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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2257
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  黄龍の村 《ネタバレ》 
前半は堤幸彦監督風エセ民俗ホラーの笑い無しバージョン。後半は『ベイビーわるきゅーれ』の瞬殺モブキャラ男が実質主役のハイパーアクション。まるで『フロム・ダスク・ティル・ドーン』ばりの前後半別物映画でした。主要キャラクターまで交代制というのが面白い。前半で溜まったフラストレーションを後半でスッキリ解消。『ベイビーわるきゅーれ』のアクションが好きな方なら本作を問題なく楽しめると思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-04-22 23:51:35)
2.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
正直「そこまでやるか!?」と思いましたが、これが山崎監督の出した『最適解』なのでしょう。傑作『シン・ゴジラ』の次という『貧乏くじ』を引き受けた監督の並々ならぬ覚悟というか自棄糞というか、兎に角凄い「心意気」をしかと受け取りました。ドラマチックはリアリティを凌駕する。大・大・大拍手です。ただ、オチの付け方に注文を。首筋のアレは個人的には必要なく、エンドクレジット前の数秒のシーンは絶対に要らないです。
[映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 12:20:00)(良:1票)
3.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 
三木聡監督待望のファンタジーコメディ。いや「ホラー」ですよね。さらに「ミステリー」でもある。複雑怪奇な味わいですが、これが三木聡節です。万人に勧められる映画ではありませんが「好きな人にはたまらない」のも間違いありません。それでは私なりの解釈を。誤読、思い込み、頓珍漢、ご容赦ください。 大筋は以下のとおり。主人公は自動車事故がキッカケで、あの世の手前にあるコンビニ(リソーマート)に辿り着きました。刺青がある店主の南雲(六角精児)は物の怪の類。閻魔大王の配下でしょうか。その妻である恵子(前田敦子)は、大量殺人事件・通称「江場土事件」の生き残りとのこと。しかしこれは南雲の作り話。あの世へ行くはずだった恵子を南雲が見初め引き止めたのです。立場的には「捕獲されたムカデ」と同じ。ちなみに彼女はガソリンを使って殺されたのかもしれません。囚われの恵子は、迷い込んできた脚本家・加藤(成田凌)を利用して南雲の元から逃れようと画策しました。一方そのころ加藤の恋人ジグザグ(片山友希)は、彼があの世の手前で彷徨っていると看破します。彼女には霊感あり。メガネ男(おそらく裏社会の霊能力者)に冥界への出張捜索を依頼しますが、南雲の手にかかり殺されます。恵子の手助けもあり再び現世に戻ってきた加藤ですが、そこは自動車事故に遭う直前の世界。運命は変えられませんでしたとさ。ちなみに自動車事故以降の出来事は、全て加藤が執筆していた幻の「コンビニ物語」との見立ても可能と考えますが、やや解釈としてはつまらない。コンビニを題材とした物語を執筆中にコンビニで事故死したからコンビニへの執着が強く、その結果♪あの世のコンビニ・リソーマート(ファミマっぽく歌おう)に迷い込んだとの見立てが適切ではないでしょうか。以上です。 最大の謎(関心事)は、結局加藤はどうなったのかということ。自動車事故の直前、レジで恵子は何やら囁きます。唇の動きをみるに『ふりかえらないで』。あの世から加藤を送り出す際にも口にしていた台詞。“起きてしまった事は悔いても仕方がない”という意味ならば、今度はすんなりあの世へ行って欲しいということでしょう。それは恵子自身に向けられた言葉でもあった気がします。 三木聡監督のファンである私でさえ、ほぼ毎回「なんだこりゃ」と戸惑うのがお約束。今回も観終えた直後の満足度は高くありませんでした。コメディとして分かりやすく笑える箇所もありませんし。