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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2256
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  宮松と山下 《ネタバレ》 
香川照之が記憶喪失の役者というとまるっきり『鍵泥棒のメソッド』ですが、本作の場合コメディ要素は皆無です。淡々と綴られる日常。その全てが映画の中のよう。なぜ男は記憶を失ったのか。というより、なぜ記憶を失う必要があったのか。不意に、いやいや、訪れるべくして訪れた「宮松が山下を取り戻す瞬間」をどうぞ見逃さないでください。さすが名優香川照之の演技力。必見です。 ところで主人公の犯した「罪」の重さとは如何ほどでしょうか。法律というより倫理の領分。状況がいまいち不明ゆえ観客が審判を下すことは出来かねますが、少なくとも男にとってはリセットボタンを押したくなる程に罪の意識があったのは間違いないでしょう。記憶を失っていた12年はいわば懲役刑のようなものか。いや現状から逃げ出し自身の罪と向き合っていない以上罪を贖ったとは言えませんし、そもそも罪は消えません。そういう意味では12年の歳月は懲役ではなく執行猶予期間が正しいかもしれません。ただ、そうであったとしても12年は長い。誰かが「大抵の問題は時間が解決する」と言っていた気がしますが本当にそう。究極的には寿命が来ればご破算ですし。山下が言う「家族の問題」は兄が不在の間に自然と解決したように見えます。実際のところは分かりませんけども。ただ傍目からみる分にはこれで正解だと思いますし、宮松も納得している気がします。 それにしても記憶喪失で役者を志す思考回路が興味深い。消えたアイデンティティを探す感覚でしょうか。あるいは自分が無いから何者にでもなれる理屈でしょうか。正直宮松は役者としては三流ですが、過去を取り戻した今、一皮も二皮も剥ける可能性大かと。やはり土台があってこそ人は跳べるのです。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-05-21 20:15:05)
2.  ミセス・ノイズィ 《ネタバレ》 
元ネタは当時世間を賑わせた通称『騒音おばさん』。「引っ越せ、引っ越せ、さっさと引っ越せ、しばくぞー」とリズミカルかつパワフルに布団を叩く姿はインパクト絶大で、ワイドショーネタに疎かった私のような者でもハッキリと記憶しています。ただ、詳細については承知しておらず、こんな隣人がいたらたまったもんじゃないなと感じた程度の話。言い方は悪いですが、人面魚やアザラシのタマちゃんと大差ない、暇潰しとして消費されるネタキャラの一つに近い感覚だった気がします。 さて、センセーショナルなパッケージとは裏腹に、ドラマとしては実に丁寧に作られており感心しました。加害者、被害者、それぞれの視点で捉える事象。同じ意味の台詞でも言い方一つで印象が大きく変わりました。まさに『ミステリと言う勿れ』の整くんの持論「事実は一つでも真実はその人の数だけある」のとおり。改めて「一方を聞いて沙汰するな」を肝に銘じた次第です。結末は些か綺麗にまとめ過ぎかもしれませんが、心から反省した者へのセカンドチャンスは大歓迎であります。また元ネタの当事者が存命ゆえ双方に配慮する必要があったかもしれません。 最後にひとつだけ。これは実際にあった事件に着想を得た完全フィクションであるということ。実際の『騒音おばさん』事件の真相とは無関係です。ネット上では嘘やデマを含む様々な情報が散乱しており、その中から事実のみを抽出するのは不可能です。極論すれば裁判結果でさえも「事実らしきもの」でしかありません。数多くの情報を得やすくなった現代、私たちは以前より事実に近づけるようになったのでしょうか。結局は自分次第かと。信じられる自分でいられるように、でも自分を信じすぎないように。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-05-14 16:46:16)
3.  Mr.ノーバディ 《ネタバレ》 
