18.《ネタバレ》 全編のほとんどが宮沢りえと原田芳雄の二人による芝居と会話によって進行していく。広島に落とされた原爆の被害によって亡くなってしまった父が娘のそばで幽霊となって娘との淡々とした会話を見せつつも戦争の恐ろしさ、惨酷さを教える。二人の素晴らしい演技にどんどんと引き込まれていきます。宮沢りえ演じる娘の父親である原田芳雄に対する言葉使い、父親のことを「おとったん」というのを聞いて、なんて良い娘なんだ!あんな呼び方されたら男はたまりませんよ。宮沢りえは女優を続けていて本当に良かったとこの作品を観て思いました。貴乃花と一緒になどならなくて本当に良かった。心からそう思う。おかみさんになるより女優としてこれからも素晴らしい演技を見せてくれることの方がどれだけ良いか!まだまだ若いのにこれだけの演技が出来るなんて素晴らしい。二人が最後の方でジャンケンをして遊ぶシーン、私はこのシーンが最も好きです。このシーンに込められた父と娘の関係、親子愛に父と娘との深い絆を感じることが出来て良かったと思ってます。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-04 10:40:41) |
17.映画の題材からはそぐわない感想かも知れないけど、観終わって、「ああ、面白かったなあ」と思いました。いや、面白いと言うよりは、一種の充実感、なんですけどね。映画は殆ど、原田芳雄と宮沢りえのやりとりで綴られる。しかもこの会話、ボソボソと続く上、方言がきつく、はっきり言って100%は聴き取れない。でもいいんだな。「会話をしていること」そのものの楽しみ。会話ばかりじゃない、例えば宮沢りえが似顔絵ウチワで昔話の練習をする、一人語りの場面。実にしっとり描かれて、引き込まれる。はたまた、時に朴訥とし、時に強烈なパワーを放つ、原田芳雄の語り。街は廃墟と化し、無数の人々が命を落とした戦争、その一方で、この二人だけで紡がれる小宇宙。何か、いいなあ、と思ったよ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-27 23:08:55) |
16.《ネタバレ》 この映画には2重の点で驚きました。一つ目は戦争を題材とした室内劇であること。2つ目は、生者と死者との対話であること。ジャンケンポンの場面は特に心を揺さぶられました。実際に広島や長崎では多くの人々が、愛する人との別離の修羅場を、現代に引きずっていることと思います。ノーモア・ヒロシマ!ナガサキ!の悲痛な叫びを身近に感じました。 【ヨシオ】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-03-18 02:58:27) |
15.原爆被害の有様を最小限の小道具と豊富な言葉と役者の演技によって語られていく様は、惨たらしい映像をいっぱい見せられるよりも胸に迫るものがあります。舞台劇の土台を崩さないような演出も良好でした。そしてなにより原田芳雄の原爆一寸法師は圧巻です。 【MARK25】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-01-27 22:01:15) |
14.この映画は「生き残ってしまったことに、罪の意識を感じながら生きている」人のための映画だ。「ちょっとしたことの違いで、誰かは死に、誰かは生き残る。」この状況は平和な現代では余り出会わないシチュエーションだけど、たまに阪神大震災とか地下鉄サリン事件があるとクローズアップされる。でも、歴史の大部分を戦争に費やしてきた人間にとって、この「ちょっとした違いが生死を分ける。死ぬのは自分だったのかもしれない」という経験は、かなり共通してもたれていたのではないか。生きるということが実は「生き残る」経験の積み重ねであること。その地点から出発すると、人生は生きているだけで、すでになにかを引き受けなくてはならないのだということが良くわかる。この作品は原爆という題材を通して、宮沢りえのすばらしい表現力によって、「生き残ったものが引き受けなければならない痛み」を存分に表現している。映像のリアルさとか、そういったところに突っ込む映画ではない。死んだ者にどう対したらよいかについて悩む「生き残った者たち」を見る映画だ。十分である。 【wunderlich】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-12-28 09:22:05) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 宮沢りえと原田芳雄 のやり取りにすっかり惹きこまれてしまいました。この作品は、脚本、出演者(ほぼ3人だけですか)の素晴らしさに尽きます(舞台でも見てみたいですね。)。特に宮沢りえの静かながらも強い意志を秘めた演技は本当に良かったですね。 映像も、原爆の悲惨さをオブラートに包みながら静かに、しかしながら激しく伝えてくれます。 しかし、「生き残って申し訳ない」という思いに対しては、何とも言えない感情が湧き上がってきますね・・・・・。本当に「核」の恐ろしさについては、アピールしていかなければならないなと思いました 【TM】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-11-14 11:45:06) |
