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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  インサイダーズ/内部者たち 《ネタバレ》 
憎くて強大な敵を持たざる者達が倒すという物語なのですが、主人公達が決して社会正義の代弁者というわけではなく、あくまで私怨に端を発した戦いであるという点に好感が持てました。片や、虎の尾を踏んで地位と片腕を失った元組長による復讐劇、片や、優秀なのに出世の道が開けない検事による支配階層への下剋上。この構図の時点で燃えました。 また、彼らと対峙する悪のゲスっぷりがとにかく最高です。「権力者はとんでもなく下品な宴会をやってるんじゃないか」という庶民が漠然と抱くイメージがほぼ完璧に映像化されており、金と権力の頂点にいる者達が夜な夜な繰り広げるバカ殿みたいな宴会は本作最大の見せ場と言っても過言ではありません。 原作のマンガが未完のまま打ち切られたということで終盤は映画版の独自展開に入っていくのですが、護送車からの脱走とイ・ガンヒのオフィスへの侵入がうまくいって、しかもこちらが期待する通りの言葉をイから引き出せて、さらには裏切りを疑われずにウ・ジャンフンが黒幕3人の懐に入るということがすべて達成できなければ崩壊するという、よくよく考えれば不確定要素が多すぎて運任せすぎる作戦ではあるのですが、この辺りになるとロジックよりもエモーションの方が勝っているため、さほどの違和感なく受け入れることができました。やっぱり韓国映画には勢いがあります。 「モヒート行ってモルディブ飲もうぜ!」というロビンソンのスピッツ的なギャグは当初何が面白いのか分かりませんでしたが、何度か繰り返されるうちにこちらもほのぼのとしてきました。私怨にまみれた物語の中で、こうしたほのぼの系のやりとりを入れてくるというバランスもよく考えられています。
[インターネット(吹替)] 8点(2017-11-17 18:50:21)
2.  オクジャ/okja 《ネタバレ》 
今年のカンヌ映画祭ではペドロ・アルモドバルから「映画は大画面での視聴体験こそが重要であり、映画館で公開されない作品は審査対象とすべきではない」と批判され、一方でウィル・スミスは「うちの子供たちはNetflixがなければ観なかったはずの映画を観ている。おかげで世界中の映画を幅広く理解するようになった」と反論し、一大論争が巻き起こりましたが、その中心にいた作品こそが本作『オクジャ』なのです。 劇場未公開とはいえ5,000万ドルもの製作費がかけられた本作はとてつもなくゴージャスであり、オクジャを表現したVFXの凄さや、ソウルでのチェイスシーンのスピード感や迫力、そしてNYでの一大スペクタクルなど、とにかく見どころの多い作品となっています。 また、Netflixの主義として「作家には口出ししない」という方針があり、上記の通り劇場映画並みのクォリティを誇っている一方で、内容はかなり攻めています。普通の映画会社だったら絶対にOK出さないだろうなという内容であり、一応はR15指定となっていますが、鑑賞時の衝撃度は並みのR15作品を超えています。 本作は後味の残し方がめちゃくちゃ悪いのです。序盤では少女とオクジャの幸せな日常が描かれますが、監督自身も認めている通り『となりのトトロ』のような優しい画面となっており、この部分はどう見てもファミリー映画です。その後のソウルでのチェイスシーンにも一定の娯楽性やユーモアがあって少女の冒険談として見ることが可能なのですが、舞台がアメリカに移って以降のダークな雰囲気は完全に社会派作品。まるで別の映画となります。これが前半との落差で心理的に結構堪えます。 また、それならそれでシリアスに振り切ってくれれば頭を切り替えられるのですが、クライマックスではオクジャと子豚のみが救われるという、とても中途半端な終わり方をします。スーパーピッグ達が人道面で問題のある環境で大量飼育された後に屠殺されるという現実は何も変わらないまま、オクジャだけが幸せな環境に戻ってくるため、目の前の展開に喜んでいいのかが分からなくなるのです。 作品全体の根底には、「そうはいっても肉食は簡単にやめられない」という観客にとってのうしろめたさがあります。例えば戦争の醜さを描いた作品であれば「戦争は良くない。