君たちはどう生きるか(2023)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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君たちはどう生きるか(2023)

[キミタチハドウイキルカ]
The Boy and the Heron
(How Do You Live?)
2023年上映時間:124分
平均点:5.85 / 10(Review 52人) (点数分布表示)
公開開始日(2023-07-14)
ドラマアドベンチャーファンタジー戦争ものアニメ動物もの
新規登録(2023-04-26)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2024-03-13)【イニシャルK】さん
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監督宮崎駿
山時聡真牧眞人
菅田将暉覗き屋の青サギ/サギ男
柴咲コウキリコ
あいみょんヒミ
木村拓哉牧勝一(特別出演)
木村佳乃夏子
小林薫老ペリカン
火野正平大叔父様
國村隼インコ大王
大竹しのぶあいこ
竹下景子いずみ
風吹ジュンうたこ
阿川佐和子えりこ
滝沢カレンワラワラ
ロバート・パティンソン覗き屋の青サギ/サギ男(英語吹き替え版)
フローレンス・ピューキリコ(英語吹き替え版)
福原かれんヒミ(英語吹き替え版)
クリスチャン・ベール牧勝一(英語吹き替え版)
ウィレム・デフォー老ペリカン(英語吹き替え版)
マーク・ハミル大叔父様(英語吹き替え版)
デイヴ・バウティスタインコ大王(英語吹き替え版)
原作宮崎駿
脚本宮崎駿
音楽久石譲
作詞米津玄師「地球儀」
作曲米津玄師「地球儀」
主題歌米津玄師「地球儀」
撮影奥井敦(撮影監督)
製作星野康二
西村義明(協力製作)
宮崎吾朗(製作プロデューサー)
スタジオジブリ
プロデューサー鈴木敏夫
制作スタジオジブリ
スタジオポノック(制作協力)
配給東宝
作画本田雄(作画監督)
井上俊之
近藤勝也
田中敦子〔作画〕
米林宏昌
高坂希太郎(原画)
美術武重洋二(美術監督)
高屋法子(ハーモニー)
編集瀬山武司
録音木村絵理子(アフレコ演出)
東北新社(音響制作)
あらすじ
太平洋戦争が激化しつつある中、東京に住む少年・牧眞人は入院中の母を病院を襲った大火で失い、その後父とともに疎開する。疎開先には父の再婚相手であるナツコが待っていたが、彼女は亡くなった母の妹であり、眞人の弟妹となる命を身籠っていて、彼は素直に新しい母として受け入れられなかった。更には転校先の学校の子どもたちとも打ち解けられず、眞人にとって孤独な日々が始まることに。そんな中、広大な屋敷の敷地を歩いていた彼は、森の中にひっそりと佇む朽ち果てた様子の塔に辿り着く。その塔に惹きつけられる眞人。すると謎めいたアオサギが彼に語り掛け塔の中に誘うのだった。「風立ちぬ」以来10年ぶりに宮崎駿監督が送る長編アニメーション作品。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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8.先に観た人から聞いた通り、物語の本筋が途中から分からなくなります。それでも観ないまま終わるのは勿体ない作品です。なんとなくハッピーエンドですしね。
次郎丸三郎さん [映画館(邦画)] 8点(2023-08-04 23:28:14)
7.《ネタバレ》 鑑賞直後、腹が減ったのでワッパーを食いながら久しぶりに感想を。
とても、よかった。
見る前は宮﨑駿がやりたい放題で意味不明なイメージ垂れ流しの走馬灯ムービーだったらどうしようと思っていたが、全然そんなことはなかった。
冒険と生死と出会いと別れと成長、世界へのテーマが描かれた、ハヤオまだやれるやん!と思える力いっぱいの作品。
時空も生死も姿も曖昧で、崩壊しつつある異世界。何のためにこの世界が必要なのか、大叔父様が世界を作る前は死んだ人はどこにいってたのか、どう生まれ変わってたのか?とかよくわからんところはあるし、理解もできない。理解できる気もしない。
ただ、奪い合い火を放つ悪意の世界をどう生きるかと問われた真人は、友達を作ると言った。悪意に満ちた邪悪な存在に見えたアオサギも友だちになれたからね。単純で幼稚かもしれないけど、めちゃくちゃいい答えやんと思った。
お母さんとの別れのシーンもよかったよ。死ぬことはわかってるけど、母親になるために元の世界に戻る。いい子だから。泣ける。
世界観よくわからんとか設定よくわからんとか、何か深すぎてわからんとかまああるだろうけど、面白かった。ハヤオは小さい頃から見てきたハヤオだった。ちなみにナウシカ、ラピュタ、ハウル、トトロ、魔女宅は好き、もののけ、千尋はいまいち、風立ちぬは嫌いです。
ブラック武藤さん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-30 15:16:45)
6.最初は、
「世界は時間も次元も善悪も生き物も鉱物もイメージもすべてがつながっている。死んだ人とも当然逢えるが楽園にはとどまらない。楽園追放でもあり色即是空空即是色でもあるあらゆるユニバースを包括した上での実存主義!」
といったことかと思って感動したのだが、文庫の「君たちはどう生きるか」の要旨を見るとどうも違うメッセージらしい。