12.こりゃあ完全に舞台劇ですね(一寸法師のシーンなんてモロにスポットライト当ててるし)。主演二人の演技が抜群だったので退屈はしなかったけどそれでもちょっと間延びしてるなぁと感じる部分もあったりしたし、もう少し浅野忠信が話に絡んでいたらまた違っていたかも。ちなみに僕は広島生活が長かったんで広島弁は特に問題なかったけど、それ以外の地域の人って大丈夫だったんでしょうか?(劇中頻繁に出てくる「えっと」って言葉は「多い・たくさん」って意味です。決して台詞を噛んでるわけじゃありませんのであしからず) 【とかげ12号】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-10-28 11:44:42) |
11.なかなか良かったです..原爆の実体験について..結構、生々しい台詞もありました..心に訴えかける作品ですね.. 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-10-11 16:55:49) |
10.やっぱり映画的ダイナミズムを感じられないことが大きなマイナス・ポイント。舞台的な二人芝居とCGシーンの馴染みが悪く、チグハグな印象も受けます。そして問題のラスト・カット。これは余計だったんじゃないでしょうか(そんなことはないんでしょうけど、一瞬、私は二人とも死んでたのかと思いました)。と、映画としては不満もありますが、それでもこの二人芝居は見応え充分。原田芳雄の豪快で飄々とした演技と、31歳(!)の宮沢りえの初々しさ。特に原田の一人芝居「原爆一寸法師」の部分だけで、この映画を観る価値は十二分にあると断言できます。ということで、7点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-10-04 00:02:25) |
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9.原田さんをカッコいいと思った。宮沢さんはいつも「宮沢りえ」だけど、でも良かった。浅野忠信さん…必要??? 【がんな】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-09-22 23:14:09) |
★8.黒木和雄監督の映画を見るのは「浪人街」に続いて2本目で、黒木監督の「戦争レクイエム三部作」と呼ばれる作品群の中では初めて見る映画。最初は地味な二人芝居にちょっと退屈するのではと心配していたが、見ているうちに不思議と惹き込まれていった。宮沢りえと原田芳雄演じる親子の会話の内容が原爆のことだけに偏っていないのであまり難い雰囲気にならずに見ることができるのがいい。でも、やっぱりこの映画の主題は広島原爆。原田芳雄が一人芝居を演じるシーンや宮沢りえが原爆投下後に友達が死んでいくのを語るシーンではその光景を思い浮かべてしまい辛かった。映画ってのは映像で見せるものだけど、こうやって映像を見せないで語られてることを想像するのは映像見るよりリアルに感じられる。見てとても良かったと思えたし、文句なしで傑作だと思う。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-09-05 02:34:32) |
7.《ネタバレ》 あの原爆を体験した者の苦悩ってのはいろいろあったんだろうなと、やはり知らない者には思いつかない視点というものがある。原爆が落ちて61年の思いもあるし、落ちてから2年3年、またその日その日の思いというのがあったのだ。見せ方がいい。時々涙がこぼれた。この映画の女性は死んだお父さんが蘇ったというか幽霊?となってそばに居てくれたから結局救われたようだったけれど果たして現実世界ではどうだったでしょうか.. 【Mari】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-08-26 15:36:54) |
6.《ネタバレ》 ラストシーンで「え?」となってしまいます。うーむ。解釈はいろいろと出来そうなのですが、こうだ!と結論付ける事はしない方がいいのでしょうね。さて、殆どが宮沢りえと原田芳雄の会話で進行するという、とても地味な印象を与える映画ですが、二人の会話がいいですね。全編原爆による悲劇を陰々鬱々と語るのではなくて、娘の恋心をおちょくってみせる父がコミカルで可笑しく楽しめます。ただ、それゆえに話が原爆投下の件に及ぶと、ちょっと芝居がかった大仰さが浮いてしまい、更にそこにご丁寧に挿入される今風のCGを駆使したVFXと惨状を描いた絵とが、どうしてもそういう語り口でなければいられなかったのね、と少しガッカリもしたり。そこでは過去に語られ描かれてきた沢山のヒロシマを繰り返しているだけで、この映画独自の価値が感じられないのです。