邦題は『Mr.ノーバディ』原題は『Nobody』。私は勝手に「誰でもない男」=「どこにでもいる普通の男」と意訳してしまい、DVDパッケージのキャプションも相まって、マイケル・ダグラス主演の『フォーリング・ダウン』みたいに一般人がブチ切れるお話だとばかり思っておりました。しかしこれが全く的外れ。タイトルは『存在しない人』が正しく、主人公は何処にでもいる普通のオジサンではなく、国家レベルの力で存在を隠蔽してしまうトンデモない素性の男でありました。劇中の台詞を借りるなら、羊の皮を被った『狼』どころではなく『オルトロス』『キマイラ』あるいは『ケルベロス』クラスの化け物だったワケであります(注:当方現在『真・女神転生Ⅴ』にドハマり中です)。まあ、とにかく強いこと。でも決してスーパーマンではありません。普通に反撃をうけて傷だらけ。彼の凄さは技術面ではなく、精神面の方。修羅場を潜った経験値がべらぼうなんでしょう。そんな主人公のキャラクターが実に魅力的で、「やりすぎ」「無茶しすぎ」「ちょっとオフザケ」な超絶バイオレンスアクションを存分に堪能することができました。音楽もサイコー!大別すると『キック・アス』とか『ザ・ハント』と同じバイオレンスアクションで、コンプライアンス無縁の代物でありますが、体に良くないものほどオイシイのが世の常であります。
[ブルーレイ(吹替)] 9点(2021-12-06 22:19:58)
4.  未来のミライ 《ネタバレ》 
個人的にこのテーマはドストライク。くんちゃんが、お気に入りの黄色いズボンを前にして、青いズボンを脱ぎかけてまた履くシーンがツボ。映像で語るとはこういうこと。ファンタジー設定も理屈っぽくなく軽やかで良いじゃないですか(クレヨンしんちゃんか)。唯一注文を付けるとすれば、細田守は宮崎駿を目指さなくていい。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-06-07 18:26:59)(良:1票)
5.  ミッドナイト・バス 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  家族の終焉を描く物語。妻は嫁姑問題でいち早く離脱、娘は起業し家を出て、息子は異国へ旅立って行きました。寂しい事ではありますが、遅かれ早かれどの家族にも訪れるイベントです。たんぽぽの綿毛が飛び立つように、今居る場所から別の場所へ。辿り着いた先で根を張り、また新たな家族をつくります。多くの生物がその種族を繁栄させるために採用しているシステムとも言えます。さて、最後に残されたのは夫でした。大仕事終えた男の、今後の身の振り方や如何に。残りの人生、自由気ままに謳歌する道もあったでしょうが、彼が望んだのは新たな家族の構築だったようです。余力があるオスとして正しい選択に思えますが、如何せんタイミングが遅い。遅すぎます。一つ仕事をやり終えてから、次の仕事に取り掛かりたい気持ちは分かりますが、自分の都合だけで仕事は出来ません。ましてや協働必須の家族構築であれば尚更のこと。初婚ではないにしても、若い女性の貴重な時間を無為に奪った罪を、彼はきちんと理解しているでしょうか。今カノに別れを告げた件は、確かに彼女の将来を慮っての事でしょう。でもその背景には、元妻と復縁の青写真がチラつきます。要するに男は“独りになりたくなかった”だけでは。パートナーは元妻でも今カノでも、どちらでも良かった気がします。そもそも元妻との離婚も、夫が真剣に家族と向き合っていたら避けられた話。コニタン、そんな男がいいんですか。生活拠点はどこにする?家計の分担は?子どもを望む?本気で2人の将来を見据えていたら、課題を放置などしません。物分かりのいいコニタンは「一定の距離を保ってくれて楽だ」と言いますが、男に覚悟が無いだけです。コニタンほどのイイ女であれば、誠意のない男など袖にして問題なし。コニタンには情に流されぬ賢明な判断を期待します(注:本文中のコニタンとは小西博之ではありません)。  物語を整理してみて、改めて「良いお話じゃないな」と思います。泰造はダメ男でしょう。でもこれが結構標準的な男の姿という気もします。私も面倒な案件は後回しにしますし。