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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2257
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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61.  ダイ・ハード
『ダイ・ハード』を観ると、思い出す奴がいる。あいつとの最初の出会いは、確か雑誌の広告ページだった。“モノマネタレントの○○さんも愛用”みたいなキャプションが付いていた気がする。商品は何だったか忘れた。でもそいつの困った顔が心に焼き付いた。再会はテレビのバラエティ。モノマネ番組だ。色モノばかりの中でも、一際色モノばかりを集めたようなコーナーにあいつは出てきた。白のタンクトップに、おもちゃのマシンガン。在り得ないくらいに華奢な肉体からは、全盛期の春一番を髣髴とさせる「お前、大丈夫か?」感が漂っていた。冷静になれば、全く似ていないことは分かる。でも“激似”なのだ。奴が発した言葉は「ハーンス!」。その一言で、司会の今田は笑い転げていた。勿論テレビの前の自分ものた打ち回った。その後も何度かバラエティで見かけたが、あいつの台詞は決まって「ハーンス!」か「ホーリー!」。そしていつも困っちゃうんだ。あいつの名前は知らないし、知りたくも無い。でもあの困った顔だけは忘れられない。そこで気が付いた。本家ジョン・マクレーンの困った顔が『ダイ・ハード』の魅力だと。中年男の悲哀に、そしてどんな状況でも諦めない男の姿に共感するんだと。最高のアクション映画と愛すべき中年ヒーローに、そしてちゃんと食べられているか心配なあいつに乾杯だ。そして、日本版のマクレーン刑事に命を吹き込んだ野沢那智さんにも、心を込めて献杯を。(2010年10月30日)
[地上波(吹替)] 9点(2007-05-08 18:26:32)(笑:3票) (良:2票)
62.  フィッシャー・キング 《ネタバレ》 
罪の意識を負いながら、罰が与えらないこと。贖罪が叶わぬことは、罪の重さを知る者にとっては最大の罰です。理不尽な形で愛する者を失うこと。これもまた神から罰を与えられたようなもの。ジャックはともかく、バリーには何ら非がありません。しかしこういった悲劇が突如降り掛かるのも現実です。重い罰を与えられた2人の出会いは、単なる偶然か、あるいは神の配剤か。いずれにしてもこの出会いが、2人の人生を動かします。瀕死の状態の彼らを救った“癒し”。それは聖杯に象徴されます。もちろんウソ聖杯にその力はありません。彼らにとっての聖杯は、恋人の支えであり、友情でした。心を傷つけるのも人なら、癒すのもまた人。もっともジャックは後悔の念を、バリーは妻を失った悲しみを、一生負い続けるのは変わりません。真のハッピーエンドは、本作には存在しないのだと思います。しかし2人は罪に対する“許し”を得ました。僅かな許し。でもそれが生きる力になるのだと思います。重いテーマでありながら、自分は楽しく、そして正面から物語と向き合えました。脚本が抜群に素晴らしい。駅の舞踏会、夜の公園シーンを、忘れることはないでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2007-02-25 00:19:04)
63.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 
朝起きて、食事中に、移動中にも、お風呂の中でも、テレビは私達と共にあります。昨今話題の番組内容捏造を引き合いに出すまでもなく、私達のテレビメディアに対する依存体質は明らかです。それに刺激に対する欲求も強い。くだらない話題でも、テレビ各局右へならえ。そこに良識が存在するのか疑わしい。ゆえに荒唐無稽の設定ながら、本作は驚くほどのリアリティをもって自分の心を捉えました。人権を踏みにじる姿勢に嫌悪しつつも、テレビの前に釘付けになる自分を想像して震えました。自分を主人公に置き換えてみると、更に怖い。彼が絶望したであろうことは想像に難くありません。プライバシーが無かったのも大きい。でも本質的な問題は、“作られた人生を歩んでいたこと”にあると思います。しかしどうでしょう。主人公がトゥルーマンを演じさせられていたように、サラリーマンは“勤勉な”会社員を、母親は“優しい”お母さんを演じているとは言えないか。それに他者に影響されまくって人格を形成するのが人間。そこに他者の恣意的な要素は無かったか。考えれば考えるほど、トゥルーマンも自分も変わらないと思えてくるのです。だからこそ彼に同情し、絶望する。お前は自分の人生を歩いているのか、と問われているようで。トゥルーマンは視聴者に別れを告げ、スタジオを去ります。その一歩は、紛れも無く彼の一歩。ハッキリしているのは、自分の人生に責任を持つのは、自分しかいないということ。彼の後姿が眩しい。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-02 18:24:16)(良:2票)