絶対にやってはいかん」と心に決めることができるのですが、食ともなれば自分と主題を切り離して考えることができません。自分のために生き物が殺されている、安く提供するために家畜達は劣悪な環境で生涯を終えている。こうした、普段は見て見ぬふりしていることを本作は容赦なく突き付けてくるため、とにかく後味が悪いのです。 ちなみに、今回の論争の結果、カンヌ映画祭では「フランスでの劇場公開」が審査条件として加わりました。そもそもNetflixを始めとした動画配信サービスに規制を設けていたフランスらしい決定ではありますが、制約条件が少なく本作のように尖った作品を輩出している動画配信サービスを締め出すことが、今後の停滞に繋がらなければいいのですが。
[インターネット(吹替)] 7点(2017-08-19 02:22:31)(良:3票)
3.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
三国志の知識は皆無な状態での鑑賞ですが、本作冒頭には懇切丁寧な説明が付属しており、原作に対する理解どころかPART1の鑑賞すらしていなくても本編を理解可能という優しすぎる仕様となっています。洋画の興行成績低迷に老舗配給会社が対応できない中、多くの観客を取り込むための工夫をして驚異的な売り上げを叩き出した新参者・エイベックスの丁寧な仕事が光ります。 そんなエイベックスの頑張りとは裏腹に、肝心の映画は実に残念な仕上がり。憧れの小喬に茶をふるまわれただけでのぼせ上がり、軍隊の指揮が疎かになる曹操だったり、尚香に敵陣をスパイさせて疫病の蔓延を事前に知っていたにも関わらず、向こう岸から流された死体を引き上げて自陣営にも疫病を入れてしまう諸葛亮だったり、尚香と親しくなった瞬間に死亡フラグがぶっ刺さった後、誰もが予想したタイミングで死ぬ蹴鞠君だったり、「敵を欺くにはまず味方から」を実践しすぎて良い人なんだか悪い人なんだかよくわからなくなってきた劉備だったりと、とにかく全員ガッカリな行動が多くて萎えます。キャラクター劇として上々の仕上がりだったPART1に対して、本作は各キャラクターの動かし方が全然ダメです。 肝心の戦闘場面もイマイチです。曹操陣営の水軍を撃破した後、孫権陣営は曹操の陸軍との戦闘に入るのですが、そもそも人数の少ない孫権軍が、無数の矢が飛び交う古代のオマハビーチにロクな策もなく突っ込んでいってどんどん消耗していく様はバカにしか見えませんでした。両陣営の戦力差を考えると、数で圧倒する曹操軍が力押しで攻め、人材リソースを無駄にできない孫権軍が矢を使った効率的な攻撃を仕掛けるという動きとすべきところなのですが(そのために中盤で矢を調達したんでしょうが)、その逆をやってしまったがために戦闘場面全体から説得力が失われています。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2016-09-21 20:06:25)(良:1票)
4.  レッドクリフ Part I
お恥ずかしいことに三国志の知識は皆無に近く、国名と主要登場人物の名前を知っている程度での鑑賞です。物語の基礎知識を持たない状況での鑑賞には不安があったのですが、その点、国内での配給を担当したエイベックスは懇切丁寧な説明を冒頭にくっつけたり、場面転換の度に登場人物の名前と役職名をテロップ表示してくれたりといった親切設計で対応しており、一見さんにも問題ない鑑賞環境が整えられていたことは有難かったです。本作が劇場公開されたのは洋画に観客が入らなくなり始めた時期でしたが、そんな中で一般客をどうやって呼び込むかという点に配給会社が気を配り、結果として興行的に大成功を収めたのだから見事なものです。 有名な歴史ものには後世での自由奔放な脚色が含まれていることが常であり、これを素直に実写化すると「ありえねぇ」の連続となり(例『300/スリーハンドレッド』)、かといって説明可能な形にまとめようとすると「古典の面白さを台無しにした」とケチをつけられ(例『トロイ』『エクソダス』)、なかなかサジ加減が難しい素材だと言えます。そんな中で本作は基本的に”素直に実写化”路線に向いているのですが、かといって完全な歴史ファンタジーの領域に足を踏み込むこともなく、「昔、こういう戦争がありました」という歴史活劇として一定のルックスを作り上げることに成功しています。