樺太1945年夏 氷雪の門のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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樺太1945年夏 氷雪の門

[カラフトセンキュウヒャクヨンジュウゴネンナツヒョウセツノモン]
1974年上映時間:119分
平均点:6.00 / 10(Review 9人) (点数分布表示)
公開開始日(1974-08-17)
ドラマ戦争もの実話もの小説の映画化
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タイトル情報更新(2022-08-01)【イニシャルK】さん
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監督村山三男
助監督新城卓
キャスト二木てるみ(女優)関根律子
岡田可愛(女優)斎藤夏子
木内みどり(女優)仲村弥生
岡本茉利(女優)香取知子
藤田弓子(女優)坂本綾子
千秋実(男優)植中賢次
若林豪(男優)久光忠夫
島田正吾(男優)仁木師団長
丹波哲郎(男優)鈴本参謀長
岸田森(男優)田尻中佐
三上真一郎(男優)吉崎大尉
藤岡重慶(男優)清水連隊長
黒沢年男(男優)村口副官
佐原健二(男優)岡谷俊一
今福正雄(男優)関根辰造
赤木春恵(女優)関根しず
七尾伶子(女優)森本きん
伊沢一郎(男優)藤倉亮介
田村高廣(男優)安川徳雄
南田洋子(女優)安川房枝
浜田光夫(男優)中西清治
岡田由紀子(女優)斎藤秋子
栗田ひろみ(女優)菅原美保子
見明凡太朗(男優)小松慶市
柳谷寛(男優)梅津勝介
織本順吉(男優)神崎雄一
久米明(男優)渡部
相原ふさ子(女優)神崎孝子
柳川慶子(女優)
臼井正明【俳優】ナレーター
脚本国弘威雄
音楽大森盛太郎
東京フィルハーモニー交響楽団(演奏)
配給東映
美術木村威夫
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9. 南に「ひめゆりの塔」あれば北に「氷雪の門」あり、か。
 1945年8月、日ソ中立条約を無視しソ連軍が樺太を侵攻。ソ連の攻撃を受けた住民たちの逃避行と、最後まで通信を守ろうとした女性電話交換手たちの悲劇を描く。
 旧満州では、ソ連軍によって悲惨な境遇を送った日本人たちの話がよく知られている。当時の苦難は宝田明など映画人の証言でも見聞きした。それに比べると樺太での苦難はあまり知られていないように思える。
 概ね史実に沿った演出であり、樺太が地理的に戦地から離れているため当初は住民が楽観視していたことがよくわかる。次第に戦火が近づく中で葛藤する交換手を演じる女優陣の演技は当時の緊迫感を漂わせている。交換手たちも早く逃げれば済むことであるが、いざという時に使命感をみせる人はいつの世にもいる。たとえば天災の時など。
 海上の戦闘シーンは特撮がしょぼくて残念。ラストの平和へのメッセージはとってつけたような印象で心に響かない。
風小僧さん [映画館(邦画)] 5点(2023-09-24 14:33:46)
8.《ネタバレ》 DVDの冒頭で「表現の自由」を訴えるキャプションが出るが、これは1974年の公開時に、傲慢な軍事大国からのクレームがもとで上映が妨害されたことへの抗議の意思表示らしい。2019年に注目された「表現の不自由」と同様の問題ということになる。
内容は1945年にソ連軍が樺太に侵攻した際、真岡町の電話交換手が最後まで職場を守って自決した物語である。登場人物は若い女性が多いので、「お前をソ連の兵隊にくれてやるために今日まで育てて来たんじゃない」という台詞には観客誰しも共感して心配させられることになる(いいから早く逃げろ!)。ちなみに主人公の母親役の赤木春恵という役者は、実際に終戦後のハルビンでソ連兵からの難を逃れた経験があるらしい。
戦闘場面に関しては、戦車の撮影で自衛隊の協力を得たほか、敵海軍の砲撃で真岡の街並みが炎上するといった映像をミニチュア特撮で作っている(少し貧弱)。いわゆる反戦映画的な性格はそれほど強くない。