もちろん作品の解釈はそれぞれでいいのだが、この映画の場合だけは文庫版の「君たちはどう生きるか」のメッセージと大きく違ってはいないだろう。文庫版「君たちはどう生きるか」を読めと言ってるわけだから。

文庫版「君たちはどう生きるか」のメッセージは基本説教です。そして人類はその手の説教をほとんど聞くことなく、エゴ優先であいも変わらず自分たち自身を追い詰めている。そのために起こる地球環境問題もほぼほぼ乗り越えることはできないところまで追い詰められている。

そんなときにこんな昭和初期のメッセージでいいのかと思う。

さらに宮﨑氏がよく言ってたはずの空想の世界に留まるな、現実に向き合え的メッセージも入ってるわけだが、いまやイーロン・マスク氏すら「この宇宙は仮想現実」という。

そしてAIの進歩はその開発者たちも脅威を覚えて規制してくれと訴えるほどだ。人類は近い将来AIに取って代わられるかもしれないほどに現実が進行している。

地球が自らが破壊されるリスクを負っても人類(巨大な大脳新皮質)を生み出したのはなぜか。

AIを地球の管理者にし、宇宙が新しい進化をはじめようとしているのかもしれない。人類はその移行のための存在なのだろうか?

昭和初期の人たちがまったく想像もできないそんなとんでもない時代になってきているというのに、こんな昭和初期のメッセージでいいのかとも思う。
wooさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-24 23:12:56)
5.《ネタバレ》 帰って宮崎駿の生い立ちをネットで見て
あーなるほどと思ったけど、
この作品の主人公は宮崎駿自身なんでしょうね。
だから今回の主人公は男の子。

「風立ちぬ」では両親への想いが描かれ、
本作では自分自身の人生と向き合い、
口では説明のできない感覚・感情を映像の世界に昇華させた。
そんな感じなのかな!?

監督自身のコメントの
「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。
私自身、訳が分からないところがありました」
というのは照れ隠しのような気もする。

映画の成功や評価より、
宮崎監督は自分の為にこの映画を作り、
完成した時点で満足なんじゃないかな。
壮大な自己満の世界なんだけど、
結局、映画でも音楽でも文学でもアートでも、
芸術と言われるものの多くはそこが原点。

賛否あるのはわかるし、すごく面白かったとも言えないんだけど、
ジブリの世界観はあったし、何よりジブリ作品を映画館で楽しめた。
僕は好きな作品でした。
ゆにおさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-24 17:01:35)
4.少し唐突な印象も残るくらいにあっさりと映画が終わった。
その時点で、とてもじゃないが言語化はまだできておらず、一抹の戸惑いと、何かしらの感慨深さみたいなものが、感情と脳裏を行き交っている状態の中、少しぼんやりとエンドロールを眺め見ていた。
すると、「作画協力」として、今やこの国のアニメーション文化を牽引する錚々たるスタジオの名前が整列するように並んでいた。
他のアニメスタジオが作画協力に名を連ねること自体は、さほど珍しいことでもないのだろうけれど、スタジオジブリ作品、そして本当に宮崎駿の最後の監督作品になるかもしれない本作のエンドロールにおけるその“整列”には、何か特別な文脈があるように思えた。