劉備軍の将軍たちはまさに一騎当千の活躍を見せるものの、物理的にまったくありえないというレベルに突入する手前のギリギリの描写で踏みとどまっており、生身の人間が戦っているという感覚を残せているのです。この辺りの演出は素晴らしかったと思います。 また、配役も絶妙なものでした。劉備軍の将軍たちの個性豊かすぎるルックスの再現度は高いし、超人的な頭脳を持つ諸葛孔明役にキャスティングされた金城武は、その浮世離れした個性により役柄に説得力を与えています。また、絶世の美女とされる小喬のキャスティングにも困難性が伴ったと考えられますが(見る人によって美醜の基準は異なるため、「誰の目にも絶世の美女として映る人」というキャスティングはかなり難しい)、そこに女優経験のないモデルのリン・チーリンを持ってきた判断も神がかっています。こちらもまた、国を動かすほどの超絶美女にきちんと見えているのです。また、彼女については難しい演技を要求される場面がなく、経験の少なさゆえのボロを出さずに済むよう脚本や演出レベルでも調整がとれています。 以上、本作のルックスは素晴らしいのですが、肝心のお話には面白みが感じられない点は残念でした。ジリ貧の劉備軍が、まだ戦禍に巻き込まれていない呉をどうやって同盟に引き入れるかが本作のスポットだと思うのですが、この交渉の困難な部分はどこにあって、どうやって呉を説得するのかという観客に対する情報の整理ができておらず、孔明と周瑜が弦楽器のセッションで意気投合したことで交渉が進み始めるという、なんとも面白みに欠ける展開となっています。弦楽器の件以外にも、馬の出産・虎狩り・牛泥棒などの面白みのないサイドストーリーの積み重ねにより本筋が進められていくため、中盤が本当に面白くありません。こうした中盤のグダグダの割を食ったのが孫権であり、これは優柔不断な孫権が為政者としての本分を発揮するまでの物語でもあったはずなのに、そこにあるべき感動が見事に失われています。熱い男を描かせれば天下一品だったジョン・ウーが男の成長ドラマでコケたことは意外でした。
[映画館(字幕)] 6点(2016-09-21 20:05:48)(良:1票)
5.  ベルリンファイル
銃火器の扱いが明らかに小慣れている、格闘がダンスにならず、ちゃんとクリティカルヒットを狙う動きをしている、表情や仕草が一般人のものではない。韓国のアクション映画は、こうしたディティールがよくできているため説得力が違います。本作においても、ある面では香港やハリウッドをも凌駕する見せ場が連続し、目を楽しませます。 問題は、ムダにややこしい話に魅力を感じなかったことです。多くの登場人物が絡む前半部分は非常に分かりづらかったのですが、一方で作品の骨格は至ってシンプルなものであり、本筋とは関係のないサブプロットや、存在価値のない登場人物が多すぎます。また、凄腕のようでいて全然役に立たないハン・ソッキュなど、主要登場人物の動かし方にも違和感を覚えました。ひとつひとつの展開に意味を持たせる、個々のキャラクターにちゃんと見せ場を作る。それができないのであれば、その展開、そのキャラクターには存在価値がないのだと判断するという、シナリオレベルでの練り込みが不足しているように感じました。 肝心の本筋部分についても、ベルリンという舞台をまったく活かせていません。南北朝鮮のスパイ組織を中心に、モサド、CIA、ロシアの武器商人、アラブ人テロリストまでが絡んでくる国際色豊かな設定をとりながら、結局は南北朝鮮の対立といういつもの展開に収まってしまう尻すぼみ感。ドイツ人は全然出てこないし、これなら舞台をソウルにしても成り立ってしまいます。 見せ場の出来や作品全体の雰囲気はいいだけに、話の内容の弱さが残念でした。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2015-08-03 18:06:06)(良:1票)
6.  スノーピアサー 《ネタバレ》 