ところで最後のキャプションによると、劇中の電話交換手は「生きたかった」と思っていただろうとのことだったが、それをいうなら最初から迷わず職場放棄すればよかったではないか、ということになる。専門職の使命感が勝るのは立派ではあるが、若い女性が率先して生命を捨てる必要などは全くない。これを見た現代のわれわれが思うべきことは、何はどうでも自らの保全を最優先する判断が必要だということである。
また「いくさなき世界平和の確立を」というのがまた薄っぺらいメッセージであって、ここでの本当の教訓は、日本の国土に外国軍の侵攻を許してはならないということである。同盟国のはずのアメリカ軍でさえ、いれば住民に害をなすのであるから、その他の軍隊など寄せ付けない実力が絶対に必要だと思わなければならない。
この事件を後世に伝えたいとの思いには共感できるが、どうも素直に受け取れる物語にはなっていないと正直思った。時代の制約というのもあっただろうが。

なお真に憎むべきは当然ながら悪の帝国ソビエト連邦であって、冷酷で野蛮なソ連兵に民間人が無為に殺されていくのは耐えがたい。劇中の台詞にも出ていたが、樺太からの引揚船を撃沈し、生存者を銃撃して笑っていたという「三船殉難事件」に関わったソ連潜水艦2隻のうち、1隻(L-19)を沈めてやったのはせめてもの救いである。もう1隻(L-12)も沈めてやれればよかったが、そうならなかったのが忌々しい。
また腹立ちついでに書くと「勲八等」という言葉には反感を覚える。この人々が八等というなら一等はどれほどの上級国民がもらえるのか。人に格付けしようとする態度が気に食わない(※今は数字がつかなくなったらしい)。
かっぱ堰さん [DVD(邦画)] 5点(2019-10-12 10:25:43)
7.1945年8月15日。日本が戦争に負けた終戦の日。しかしその日以降も樺太で多くの民間人を犠牲にした、こんなにも悲惨な戦争が続いていたなんて知らなかった。

樺太、ここの南半分も日本だったんですね。樺太の戦闘は語られることもメディアで取り上げられることも少なく、忘れられてしまっている場所のような気がします。それはこの場所で8月15日以降もこんなに悲惨な戦争が続いていたことも、多くの方が犠牲になったことも・・・。

それを今に教えてくれる実に立派な映画だと思う。この史実を風化させてはいけないと思うし、それゆえこの映画の存在意義は大きいと思います。
とらやさん [DVD(邦画)] 8点(2013-09-28 00:06:08)
6.《ネタバレ》 オリジナルは153分だが、フィルム劣化のため119分に編集されてのDVD化。ソ連軍に侵攻されたかつての南樺太や真岡郵便電信局の様子を歴史的視点で描くことより、集団自決した九人の電話交換手に同情する気持ちが強いため、かなりの脚色がある。昭和20年8月20日真岡電信局に勤務した交換手は12名。10名が睡眠薬と青酸カリによる服毒自殺を図り、9名が亡くなった。生存者がいた。遺体は勤務時の姿勢のまま、ヘッドフォンをして電話台に俯せになっていたという。青酸カリの入手経路は不明だが、机の上に置いてあったのを飲んだという証言がある。生存者の中にも所持していたという人もいるので、さほど入手困難なものではなかったようだ。映画では、全員自主的に残留するが、局長に残留要員選定命令が出ていたとする証言もある。劇中、疎開船3隻が留萌沖で国籍不明の潜水艦の攻撃を受け、沈没したと通信を受ける場面があるが、これは22日発生の出来事で明らかな脚色。ソ連の立場はほとんど描かれていない。1945年2月のヤルタ会談で、ドイツ敗戦後90日後(つまり8月9日)のソ連の対日参戦と終戦後の日本の領土・植民地の処理が決定され、南樺太は戦勝権益としてソ連領となると決まった。日本は8月15日に無条件降伏したが、ソ連軍は「8月25日までに南樺太を占領せよ」との命令を受けていて、少なくとも9月2日の降伏調印式までに終了させたい思惑があった。樺太全土を占領できたのは25日。民間の犠牲者は約3,700人。ソ連関係者がこのソ連軍鬼畜映像を見て、激怒したのはむべなること。ソ連関係者から配給会社に横槍が入り、公開は延期、最終的に別の配給会社から当初より大幅に興行規模を縮小しての公開となった。「早すぎる死」と悼む声が多い。街中に艦砲射撃され、上陸したソ連兵から電話交換室にも銃弾が撃ち込まれる状況では逃げ場はなく、ソ連軍から恥ずかしめを受けるといった恐れもあり、いさぎよい死を選んだのは無理からぬことともいえる。日本人には自殺文化、自殺の美学があり、自殺により名誉を守る、責任を果たすといった倫理規範が存在した。お粗末な特撮、ソ連の戦車は自衛隊のものを流用するなど戦闘シーンは迫力がない。砲弾の中、悠然とうどんを食べる少年がいて、頼もしく思っていたが頓死した。逆にきっと食われると予想したうさぎは生き残った。戦争において生と死は紙一重だ。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 6点(2012-12-22 22:01:41)
5.1945年8月15日の日本敗戦後もソ連軍の侵攻が続く樺太。生き別れた家族や前線で戦う兵士たちを思い、攻撃の迫る中、現地の郵便局で電話交換業務を続けた9人の女性電話交換士はソ連兵に辱めを受けることをよしとせず自害した、という事実を映画化したものです。かつて日本の一部だった九州ほどの面積を持つ島で起こった戦争による悲劇、という稀有なテーマです。が、冒頭で氷雪の門(慰霊碑)のあらましが解説される時点で本作品の帰結は全て知らされることとなり、その後の鑑賞は事実をただ映像化したものに過ぎず、映像表現として特筆すべきものは何一つありませんでした。
さめがいさん [映画館(邦画)] 1点(2011-11-19 15:06:44)
4.《ネタバレ》  樺太でこのような悲惨な状況になっていたことを知ることができただけでもこの作品を観た意味があったと思いました。ソ連の将校の「敗戦国に国際法など無い」というセリフが、戦争というものの本質を体現しているように感じましたね。