しかし、1時間、半日、3日と時間が経つごとに自分の中で熟成されました。これは本サイトに「感想を書く」ための脳内反芻の効果でもあります。考えれば考えるほど「良く出来ている」事に気づかされました。例えば劇中最大の嘘「自動車に撥ねられても無傷」を何の違和感もなく差し込む手際の良さ。加藤の不思議体験を「太陽光の喩え」を用いて補足説明する抜かりなさ。只事ではないでしょう。「面白い」とも少し違う「よくわからないけど好き」という感情で溢れています。ちなみに「好き」には、キャスティングが大きく影響していました。これは毎度の話ですけども。常連の芸達者さんたちが「旨い」のは言うまでもありませんが、主要キャストの皆さんが素晴らしい。成田さんの力みない佇まいは霊体にピッタリでしたし、六角さんは説明不要で物の怪でした。片山さんの「エロス」は「生」の象徴であり死者の世界を際立たせます。そして何より前田敦子さん。醸し出される「憂い」が絶品!演技の良し悪しはわかりませんが純粋に凄いと思いました。「旅のおわり世界のはじまり」も良かったですが、また一皮剥けたのではないでしょうか。残念だったのは、松重豊さんが不在であったこと。やはり三木映画では、岩松了さん、ふせえりさん、松重豊さんの3人が揃わないと寂しいです。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-09-14 18:22:24)(良:1票)
4.  ゴーストマスター 《ネタバレ》 
映画愛を詠った映画には違いありませんが、その愛情表現は歪です。恨み辛み不満込々。映画をこんなに愛しているのに、映画は自分を愛してくれないのか。主人公の昇華されぬ映画への愛憎が、彼の分身ともいえる脚本に命を吹き込み、異世界の扉を開けたのでしょうか。その不満の源は映画業界を覆う富や機会分配の不均衡に由来するものかと。万年助監督の主人公だけでなく、30年生のベテランカメラマンが家賃7万6千円のアパート住まいという現実が痛いです。遣り甲斐搾取?でもそうしないと廻らない業界事情も理解できてしまうのが恐ろしい。もし隅々にまで適正なギャラが払われたら、制作される映画の本数は激減するでしょう。チャレンジングな企画は通るはずもなく、実績ある監督にしか仕事はまわって来ないのでは。そんな閉じた業界が繁栄するはずもなく。でも、だから、現状を容認するしかないの?いや、それは違うだろう。愛しているが、恨んでもいる。そんな光あたらぬ制作現場の人々の遣る瀬無さが、物語を通じて伝わってきます。きっとこの心情を表現するために「特撮」(SFX)が必須だったと思われます。かつて隆盛を極めた特撮も今は昔。CGに取って替わられ、映画業界において失われていく技術なのは間違いありません。アナログからデジタルへ、いやコストパフォーマンス至上主義の潮流に逆らう事など何人もできません。でも、不遇な人、切り捨てられる者にだって矜持があります。「特殊メイクも結構やるじゃん」「CGには無い味がある」そう思わせたら報われる。本作は映画を愛する全ての「勝てなかった者」に捧げられた鎮魂歌だと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-08-28 21:29:28)
5.  こちらあみ子 《ネタバレ》 
『風変わりな女の子・あみ子が純真過ぎる言動で周囲を翻弄してしまう様を優しく見つめた』これは某サブスクのイントロダクション。このスタイルに則すなら『オーメン』は次のように訳せるでしょう。『外交官夫婦は孤児を譲り受け大切に育てる。夫が駐英大使に任命され息子が5才になったころ、その子の廻りで不思議な出来事が起こりはじめる。周囲を巻き込むてんやわんやに皆んな大興奮!さて息子ダミアンに隠された意外な秘密とは?』この説明を鵜呑みにしたら痛い目を見ますよね。本作もまさにそんな感じ。ハートウォーミングなホームドラマを想像していた為、シリアス過ぎる展開に面食らいました。いや、だから駄目って訳ではありません。ただ覚悟なく観始めると大変ですよと。心身共に万全の体制でご覧くださいという意味で警鐘を鳴らしてみました。  (以下ネタバレしています。ご注意ください。)  実はちょっとしたミステリー仕立て。言い回し、仕草や態度にみる親子の些細な距離や違和感は見事な伏線となっており、後半家族の秘密が明かされて膝を打つ仕組み。