ポン・ジュノが監督し、それをパク・チャヌクがプロデューサーとして援護するというものすごい体制で製作された作品だけあって、映画には終始ドえらい気合が満ち溢れていて、一瞬足りとも目を離させません。ハリウッド製SF映画の外面を持ちながらも、中身にあるのはバリバリの韓国製バイオレンス。銃ではなく斧やナイフを武器に殺し合いをするという点に本作の個性があります。また、アクションに入る前の「溜め」の演出も素晴らしく、さらには殺し合いの途中に新年を祝い始める等のパンチの効いたユーモアも楽しく、少なくとも前半部分は、1年間に数本出会えるか出会えないかレベルの面白いアクション映画として仕上がっています。。。 問題は後半部分。「あんたらが起こした革命は、我々が考え出したシステムの一部だったんだよ」と、創造主・エド・ハリスから『マトリックス/リローデッド』みたいな告白を受けた辺りから、映画は訳のわからん方向へと走り出します。今までバイオレンス映画としてやってきた映画が、ここからいきなり宗教的・SF的方向へと舵を切り始めるのですが、SFをやるに足る素地がこの映画にはなかったので、これを眺める観客はポカーンとさせられてしまいます。。。 この映画の基本設定はボロボロです。スノーピアサーが永久機関を持つにしても、休みなく走っていれば車輪や車体は摩耗するし、何年も野ざらし状態の線路だって走れる状態にはないはず。そもそも、スノーピアサーが地球一周旅行を続けてることの理由もよくわからないし(どこかに停車している方が安全なのでは?)、疑問は尽きることがありません。それでも前半部分では、この映画において設定とはあってないようなもので、出てくる画を楽しめばそれでいいのだと納得しながら見ることができたのですが、エド・ハリスが分かったような分からんようなことを言い始める後半部分になると、設定の弱さが一気に気になり始めます。だいたい、あのカースト社会自体が意味不明。最後尾の人間は過酷な労働をさせられているわけでもなく、ただマズイ飯をもらって生かされているだけ。スノーピアサーという世界において、彼らの生にはどんな意味があるのかがよく分からないので、エド・ハリスが世界を語り始めると、途端に設定の抱える弱さが露呈してしまうのです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-06-09 01:31:47)
7.  悪魔を見た 《ネタバレ》 
熱い民族性がそうさせるのか、韓国映画のバイオレンスとにかく凄い。当該分野において、韓国映画界は間違いなく世界最先端を行っています。本作も例に漏れず、躊躇のない暴力描写、剥き出しとなった感情の衝突、質の高い演技と、見所の多い作品に仕上がっています。最狂の猟奇殺人犯vs殺人スキルを身につけたエリート諜報員という燃える図式も百点満点であり、少なくとも前半部分は最高クラスのバイオレンス映画としてまとまっていました。。。 ただし、後半になると物語は大脱線をしてしまいます。猟奇殺人仲間が登場したり、猟奇殺人犯が諜報員を出し抜く行動を取り始めたりと、やりすぎ感が出てしまうのです。特に、プロの諜報員であるスヒョンが、殺人鬼とは言えスキルは素人のギョンチョルに圧倒されるという展開は非常にマズく、スヒョンが無能に見えてしまうという結果をもたらしています。このテーマであれば、表面的な主導権を握っているのは終始スヒョンであり、彼は圧倒的な殺人スキルによってギョンチョルを極限まで痛めつけるが、歪みきったギョンチョルの心までは征服することができず、ついに禁断の手段に訴えてしまうという筋書きにした方が良かったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2013-03-07 00:28:02)(良:2票)
8.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 
アクション映画としては程々の出来なのですが、ボーンシリーズの新作にして、『ボーン・アルティメイタム』の続編という高いハードルは超えられていません。一部に拒否反応のあった前作までの手持ちカメラ&細切れカットは本作より不採用となり、アクションはかなり見やすくなっているのですが、見やすさと引き換えに映画のルックスは平凡なものとなっています。本作を観れば、グリーングラスの演出がいかに映画全体の印象に貢献していたかがわかります。。。 新たな主人公アーロン・クロスの設定は面白いと感じました。少年院上がりで帰る家がないからと工作員に志願するも,当初は採用基準を充たしておらず,リクルート担当者のお情けで工作員となった人物であり、現在は訓練生の立場にあります。ヒロインであるマルタを助けに現れた理由は「好きだったから」という青臭いものであり、完璧な工作員だったジェイソン・ボーンとのコントラストとして未熟な面が強調されています。