そういう意味では、模範的ではありませんが、リアルな人生の有様が描かれていたと思います。それに子どもがちゃんと巣立ったのですから、十分合格点の『家族』ではありますし。さて、これからの2人について。結局コニタンは泰造を受け入れる気がします。やっぱりモテ男は強いですから。悔しいなあ。私が脚本家なら、「復縁なんて、許可しません(ハート)」でワインを頭から掛けてやりますけども。で、そのあとチューな(ツンデレだな)。  見慣れた景色が多数出てくるご当地映画で、本作の深夜便はライブ遠征等で大変お世話になった路線です。という諸事情込みで、若干甘目に採点しております。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-09-25 18:54:48)(良:1票)
6.  三十路女はロマンチックな夢を見るか? 《ネタバレ》 
本文激しくネタバレしております。未見の方はご注意ください。  クライムサスペンス+ヒューマンドラマ。前者の感想から。おそらく観客から総ツッコミが入るのは、強盗犯がアホだということ(良く言えば人がいい)。3人組が主人公宅に押し入るワケですが、余裕で逃げられます。もちろんそれで即御用では物語にならないので、主人公が“ある思惑”を持って強盗犯と行動を共にするという仕立て。主人公の行動原理で、まずミスリードが働きます。退屈な日常からの逃避。この部分はOKでしょう。ただし注文が付くのは、彼女の素性に関するヒント。単に“仕事に遣り甲斐を見いだせない公務員”で十分でした。何故に制服姿の同僚まで映してしまうのでしょうか。『どんでん返し』におけるヒントは細心の注意と計算が必要です。この致命的なミステイクで、『どんでん返し』の予備知識がある観客は結末を察してしまいますし、そうでない観客でも衝撃は各段に弱まってしまいます。ミステリーの手際は“バカ正直過ぎて下手”との印象です。次にヒューマンドラマパートについて。テーマは“夢を取り戻せ”(予告編より)。何だか某世紀末救世主伝説のテーマを思い起こさせるフレーズですが、これまた『何だかなあ』という感じ(阿藤快の口調で再生希望)。かくいう私も主人公と同じくチャレンジせず夢破れた組なので偉そうなことは言えませんが、生きてりゃ何かありますって。日常って意外とスリリングですよ。いろんな体験なり感情なりを咀嚼しながら、日々自分の人生を作っていくんです。主人公がこの刺激的な体験を通じた“自己改革”で導き出した答え=タイトル『ロマンチックな夢』を叶えた結末を否定する気は毛頭ありませんが、表層的で安易な着地点ゆえ『何だかなあ』と思ってしまうのです。ロマンチックって、もっと広い意味で考えて良いんじゃないかなあ。三十路ならではの経験値と視点をもってさ。
[DVD(邦画)] 5点(2019-07-30 18:55:41)(良:1票)
7.  ミスミソウ 《ネタバレ》 
壮絶ないじめ、両親を焼き殺される!~からの~復讐劇と聞いていたので、それはもう陰惨かつ過激な敵討ちを想像しておりましたが、実際それほどでもなく。確かに主人公の殺戮ぶりは容赦なく一線を越えておりますが、ヤッパ片手に敵地に乗り込む積極的な報復(任侠映画の如きノリ)はなく、見方によっては正当防衛(というか過当防衛)の範疇と言っても差支えない反撃に終始しています。あくまで相手からの仕掛けを待っての倍返し的な。決して仇の絶命や、苦しむ姿を見たいがための殺人ではありません。社会生活を営む人間が決して外すことのない“リミッター”を解除しているだけと見て取れます。ある意味それも致し方ないこと。本来コミュニティが保持している抑止力なり秩序なりが、何ら機能していないのですから。唯一覚悟を決めて対峙したであろう親殺しの実行犯にさえトドメを刺さぬばかりか、発端となった首謀者に赦しを与える主人公。復讐劇としては物足りなくもありますが、その分終盤に意外な展開が待っていました。もう誰も信じられない地獄の結末。八方塞。希望ナシ。ハッピーエンドが望めない物語であることは解りますが、そこまでやるかと。もちろん加害者に赦しを与えたところで魂が救われるとは思いませんし、差し違えての敵討ちにも価値は見出せません。