そして想像以上に状況は深刻であることに気付かされます。「自分の気持ち悪いところをイチから教えて欲しい」と級友に尋ねるあみ子。生気のない少女の顔に胸が潰れます。ネグレクトは大罪に違いありません。しかし両親を責めてもどうにもなりません。壊れた家族の行き着く先はもれなく絶望です。ただ僅かでも希望があるとすれば、あみ子は最後に「だいじょうぶじゃ」と言ったこと。もちろん大丈夫なはずありません。でも諦めなければ道は続きます。そこが諦めてしまった両親と違うところ。応答先のないトランシーバーだとしても、粘り強く語りかければいつか何処かに繋がるかもしれない。 凛々しい眉、大きな鼻。芯の強さを感じさせる瞳。あみ子はまるでライオンのようでした。どうかライオンのように強く生きてください。そしてライオンのように仲間を、家族をつくってください。自分の居場所を確保することは人生をかけて挑む価値がある最重要課題です。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-04-05 00:26:27)
6.  この子は邪悪 《ネタバレ》 
例えば密室殺人ミステリーで、トリックのタネが壁抜け超能力だったら観客は怒りますよね。だから、もし犯人に壁抜け能力を付すのであれば、予め言い訳(説明)を用意するわけです。宇宙人とか、異世界設定とか、未来テクノロジーとか。現代ドラマで予告なしにいきなり超常現象を持ち出すのはNGです。というより、普通は「嘘」と認識されます。本作も同じ。魂云々かんぬんは犯人の戯言でしょう。それならそれで構わないのですが、どうやら本作の場合言い訳無しで「超能力」(というより魔術かな)を実在させたい模様。じゃなきゃタイトルまでホラになってしまいますから。はてさて困りました。せめてあの人に『家族愛。私の好きな言葉です』くらい言わせてくれたら、配給会社の垣根を超えた面白コラボとして甘んじて嘘を受け入れたのに。本作と比べると、2017年製作JP監督の某サスペンスの出来の良さが際立ちます。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-12-13 19:20:23)(良:1票)
7.  子供はわかってあげない 《ネタバレ》 
台詞のニュアンスや言い回しがもう絶妙。「もじくんだけど」「はい、拍手。なあ」「そんな言葉はないんだよ」「何でもじって書くの」とか。何気ない台詞がいちいち可笑しくて。水泳部員さんのしつこい顔芸や、突然のエセ東京ラブストーリーもたまりません。親子の間に流れるぎこちない空気が次第に緩んで行く様子がとても心地よく。この数日は実父にとってかけがえのない宝物になったでしょうし(でも本当は親父顔する権利なんて無いんですけど)、娘にしても予想外に楽しい時間を過ごせたよう。だからこそ今父に対して申し訳ないし、嘘をついたことを悔いて泣けるんですよね。素直で素敵な良い娘さんです。私の中の「こんな娘が欲しい」ランキングでは小林歌穂さんと並んで萌歌さんが堂々一位にランクインしました(注)もちろん現実の愛娘(三姉妹)は殿堂入りなので除きます。そして恋物語としても最高でした。キスなし、手さえ握らぬプラトニックラブ。砂浜とプールサイドに書くあの人の名前。正座して告白って昭和かよ。でもこんなお似合いな、心から祝福できるカップルってコナンとラナ以来では。美波ちゃんに負けず、もじ君もいい男なんです。「娘が連れてきて腹が立たない彼氏」ランキングがあれば、ダントツですよ。書道家って肩書もいい。論破王とか迷惑系ユーチューバーだったら一昨日来やがれってとこですが。彼は親父さんと酒を酌み交わす意味をちゃんと理解していました。「お酒は20歳になってから」は正論ですが、20歳まで待てないこともあるのです。将来の嫁父に自分の覚悟をみせる時。そんなタイミングが訪れたなら、法律を破っていい、いや破らなくてどうするって人生の教科書にも書いてあるはずです。でも本番は今父相手なのでお間違いなく。もう本当に全部全部愛おしい物語でした。多分に冗長で、無駄なシーンが多い気がしますが、それが私たちの人生。あらすじだけでは絶対に本作の魅力は伝わらない、ファスト映画殺し作品でもあります。 『子供は分かってあげない』。そう美波ちゃんは、まだ子どもだから、本当は大人の事情なんて分かってあげなくていいんだと思います。もっと我侭に、自分の感情を素直にぶつければいいのです。でも、それが出来ないのはやはり何処か無理をしているのでしょう。緊張すると笑ってしまうのも同じ理由。でももう美波ちゃんは大丈夫じゃないかな。あんな素敵なコテメイト(そんな言葉はない)が出来たのだから。 採点は10点以外考えられません。それ程までに本作の上白石萌歌さんの魅力は神がかり的でした。さすが教祖パパの継承者であります。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2022-08-30 20:28:27)(良:1票)
