1.《ネタバレ》 アレクサンダー・ペインの前作「ファミリー・ツリー」は未見ですが、ペインが過去に手掛けた作品「サイドウェイ」や「アバウト・シュミット」といった作品を随所に感じる作品でした。人生まだまだ先がある男の、父を連れたちょっとした人生の脇道の数日でもあり、老いた男のドラマでもある。
映画なんだから、実は宝くじにホントに当選していた!なんてオチも良かったかもしれませんが、随所に笑いドコロを挿入しながらも人生、そうは上手くはいかないものです。そんなコメディタッチの中に描かれる人生のほろ苦さには実にペインらしさを感じます。そしてその後に見せてくれる優しさが嬉しい。最後の息子から父へのプレゼント。その優しさにジ~ンと心が温まる。
ロードムービーとしては前半までで、中盤以降は両親の故郷の田舎町にとどまる時間の方が長いですが、ロードムービーとモノクロって相性がいいと思います。埃っぽいアメリカの片田舎の風景描写にカントリー調の音楽が良く似合う。僕の好きな作品の世界観でもあるのですが、それ以上に自分と両親のことをずっと考えながら見ていました。本作の息子は僕と同年代と思われる。そして僕にも離れて暮らす年をとった両親がいる。過去のことや最近の出来事を思い出したり、これからのことを考えながら・・・。