64.  ビバリーヒルズ・コップ
大好きな作品です。まず何といってもキャラクターが魅力的。アクセル、タガート、ローズウッドの掛け合いを観ていると、いつもニヤけてしまいます。(登場人物を俳優ではなく役名で覚えていること。自分にとって大切な作品はこのパターンが多いようです。)また、ギャグを交えた台詞も見所。個人的には、吹替え版の方が断然好みです。訳そのものも字幕より気が利いていますし、ギャグのニュアンスが伝わり易い気がします。これはアクセル役の声優、故富山敬さんの力に負うところが大きいかと。私にとってエディ・マーフィーの声は、下条アトムでも山寺宏一でもなく、富山敬。やはり最初に耳にした声が、オリジナルとして心に残ります。あの軽妙な、リズミカルな言い回しが忘れられません。(富山氏のご冥福を心よりお祈りいたします。)なおまったく個人的な話ですが、本作のテーマ曲を聴くと「とんねるずのオールナイトニッポン」が浮かんできます。ハガキコーナーで使われていた曲。歌にしても映画にしても、人それぞれの想い出と共に残っていくもの。自分にとっては、初めて観たテレビ吹替え版が何より愛おしいのです。
[地上波(吹替)] 9点(2007-01-10 18:21:09)
65.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
ハリウッド超大作か、映像は凄いのかもしれないけど、大味なんでしょ。深みという点では今一歩なんじゃない。そう思っていました。でも見事なまでに、その予想は裏切られました。めちゃくちゃ面白い!というか、怖い!!身じろぎも出来ず物語に引き込まれました。それは徹底した主人公目線での描写によるところが大きい。大局が分からないため、観客は傍観者(第三者)にはなれません。常に主人公であり続けなければならない。さらに民間人であることも、感情移入を助けます。侵略者に襲われる恐怖、それ以上に子供の命を失うかもしれないという恐怖は、半端ではありませんでした。下手なホラーやサスペンスよりずっと怖い。オチも自分好みでした。武力で勝つのではなく、生命の歴史で勝つ。しゃれていたと思います。金に物を言わせた映像美だけではない、確かな演出力。さすがスピルバーグ。これぞ自分が求めていた大作のかたちでした。一級のパニック映画です。劇場で観られなかったことが悔やまれます。
[CS・衛星(吹替)] 9点(2006-12-15 21:32:55)(良:4票)
66.  街の灯(1931) 《ネタバレ》 
特筆すべきはヒロインの魅力のなさです。容姿もさることながら(失礼)、その性格も良いとは言えません。こういった設定でありがちな、見目麗しく、性格も素晴らしい、まるで仏様のような(キリスト教圏だからマリア様かな)非の打ち所の無い女性ではありません。彼女は、家賃が払えないと、まるで乞うかのようにさめざめと泣き、眼の手術代までさほど遠慮せず受け取ります。目が見えるようになってからは、「私を好きみたい」と上から目線の調子に乗った発言までします。ただ、これらは性格が悪いとまではいえません。チャップリンが大金持ちだと思えば、金銭的に甘えるのはある意味当然です。貧しい彼女の生きる術でもあります。重要なのは、彼女は何処にでもいる“ごく普通の人間”であるということです。このことが、珠玉のラストで活きてきます。真実を知り戸惑う彼女。微笑むチャップリン。2人のこの後を見せようとしないエンディングは「これ以上何も語る必要が無い」ことを示しています。みなまで語るな。もう十分だと。観客から“この後の成り行きを想像する楽しみ”まで奪うかのような唐突さがあります。この時のチャップリンの心情は察するに余りある。手術が成功したことに対する喜び、自分がもう必要でないことを知った寂しさ、彼女の戸惑う表情を見て感じたであろう悲しみ、やり切れなく観客の胸をえぐります。決してハッピーエンドではありません。しかし、チャップリン本人はこれをハッピーエンドと捉えているのです。チャップリンの静かな笑顔が、いっそう観客の胸を締め付けます。絵空事のお涙頂戴話になっていないのは本作に泥臭い人間味が垣間見られるからです。それはヒロインだけでなくチャップリンにも言えます。彼女に手術代を渡す前、一瞬自分の取り分を確保する抜け目なさ。そしてラスト。自分の正体を明かさないという選択もあったのに、チャップリンは自分の正体を明かします。自分があなたの恩人なんだよと。ある意味、粋ではありません。でも明かさずにはいられない。それが人間です。作り物ではない“心”が見えるから本作は傑作なのだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-11-17 21:03:43)(良:6票)