8.  コンフィデンスマンJP 英雄編 《ネタバレ》 
どんでん返しがあると分かっているサスペンス。様式的に無理がある気がしますが、コロンボや古畑だって犯人が分かっているミステリー。変則なれど案外シリーズ向きの素材なのかもしれません。毎回高品質の脚本を用意するのは本当に凄いと思いますし、今回も手堅く楽しめました。なお、本シリーズは過去作のゲストが継続して登場するのが素晴らしい。キャラクターは作品の宝です。大切に扱うからファンも作品に愛着を感じるのだと思います。その最たる例がスタアとジェシー。2人はコンフィデンスマンJPの世界で生き続けてくれることでしょう。
[DVD(邦画)] 8点(2022-08-08 14:45:45)
9.  孤狼の血 LEVEL2
過激なバイオレンスアクションの中にも多彩なキャラクターの魅力や、それぞれの理や正義がきちんと描かれていた前作は、時代劇的な楽しみ方もでき、総合的にみて娯楽作品に昇華していたと思います。しかし本作は刺激こそパワーアップしているものの、事象の裏に隠された人々の思いやドラマが伝わり難いつくり。これは役者の力量というより脚本の問題と考えます。申し訳ないですが、ただ辛いだけの激辛料理に思えました。苦くても辛くても構いませんが、旨味があってこその料理、失礼、映画だと思います。平均点は前作と遜色ないことからも一定レベルの満足度は担保しているのでしょうが、レビュワーの皆さんの感想は総じて短かめなことから、語りたい欲求を満たす映画ではなかった事が窺えます。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-17 19:22:31)
10.  コンフィデンスマンJP プリンセス編 《ネタバレ》 
99%はダー子の描いた筋書きだとしても、この結末を手繰り寄せたのはダー子のコントロールが及ばぬ残りの1パーセントの部分。『コックリの人間性』でした。これは泣けます。もっとも、これさえもダー子の『人間の本質を見抜く力』の賜物とも言えますが。最大のサプライズ(どんでん返し)は、ダー子一味が一文も得をしなかったところ。本作はコンフィデンスマンJPシリーズにおける『カリオストロの城』であります。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2021-05-25 00:00:17)
11.  孤狼の血 《ネタバレ》 
本作の時代設定は昭和63年。北野武監督の『その男、狂暴につき』が公開されたのが平成元年。配給会社の違いこそあれ、題材と劇中の時代設定は同じ。私は東映任侠映画シリーズについて無知なので、同類と思しき『狂暴につき』を引き合いに感想を述べたいと思います。 注目は、刑事のキャラクター造形。そして『時代背景』であります。まず前者について。役所も北野も、ヤクザとズブズブの所謂『悪徳警官』でした。役所の方は『信念』に基づき確信犯的に違法捜査を行う男。一方、北野の方は身勝手に暴れまくっているだけのように見えます。ただしこれは北野監督の美学が多分に影響していると思われ、両者に大きな差異は無い気がします。共通しているのは結果至上主義者であり、自身を『必要悪』と認識している部分でしょうか。次に時代背景。今から約30年前は、『コンプライアンス』なる言葉がまだ流通していなかった時代。当時学生だった私は、社会の空気を的確に把握していませんが、今よりも『おおらか』だったのは間違いないと思われます。これはおそらく日本に限った話ではなく、社会が成熟してゆくに連れ『曖昧さ』が排除され、厳格なルール運用が求められていくのではないかと。情から理への移行とも言えます。それに抗うカウンターとして“型破りなヒーロー”例えば『ダーティ・ハリー』が人気を博した気がします。