そしてはたと気づく、ああそうか本作の「真意」は、クリエイティブの極地に達した創造主からの、新たな創造主たちに向けたメッセージだったのだなと。

宮崎駿、その想像と創造の終着点。
そこには、彼がこの世界に生まれ落ち、いくつもの時代を越えながら吸収してきた数多のクリエイティブの産物で溢れかえっていた。
彼が吸収したものが、いくつものアニメーション作品の中で具現化され、一つ一つの「世界」となって、積み木のように積み上げられていったことをビジュアルによって物語っているようだった。
そしてその世界は、「崩壊」という形で、時を遡って、何も生み出していない無垢な自分自身に継承される。それはまるで、クリエイターの根幹たる魂が「輪廻」していくさまを見ているようだった。


宮崎駿が生み出した「世界」そのものは、創造した自分自身の手によって崩壊という終焉を経て、無に帰す。
ただし、同時にそこからは、色とりどりの無数のインコが飛び立っていく。
この色とりどりのインコたちこそが、エンドロールに名を連ねた新世代(ジブリ以降)のアニメスタジオであり、新たな創造主たち(=クリエイター)を表しているのだろう。

“声真似”をするインコを用いたのは、どこか“ジブリっぽい”アニメ作品を量産しているクリエイターたちへの皮肉めいた批評性、というか明確な“イヤミ”もあるのかもしれない。
その一方で、宮崎駿自身がそうであったように、先人たちの数多のクリエイティブを吸収し、真似て、発信しようとするプロセスは、必然であり、正道であることを暗に伝え、激励しているようにも思えた。


あらゆる側面において、極めて意欲的な作品だったと思う。
ただ、本作においいて、宮崎駿というクリエイターの本質とも言うべき“支配力”や“エゴイズム”が、全盛期同様に満ちていたかというと、そうではなかった。
クリエイティブという活動そのものの性質や限界を考えると、それは至極当然のことだろう。
むしろ、クリエイターとしての限界のその先で生まれた作品だったからこそ、本作はそれに相応しい「崩壊」や「終焉」をエモーショナルに描き切ることができたのだと思う。

創造と崩壊、巡り巡ったその先に、君たちはどんな「世界」を創るのか。
様々な解釈はあろうが、それは、「夢と狂気の王国」築き上げ、積み上げ続けた一人の狂気的なクリエイターの、決して優しくはないが、力強いメッセージだったと思う。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-20 12:47:44)(良:1票)
3.《ネタバレ》 時は戦時中。東京に父と住んでいた主人公の少年・眞人は、家から離れた病院に入院中の母を火災で亡くし、父子ともども田舎に移り住むこととなる。彼らが到着した駅には、人力車に乗った身なりの良い女性が待っていた。眞人にとっては新しい母親だという。その場でいったん父と別れ、緊張の面持ちで女性と新しい家に向かう眞人。やがて大きな屋敷に到着、眞人はその中を案内される。すると…。

本作は広告宣伝一切なしのまま上映を開始した。ネットを見ていると物語のネタバレこそないものの、参加キャストやスタッフの名前をあちこちで目にするようになった。「そのうち物語のネタバレも不意に見てしまうかも」。そうなる前に観てしまおうと決意したのであった。ちなみに宮崎監督の長編作品は『風立ちぬ』以外視聴済み。

本作については、宮崎監督のエンターテインメント観と人生観の総決算を見せられたという印象を強く持った。

物語の構成は『千と千尋の神隠し』そのものだ。主人公は新しい環境にどちらかといえば後ろ向きで、ひねくれたところもある。やがて巻き込まれる非日常の困難に能動的に立ち向かい人間的に成長、最終的に日常に戻っていく。監督の過去作『ルパン三世カリオストロの城』『天空の城ラピュタ』『崖の上のポニョ』などを彷彿とさせる場面や演出が頻出し、まるで過去の宮崎作品の名場面集、もっと言ってしまえばセルフパロディのようにも見える。

物語の最終目的は「さらわれたお姫様を救い出す」、これも宮崎作品の典型だ。今回はお姫様ではなく新しい母親であるために動機がやや弱く感じられたし、異世界でも唐突かつ理解しきれない展開があったが、それを各々の世界観のアクの強さと丹念な演出、そして圧倒的な作画の力で観客に半ば強引に見せきってしまう作りは宮崎にしかできない芸当だ。前述の名場面も含め、これまで宮崎の後継者と目される他の作り手たちが表層的模倣にとどまっていた宮崎的描写を自らの手でやってのけて「どうだ! これが俺だ!」と高らかに宣言しているように僕には思える。