67.  マルコヴィッチの穴 《ネタバレ》 
まずシュールな設定が笑いを誘います。7・1/2階、低い天井、勘違い社長…。最初はコメディかと思いました。でも、全体としてはラブストーリーの要素のほうが強い。人形使いのグレイグとその妻ロッテ、そして魅力的な女マキシンの3角関係。グレイグもロッテもマキシンを愛してしまう。彼女は社会的成功のためグレイグを選ぶものの、心の底ではロッテを愛していた。自業自得とはいえ、グレイグの末路は哀れです。トンデモ設定や、マルコヴィッチを媒介していることから、複雑そうに見えますが、基本の骨組みは実にシンプルでした。でも、本作はコメディやラブストーリーの枠にとどまりせん。それが本作の特徴。レスター→マルコヴィッチ→マルコヴィッチの娘へと受け継がれる器。その器に入り込み永遠に生き続けるという発想は、輪廻転生を連想させます。人間は遺伝子の乗り物であるという理論にも似ている。それだけにラストの余韻は深いです。さらに、「マルコヴィッチ」というパーソナリティについて考えてみるのも面白い。自我を失ったマルコヴィッチはマルコヴィッチといえるのか。生死の倫理観にまで考えは及びます。ただ、そうはいっても本作のキモは、あくまでトンデモ設定を楽しめるかどうか。全員マルコヴィッチや、ハゲヅラのチャーリー・シーン、本人登場ショーン・ペンを笑えるかどうかです。そのあたりを楽しめれば、本作は相当面白いのでは。ただ、自分はマルコヴィッチ氏のアメリカ俳優界での立ち位置が分かりません。“あえて”マルコヴィッチであることのニュアンスを理解出来れば、本作は自分にとって満点級の作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-10-18 18:48:50)
68.  ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 
(『サボテンブラザーズ』の内容に触れますので、未見の方は一応ご注意ください。)『サボテンブラザーズ』にコメントを入れた時、本作に触れたレビューを幾つかお見かけしました。それ以来気になる作品でしたが、この度やっと観ることができました。偉大な作品をモチーフにした場合、得てして期待ハズレに終わることが多い。その覚悟を持って観たのですが、何なんですかコレは!めちゃくちゃ面白い!!確かに、『スタートレック』のパロディで、アイデアの元ネタは『サボテンブラザーズ』。しかし、プロットに大胆なアレンジが施されています。『サボテン』では、現実は確固として存在し、主人公たち(架空のヒーロー)はその現実に合わせることでリアルヒーローになります。しかし本作では、まず“架空の設定”が存在し、そこに現実が合わさっていく。まったく逆の発想です。しかもそのことを最初から観客に意識させるのではなく、クライマックスに至る過程で徐々に気づかせていく。発想の転換が、ドラマファンたちの活躍を生みます。なんという演出テクニック。なんという力技!“オメガ13”のくだりに至っては、ほとんど逆ギレみたいなもんです。でもこれが爽快。こんな気持ちの良い逆ギレは初めてです。『サボテン』も本作もどちらも大好き。甲乙は付けられません。しかし点数は、本作の方を1点高く付けます。それは新作映画『ギャラクシークエスト』の新レギュラー保安主任ロック、もと死に役のエキストラ、彼に捧げる+1点です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-10-01 00:16:26)(良:3票)
69.  アルカトラズからの脱出