しかし時代は変わりました。『コンプライアンス』の前には、どんな言い訳も通用しません。『必要悪』といった概念などありません。『アンチヒーロー』が生きられるのは、それが許された時代(価値観)の中だけ。だから本作は『昭和』=『時代劇』の体裁にせざるを得なかったと考えます。ちなみに余談ですが、テレ朝の開局記念ドラマ『24JAPAN』が違和感アリアリなのは、獅堂現馬(ジャック・バウアー)が今の時代にそぐわぬ存在だからです。それも含めて私は面白と思いますけど。 最後に役者さんについて。人気俳優の皆さんが従来のイメージをかなぐり捨てて悪役に徹する様は見応えありで、多くの皆さんが俳優としての評価を上げたと思います。中でも松坂桃李さん。圧巻の役作りで、一皮どころか二皮も三皮も剥けたと思います。ずる剥けですな。完全に観方が変わりました。そんな中、一人大敗を喫したのが竹野内豊さん。明らかに場違いでしたが、高度な自己プロデュースで清廉なイメージを守ったとも言えます。何でも器用にこなせる事が役者の価値ではありませんし。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-01-20 18:59:35)(良:3票)
12.  今夜、ロマンス劇場で 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  絵本やアニメのように人の手で生み出されるキャラクターと違い、実写映画の登場人物には、演じる役者本来の人生があります。しかし姫には、俳優の人格が存在しませんでした。あくまでフィルムの中の世界限定、物語の住人として彼女は生を受けた訳です。しかも、姫は自分が物語のために創作された人物と気づいていました。作品が上映されている間のみ、限られた空間と時間の中で繰り返される人生。それが当たり前なら、自身の境遇を嘆くこともないでしょう。しかし、姫はフィルムの外の世界を知ってしまいました。色鮮やかな美しい世界。決められた台詞や動きに縛られない自由。愛する人との記憶が積み重ねられていく充実感。彼女にとってこちらの世界は楽園に思えたはずです。しかし、異なる世界の交流は、世の理(ことわり)に反しました。モノクロの肌に化粧で色付けできるのも、ずぶ濡れの衣服が一瞬にして乾くのも、2人が理を外れている証。理に背き恩恵を得た代償は、人に触れてはいけない、愛する者の温もりを感じられない罰でした。愛しあう2人は甘んじてその罰を受けいれたのです。2人は数十年に渡り罰を受け続けた末、男は天寿を全うしました。今度は彼が、姫がいるべき世界へ身を委ねる番です。 さて、同様の構造を有する物語として『人魚姫』が挙げられます。住む世界が違うという意味では『ロミオとジュリエット』も同じ。ご承知のとおり、これら作品の結末は悲劇です。しかし『人並な幸せが一番』という価値観の中では避けられぬ結末でした。そういう意味で、本作で2人が選択した『幸せのかたち』は異例中の異例だったと思います。劇中の昭和30年代日本では勿論のこと、同性愛をカミングアウトし、障がいを個性と捉える『多様性を認め始めた現代日本』においてさえ、画期的な決断であったと考えます。2人の選択を『幸』と捉えるか『不幸』と捉えるか、観客の価値観によってその判断は大きく分かれるはずです。 姫は人であって人でなく、その内面に複雑な思いを封じ込めている極めて難しいキャラクターでした。この難役を綾瀬はるかさんが見事に演じきったと思います。同じ美女なら30代より20代(失礼)、触れられる方が絶対良い訳はずなのに、主人公が姫を選んだ決断に違和感がないのは、単にラブストーリーというフィルターだけでなく、数々の映画で『主演女優』の大役を引き受けてきた綾瀬はるかさんの『女優の格』が成し得た奇跡と考えます。見くびっていたつもりはありませんが、綾瀬はるかさん、凄い女優さんです。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-30 18:24:58)(良:1票)
