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皮マンさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 225
性別 男性
自己紹介 当方のレビューは全て独断と偏向に満ちております。
「公平・公正なレビュー」などというつもりは金輪際毛頭まったくありませんので、どうぞご安心ください 。

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61.  H.G.ウェルズのS.F.月世界探険
主人公がありていの人格者とはいえない点が当時のSFとしては不用意に画期的だが、そう深いことを考えてのことではないような気がする。出だしは設定のトンデモ度とファンタジーっぽい雰囲気がうまくマッチしていて小気味良い。しかし地球上でのドタバタは実にいきいき丁寧に描かれているのに対し肝心要の月に行ってから全体にトーンダウンするのがなんとも残念。色彩的にもなんだか地味になっちゃうし監督はSFぽい絵作りにはあまり興味ないのではないか。それを裏付けるかのように、月人が多面体の宇宙機を解体するシーンでは鉄枠様の飾りをはずしてしまいベニヤ製の正体がまるわかりになるのだ。なんたる無神経!プンスカ。まるで大道具さんの撤収作業のようじゃないの。ハリーハウゼンのテクもいまひとつ画面に生かしきれてないと感じた。
[映画館(字幕)] 5点(2004-09-17 17:54:49)
62.  ブレインストーム 《ネタバレ》 
ナタリー・ウッドとクリストファー・ウォーケンって何か食い合わせの悪いカップルだよね。でも異様な話なのでこの病的なムードはむしろ歓迎したいところ。超現実映画はあまり安心して観ていられるマトモなものより、感覚的にどうかしているくらいの方がスリリングでよい場合があるし。まったりと展開する先の読みづらいストーリーも悪くない。なにしろ‘死んだらどうなる’を疑似体験させてあげましょうという心意気が嬉しいじゃありませんか。あーしかし本作、編集の素人くささが本来あるべきラストのカタルシスを台無しにしてしまっているのだよ。こっちは冥土のイメージに浸ろうとして身構えているのに余計な客観がちょこちょこ挟み込まれているので気が散ってしまい、死のバーチャル体験に至れないではないの。この映画の設定とギミックからいうとそれはないでしょう~。最後を2001年並に主観の固め打ちで圧倒してくれれば(たとえ行った先は大霊界と同じであっても)フェイバリットになったのにぃ。ばかばか致命的なポカだよ。
[映画館(字幕)] 5点(2004-07-02 18:33:46)
63.  タイタニック(1997)
おまいらが甲板でいちゃついてたせいで見張りが氷山の存在を見過ごしたのだぞ!まぁあの出会い方ではいくらサカリがついても仕方ないが。ワシも若いころは相手の性格なんかまったーくぜーんぜん見ないまま無根拠に“生涯最高の出会いだ!”なんて思いこんで、所かまわず迫りまくったものだが。サカリだからゆるしてね。ホテル行く金もなかったしねぇ・・しかしキャメロンはなんでヒロインの乳首を映しちゃったかね?正直ケイト嬢はワシのタイプだが(ムッチリムチムチうひゃ)我慢汁を絞られ続けたほうが最後までウットリできてよかったなぁ。なんかあれであらかた気が済んじゃったよ。「あ~この人こうなってるのかぁ~」なんてね。
5点(2004-06-20 16:14:39)
64.  メッセージ 《ネタバレ》 
