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皮マンさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 225
性別 男性
自己紹介 当方のレビューは全て独断と偏向に満ちております。
「公平・公正なレビュー」などというつもりは金輪際毛頭まったくありませんので、どうぞご安心ください 。

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1.  人間蒸発 《ネタバレ》 
当人にとっては事実の証言であってもカメラが入っていることを認識している以上、話すことには必ず演技の要素が入ってしまう。そしてこの映画には到底演技とは見えない自然なものから極端にわざとらしいもの、更に単なる素人の棒読みまで、色んなレベルの演技がごたまぜになっている。ヒロインとレポーターの露口が不自然な演技者の代表格。ドキュメンタリーの取材者と被取材者でありながら監督の命を受けて異様な恋愛ごっこを演じてみせる。謎なのがヒロインの姉。その話しっぷりはどうみても自然で嘘をついているように見えない。しかし彼女の証言が虚偽であることを匂わせる証言者が複数出てきて、ラストはそのうちの一人と姉が対決するという構成になっている。この証言者というのがまた思い込み系の人に見えてどうも信用できない。そして姉に証言の内容を否定されることでその思い込みがますます深くなっていくように見える。観客にはどこに真相があるのか・どういうつもりの作品なのか全くわからなくて腑に落ちない気分が最後まで続く。途中何度かイタコの口寄せが挟まるが、イタコはどんなに真に迫って見えてもその発言は嘘にきまっている。正真正銘の嘘つきという点に於いて、他のどちらともつかない出演者よりむしろ信頼できる。イタコがこの混乱した映画の中ではほっとするような息抜き的存在になっているのだ!…ラストの対決の舞台が浅草橋の路地というのは私のような昭和マニアには堪らない。いかにもATG的な実験作品なのに、やってることが下世話なワイドショーなので決して気取ったお芸術風にならず最後までバカっぽいテイストで実にすがすがしい。唐突に解散になるラストはまるでモンティパイソンのホーリーグレイルだ。
[DVD(字幕)] 10点(2016-05-25 08:28:48)
2.  競輪上人行状記
競輪にはまり、どこまでも堕ちてゆく男の生き方を容赦なく下世話に、それでいてどこかユーモラスに描いた大傑作。中学教師である小沢昭一の転落っぷりもすごいが、南田洋子の役どころが犬殺しでマゾの未亡人!葬式仏教に対しての批判をストレートに描いているのも素晴らしい。原作者寺内大吉が坊主だということを思うとその底知れぬ無常観に感動を禁じ得ない。小沢昭一のライフワークだった放浪芸への愛着がラストに劇的な形で活かされていて深みのある物語を更に別次元に引き上げている。地方競馬にロケした本作のエンディングは今まで観た幾多の映画の中でベスト中のベストだ。
[映画館(邦画)] 10点(2014-11-16 11:18:04)
3.  千と千尋の神隠し
今時少女売春を賞賛した驚くべき作品。子供の売春どこが悪い!という危ない主張の込められた映画を日本中のよい子たちに見せたのだから宮崎監督は本当に逝っちゃっている。誤解しないでほしいが、けなしているのではない。古き良き、おおらかな日本の性風俗に対しての深い共感が胸を打つ。私には幼女趣味はないが、多くの人が “当たり前” と疑わない現在の性道徳に対し、くさびを打ち込もうとする宮崎氏のその勇気ある姿勢には尊敬の念を禁じ得ない。 但し普通の映画作品として特に面白いわけではない
[DVD(邦画)] 10点(2013-04-10 13:17:36)(笑:1票)
4.  クレージーだよ 奇想天外
主役の谷啓を地球の習俗にとまどう宇宙人という役どころに持ってきたのは大当たりで、彼がとぼけた演技しているだけでそのまま宇宙人に見えてしまう。活躍の舞台も地球人への理解が進に従ってボロアパートから国会までフレームアップしていくのが快感だ。「アパートの鍵貸します」からの影響がうかがえるが、それもクレージー映画というフォーマットの中にみごとに昇華しきっていて清々しさえ感じる。更にコメディでありながら反戦テーマが無理なく織り込まれた脚本は奇跡的ですらあると思う。脇を固める役者もみながハマっているが特に若き日の内田裕也が異様なノリ具合で、ステージでウンコを我慢しながら熱唱するロックスターを真剣に演じていてびっくりだ。