13.  こはく 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  『父は借金をこしらえて、女と逃げた』が兄弟の認識でしたが、『女性従業員の借金を肩代わりして立ち行かなくなり、経営する会社(ガラス工房)と家族を守るため協議離婚した』が真相でした。女性従業員の口ぶりや、父親友の態度から察するに、2人に男女の関係は無かったようですが、望まぬ離婚を強いられた母はさぞ無念だったでしょう。母は子どもたちに離別の詳細を語らず、当時幼かった兄弟の中で父は不鮮明な存在となり、『捨てられた』という思いのみが蟠ったようです。傍からみれば、「もう過ぎたこと」と思いますが、当人はそう簡単には割り切れません。昇華されない不確かな父の姿は棘となり、兄の虚言癖など2人の人格に少なからず影響を及ぼしています。2人が父を探したのは、恨みごとを言いたかったからでも、家族を捨てた真相を知りたかったからでもありません。ただ会いたかったから。顔を見て、触れて、確かな父親像を自身の中に持ちたかったのだと思います。自分という人間をつくる『核』のひとつとして。タイトル『こはく』とは、幼い頃に見た水面に映る夕陽の色(=思い出の象徴)であり、『時間』を閉じ込め保管する『琥珀』をさしています。 『母を訪ねて3千里』ならぬ『父を求めて30年』。探し当てた父親は悪人ではなく涙涙の結末でしたが、これは結果オーライでした。『借金を踏み倒して逃げた』負い目や贖罪から、父は家族と没交渉だったのでしょうが、リアルにクズだったり、落ちぶれていたり、野垂れ死んでいた可能性も十分ありました。この場合どうでしょう。棘を抜くつもりで傷口を広げる羽目になっていたかも。ここで思い出されるのがヤクザ(嶋田久作)の言葉です。「お前の半分は親父で出来ている。それでいいじゃないか」。変えられぬ過去に捕らわれるより、今を大切に生きろという意味。現状を正確に把握し『肯定』することは、生き抜く上で有益な処世術と考えます。さて次なる問題は無職の兄。父と再会を果たし言い訳のタネが消えました。しかし長年己が人生と向き合って来なかった代償は大きく、悪癖は簡単には治らないもの。希望の兆しは感じられますが、果たして仕事は見つかるでしょうか。人を魅了する力と虚言癖を活かして芸人にでもなったらいいのに。 大橋彰(アキラ100%)が良かったです。演技が上手いとは思いませんが、雰囲気がありました。ヨゴレ芸人が持つある種の悲哀が、人間味という味わいに転化していた気がします。酒井敏也さんのように「ちょっと頼りない」キャラで活きるのでは。役者での活躍が十分期待できると思います。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-09-30 18:22:41)(良:1票)
14.  恋するトマト 《ネタバレ》 
ネタバレあります。未見の方はご注意ください。  『恋するトマト』『クマインカナバー(ごはん食べましたか?)』。1つの物語にタイトルが2つ。これは『ラブロマンス』と『家族の在り方』、2つのテーマを内包しているためと考えます。まず『ラブロマンス』について。異国の地で結婚詐欺に合いどん底に落ちた主人公は、何とか立ち直り、運命の人と出会えました。彼女の家業を献身的にサポートし、信頼を獲得。弟くんを手懐け、ついには相思相愛の関係を築きます。今までの婚活のようにガツガツせず、しっかり手順を踏んだ事が功を奏したワケです。いわば怪我の功名。人間、挫折を経験するのも悪くありません(死なない程度に)。さて、このままフィリピンで2人が結ばれれば『ラブロマンス』として『妥当なハッピーエンド』でしたが、主人公は帰国を望みました。これには『農家長男の性』が大きく影響しています。本作で語られる『家族』の定義は、『夫婦』あるいは『夫婦とその子』ではなく『夫婦とその親』であります。かつての日本や農家、フィリピンでは当たり前の価値観です。ここから先が『家族の在り方』についての話。彼女の父親は日本へ嫁ぐことを許しません。傷みやすいトマトを輸入する難しさと同じ。美味しいトマトも、一緒に食卓を囲む家族も、生活圏内で確保するのが常道です。それでもなお、障害を乗り越えるのが『愛』でしょう。さて、一見ハッピーエンドにみえる結末ですが、果たして本当にそうでしょうか。2人が抱き合う前に終幕となったことが、どうにも引っ掛かります。ラストシーンは、主人公の願望が見せた幻の可能性も大いにあると推測しました。愛する彼女と同じ年頃の娘さんを日本へ売り飛ばしていた主人公が、報いも受けずに幸せになれますか?