言語学者が異星人の言葉の翻訳に挑戦するという基本プロットが提示される序盤。久々のハードSFであることと地に足の着いた画面設計も好印象でここまでは大いに気分が高揚した。しかしその上がった気分も肝心の異星人が姿を現したところで一気にしぼんでしまう。なにあの意外性の全くない造形。肌の質感がまるで地球上の既成生物のそれだなんて。なんで時間を超越してる存在が地球上の動物みたいな声で鳴くのよ。そんでイカ型だからスミで文字を書くってえのか?有り体な生物感からどうしても抜けられない、毛唐の怪獣観の持つ弱点がモロに出ていて泣きたくなった。本当にイマジネーションが貧困なのね。あんなのに比べたらウルトラマンのブルトンだの帰りマンのプリズ魔だのの方が数百年先を行っている。日本の怪獣で比べたらドゴラかバイラスってとこでしょうかね。最後まで付き合った印象から言うと、どうも制作者にはハードSFを作っているという自覚がないようだ。なんか肝心の翻訳作業も解読の理屈は曖昧なまま進んでしまうし、後半は愛がテーマの甘ったるいファンタジーになっちゃうし。まあただの暴力とサスペンスに汚染された最近のメジャーなSF映画に比べれば大分マシとはいえますが。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-11-14 12:30:02)(良:1票)
65.  13F 《ネタバレ》 
画、配役、脚本、演出のどれをとっても"これぞB級SF"。レーザー光実写を使った安いSFガジェットはほとんどTV番組「新・アウターリミッツ」のよう。過去作からの拝借が度を超しており、驚くほど「ダークシティ」「ブレードランナー」「トータル・リコール」「トロン」に似たプロットとイメージが連続する。特に「ダークシティ」は本作の前年の公開のせいかモロに影響を受けた感がある。女優をジェニファー・コネリーに肉薄するいい女に撮っているのはナイスな影響。残念なのは、ひとつのクライマックスともいうべき「世界の果て」のイメージの情けなさで、作り手の想像力の貧困さを露呈する結果になっている。ここは本作よりはるかに思い切りの良い「ダークシティ」に遠く及ばない。1930年代のアメリカの再現(これは良い感じ)に手間をかけすぎたせいか、SF映画に肝心の"センス・オブ・ワンダーを感じる画作り"がおろそかになったようだ。総じて過去作のごった煮以上のものがなく、この作品ならではのオリジナリティをプラスできていないという印象。
[DVD(字幕)] 4点(2015-10-29 14:12:13)
66.  キャリー(2013)
残念ながらというかやはりというか、オリジナルを超えるという気概の見られない作品だった。いじめられっ子ぽい雰囲気は本作の気の強そうな彼女にはほとんど感じられず、シシー・スペイセクがいかに偉大なキャスティングだったかがよく分かる。クライマックスでのキャリーの目に意志が感じられ、逝っちゃっている感が無い。肝心なところで監督の変性意識に対しての見識の無さが露呈している。そつの無い演出と全体に色彩の美しい点が救いか。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-05-08 09:01:15)
67.  エレファント
実験映像としてはとても興味深い。しかしここまで「ドラマが作品の外にある」というのはいかがなものか。こんな手間暇をかけるのならシナリオ的にもう少し粘って、独立した一編の作品として成立させる何らかのアイデアを投入して欲しかった。繰り返される長回しの連続は圧巻だが、その繰り返しが「一つの時間・空間を様々な人々が共有している」ということ以上の意味を持っていない点が特に惜しい。
[DVD(字幕)] 4点(2012-10-11 14:46:53)(良:1票)
68.  トロン:レガシー
設定、配役、由緒正しいことこのうえなしの続編。で、あるにもかかわらず、肝心の「トロン感」とでもいうべきものが、この作品からはあまり感じられない。私感だがこの「トロン感」は主に三つの成分、直角移動アクションと電子音楽、もうひとつはポップな色彩から成り立っている。このうち音楽だけは新作もレトロモダンな響きと無調的な旋律でトロンっぽさをよく表現している。しかし新作はあとの二つの要素が決定的に欠落している。バイクはゲーム面でも曲線を描いて曲がり、普通のバイクアクションと変わらない。色彩は黒っぽく印象が暗くて縁起が悪い。ついでに語り口もいやに深刻な雰囲気で重々しい。旧作はキッチュでポップな駄菓子屋的感覚に貫かれていて、明るく脳天気な作品だった。 ついでに言えば、新作ではトロンの世界に気象現象があるが、それは進化と言えるのだろうか?CG技術的にはともかく、イメージは退化してないか?アクセスが格段に早くなったのは笑えるが、PC内に入るプロセスが無くなったのもエンターテインメントとしてどうなんだろう。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2012-05-24 20:17:14)(良:2票)