[ビデオ(吹替)] 10点(2007-08-22 19:34:35)
5.  ゲド戦記
驚いた!ある意味最高に面白かった。監督は父、駿氏の影を追うことで手一杯で、それすらもことごとく要所をはずしている。原作を未読なので絵のことしか語れないが、デッサンが怪しい、色がきたない、構図が悪い、カメラワークに冴えがない、等々が親父の作品との違いじゃぁほとんど素人まるだしじゃないですか。アニメというメディアはトップに才能がないといくら優秀なスタッフを集めても全く力が出せないということが良く分かった。やる気にならなかったんでしょ、背景さんも色彩さんも。製作現場の雰囲気はまともなものだったのだろうか。その様子が見られる特別版のセルDVDが欲しくなったのは初めてだ。100円くらいだったら買ってしまいそうだ。本作を観て父、駿氏は大変な才能の持ち主なのだということも思い知った。こんなみっともないドジを踏むジブリというスタジオがハリウッド式量産体制とは全く無縁の“真の芸術希求の場”だということも理解できた。なにより駿氏が息子の仕事と割り切って手助けを一切していないことが画面からひしひしと伝わってきて清々しささえ感じた。いやはや凄い親父もいたものだと思う。いくらなんでもこれはまずいと思わなかったのだろうか。息子のやっていることが破滅的行為だということは彼が一番感じたはずなのに。彼が“人間らしい心”をもってちょこっとアドバイスしてあげればここまで素人くさい作品にはならなかったはずなのに。ケンカしていたそうだがこの出来を見ると本当にまったく口出ししなかったようだ。原作者との因縁を知ると完全無視できるような状況じゃなかったと思うのだが。二人とも大人げないことこのうえなしだ。この作品をめぐる様々な状況も含めて実にエキサイティングな、そして眼からウロコが落ちまくりの素晴らしいイベントだった。吾朗氏はくじけずにこの結果を一切糧としないでヤケクソになって狂った作品をどんどん作って欲しい。その中からきっと彼独自の世界観が立ち上がってくるはずだ。次作が本当に楽しみだ。………(追記:後にこの期待は裏切られた)
[DVD(邦画)] 10点(2007-08-04 20:35:26)(笑:6票) (良:3票)
6.  切腹 《ネタバレ》 
みなさまの評を読んでこれはと思い借りてみました。映画にかぎらず回想のなかから真実が立ち現れていくタイプの作品には名作が多いと思っていましたが、これは傑作中の傑作ではありませんか!脚本勝負で進行していた物語が、最後に渋い演出とはいえチャンバラになってしまったのがちょっと心残りですが、それをさっぴいてもあまりあるドラマ作りのうまさには昨日までこの作品のことを知らなかったのが信じられないほどの衝撃を感じました。この話にあっては善人たちのあまりの辛さに、普段ばかにしている勧善懲悪的なカタルシスを渇望してしまいました。しかし作り手がそうしなかったのは「作品のテーマを現在の我々のものとして肝に銘じておくべし」ということなのでしょう。このサイトのおかげでこんな名作に出会うことができました。文章が小学生になってすみません。それほどのショックでした。サイト管理者の方、それにこの作品を推しておられる全ての評者のみなさまに深く感謝する次第です。
[DVD(字幕)] 10点(2005-04-30 20:10:30)(良:1票)
7.  カルメン故郷に帰る
初の国産カラー映画だそうだが、それ以上に驚きのトリップムービー(但しバッド・トリップ)だ。なにしろタイトルバックからして尋常じゃない。地獄の底から響いてくるような、デビューした頃のあがた森魚みたいな、聴いてると死にたくなる短調の陰々滅々とした童謡。その背景に映し出されるのは脳天気風な筆致の田舎風景のイラスト。画と音楽とが完全に乖離していて制作者の意図が全く理解出来ない。そしてこの異様な乖離は映画全編を貫いているのだからびっくりだ。どうやら真面目で陰気な田舎の人間と軽薄で脳天気な都会人の対比の面白さを狙ったように思えるが、二者のコントラストがあまりに強すぎて二つの世界観を脳内で融合させることは難しい。