1.《ネタバレ》 「オモチャじゃないぞ」「オモチャじゃない」
故郷を失い茫然自失のマキアが、母を失った嬰児のエリアルに自らを重ねて
いずれ訪れる永遠の離別を認識した上で、なおも育てる決意をする。
“別れの一族”の数百年に及ぶ寿命という舞台背景が
マキアとエリアルの関係性に変遷を生み、ドラマを作る。
しかし、この物語の根幹は明らかにそこではない。
良い母親としての理想像と完璧に振舞えない現実の間に悩まされながらも
強い心理的推進力を伴う母性の無限抱擁。
出会いと別れの中で、縦糸と横糸が織り成す布のようにそれが紡がれていく。
別れがただの悲劇ではなく、その連鎖の一部であるということが
“別れの一族”の生き残りであるマキアの視点を通して描かれるのである。
繰り返される偶然の再会と終盤の冗長な心情吐露がやや残念だが、いい映画であった。