69.  インモータルズ/神々の戦い
まずファースト・シークエンスの音圧が高すぎる。5分で耳がバカになって、その後の騒ぎが無感覚になってしまった。もともと筋らしい筋もクライマックスに至るタメもメリハリも伏線も何もないような話。ドンキで買ったパーティ衣裳を着た役者を「神」と思おうとしても、そう思わせてくれるサムシングが一切ないので無理。アポロだのゼウスだの色んな名前が出てくる(それもテロップで!)が、各々の特徴も描かれず、男も女もただ殴り合いが強いだけなので一切どうでもいい。仮装大賞を観たと思えば腹もたたないが、映画なんだからもう少し“物語”を楽しまさせてくださいよ。製作者は自分が阿呆か観客をバカにしているか、その両方のいずかれかでしょう。
[映画館(字幕)] 4点(2012-01-24 10:37:21)(良:1票)
70.  ブラック・スワン
基本「ショーガール」みたいなバカ映画なのに全体に暗すぎじゃなかろうか。終始陰々滅々としていてどこにもカタルシスがない。ヒッチコックみたいに最後の舞台のシーンくらいはぱぁ~っと華やかだったらいいのに。華も迫力もアイデアもない舞台シーンからは「これじゃあもともとそんなに騒ぐほどの公演じゃないんでないの?」という残念感が。淫乱なブラックスワンを演じきれるかどうかというヤマもメークと効果音と表情の違いだけで、踊りの本質的な違いは感じられなかった。あんな一夜干しみたいな女はどう頑張ってもエロくなりようがないか。絶対的に盛り上がるはずの楽曲の使い方もあまりに断片的で中途半端。隔靴掻痒感ばかりが残った。
[映画館(字幕)] 4点(2011-06-28 09:24:32)
71.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
幼少時に観てそれなりに楽しんだ作品も今見返してみるとヒジョーにキビシーということが特撮関係では枚挙にいとまがない。やっと再見できた本作もその例にもれず脚本演出ともにびっくりするほど手を抜いたものだった。とにかくテンポが悪く緊張感がまったく無い。カタルシスを感じられるポイントもほとんど無い。海洋シーンの特撮には東宝作品らしい格調があるが、陰の主役ともいうべき潜水艦α号にカリスマがないの無い無いづくし。特に艦内のセットに奥行きがなく書き割りのように平板なのは辛すぎる。先人の偉大な仕事(ディズニー版ノーチラスの艦内のデザインをご覧あれ!)から学ぶべきことを何も学んでいないことに驚いてしまう。敬愛する伊福部さんのスコアがいつもの調子なのも本作に限っていえば当たっているとは思えない。と、良くない点ばかりあげつらってしまったが本作にはなんとも得体の知れない魅力があるのも事実。特撮物には珍しく、ラストの解釈を観客の判断にまかせるリドルストーリーの体裁をとっていて、異様な後味を残すのがちょっとアダルト。この点ときぐるみ然としたグリフォンは残酷な設定と共にある種逸脱が感じられて爽快感がある。貴重なSF怪異譚として記憶に残る作品ではある。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2007-04-19 22:31:01)
72.  世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す 《ネタバレ》 