「脱獄もの」では、脱獄に正当性を感じさせるようなエピソードを付け加えたくなります。何故なら普通は「脱獄=悪いこと」だから。観客が物語に感情移入するためには、脱獄に“納得できる理由”があった方がいい。でも本作にその理由付けはありません。ここで活きてくるのが主演のイーストウッドの存在です。今までの出演作品の役柄から、イーストウッドにはワイルドさと正義のイメージがあります。観客は彼から犯罪者としてのワイルドさを感じると共に、根拠のない“正義”も勝手に感じ取ります。これが“納得できる理由”の代わりに感情移入の手助けになるのです。まさにベストキャスティング。だから脱獄の理由を省略できた。ただ単に脱獄でよかったわけです。そこに山があるから登るがごとく、そこが監獄だから脱獄する。ドラマ性を極力抑えた結果、脱獄そのものに焦点を当てることに成功しています。脱獄までの道程は遠足前の準備の時の気持ちに似ています。さらに脱獄のための準備が進めば進むほど、増して行く緊張感。脱獄ものというジャンルのひとつの完成型が本作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-07-21 18:13:02)(良:3票)
70.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
パステル調の住宅・衣服、メルヘンチックな音楽とは裏腹に人間の暗部が強烈に描かれているティム・バートン流のおとぎ話。ファンタジーではありますが、その内容は現実と重なります。自分達とは違うエドワード。初めはその特異な風貌に興味を抱き観察し、利用できると分かるととことん利用、賞賛さえする。だが、わずかな出来事で手のひらを返して非難を始める人々。現実の社会でも日々同じようなことが繰り返されています。異質なものを集団で排除する機能。集団の結束の確認。そこには個人の意思とは別に集団の意思が存在します。人間が安全に生きていくために獲得した知恵かもしれません。しかし、このことに嫌悪を感じるのが普通だと思います。「エドワードは悪くない」「なんて酷いことをするんだ」そう感じます。なぜなら自分とエドワードを重ねているから。排除される恐怖をいつも感じているのが人間だからです。結局エドワードは街外れのお城に戻ります。誰もいない廃墟。そこが安住の地だという悲しい現実です。自分の意思に反し人を傷つけてしまうハサミ。同時に彼の心も傷つきます。一人でいれば人を傷つけることもなければ、自分が傷つくこともない。ただ、誰とも出会わず傷つくことのない人生より、愛する人と出会って傷つく人生のほうが遥かに素晴らしい。それがこの物語の救いです。
[DVD(字幕)] 9点(2006-06-19 18:24:28)(良:3票)
71.  グロリア(1980)
ギャングの裏金を横領した父。組織の制裁を恐れた母は親友のグロリアに息子ジャックを託します。殺される家族。ジャックの手には裏金の証拠となる手帳。2人の逃亡が始まります。グロリアにしてみれば、ジャックはただの厄介者。助けても何の得にもなりません。何故彼女は自分の命を危険に晒してまで子供を助けたのでしょうか。背負うものが無い人生。それはとても気が楽です。しかし同時に孤独と物足りなさがあります。彼女の中に、人を愛し、愛されたい、誰かの支えになりたいという気持ちが潜んでいたのではないでしょうか。それを「母性」と呼ぶのかもしれません。最初はお互いに接し方がわからず、喧嘩したり、別れたり、上手くいきません。しかし次第に芽生える絆。それが「家族」の始まりなのです。厚化粧のおばちゃんが素晴らしく格好よく、派手なシャツの子供が小生意気だが愛らしく感じます。派手なシーンはありませんが、全編見事にハードボイルド。エンディングと共に流れる音楽に言い表せない気持ちになる心に刻まれる作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-05-09 17:52:29)
72.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
どうしようもない孤独と閉塞感に精神を病んでいく主人公トラヴィス。女性との交際失敗を引き金に、トラヴィスは現状を変える為のある計画を立てる。孤独と苛立ちをロバート・デ・ニーロが、怖いほどの演技で表現しています。もし未見でしたら、ぜひとも観ていただきたい。ただし、「観てよかった」とは思わないかもしれません。それでもなお、お勧めします。(以下ネタバレを含みます。間隔を空けて3度観たうえでの感想です。)孤独と現状に対する苛立ち。自分がどうしたいのかもわからない。タクシードライバーとして様々な人を乗せることで、一層トラヴィスの心は擦り切れていきます。失恋もそれに拍車をかけます。現状を変える何かをしなければならない。他の選択肢は現れません。目的を定め、体を鍛え始めるトラヴィス。このときは精神的に安定していたことでしょう。目的は何でもいいのです。「大統領候補殺害」でも「売春から少女を救う」でも。目的を果たした後、トラヴィスは自殺を試みます。また血の海の中で、自らのこめかみに人差し指の銃を突きたてて見せます。トラヴィスは結果を求めておらず、またその行動の意味さえ失っていたのかもしれません。この狂気の行いには共感できるはずもなく、また結果ヒーロー扱いされる様にも納得がいきません。この部分を捉えると、単に暴力的で嫌な話に思えます(初見で自分はそうでした)。トラヴィスの行動ではなく、そこに至った心の動きにこの作品の意味があり、ロバート・デ・ニーロがそこに在ることに価値があるのだと思いました。上手く言葉にできません。でも良いのです。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-26 17:48:36)