ただ唯一、救いらしきものがあるとすれば、主人公とイジメ首謀者の間に、友情が僅かに残っていたことでしょうか。実際、首謀者は親殺しに直接関わっていませんでした(コレ重要)。首謀者が指摘した「他人の尻馬に乗って暴走する取り巻きは質が悪い」は正論だと思います(ただし、お前が言うなとは思いますが)。他人をダシに使って己の悪行(憂さ晴らし)を正当化するのは、卑劣極まりない行為です。責任をとる気が無いから、何でも出来るとも言えるでしょう。無責任な馬鹿が一番怖いということ。なかなかの鬱映画でありました。一瞬ギャグか?と思えるような軽薄なセリフや描写が散見されたのは何故でしょうか。除雪車が人を巻き込んでも緊急停止しないとか。基本設定は勿論ですが、全体的にリアリティを排除しているように感じました。マンガ原作ゆえのこと?あるいは凄惨な物語を薄める為に、わざと狙って粗いつくりなのでしょうか。
[DVD(邦画)] 6点(2018-10-30 20:25:15)(良:1票)
8.  ミックス。 《ネタバレ》 
『スポ根』+『ラブコメ』+『サクセスストーリー』の教科書どおりの仕様。それゆえ観易いというか、手堅いつくりとの印象です。細部に気配りも感じられました。例えば、元天才卓球少女と元プロボクサーというポンコツ負け組が、実業団トップと対等に渡り合うという“無理難題”を成立させるために数々のギミックが用意されています。「一流選手はミックス専門の練習はしない」「元天才卓球少女の底力」「一流ボクサーの運動神経」「1年という長尺の特訓期間」「右利き+左利きコンビのアドバンテージ」「道場破りで実力アップ」「元中国ナショナルチーム選手のコーチング」「敵チームの不仲」。これだけでも、本作が『卓球』というスポーツに対し敬意を払っていると言えましょう。それでもなお、卓球で必要とされる“技術”は一朝一夕で(下地のあるガッキーは兎も角も、瑛太は無理)身に付くものではありませんし、こと練習量で実業団選手を上回るとも思えません。元中学卓球部員としては、“在り得ない”と思うワケであります。また、男女混合(ミックス)を安易にラブストーリーのダシに使った点が腑に落ちません。それなら『社交ダンス』とか『フィギュアスケートペア』とか、男女が体を密着させている競技なんか、もう絶対デキてるって話じゃないですか!(失礼。興奮してしまいました。)冗談はさておき、肝心のラブストーリーが弱いことは否めません。決戦直前、卓球王子様からの再誘惑は「恋の最終ハードル」なのでしょうが、流石に無理があるでしょう。教科書に沿うがあまりの不自然さ。そもそもガッキーが冴えないOL役だったり、浮気されたりする時点で「そんな馬鹿な」ではありますが。サイドストーリーのドラマ(夫婦が卓球に打ち込んだ秘密、元ヤン心の解放)の方が、出来が良かったりします。
[ビデオ(邦画)] 6点(2018-10-25 19:53:42)(良:1票)
9.  巫女っちゃけん。 《ネタバレ》 
お寺(お坊さん)を扱った映画だと、元シブがき隊のモックン(←誰ももうこんな呼び方はしない)の『ファンシイダンス』や元チビノリダー(←これまたもう誰も呼ばない)の『ボクは坊さん。』、あるいは元ともさかりえの旦那(←スネオヘアー)の『アブラクサスの祭り』など、すぐに幾つか思い出されますが、神社(神主や巫女さん)を扱った映画ってほとんど無かった気がします靖(スッとぼけ)。日本人にとって身近な存在でありながら、実はよく知られていない神社の経営や巫女さんの生態が、どう映画の中で描かれるのかと期待しておりましたが、秘密のベールが脱がされるなんて部分はナシ。至ってオーソドックスなヒューマンドラマ&コメディとの印象でした。ネグレクトの少年と、同じく幼少期に母と別れた主人公(巫女さん)の心の交流がメイン。ぶっきらぼうなアリスちゃんがなかなかに魅力的でありました。設定、展開ともに“基本的に”ベタなのですが、ちょいちょい?が付く描写が。放火とか、カッターナイフで切りつけるとか、小さい子供にやらせたらイカンですよ。おそらくコメディとして許容される一線を越えています。悪戯は頭にゲンコツでは済まされる範囲でないとね。問題解決(ネグレクト母の改心)もイマイチ理由が解りませんが、それが「神様の力」と言われてしまうと、ぐうの音も出ないのがもどかしいところです。まあ、アリスちゃんの絶品巫女姿が頂戴できるという点で、すでに本作の存在価値が担保されているワケではありますが。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-30 19:16:58)