円盤はいつもヌッと現れる。はるか彼方からやってくるのではなく、気が付いたときにはすぐ背後に迫っていて犬のようにまとわりつくのだ。小型の探査機も装備しているというのになんでそんなに近寄ってくるのか。この時代の侵略モノには共産主義者に対する漠然とした不安がその心理的背景あるというのはよく語られる視点だ。同年にはドン・シーゲル版[ボディ・スナッチャー]も公開されている。その文脈でいうと“アカはあなたのすぐそばにいるかもしれません”ということを直接的に表現したようにも見える。まぁ単に監督及びハリーハウゼンの空間把握がヘタクソなだけなのかもしれないが、円盤がまるごと近寄ってくるのはいくらなんでもリアリティを損なうこと甚だしい。いつも地上すれすれを飛ぶのは、地球製即席音波砲に打ち落とされなくては噺が終わらないという都合もあるのだろうが・・。しかしこの作品の魅力は“眼前の円盤”という扇情的な絵そのものにある。よっていいかげんさのみを問題にして斬り捨てるわけにもいかないのがやっかいなところだ。かように思いは多少乱れるのだが、それとは別にどうしても許せない点があった。エピローグは主人公の科学者が“軍に協力”し宇宙人を撃退した功績により表彰されるということを知らされにんまりして終わるのだ。ビーチで美人の女房と“これからお楽しみ”でエンドマークなのだ。宇宙の秘密の解明にはなーんの興味もないのだ。ヤツは名誉と女にしか感心がないのだ(私と同じだ)。アカの暗喩だろうがなんだろうが脚本にもうちょっとばかし深みがあっても誰も困らないと思うんだがね!
4点(2005-03-16 17:50:14)(良:1票)
73.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
敬愛する町山氏の本で怖いと褒めていたので観てみましたが、残念なことにまったく怖くありません。両親と兄妹の四人家族の物語。うち妹は序盤で非業の死を遂げます。残った三人の廻りでは不可解な現象が次々に起こり始め、旦那を除く二人が何かに憑かれたように狂っていくという展開。「ドールハウスに入り込むエッシャー風なオープニング」「シャイニングを想わせる重厚な画」「不穏な空気を作り出す不快な音響設計」「主役女性のキレの良いキレっぷり」と、話は途中まで快調に進みます。しかし折角の見事な演出も空しく、終盤に予想外の失速をみることに。その原因は、そこまで唯一正気を保っていた旦那が退場してしまうから。オカルトぽい映画を観るとき、私のようなオカルトと無縁の者は、同じ立ち位置の登場人物の目を通して起こっていることを共有するのです。その役目をする人間に去られると、移入する者の不在に置いてけぼりを食らってしまうことになるわけです。正気の人間がいなくなってしまえば、どんな突拍子も無い超常現象もやり放題。全てはイカレた人達の脳内でおこっていることで済んでしまうので「好きにすれば〜」としか言いようがない心境になってしまいます。この作品については途中までおおいに楽しめただけに、がっかり感もひとしおでした。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-04-12 15:32:14)(良:2票)
74.  交渉人(1998) 《ネタバレ》 
【ご注意を:思い切りネタばれしてます】主要登場人物が揃いも揃って間抜けでびっくり! まず主人公の交渉人1。掴みではなんか鋭そうな人物に見えたので、自ら起こした立てこもり事件もよほど考え抜いた計画なのかと思ったら、やることなすこと運任せ・成り行き任せ。ほとんど勝算の無い場当たり的な行動は、興奮した粗暴犯と変わらない。 そして途中で呼ばれた交渉人2。受話器越しに銃声を聞いただけで交渉人1が人質の警官を殺したとあっさり信じ込んじゃう。そんな信じやすい性格で交渉人なんて務まるのか? そして黒幕の警視。彼も交渉人2が仕掛けたブラフをあっさり信じて交渉人1が死んだと誤認して勝手にゲロする。どう見ても急所を外したのがみえみえな撃ち方なのにそんな節穴みたいな観察眼で犯罪捜査なんかできるのか? さらに突入突入と騒いでるシカゴ警察の面々。犯人が多用していた閃光手榴弾みたいな武器って特殊部隊を蹴散らす程の威力があるの?あんなユルユルの状況で犯人を仕留められないなんてなんてざまなの。 といった具合でみーんなプロとは思えないただのお人好しって感じ。あれじゃ唯一死んだ人質のおっさんが浮かばれんわ。