その設定は戦い方にも表れていて、常に逃走経路を確保した上で敵の二手先三手先を読んで行動していたボーンに対し、クロスは基本的に勢い任せで、敵に先手を取られては袋小路に追い込まれることもしばしば。ボーンがマリーの絶対的な保護者だったのに対し、クロスはマルタと協力しながら危機を乗り越えるという関係性となっています。この新機軸は良いのですが、問題なのは、これを演じるレナーとワイズが歳をとりすぎているということ。『ボーン・アイデンティティ』に出演した時点のデイモン(30歳)よりも若い俳優を起用すべきだったのに、ふたりとも40歳を過ぎているのです。また、総合的にはボーンに劣るにしてもクロス特有の強みも作っておき、その一点突破で危機を乗り切っていくという構成にすべきだったのですが、これがないために、ただ主人公が弱くなっただけという結果に終わっています。。。 前作までにあった殺伐とした空気も、本作においては希薄となっています。よく喋るレナーとワーワー喚くワイズの中年コンビは、ボーンシリーズの続編というよりも『ナイト&デイ』の焼き直しといった風情です。薬剤の投与によって工作員が強化されているという設定は『キャプテン・アメリカ』か『ユニバーサル・ソルジャー』かという安っぽさだし、後半に登場する殺し屋には迫力や凄みがありません。エンディングに流れる”Extreme Ways”の歌詞が完全に浮いていました。
[映画館(字幕)] 6点(2012-10-01 11:27:52)(良:2票)
9.  哀しき獣
デビュー作『チェイサー』がいきなりの傑作だったナ・ホンジン監督の第2弾。激しいバイオレンス描写、全体を覆う殺伐とした空気、追われる男の痛々しいドラマ等々、監督は本作でも堂々たる演出力を披露しており、『チェイサー』がまぐれではなかったことを証明してみせています。バイオレンス映画としてはかなり見応えがありました。ただし、DVDの特典としてくっついていた人物相関図を見てもピンとこないほどドラマが複雑であり、このことが観客のテンションを著しく下げる原因となっています。個人的には『インセプション』よりも難解に感じた作品であり、誰が何のために戦っているのかを見失うことが多々ありました。日本人の私でこの状態なのだから、東洋人の顔の区別がつかない欧米の観客であれば、混乱はより増したはずです。本作は20世紀フォックスが製作に協力した初の韓国映画であり、当初より国際マーケットでの展開を意識した企画であったにも関わらず、なぜこのような複雑な内容にしたのかがよくわかりません。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-25 00:50:06)
10.  シュリ
劇場公開時に鑑賞した際にはピンと来ず、今回10数年ぶりに見返してみたのですが、私の中での評価は変わりませんでした。韓国映画隆盛のきっかけとなった重要作であるという歴史的価値は認めるものの、映画としてはイマイチかなと。ハリウッドのアクション大作と日本のトレンディドラマをミックスして一定の形に仕上げることには成功したものの、それ以上のものにはなっていません。。。 分断された南北朝鮮の悲劇を一組の男女の関係にまで圧縮したドラマパートについては、その意気込みこそ買うものの肝心の出来はよくありません。恋愛の描写は死ぬほどダサイし、二人を襲う悲劇も取ってつけたような薄っぺらな印象を受けました。北の国民が飢えているから南北朝鮮は再度戦争をすべきだという北工作員の主張は意味不明だし、観ていて納得できる要素が少なすぎました。。。 アクションパートについては、同じような見せ場の連続で飽きてしまいます。逃げる北工作員と、それを追う韓国機動隊という構図ばかり。韓国側は大人数なのに北工作員を追い込みきれず、彼らが放つ大量の弾丸はほとんど命中しないというバカバカしい見せ場がしつこいくらいに繰り返されるのですから、アクション映画としては赤点でしょう。また、都市を丸ごと破壊できる特殊爆弾や、金魚に仕込まれた盗聴器などのアイテムにも無理がありすぎで、南北朝鮮の悲劇を描くという本作のテーマにまったく馴染んでいませんでした。 
[DVD(吹替)] 3点(2012-07-14 02:04:11)
11.  墨攻 《ネタバレ》 