10.  みなさん、さようなら(2012) 《ネタバレ》 
『アヒルと鴨のコインロッカー』『ポテチ』に続き、またしても中村義洋監督+濱田岳コンビに「してやられた」というのが率直な感想です。団地の中で一生を終えると決めた男。そんなどこか滑稽なシチュエーションの裏側に隠された真相が明かされるまで、理由に思いを馳せなかった自分の鈍感さが悔やまれるというか。少し考えれば想像できるはずなのに。それくらい“濱田岳マジック”が効いていたとも言えます。彼の醸し出すナチュラルなリラックス感は、サスペンスを際立たせる優秀な緩和剤。いつの間にか観客は、シリアスなお話に覚悟なく向き合わされている寸法です。本作のテーマは母の愛。傷ついた息子を信頼し、彼が立ち直るまで「待つ」と決めた覚悟の深さに震えました。一歩間違えば共倒れです。でも彼女は息子の芯の強さに賭けたのです。確かに彼は団地に居ながらにして、一歩一歩、成長の階段を上りました。手に職を付け、異性を知り、己が大切な者を守る力を身に付けました。そしてキッチリ過去のトラウマを克服したのです。周りから嘲笑された空手修行が、コツコツ積み重ねてきた努力が、報われた時のカタルシスや絶大でした。母からの命を賭した最期の贈り物は、息子の背中を押すこと。子に一人で生きていく力を身に付けさせられたのなら、親の役目は十分果たしたと胸を張れます。死んで本望。私も悟と一緒に泣きました(てっきり悪漢を病院送りにした事でお縄を頂戴し、公権力の力を借りて団地から出るストーリーを予想していたので、この結末なら文句なしのハッピーエンドでしょう)。悟ちゃん、お母さん、おめでとう。本当に頑張りましたね。本作製作時点で24歳(!?)の濱田が、小学生役をやるなど、本来なら作品の世界観を壊しかねない危険な行為。しかし子供の心のまま大人になった主人公のメンタリティを表現するには、有効な手段だったように思います。やりますな、中村監督。沁みるお話でありました。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-09 00:57:16)(良:1票)
11.  ミロクローゼ 《ネタバレ》 
コメディ、ダンス、時代劇、ラブロマンスを不条理ファンタジーでオブラートした、“愛”をテーマとする3様態の物語。『熊谷ベッソン』と『片目の浪人・多聞』編は物語がリンクしているのに、『オブレネリ・ベレネリギャー』だけは完全別立てになっている時点で、ちょっと脚本を褒め難くいと感じてしまいます。個人的には山田孝之が完全に吹っ切れている『熊谷ベッソン』の馬鹿ミュージカルが面白かったので、これ一本で押しまくってくれた方が楽しめた気がします。
[DVD(邦画)] 5点(2013-07-19 19:29:49)
12.  ミンボーの女 《ネタバレ》 
伊丹十三監督の「女」シリーズは基本的にどの作品も同じプロット。宮本信子演じるスゴ腕のプロが問題を解決していく爽快感がウリ。ワンパターンと言えなくも無いですが、どれも娯楽映画として高い水準にあるのが素晴らしいです。本作もそんな作品のひとつ。今回の「女」は民事介入暴力専門の女弁護士。ただ主役は彼女ではありません。彼女はあくまでキッカケであり手段。暴力団に相対する主人公は、一介のホテルマンです。彼らは最初何も持っていない。女弁護士のサポートを受け、徐々に戦う術を身につけていくのが見所。大切なのは相手を知ること。怖い時に目を瞑るともっと怖くなる。震えた時ほど眼を見開かなければならない事を本作は教えてくれます。ただ、現実にはこう簡単には行かないだろうという事も想像できます。深いようで浅い、浅いようで深いのが暴力団。怯えずされど侮らず。出来ることなら、彼らと関わり合いなく人生を過ごしたいものです。
[DVD(邦画)] 7点(2009-04-15 20:54:29)(良:1票)
13.  みんな~やってるか!