[インターネット(字幕)] 3点(2019-09-02 15:34:48)
75.  オデッセイ(2015)
意外にもエレガントな仕上がりで狙いは判るが若干退屈した。何か実感の伴わない夢の中の出来事のような印象。主人公は始めから人格者であって、あのすさまじい経験によって特に成長するわけでもない。よってラストの講義のシーンにぐっとくるものがない。あそこが蛇足に見えてしまうのは失策ではないか。但しクールな科学啓蒙映画として観るとそのベタつかなさが小気味よいとも言える。よって作品自体はそこそこ評価できる。それにしても劇中の楽曲に訳詞を付けていないのはまったくどうかしている。サウンドより歌詞が重要な本作の場合は著作権料を払ってでも付けるべきだ。更に、邦題を「オデッセイ」にした愚かさ・傲慢さにはほとほとあきれた。これを提案した者も許可した者もちょっと足りないのではないか。国内での無神経な処理二点、しなければいけないことをしないこと・すべきでないことをしていることが折角の力作をぶち壊しにしている。日本版関係各位の猛省を望む。
[ブルーレイ(字幕)] 3点(2016-06-21 16:46:45)(良:3票)
76.  ライフ・オブ・デビッド・ゲイル 《ネタバレ》 
ゲイルはなぜ彼女に調査を依頼したのか?結局事は彼のシナリオ通りに運んだのか?どうも根本的なところで腑に落ちない印象が残る。死刑を免れたいのなら早く証拠のビデオを提出すればいいし、免れたくないのならジャーナリストと危ういゲームをすべきじゃない。作劇上の都合が先に立って、論理的整合性がないがしろにされているのではないか。そもそも冤罪の可能性を訴えたいのなら、全力で無罪を主張しなくては効果が無い。あの作戦では死刑になっても自業自得と言われるのがオチだろう。ビデオ内で活動家の女性が自殺するシーンは、それに先だってジャーナリストが内容を予測して述べてしまっているので、得られるべきカタルシスがない。監督は観客の感情を操るのも不得手なタイプとみた。
[DVD(字幕)] 3点(2013-07-30 13:03:33)(良:2票)
77.  マウス・オブ・マッドネス 《ネタバレ》 
小説内人物が創造主である作者に翻弄されるという基本プロット。推進力に欠けるのはオチに至る設定があるだけで、主要マクガフィンが用意されていない作品だからでしょうか。だらだらと垂れ流されるショックシーンの羅列が眠気を誘います。まあ、狂人の脳内ストーリーだから何をどう表現していても誰も文句はつけられないわけで。しかもその狂人の見る世界も創造主たる小説家の意のままというメタ構造であれば尚更何でもありです。だからといって中盤人称がトレントからリンダに移るのはあってはならないことのように思います。全体の入れ子構造の中であの人称の不徹底をどう解釈すればいいのか理解できません。サスペンスを盛り上げることが主目的になって、世界観の構築がおろそかになってはいないでしょうか。あと細かい点ですが、例によってカーペンターの弱点である空間把握のいいかげんさが目につきます。レストランで斧を振り上げる男を二人の警官が撃ち殺すシーンでは警官と男の位置関係は一体どうなっているのでしょう?ライティングとかラフでいいから二者の距離を示すカットを押さえておけよ!と言いたいところです。独房内の狂人の落書きは何の驚きも無く説得力がありません。あんなテキトーな落書きは一日で画けちゃいそうです。そこらで見かけるグラフィティの方がよほど狂気を感じさせます。効果音の使い方もメリハリがなくこけおどかしの類い。特殊メークもゴムマスクをかぶったような何か安い感じ。等々々カーペンターのツメの甘さが露呈したいまいちな作品と言わざるをえません。