原作未読の私にも、要約に苦労したことがよくわかる出来となっています。敵意むき出しだった王子が革離に傾注したり、革離暗殺を命じられた農民たちが革離に信頼を寄せるまでの過程がスッポリと抜けていたりと、唐突な展開が多々見られます。一方で荒っぽい要約が吉と出ている部分もあって、前半、革離が次々と知略を披露して敵を撃退する様は、矢継ぎ早な展開のおかげで彼が戦略家として際立った人物であることを強く印象付けます。アンディ・ラウは革離役に抜群にハマっており、ただ理屈を述べるだけではなく、人々を引きつけるカリスマ性も兼ね備えた人物にきちんと見えます。対するアン・ソンギもアンディ・ラウにまったく見劣りしない悪役となっています。弱小の梁国相手に負けを重ねるという下手すれば無能に見えかねない役柄であったにも関わらず、知性と人間性を併せ持った名将に見えるのですから、この役柄を脚本以上の人物にしてみせたと評価できます。後半は革離の影響力を恐れた梁王一派が粛清をはじめるという興味深い展開を迎えるものの、ここで映画はいったん失速します。基本的に本作はアンディ・ラウとアン・ソンギが引っ張っているため、ふたりが不在となるこの部分が致命的につまらないのです。脚本レベルでは人間の普遍的な残虐性や愚かさを提示しようとしたと思われるこのパートも、良い役者が不在であったり展開に深みがないため、梁王をはじめとした本作固有の登場人物がただ暴走しただけにしか見えません。王子を失った梁王の悲しみや怒り、また革離を排除せよとの命令にいったんは反対するものの、梁王への忠義からその先頭に立つこととなる将軍の葛藤など描くべきものは多くあったにも関わらず、お手軽なドラマ作りのために残虐な処刑等で不快な気持ちにさせられるのみです。しかし、アンディ・ラウとアン・ソンギが戻ってくると映画は再び息を吹き返します。どんな戦闘シーンよりも彼らのやりとりは見ごたえがありました。また、梁王によって反乱軍と見なされ、いったんは国を離れた部隊が趙軍を撃退するのですが、解放された民衆は過ちを犯した梁王を再び担いでしまうという皮肉な展開をとってみせたことには驚かされました。逸越をニアミスで殺してみせたり、民衆の愚かさにさすがに愛想尽かし孤児を連れて梁を後にする革離等、見る側に考えさせるバッドエンドは満点の締めだったと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2009-06-16 22:39:11)(良:1票)
12.  親切なクムジャさん 《ネタバレ》 
刑務所での親切なクムジャさんぶりなど脇のストーリーはおもしろかったんですけど、肝心の復讐部分がつまんなかったです。やっぱりペクという人物の描写がほとんどなかったのが問題でしょう。ペクへの復讐がこの映画の中心なんですから、見ている側にもペクへの憎しみを持たせてくれなければ話に入り込めるわけがありません。この監督は静かなシーンをじっと見せるという演出をよくやるのですが、前半こそ「何かあるかもしれない」と思って画面に見入ることができるものの、後半になるともう飽きてきちゃうし、前半に期待したほど深い話でもなさそうだとわかってしまった後なので、とにかくさっさとやってくれよとイライラしちゃいました。後半への大きな伏線になるのだろうと思っていた親切なクムジャさんぶりにも大した意味はなく、13年間も良い人を演じ続けていた意味もよく分かりません。「復讐者に憐れみを」「オールドボーイ」そして本作と、パク・チャヌク監督は後半になって話が破綻する傾向があるので、その辺を何とかすれば大傑作が撮れると思うんですけどね。刑務所のエピソードを独特な映像センスと含みのある素晴らしいナレーションでするすると見せた前半には大変な才能を感じたことですし。
[DVD(吹替)] 4点(2006-04-30 21:28:22)
13.  ブラザーフッド(2004)
韓国映画はなぜここまでベタベタなんでしょうね。過剰も過剰、正常なドラマとしてはすでに成立しないレベルにまで行っちゃってます。兄弟愛=過剰、兄弟の変貌ぶり=極端、ドラマを盛り上げる音楽=大袈裟。間違いなく「プライベート・ライアン」の影響を受けた本作ですが、同じく過剰な演出が感動の邪魔をするスピ演出の悪い面まで引き継いでしまったようです。その一方で、戦時下の混乱や戦場のストレス、捕虜への虐待などの脇の部分はよくできていたことが、本作のクォリティーが決して低くないことを証明しています。だからこそもったいないわけです。もっと地に足のついたドラマであれば、より感動できる映画になったでしょうに。また売りである戦闘シーンに関しても、同様のもったいなさを感じます。