 大空襲や原子爆弾で多くの民間人を虐殺しても、日本の無条件降伏後も戦闘・殺戮を続け、捕虜をシベリアで奴隷のように働かせて死に至らしめても、勝者であるが故に裁かれることは無く、敗者のみが徹底的にその罪を糾弾される・・・・・(まあ罪は糾弾されるべきなんですが)。非常に理不尽さを感じますね。

 非常にいろいろなことを考えさせられる作品でした。

TMさん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-20 00:36:20)
3.《ネタバレ》 第二次大戦中に、ソ連が条約を無視して一方的に侵攻してきたこと、日本の降伏後もさらに武力行使を続けたこと、そしてそれらの責任は現在までどこでも問われていないことという、日本の歴史上の重要事項を現在にまで伝える貴重な作品。しかも、あくまでも主人公たちの日常生活に立脚した上で、生々しさと現実性をもってその理不尽さを描写しきっているところに意味がある。とりわけ、二木てるみと藤田弓子の存在感は、作品に大きな説得力を与えている。まるで本当に郵便局内で事態の推移を見ているような迫力があるし、それによって、結末が単に衝撃的であるというにとどまらず、今日に生きる我々にも数多くの示唆と教訓を示している。
Oliasさん [映画館(邦画)] 8点(2010-11-04 00:17:04)
2.国弘威雄の脚本は力強かった。
戦時中は空襲もないおだやかな樺太の街が、戦争は終結してるのにソ連からすさまじい侵略を受ける。教科書でソ連の侵攻は知ってはいても、電話交換手の若い女性たちの目を通して実際に描かれたものを見ると、こんなにも無残なものだったのかと改めて事実の恐ろしさを思い知る。
あと、木村威夫の美術は素晴らしいのに、ミニチュア撮影がしょぼすぎてその点だけががっかりだった…
ととさん [映画館(邦画)] 7点(2010-07-31 22:32:47)
1.ずいぶんと大作ですね。終戦後も樺太ではあんな戦争してただなんて知らなかった。
あろえりーなさん 7点(2003-02-22 00:37:41)
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【点数情報】

Review人数 9人
平均点数 6.00点
000.00%
1111.11%
200.00%
300.00%
400.00%
5222.22%
6111.11%
7333.33%
8222.22%
900.00%
1000.00%

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