73.  ストレイト・ストーリー 《ネタバレ》 
自分はこの話を美談だとは思いません。老人が一人で長旅をする。それもトラクターで。結果無事にたどり着けたから良かったようなものの、そうでない可能性のほうが大きかった。その時に家族や周囲の人々に及ぶ非難や苦労を考えると、手放しでこの話を肯定する気にはなれません。しかし、それでもなお、自分はこの物語が好きです。正確には主人公のアルヴィン・ストレイトが好きなのです。アルヴィンは“自分の力で行く”ことに決めました。金銭的な制約があったにしても、もっと楽な方法が他にあったはずです。でも“自分の力でいく”ことが重要だった。そこにあったのは、自分の力を確かめたいという気持ち、兄に対する誠意、あるいは単純にトラクターの旅は楽しそう、だったかもしれません。でも最終的に決断したきっかけは、止めておけという周りの声に対する“意地”だったと思います。大人気ない。でも人間には意地がある。馬鹿げたことかもしれません。褒められた話でもありません。でも小利口な人間ばかりが得をし、意地やプライドが感じられない今の世の中を考えると、こんな意地っ張りがいてもいいと思います。頑固な爺さんが愛おしい。(実際、リチャード・ファーンズワースはすごくチャーミングです。)自分はこんなに素敵な爺さんになれる自信はないけど、こういう年の取り方をしたいと思います。あまりに美しい星空がいつまでも心に残るロードムービーでした。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-18 18:17:48)
74.  ガタカ
この作品を「スタイリッシュな映像」という言葉で表現をすることがよくあります。確かにその通りなのですが、これだと単なるオシャレ系の作品と思ってしまい、敬遠される方がいるかもしれません(実際自分がそうでした)。また、SF作品としては突っ込みどころが満載です。時代とテクノロジーの設定に関しては、かなり粗さが目立ちます。しかし、これは些細なことです。この作品の持つ真の魅力は、「人は何のために生まれてくるのか」という人間が持つ根源的なテーマを、美しい映像と深みのある音楽、そして何より緊張感あるドラマで描いている点にあると思うからです。鑑賞後、切なさを含んだ複雑な感情を呼び起こす、素直に観て良かったと思える名作です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-17 17:35:23)
75.  ポセイドン・アドベンチャー(1972)
実は子供の頃に「ポセイドンアドベンチャー2」の方を先に観ており、これはこれで面白かった記憶があるのですが、失礼ながら本作の面白さは面白さのレベルが違う!終止閉鎖空間で物語が進むため緊張感がすごいし、次々と訪れる試練と選択に立ち向かう人間ドラマが最高。当時としての特撮のレベルも高く、極上のパニック映画と言えるでしょう。今度リメイクされるそうですが、CGの駆使により特撮部分で本作を超えることは容易かもしれませんが、作品全体として特に人間ドラマとして本作を超えるのは至難の業でしょう。それほど面白い映画です。
[ビデオ(吹替)] 9点(2006-04-16 17:56:08)
76.  ミッドナイト・ラン
この映画好きです。何度も観かえしています。メインの2人(デ・ニーロとチャール・ズグローデン)のアンバランスな組み合わせが絶妙で、旅するうちに芽生える奇妙な男の友情がなんともいえず良いんです。さらに脇役も上手い。保釈期限というタイムリミットが設けられているため、ストーリーに程よい緊張感がありますし、二転三転する展開でまったく飽きることがありません。緩急をつけた演出と耳の残るテーマ曲も光ります。メインの2人が別れる最後のシーンは、少し切なく、でも心地よく、観終わったあとの清涼感につながります。ちょっと疲れたときに観てみたい良質の娯楽作品です。
[地上波(吹替)] 9点(2006-04-16 16:52:24)(良:1票)
77.  ビッグ・フィッシュ