ハリウッドの何分の一の予算でここまでの戦闘シーンを作り上げたのは本当に立派で、「予算がないから」と適当なレベルでお茶を濁す日本映画界とのレベルの違いを見せ付けられました。技術レベル云々ではなく、韓国映画界の持つ熱意を感じましたね。しかし、戦闘シーンもドラマパート同様にしつこすぎるのが残念。兵士同士の肉弾戦が異様なまでに長いために緊張感がなくなり、しかも劇中何度も何度も出てくるんですね。実際の戦場の生死とは、もっと刹那的なものだと思います。どこからともなく飛んできた銃弾であっさりと命を落とす、そんなものではないですかね。ゴロゴロと上になったり下になったりを延々見せられるのは、本筋とあまり関係のない路上プロレスを延々3分もやってしまった「ゼイリブ」みたいでしたよ。ま、この直球勝負のしつこさが韓国映画の味といえば味なんでしょうけど、私には違和感がありますね。ま、ヨーロッパあたりの映画祭で賞を獲るような起伏のない映画にはもっと違和感を覚えるんですけどね。
[DVD(吹替)] 5点(2005-06-05 18:42:29)(良:1票)
14.  MUSA-武士-
韓国映画のたぎるような熱いドラマは、時代劇でこそ真価を発揮するようです。とにかく燃えさせられましたとも。男達がやたらカッコよすぎです。槍の猛者ヨソルのクールさはアラゴルン、隊正チン・リプの老練なシブさはガンダルフ、そしてチェ・ジョン将軍はボロミアとして見ました。ボロミアに弱い私は、やっぱりチェ・ジョン将軍にもやられてしまったのです。家柄のおかげでえらいさんなだけの彼、最初はプライドばかりのイヤミなやつで、空回りばかりしている彼ですが、追いつめられてはじめて自分の無力さや愚かさと向かい合うわけです。そしてそこから一転、彼は仲間と力を合わせ、己が憧れていた真の武士として復活するのです。これぞ男のドラマではないですか!クライマックス、獅子奮迅の活躍を見せる彼にメインテーマが被さるシーンでは、もう立ち上がりそうなくらいに興奮しましたとも。「チェ・ジョン、あんたは本物の男だ。この男の復活記念日には、とにかく斬って斬って斬りまくれ!」ってなもんですよ。しかも、演じるチュ・ジンモが木村拓哉似の男前なのです。これまたやられましたね。その他、ホビットに相当する農民キャラたちにもちゃんと個性や見せ場が与えられてるのが立派です。しかも登場人物の個性というのが、旅の過程とともに明らかになっていくんです。やっぱりこれはキャラ造詣の巧みさだと思います。典型的なハリウッド映画のように「こいつはこんなやつ、あいつはあんなやつ」と最初に個性を明かし、その上でコマのようにキャラクターを配置する方法とは根本的に違うのです。おかげで、とくにヒネリのない、先が簡単に予測できてしまうストーリーラインの弱さも全然気になりません。しかし韓国の役者は、みんないい顔してますね。目とか表情にすごく力があって、本当に男前な人達なんです。日本の役者には見られないスゴ味があるのがうらやましい限りです。そんでまた悔しいのは、韓国にはこの「MUSA」、中国には「HERO」があるのに、一方日本はハリウッドに作ってもらった「ラスト・サムライ」ですからね。日本映画界はもうちょっとシャキっとしてくれないもんでしょうか。そういえば音楽の評判がよくないようですけど、私はあの独特な響きがすごくいいと思いますよ。って思ってると、音楽を担当したのはエヴァンゲリオンの人だったんですね。どうりであんな感じだったわけです。
9点(2004-11-21 23:54:46)(良:1票)
15.  オールド・ボーイ(2003)
凄まじい勢いに包まれた映画で、「韓流恐るべし!」とおののいてしまいました。正直、私は韓国映画は苦手でした。「シュリ」「シルミド」などはドラマが異様にベタで、演技がどうにも暑苦しくて、「韓国人はド演歌が好きなのね」って思ってましたから。それで本作ですけど、ここで繰り広げられる人間ドラマは前述の2作以上、愛憎渦巻く復讐劇がテーマですから。しかしこの映画の語り口は完全に成熟しており、もはやド演歌では済まされないレベルに到達しています。監禁前のしがないオ・デスが、酔っ払って警察に拘置されるシーンから映画は始まりますが、ここからしてもう釘付けでした。チェ・ミンスクの素晴らしい演技はもちろんのこと、固定されたカメラがシーンの効果をさらに高めます。この冒頭ですでにオ・デスの人となりは十分に伝わってくるし、さらにこの後彼が監禁されることを知っている私達は、こんな彼が復讐の鬼に変貌していく運命の壮絶さを感じるわけです。