世界をコントロールする大叔父様の姿からは、未来永劫新たな世界を描き続けたい宮崎自身の願望が感じられた。世界をコントロールするツールであった積み木が最後に他者の手によってあっさり壊されてしまうところからは、「やっぱり人間は有限であり、永遠の世界作りはできない」と外部からの情報によって現実的な考えに軌道修正したのではないだろうかと想像した。

ここからはスタッフやキャストについて思うことを少し書きたい。

まずは絵作りの中心を担うアニメーターについて触れなければならない。超絶作画で作品を支えた作画監督や原画マンたちの何と豪華なこと! 作画マニアが見たら鼻血が出そうな豪華メンバーだ。現在のアニメ、特にテレビアニメはとにかく大勢の作画マンの人海戦術によって何とか形になっている印象があるが――厖大な制作本数に対してアニメーターが不足している、作画作業の分業化によって仕事がスムーズに回らなくなりそれが悪循環を引き起こしている、制作期間が短いなど原因はいろいろあると思われる――本作は極めて密度の高い画面が比較的少数精鋭で作り上げられている。制作環境が整えられていたのだろう。

特に中盤までのピアノ独奏が印象的だった音楽は宮崎作品の常連・久石譲らしくなく、今回は誰が音楽担当だったんだろうと思っていたらエンドロールに久石の名があり驚いた。かつてミニマルミュージックを得意としていた久石の面目躍如だろうし、同時に新境地ともなったのではないだろうか。

キャストは相変わらずの非声優陣。キムタクが声をあてる情報は前もって入ってしまっていたが、どのキャラクターを演じているかがわかったのは中盤以降であり、それ以降も特に違和感を感じなかった。他のキャストも熱演していたと思う。

最後にちょっと尾籠な余談を一つ。本作の上映が始まって一時間くらいからは尿意(と便意)との戦いだった。列中央の席に座っていたし通路が暗くて一度出たら二度と戻ってこられそうになかったのでどうしようと思いながら観ていた。思い切って出ようと腰を浮かせたら尿意が少し治まったので、両肘で体を支えながら背もたれを使わない姿勢で観続け何とか最後まで持たせた(両隣は空いていた)。余韻なしではぁはぁ言いながら館内から出たのは初めてで、前を歩いていた女性を小走りで追い抜き痛い視線を感じながらトイレにスッと駆け込んだのだった。