(結婚詐欺被害とは相手が違うので相殺不可)それに主人公が望む『家族の幸せ』と、彼女が求める『家族の幸せ』は等価値のはず。どちらかの犠牲で成り立つ『幸せ』をハッピーエンドと呼べるのかという話です。シビアな現実をラブロマンスで包み、口当たりは甘め。しかし噛みしめるほどに苦みを感じてしまいます。(以下余談)結末の解釈については、正直言い掛かりです。私もクリスティナちゃんは日本に来てくれたと思います。ただし実家への『金銭援助』は必須。カワイイ彼女も10年もすれば倍の太さになるでしょう。田植えと稲刈りで年に2回は里帰りするでしょうし、将来的には母国に帰るかも。子育て、借金苦、親の介護に悩まされる人生を、本当に主人公は望んだのでしょうか。いやー震えますな。もっとも、人生の悩みの大半は『お金』で解決します。主人公の場合、農業より別の道で才能を発揮できそうですが、自分自身で気づいているかどうか。やりたいこと、やれること、やらなければならないこと、向いていること。一致しないのが人生の難しいところです。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-10 18:54:55)(良:1票)
15.  コンフィデンスマンJP
“定番のどんでん返し”という自己矛盾をものともせず、作品を成立させている質の高い脚本は映画版でも健在でした。ただし本作は前半のテンポが遅く、退屈な時間帯もちらほら。これは本作のテーマ『ロマンス』特有のまったり感でもありますので、注文をつけるのはお門違いではあるのですけども。恋心という人の純粋無垢な部分を騙す下劣な詐欺でなかった点は良かったと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2020-02-10 21:23:10)
16.  コドモ警察 《ネタバレ》 
なかなかどうしてストロングスタイル。キャスティングのギャップと役者の滑舌の悪さ、そして往年の刑事ドラマのパロディのみでコメディを成立させています。福田監督常連飛び道工の佐藤二郎やムロツヨシを黒子扱いにするという徹底ぶり。これってなかなか出来ないこと。どうしても小手先の笑いが欲しくなるでしょ。私が監督なら、小野まじめ(クールポコ)をボスの後ろに黙って立たせときます。勿論あの「決め台詞」の度に見切れさせるために。せめてそれくらいの笑いの保険は欲しいところ。いやーこのコメディは、ストイックですよ。面白いかどうかというより、純粋に感心してしまいました。あと全然関係ないですけど、吉瀬美智子ってエロいですね。あの肩幅が。気のせいですか?そうですか。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-12-30 19:59:07)
17.  コープスパーティー Book of Shadows 《ネタバレ》 
メンツを代えての続編であれば、多分観なかったと思います(それほど魅力的な設定ではないので)。興味を引いたのは、前作で殺されたはずの“仲間を取り戻す”なる驚愕のイントロダクションを目にしたから。一体どういう理屈をつけるのかと、その関心一点のみで鑑賞しましたが、なるほどパラレルワールド方式を採用したのですね(あるいはドラゴンボール・セル編方式)。それなら納得です。ゲームをリプレイする感覚で鑑賞いたしました。セーブポイントに戻って失敗箇所のやり直し。何となく『サイレント・ヒル』っぽいですかね。でも案の定”運命“には逆らえません。これはまあ、仕方がないです。時間が来たら自動的に死亡なんて縛りが無い分マシと考えましょう。ただし、その分ドラマで魅せて欲しいワケです。わざわざ地獄に舞い戻って来るほどに、強力な覚悟があったはずですから。ところが、流されるまま、なす術なし。「私は諦めが悪い」という割に、主人公は大して足掻きもしません。というより、基本設定が無茶苦茶かつ無理ゲー過ぎるのです。もはや”ご都合主義“などという生易しい言葉では表せない、凄まじいテキトーさを感じずにはいられません(あばれる君の口調で)。これは、はっきりと、駄目です。
[インターネット(邦画)] 2点(2019-11-30 19:59:52)
18.  コープスパーティー 《ネタバレ》 