お下劣、くだらない、バカバカしい。コメディを評する場合、自分はホメ言葉として使っています。でも本作には辞書どおりの意味で使いたい。「女とやりたい」というテーマはブレまくりで、たけしの好きな“ベタ”と“下ネタ”のコントを延々とやるだけ。一枚の画やちょっとした間の取り方にセンスは感じられるものの、それと笑えるかどうかは別物。到底、大衆に受け入れられる代物ではありません。少なくとも、たけしの存命中は。でも100年先はどうか。200年先は?もしかしたら巨匠の意欲作として、後世の評論家は褒め出すかもしれない。当然勘違いです。でも他人の評価なんて所詮そんなもの。そんな目論見があったのではないかと勘繰ってしまう。それぐらい、ハッキリと駄作です。それにしても、満足そうなDVDジャケ写のたけしの顔!もし本作の尺が30分なら4点、1時間なら3点を付けたと思います。
[DVD(邦画)] 2点(2008-10-12 21:51:28)
14.  耳をすませば(1995)
もし人物の設定が小学生だったら、違和感は無かったでしょう。あるいはどこぞの外国、ファンタジー世界の住人だったら素直に楽しめたと思う。でも「日本の中学生」という設定にされると、正直困ってしまう。自分の経験と照らし合わせてしまうから。自分の知る中学3年生は、あんなじゃないから。かといってリアルな設定を望んでいる訳ではありません。考えることの8割がエロ妄想の捻くれた子供の日常なんか観たくない(コレ自分のことですね苦笑)。ただ、サジ加減というものはある。本作の登場人物たちは、あまりに清くて正しすぎて、胡散臭いと思ってしまうのです。自分がまだ大人になりきれていない証拠でしょう。30も半ばなのに恥ずかしい限りでございます。もっと大らかな気持ちで素直になれたら、本作を好きになれる気がします。主人公の葛藤や選択には、感じ入るものがありました。自分には眩しすぎる映画でした。 (2019年1月12日追記)11年ぶりに地上波で再鑑賞。印象は初回投稿時とさほど変わりませんが、時代も変われば私の立場も変わるワケで。同じ年頃の娘を持つ身としては、処女作を書き上げて泣き崩れる雫の成長ぶりに、グッときてしまいました。自身を高めるキッカケとなる恋はいいものですね。そういう意味で聖司君には感謝したいところ。ただし、ラストのプロポーズはいただけません。お試し修行が終わったばかりのタイミング。本気で修行に打ち込む決意がゆえのこと?あるいは一種の現実逃避?いずれにしても10年早いわ。一人前になってからもう一度出直して来いと、私が雫の父なら言いたいところ。ずっと先を進んでいたイケメン彼氏も、年相応の幼さ(未熟さ)が残っていたとも言えますが。少年老いやすく学成りがたし。頑張れ若人よ。最後に一つ訂正を。初回投稿の「8割」は「9割」の間違いでございます。格好つけてました。すみません。
[地上波(邦画)] 6点(2008-02-26 18:57:15)(良:1票)
15.  ミッドナイトイーグル 《ネタバレ》 
(すいません。大いにネタバレありですので、未見の皆様はご注意ください。)     雪山に挑む大沢と玉木。彼らが命を賭す理由が見えません。謎の集団に狙撃され、雪崩で荷物を失い、それでも目的地を目指すという。雪山での“勇気”が何かを、彼らはよく知っているはずです。玉木の「逃げたくない」では動機不十分。増援ヘリの出動も意味が分からない。吉田と大森の友達トークなど聞きたくない。トマホーク着弾までのおよそ10分間、核爆弾をテロリストから死守することがどれほど困難か。そんなときに呑気にカメラを拭いている大沢に呆れる。どれもほんの少しのフォローがあれば納得出来ました。吉田から2人に事情を説明して助力を請えばいい。ヘリは状況説明のために一機落す。大沢は銃が持てない程負傷すれば問題ない。難しい仕掛けは要りません。気遣いが欲しいのです。それが娯楽作品でのリアリティだと思います。他にも気になる点がある。キーパーソンは大沢の無線を受け取った濱田岳くん。民間人である大沢に最終手段を提案されるほど、当局は不甲斐無い。なら岳くんだって後半活躍できたはず。せっかくの良キャラを活かさないのは勿体無いです。大沢と竹内の関係性も希薄。重要な2人のドラマが迫って来ない。竹内の最後の台詞「許さない」が、単に冷たい言葉に聞こえてしまっては意味がない。大切なのは構想だと思います。一人のキャラ、一つの台詞を活かすためにどうするか。そのための尺はたっぷりとある。その場しのぎでは、どんな魅力的な人物も、深い言葉も、輝かないと思います。