その後も、基本的なプロットの面白さもさることながら、巧妙な語り口に参ってしまいます。壮絶なバイオレンスと、その間に挿入される冷めたユーモアのバランス。複雑なストーリーを、それぞれの場面に合った独特な見せ方で料理するアイデアの力。それでいて、そこいらのインディーズ映画のように「見て見て」と技巧のみがひとり歩きするわけではなく、あくまで真中にいるのはストーリーであり続けるわけです。まったく恐るべしですよ。そして、チェ・ミンスクの鬼気迫る演技が炸裂するラストにはもうやられまくりです。ハリウッドリメイクの話もあるようですが、あのラストの演技をできる役者がハリウッドにいるでしょうか?若い頃のデ・ニーロ、もしくは最近のショーン・ペン級でないと無理だと思います。そんな素晴らしい映画でしたが、最後の最後が不満でした。「そういう問題じゃないだろ」って感じです。
8点(2004-11-18 23:12:04)(良:1票)
16.  火山高
マンガ(コミックではなくマンガ)の再現度という意味では、「マトリックス」を遥かに凌いでいると思います。「レボリューションズ」はこれから影響を受けたのではとすら思ったほどです。登場人物のキャラ立ちもよく、「これは立派なマンガですね(もちろんいい意味で)」と感じました。ただしお話の方がもう少しなんとかならなかったもんでしょうか。はっきり言って退屈です。主人公以外のザコキャラがわいわいやってるだけで、いっこうに話が前に進んで行かないわけですよ。舞台だってずーっと火山高だけなんだから、絵面にも飽きます。やっぱり主人公の力の出し惜しみが悪かったんでしょうね。普通のドラゴンボール的少年マンガなら、圧倒的なパワーで転校も早々に番長を倒す主人公→一躍学園のトップへ→教師五人衆の登場→主人公大苦戦→番長ら旧勢力の加勢&新必殺技のお披露目で勝利として、少なくとも山場を2つは準備するはずです。でもここでは主人公が戦わないもんだから、話に芯がないままダラダラとラストまで行ってしまい、「冒頭では教師を平気でふっ飛ばしてたじゃねぇか」と見ている側はツッコミ続けるハメになるわけです。あと、主人公のポテンシャルがハッキリしないのも悪かったと思います。バトルものの少年マンガではキャラのポテンシャルってかなり重要なんですよ。こいつはだいたいこのくらいの力を持ってて、あのキャラには勝てるけどこのキャラには勝てないという序列は、ある意味マンガの命です。「天津飯よりクリリンの方が強いはずだ」とか「クーラが悟空と互角に戦えるのはおかしい」などと子供が揉めることからも、キャラのポテンシャルがいかに大事かがわかります。で、フリーザを代表としてパワーを隠してたキャラってのは、いざその力を見せると圧倒的に強いってのも少年マンガの定石です。しかしこの主人公、パワーを隠してたわりにラストのバトルでは苦戦しまくり。これが肩透かしになったんだと思います。だから前半で戦っとけばよかったのに。そうすれば後半も俄然盛り上がったんですよ。点数に関しては、これは作られたこと自体に意義のある映画だと思うので7点を献上します。
7点(2004-10-11 01:00:48)(良:2票)
17.  シルミド/SILMIDO
あつーい映画でした。「特攻大作戦」から「アルマゲドン」までならず者部隊の映画は数あれど、これほどに熱いのは他にはありません。ハリウッドクラスの技術を用いてド演歌をやるってのが韓国映画の特徴ですね(けなしてるわけじゃありませんよ)。前半は素晴らしかったです。地獄の訓練やその中で成長していく兵士の姿が熱くさせました。しかし中盤以降は一気にペースダウンし、さらに韓民族ならではの熱演がかなり胃に重くなってきました。とはいえ、この映画にはそれ自体に熱い闘志がみなぎっており、件のもたつきすら製作陣の息吹のように感じます。脚本上の計算や、演出的な効果を狙ったのではなく、製作側が心で作った映画なのだと思えるんです。これぞハリウッドが失ったものであり、代わって韓国映画がそれを復活させようとしているのかもしれません。香港も「インファナル・アフェア」を生み出すまでに成熟しているし、それにひきかえ日本映画ときたら・・・。
7点(2004-07-02 01:17:36)
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