本作と続編『book of shadows』を連続鑑賞しての感想です。ちなみに観たのは『アンリミテッド版』だそうで。まずはコチラの感想から。率直にいって、思ってたより全然良かったです。舞台を現実から異空間に移すことで、様々な制約(いわゆる常識や固定観念)を取り除きました。結果「そんなワケねーだろ!」というツッコミ無効という恩恵を受けました(例:内臓ぶちまけた瞬間から蛆がわくって、どんな育成環境だよ)。チープかつ徹底して悪趣味でグロテスクなゴア描写も、B級ホラーとしては正しい在り方なのでしょう。また、私がホラー映画で重視視する”生還要件“を付した点も加点ポイントとなります。期待値が低かったせいもありますが、本作単独での印象は「そんなに悪くない」です。続編の感想につづく。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-11-30 19:59:17)
19.  ゴーストスクワッド 《ネタバレ》 
聞くところによると、本作は実在の事件にインスパイアされた作品とのこと。監督は作品を通じて被害者の心情を代弁したかったそう。スタンスは極めてシリアスなワケです。問題は、井口監督のアクの強い作風。いやハッキリと言いましょう。グロくて、汚ならしくて、下品で、悪ふざけが過ぎる監督のやり口と、制作の志が合うかどうか。普通に考えれば絶対無理なのですが、奇跡的な化学反応が起これば傑作が生まれる可能性はあったと考えます。生ハムメロンとか、納豆カレーみたいに(すみません。生ハムメロンの良さは分かりませんが、カレーライスに納豆は合います!)。私は決して井口監督のファンではありませんが(失礼)、不本意ながら監督の力量は認めています(またまた失礼)。実際『スレイブマン』には撃ち抜かれていますし。ただ残念なことに、というか至極当然に、ミスマッチは解消されませんでした。最大の失策は事件に対する踏み込みが甘かったこと。やはり復讐物語を描くのであれば(完全フィクションで充分なので)、被害者の痛みや苦しみ、無念さを観客へきちんと伝える必要がありました。最重要ポイントを蔑ろにしたために、いつもの監督の味(下世話風グロ味)だけが勝る結果となってしまいました。(以下多分書かない方が良い余談。だって私に得は無いので) キャスティングをNGT48荻野由佳、尼神インター誠子、上島竜平さんに所々差し替えたとしても、私は違いに気付かない自信があります。
[DVD(邦画)] 5点(2019-08-16 10:24:29)
20.  高台家の人々 《ネタバレ》 
物語の骨子は『ローマの休日』『プリティ・ウーマン』『ノッテイングヒルの恋人』と同じ格差恋愛もの。主人公の妄想癖は『赤毛のアン』や『アメリ』でお馴染み、愛すべきヒロインの定番キャラ設定のひとつ。平凡な主人公が、数々の障害を乗り越えて王子様と結ばれるまでを描くシンデレラ型ラブストーリーです。言わずもがな、本作最大の特徴は“王子様がテレパス”ということ。個人的には、DVや浮気癖に匹敵する無理案件だと思いますが、それを乗り越えるところに浪漫があるのでしょうね。さて、押さえておきたいポイント。それは木絵に対して語りかけた由布子の言葉「ちょっと妙な力があるくらい何よ」。母が子供たちの特殊能力に気付いていたことが判明します。2人の結婚を反対したのも、身内にテレパスがいる大変さを知っていたから。何となく流してしまいそうな事実ですが、これって結構重大な告白。何故なら、子供たちは両親に自身のテレパス能力を隠しているのですから。夫婦は“子のテレパス能力に気付かないふり”をして、育ててきたワケです。特殊能力など全く意識せず、丸ごと子供たちを愛してきた証。茂正Jr.の“空気を読まないほど馬鹿正直に思いを口に出す”人となりも、“何故そのような性格が形成されたか?”を考えると泣かされます。テレパス能力が無い人とだって、ちゃんと良好な人間関係が築けるのよ。だから自分の能力を否定しないで。それが父と母からのメッセージであり、高台家の教育方針。何という大きな家族愛でしょう。『高台家の人々』というタイトルの味わいが増します。この手の天然ヒロインをやらせたら、綾瀬はるかの右に出る者なし。素敵な“家族愛”の物語でありました。
[DVD(邦画)] 7点(2019-01-20 00:28:43)(良:1票)
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