帰り道の車のアクセルをいつもより少々強く踏みがちだったのはその余韻か、他の車が走っていなかったためか、はたまた作品に心動かされた余韻か、今となってはわからない。
はあさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-19 16:57:07)
2.《ネタバレ》 ■初回上映時に劇場から出てきたお客さんにワイドショーかなんかがインタビューして、感動のあまり泣き出してしまった青年の画像がネットで出回ってたけど、私はまさにあの状態になってしまった。劇場前にカミさんが迎えに来てくれてたのだけど、車に乗ってカミさんに「どうだった?」と聞かれたとたん、ボワーっと涙があふれてきて、次に「え?どんな話だったの??」と聞かれて、「全然分かんない…」と答えるのがやっとだった。
■イマジネーションのオンパレードに圧倒された、という感覚は、千と千尋にも匹敵した。あれが80のじいさんの頭の中から出てきたという事実に、全く打ちのめされた。
■尻切れトンボ感は各所で指摘されているけれども、怒涛の折り畳みからプツっと終わって、真っ青な画面で米津を聴かされる、ってのは、何にも整理できなくて心がぞわぞわさせられたままで、それが泣いた原因の一つだとも思う。
■ブログやYouTubeで考察を見るのが大好きなのだが、その意味では私にとってこれほどおあつらえ向きの映画もない。どこそこの場面は何とかという絵画や映画がモチーフで、という指摘は実に勉強になるし、今作は日本中のアニメスタジオから著名なアニメーターをかき集めて作ったそうで、彼らの作画への影響を論じるものもあって、大変興味深かった。傑作は、これはジブリの内情を表しているというもの。半ば都市伝説めいているのだけれど、真偽はともかく、それ自体がエンタメとして面白い。
■さはさりながら、基本的には不思議の国のアリスなのだろうから、「説明不足」の類の批判は見当外れかと思う。その意味では意外と子供の方が素直に楽しめるのかもしれない。
■母や義母の描写が、今までの宮崎作品にはないほど艶めかしかった。考察によれば、それは外部アニメーターのアイデンティティの発露、という意見がある一方、齢八十にしていよいよ宮崎翁がリミッターを外してきた、という人もいる。今作から「みやざき」の「ざき」の字が別字になったらしいから、シン・ミヤザキとして、後者であるのだと思いたい。
麦酒男爵さん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-19 10:46:28)(良:1票)
1.《ネタバレ》  まず、御年82歳の巨匠が自らの集大成を総括した作品に対し、10点満点(もしくは5点満点)で採点すること、そしてこのような「考えるな感じろ」的な作品に対し、感想を文字化し可視化することが極めて無粋である事と知った上で、あえて書かなければならない。そうしないとこの作品を見た意味すら見失ってしまいそうな、そんなつかみ所の無い作品だったから。自分への覚書のようなものとして、書いておこうと思う。
 ネタバレ厳禁をここまで徹底する要素が、果たしてこの作品にあったのか否かは疑問。あくまでも戦略だっただけのように思う。そもそもネタばらしをしようにも、あらすじなるものを簡単に言葉で語り継げるようなストーリーをまず持っていない。とりあえずは「感じろ」と。しかしその次の段階には、登場する全ての物に何かしらの意味が隠されている事を「考える」こととなる。メタファーにつぐメタファーの連続。そして過去作品のセルフオマージュの連続。この、メタファーとセルフオマージュの連続が、一見取り留めのないものの羅列として、退屈を感じさせてしまうのかもしれない。この作品、実は、感じろ、ではなく、考えろ、だった。
 全ての鑑賞者の数だけ、解釈の数がある。監督の持つ戦争観、死生観、男女の在り方役割分担、アオサギとは、ペリカンとは、インコとは、そして13の積み木と跡継ぎ問題、産屋へ入ることが禁忌であるということ。
 この作品に限らず、監督は常に、生きろ、と言う。生物は生きているか死んでいるかしかない。死んだ者は、食べられるか埋められるかしかない。生きている者は、生きるため産むために殺生をすることがある。イレギュラーケースとして、生きるか死ぬかの基準の中には存在しない行為、自分の頭を石で殴った自傷行為の事を彼は「悪意」と言う。彼が負傷のために刈上げた頭で真剣に武器を作る姿は、デニーロのタクシードライバーを思い出してしまった。捕らえられた女を救出するために命を懸ける男の話だ。男が女を守り、女は子を産む。この古臭い男女の役割分担という考え方が、現代では禁忌、ストレートには表現できないタブーとなっている。メタファーという鎧で自分を守りながらでないと表現出来なくなり、そのために分かりにくい面白くないと評価されるようになってしまう表現者。13の積み木(ゲド戦記を含む13作品)を積み終わった後は、許されるのであれば悪意の無い跡継ぎにこの場を渡してしまいたい。言葉をしゃべるが中身のないインコみたいな無責任な不特定多数の群衆どももいるこんな世の中だから、最新の注意を払って、自分と自分の周りの大切な人を守って、生きていかなければならないんだなぁ、と。どのように生きるか、という監督からの設問への、これはあくまでもほんの一回答、です。
ちゃかさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-18 15:51:56)(良:2票)
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【点数情報】

Review人数 52人
平均点数 5.85点
023.85%
123.85%
211.92%
3611.54%
435.77%
5611.54%
647.69%
71528.85%
8815.38%
935.77%
1023.85%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 3.50点 Review4人
2 ストーリー評価 5.00点 Review8人
3 鑑賞後の後味 6.44点 Review9人
4 音楽評価 5.16点 Review6人
5 感泣評価 5.57点 Review7人
chart

【アカデミー賞 情報】

2023年 96回
長編アニメーション賞宮崎駿受賞 
長編アニメーション賞鈴木敏夫受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2023年 81回
作曲賞久石譲候補(ノミネート) 
アニメ映画賞 受賞 

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