ラスト5分で泣きました。しかも号泣。映画館での鑑賞だったので相当ヤバかったです。空いている映画館で助かりました。うるっと来る映画は結構ありますが、涙を流したのは初めてでした。いわゆる「お涙ちょうだいもの」の分野になるのかもしれませんが、押し付けがましくなく、素直に感動できました。父親に対してコンプレックスがある方(自分も多分そうです。)や、ちょっと父親と距離があるなという特にに男性の方にはぜひ観ていただきたいと思います。漫画「がんばれ元気」の第1巻で泣ける人は必ず泣けると思います。
[映画館(字幕)] 9点(2006-04-15 22:13:53)(良:1票)
78.  ノック 終末の訪問者 《ネタバレ》 
ネタバレしています。ご注意ください。  一般的なホラーであれば、オチでもうひと捻りあるものです。全てが終わった後4人が乗ってきた自動車の中から証拠が見つかり、奴らがイカれていた事が判明する流れ。「誇大妄想」あるいは「我が身を犠牲にした異常な復讐」あたりが相場でしょう。当然パートナーは死ぬ必要がなかった事になります。後味は最悪ですがこれがホラーの定番であり流儀と考えます。しかし本作は捻りなくあっさり幕を閉じました。4人の主張の信憑性を裏付けて終わり。このある種の「すかし」は「本作はホラーにあらず」を意味していたと考えます。バイオレンス描写は目くらまし。物語の本質は「人間の性(さが)」を問う濃厚なヒューマンドラマでした。もう少し言及するなら、本当の主人公は誰かという話。ぜひ4人の立場に自身を重ねて想像してみてください。自分でさえ信じられない支離滅裂な話を赤の他人に理解してもらい、尚且つ「できるはずのない決断」を「絶対にしてもらわなければならない」絶望感を。彼らもまた被害者です。私ならきっと重圧に耐えらず逃げ出していたでしょう。でも4人は真摯に使命と向き合いました。それだけでも尊敬に値する人間に違いありません。そう邦題は『シン・ミッション:インポッシブル』が相応しい。こんな「意外なオチ」の映画、シャマラン監督以外つくれないと思います。
[インターネット(吹替)] 8点(2023-10-30 18:51:08)
79.  FALL/フォール 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  2人が塔の上で取り残された時点で残り時間60分と知り頭を抱えました。「詰み」の状態からあと1時間も何を見せられるのかと。延々と回想だったり懺悔だったりは御免だなと感じておりましたが、なんと!なんと!!サバイバルサスペンスとしての「展開」が多数用意されていました。しかも『大ネタ』まで仕込む抜かりなさ。いや私もあの時は「そんなの無理だろ」と突っ込んでいたんですよね。思わず声に出して。でも火事場の馬鹿力(米国だとファイヤーフィールドのシットパワーですか?)なんて言葉もありますし渋々納得していたところ。ですから真相が明かされて膝を打ちました。 喩えるなら、エベレスト山頂でフルコースを供されたような驚き。見事なエンターテイメント性に感心しました。さらに素晴らしいのは物語の芯にテーマが一本通っていたこと。それはもうTV塔のように真っすぐと。『チャレンジの価値』『生きるには覚悟が要る』これらを雄弁に物語る終盤怒涛の畳みかけに痺れました。エンディングも申し分なし。この手のソリッドシチュエーションスリラーでは、結構平気でバッドエンドが用意されていたりするので内心冷や冷やでした。絶体絶命の大ピンチで本当に絶命さる脚本なんてクソくらえなんだよ!失礼しました。取り乱して下品な言葉を使ってしまいました。脚本家の皆様の苦労も知らず勝手な事を申しました。お詫び申し上げます。 「どうせ迷惑系配信者の自業自得の災難。設定も出オチみたいなものだし期待できないな」と高を括っていたせいもありますが、予想外にハイクオリティな作品に驚いた次第です。最後に褒めてばかりも何なので、バランスを取るために若干の駄目出しを。クライミングを趣味にする人間があの体脂肪率のワケがない。以上です。
[インターネット(吹替)] 8点(2023-10-07 02:18:21)
80.  エル・マリアッチ
脚本だけなら特筆するような作品ではありませんが、ロケーションとキャスティングの素晴らしさが本作を特別な映画に仕上げています。得も言われぬ良い匂い、画面の端々から色気を感じます。本来はハンデとなる低予算もプラスに作用している気がします。刺さる人には堪らないでしょう。出来の良し悪しでは測れない味のある映画。こんなの大好きなんです。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-22 19:11:20)
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