一方で「死ななければいけなかったのに生き延びてしまった」という罪悪感は切実に伝わってきて、長回しに沢山のセリフと動作が盛り込まれている中でしっかりと芝居を見せる宮沢りえは本当に上手い女優になったなぁ、と。とんねるず相手に「ざけんなよ!」とか言ってたあのコとは別人のように感じられます。ヒロシマを現代、未来に伝える事は大切です。もう終わった事、過ぎ去り忘れ去られた過去ではありません。でも、作品のアプローチはこれまでの繰り返しではなく、もう少し先へ進んで欲しかったですね。なんか100ページほどのマンガ「夕凪の街 桜の国」の、最初の25ページまでを映画化したような印象ですし(この映画の原作の方が発表は10年も前なのですが)。こちらを先に見ていれば、もう少しポイント高かったかな? 【あにやん🌈】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-08-18 01:51:55) |
5.良質の映画なのだと思いますが、また、テーマがテーマですから批判することがはばかられますが、私にはちょっと...。たぶん舞台の映画化なのだと思いますが、ほとんど父と娘の会話だけが占めている映像に退屈しました。でも私は「美しい夏キリシマ」を最後まで我慢して見ることができなかったので、「父と暮せば」のほうが最後まで我慢して見られた分、ましかなと思います。あと、一番最後のシーンの意味が理解できませんでした。 【チョコレクター】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-08 17:38:47) |
4.舞台的演出と映画手法が巧く調和しており素晴らしい作品でした。原田芳雄の役柄がその調和を成立させたのだと思います。宮沢りえはとても良いし、浅野忠信は台詞が少ないのにもかかわらず、いつもながら存在感がありました。とても、心に深く訴えってくるモノがあり考えさせられる作品なのですが、こういう映画はハリウッド映画だけを映画と認識している友達なんかには勧めにくいのが難点ですね。こういう人たちにこそ良さを理解してもらいたいのですが。 【シュンペーター】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-07-09 21:18:35) (良:1票) |
3.「TOMORROW 明日」「美しい夏キリシマ」と描き続けた黒木和雄監督の戦争三部作締め括りの一本。前二作が群像劇だったのに対し、今回は室内劇でありそのほとんどが二人芝居で成り立っている。舞台では珍しくも無いが、 いざ映画となると古今東西を問わず、極めて稀有な例と言えるのではないだろうか。どちらかと言えば集団劇を得意とする黒木監督にすれば、かなり大胆でありかつ実験的な試みだったに違いないが、実に味わいのある見事な作品となっている。二人芝居ともなればその演技力も然ることながら、戦中戦後という時代を間違いなく生きていた人間、そしてその人となりをより的確に表現することを要求される。やや散漫な印象を受けた前二作の群像劇に対し、今回はテーマがより明確になり引き締まった印象を受けるのも、二人の好演に他ならない。黒木と二人三脚で数々の名作を世に送り出してきた原田芳雄は言わずもがな。娘を愛するが故に叱咤激励し心の支えとなる、力強い父親像を自然な演技で体現してみせ、そして、揺れ動く乙女心を「たそがれ清兵衛」からさらに清楚なイメージで、この時代を生きている女性として可憐に演じきった宮沢りえも然り。本来からすると悲惨で重苦しい物語ではあるが、カラッとした明るさをもたらしているのも、二人のキャラ所以だろうか。地味だが心揺さぶられる名作である。 【ドラえもん】さん 9点(2005-01-16 18:15:02) (良:1票) |
2.友人に誘われ、浅野忠信が出演しているということしか知らず、内容など何も知らないで観ました。こういう平和への思いを…のような映画の点数を低くすると嫌なやつとか不謹慎とかいろいろ悪く思われるかもしれませんがすいません。色んな種類の映画があると思いますが私にはこれは映画とは思えませんでした。なんというか、教養ドラマといいますか、うまくはいえませんが。映像化することなかったんじゃないかとも思いますが、舞台を観ているような二人の演技と宮沢りえの女性らしさはよかったです。浅野忠信が一言だけなのには残念でした。あと、直接関係ないですが観客の7割はおばちゃんだったのなぜ?たまたま? |
1.良くも悪くも岩波ホールでの上映が相応しい良心作。新藤兼人の「ふくろう」でも舞台的な題材を映像化する意味があるんだろうかという疑問を感じたが、この作品でも同様の印象を持った。宮沢りえは相変わらず痩せているが、一時期程の痛々しさは感じられない。演技に丸みというかふくよかさが出てきたせいだと思う。原田芳雄との全編の大半を占める二人芝居での演技合戦は見応え充分。ただ面白いという種類の映画ではないです、考えさせられはするけど・・・。前作「美しい夏キリシマ」の方が空間的な広がりがあって自分は好き。 |