います。ただ、あまり人に知られずひっそりと存在しているところが、この映画の雰囲気と合致していいかもしれません。道端で咲いている、名前も知らない美しい花のようで……。