[映画館(邦画)] 5点(2007-12-03 18:10:34)(良:3票)
16.  水霊 ミズチ 《ネタバレ》 
大量の水を摂取し、幻覚をみる。果ては我が目をえぐり自殺する。類似事件が続発します。原因は不明。疑いの目が向けたれたのは水道水。そして呪われた水の伝説。その水の名は「しにみず」または「みずち」という…。当然、観客の興味は謎の究明です。呪いの水の正体は何か。本当に呪いか?はたまた新種の病原菌か?しかし物語は意外な結末を迎えます。数多ある「どんでん返し」系の作品を凌ぐ衝撃。ただし爽快感は皆無。困惑するばかり。「好きな食べ物は何ですか?」と尋ねたら、「実は昨日ひとり殺しちゃって」と告白された時のような。そりゃ驚きます。でもそんな事訊いてないよ。もっともそれ以上に、根本的な部分に問題がある。脚本と演出のセンスに難ありと感じました。いきなりモノが「ガタッ」。突然、肩をつかまれる。ビックリします。でもそれくらいのイタズラなら小学生でも出来る。最初のショッキングシーン。女子生徒がペンで自分の目をグサッ!ここはツカミ。重要なポイントです。でも凡庸な演出に閉口。井川が渡部のビデオメッセージを発見するシーン。部屋に入る井川→ビデオカメラを見つける→カメラの中身は無いと確認→ビデオテープ入りの手紙を見つける→先に見つけたビデオカメラでテープ再生。一見するとなんでも無いシーンです。でも違和感がある。なぜなら井川が知るはずのない“ビデオメッセージは存在する”という前提が透けて見えるから。問題視するほどの事ではありません。でも細かい部分にこそセンスが現れると思います。ジャストタイミングで自殺を図る星井と井川に至っては、もはやご都合主義では片付けられない何かを感じます。ただ型どおりに作った万人向けホラー(例『着信アリ』)よりは、いろんな意味で楽しめたかも。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2007-08-21 18:35:16)
17.  みんなのいえ 《ネタバレ》 
職人と芸術家に挟まれて、若い旦那さんは右往左往。夢のマイホームの姿があらぬ方向へ進んで行く様を笑って欲しい。唐沢と邦衛が互いに理解を深めていく過程には、温かいものを感じて欲しい。それが監督の注文だと思います。そもそも三谷監督の真骨頂は、爆笑よりも“ニヤリ”の笑いだと思います。そういう意味では、自分は注文にはまりました。でも苦笑いの方が多かったかも。2人の和解については、正直心に響きません。それは、2人が仲良くなっただけだから。それでは浅いです。真田広之がカクテルをつくるシーン、唐沢に対してココリコ田中が声を荒げる場面からは、“プロの仕事は自己満足であってはならない”というのが監督の主張が読み取れます。どうもその主張と展開が合っていない気がします。バーテンの独りよがりな姿を見て、唐沢が(悪いほうに)感化されるのは変ですし、邦衛が自身の主義を曲げて唐沢に歩み寄る部分がないのも物足りない(タイルの件は自分の嗜好に会っただけ)。依頼主の願いを尊重する“プロの仕事”を感じたいと思いました。長回しの多用など、映像的な工夫は感じられます。ただ物語としては、イマイチでした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2007-05-09 20:41:29)
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