1.《ネタバレ》 捨てられた子供を預かってずっと育てて、その子を養子として正式に自分の子供としてこれからも育てていきたいという気持ちも、あくまで自分が腹を痛めて産んだ子供で、絶望的な状況からある程度立ち直った今なら引き取って育てたいという気持ちも、だれの気持ちも理解できる話なだけに、一つの結論しか選べない状況がつらい。そんな映画です。
そんな大人の葛藤を吹き飛ばすのはこの状況の中心にある子供、豊和くん。
「お母さんと仲直りしてあげて」「この島の人すべてが僕の母親」
まるで大人たちの事情を全て分かっているように立ち回る彼の行動がなんとも刺さります。タイミングや内容がうまくいきすぎてる感もありますが。しかしそれとはまた別に、彼が本当にいい子に育ってくれていることも事態がうまく収まった大きな要因でしょう。自然と大人たちは彼にとっての幸せを第一に考えるようになっていきます。
ドラマとしては良い話ですが、当事者の立場としては切ないですね。複雑な環境に生まれた豊和くんが健やかに育ってくれていることが本当に何よりの救いです。