[DVD(字幕)] 3点(2013-03-21 15:49:32)
78.  アザーズ
これはいただけない。怖くない。人称の不徹底が甚だしく誰にも移入できないのが致命的。ちょっと話はそれるがキューブリックがシャイニングを作ったときの話。ジャック・ニコルソンに出演依頼の電話をかけたキューブリックが「どんな内容だ」と訊かれて「楽天的な話だ」と答えたとのこと。ホラーなんだろう、といぶかしむジャックに「死後の世界を描いた物語は全て楽天的だ」と言ったらしい。ジャック・ニコルソンはキューブリックの頭の良さに舌を巻いたそうだ。本作の世界観も魂は不滅であり、実質的に死を恐れる理由が全くない。それでもシャイニングではジャック・ニコルソンのサイコっぷりが怖かったのだが、この作品のニコール・キッドマンはその点でも不徹底。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2011-01-30 00:56:45)
79.  刑事コロンボ/黒のエチュード<TVM>
犯人しょぼすぎ!このシリーズに限ったことではないが、敵との対決が定型のドラマは相手が強大で鋭くないといかん。犯行は通常の捜査で充分挙げられるような穴ぼこだらけだし、犯人も終始オドオドしたなんとも小物っぽい雰囲気。なにしろ本職の指揮者としてもあのタクトの振り方はまるで素人じゃないですか。ピーター・フォークの友人だったための抜擢らしいが犯人役のジョン・カサベテスはリズム感ゼロなのではないか。彼に殺される被害者もなんであんなカリスマ性のない指揮者にそんなに執着するのかさっぱり分からない。こんなへボい奴を捕まえるのにあんなまわりくどいやりとりが必要なんて、コロンボもしょうもない人物に見えてしまうよ。少女や奥方の母親等脇を固める人々の人物造形がしっかりしているだけに、かえって肝心の犯人像の説得力の無さがいやでも目立ってしまう残念な一本だ。
[地上波(吹替)] 3点(2009-12-20 19:12:47)
80.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 
スタートレックの神髄は戦いの中には無いと思うのはロートルの勘違いなのだろうか。この作品を支配しているのは未来や異世界のヴィジョンではなく通俗的な破壊と暴力だ。悪役のロミュランはもとより、若き日のカークもそしてなんとスポックも!直接的な暴力を振るってしまう。エンタープライズやその僚艦までもがガトリング砲のような武器を多数装備していてダダダと弾を発射しまくるといった有様で必要以上に好戦的な演出が息苦しい。音楽が似ているせいもあって、その雰囲気はスタトレというよりまるで「スターシップトゥルーパーズ」だ(もちろんバーホーベンの脳天気な明るさは無い)。都合3度も繰り返される“絶壁にしがみつくカーク”というあまりにもありきたりのサスペンスも痛い。更に未来の人類や宇宙人のメンタリティがいちいち現代の我々と変わらないというのもいかがなものか。敵のロミュラン人の顔には今風悪ガキのタトゥーだしバルカン人の子供の間にもいじめがあるなんて、陳腐に過ぎてがっかりしてしまう。分かり易いのは結構だがちょっと観客の知性を低く見積もりすぎているのではないか。要は風俗から登場人物の葛藤まで現代のよくあるアクションものと変わりが無く、発想の飛躍が全く感じられないのだ。そのせいかワープで行ったり来たりしている割には宇宙的な広がりもなく、何かテーマらしきものが見えてくるわけでもなく、そこらのチンピラのいざこざを見せられているような殺伐とした印象しか残らない。やはりスタートレックには「想像を絶する新しい文明、新しい生命」を見せてくれることを期待してしまう。はたして進取の精神に富んだ、あのロッデンベリーがこれにOKを出したろうか大いに疑問だ。
[試写会(字幕)] 3点(2009-05-20 01:14:36)(良:4票)
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