しかしそれは仕事に対するいいかげんな姿勢の結果というわけではなく、絵的には初のカラー作品という企画意図にばっちりはまった良い画が続出する。まず非常に見応えのあるパノラマ的大自然が美しい。ぼろい建物やトロッコみたいな列車や馬や牛などの動物が昔のカラーで見ると意外なほど活き活きしていて楽しい。もちろんぴちぴちした肢体を見せつける二人のおなごもたいへん眼に美味しい。そんなこんなで感じるバイタリティを、全ての浮かれた気分を、ありえないくらいダウナーなテーマ曲が徹底的にぶち壊す。これが悪い夢を見るような不快さで私のようなトリップムービー好きには堪えられないご馳走だ。おそらくそんな前衛を意図したわけではないだろうから、この違和感は「なんのかんの」さんが仰るように時代の価値観が違うせいなのだろう。戦後の退廃的な世相を皮肉る意図もあったのだろうか。確かに続編の「カルメン純情す」からは監督の「戦後」に対しての苛立ちが感じられる。いずれこんな鬱陶しい曲が違和感なく感じられる辛気くさい世の中など私はまっぴらごめんだが。
[DVD(邦画)] 9点(2017-01-23 15:00:07)
8.  大魔神
タメが効いた作品の最高峰!なかなかその姿を現さない大魔神。無力な人間どもの神をも恐れぬ所業でひっぱれるだけひっぱって、観客の魔神登場に対する期待感が頂点に達したところで《《《!!どっかーん!!》》》と出てきて爆発的威力を見せつけ、観客がびっくりして思考停止している間にさっといなくなちゃう。これぞ怪獣映画のお手本!否、怪獣映画というワクを越えてもこれほどのカタルシスを味わえる作品にはなかなかお目にかかれない。いざ暴れ始めると善悪という価値観も関係ない存在という点も神話的で案外深いものがあるような。大人になって見返す怪獣映画は、かつてこんなものに夢中になった自分が単なる低能なガキだったことを思い知らされるものがほとんどだが、この作品だけは今でも充分楽しめる。さすが幾多の名監督を擁する大映京都。撮影環境とスタッフの底力が同時期ガメラシリーズを作っていた大映東京とは全然違う。
[映画館(字幕)] 9点(2004-04-16 04:21:14)(良:2票)
9.  怪談(1964)
どういうわけかこちらでの評では「耳なし芳一の話」の人気が低いが私は断然「芳一」を支持する。「黒髪」は話が単純すぎ。「雪女」は(本作の舞台装置は「型」だと理解したうえであっても)息が白くならないのが致命的でどうにもノれない。「茶碗の中」は珍しいリドルストーリーとして悪くないがあくまでオマケ的な扱い。そこへいくと「耳なし芳一の話」は元々の話の抜群の面白さに加え、海岸ロケ・屏風絵・セットの海・寺・屋敷・文字だらけの芳一の姿と、おいしいビジュアル満載だ。平家の武家屋敷でのシンメトリーを強調したキューブリックを思わせる構図も高い効果をあげている。さらに劇中で案じられる琵琶の演奏は、邦楽に見識がない私のような者にも充分その良さがわかる素晴らしいものだ。
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-13 15:33:44)(良:1票)
10.  セックス・チェック 第二の性 《ネタバレ》 
女だと思っていた選手をオリンピック出場のために「男になれ」といって育てたコーチが、彼女がふたなりだということが分かり、今度は「女にする」といってやりまくり、女にしすぎて失敗する。そんな冗談みたいな噺がシリアスなドラマとして存在するのだ。長年センス・オブ・ワンダーという言葉はもっぱらSF作品に使うものと思っていた。しかしこの作品から受ける衝撃はまさにセンス・オブ・ワンダーとしか言いようがないタイプのものだ。「女になる」という言葉の意味が一瞬よく分からなくなる快感。原作者も監督もアタマがおかしいのではないかと賞賛したい。緒形拳のキレっぷりが恐いくらいなのにも心底驚いた。動物のような安田道代と、マネキンのような小川真由美もすごい。寺内大吉原作の映画2作品は「競輪上人行上記」といいこれといいハズレがない。他にももっと観たいのだが残念なことに現在観られるのは二つしかないらしい。
[DVD(邦画)] 8点(2014-11-11 21:58:40)
11.  桐島、部活やめるってよ
クラスのイケている連中とイケてない連中が平行して対称的に描かれる。そのメリハリの効いたキャスティングと芝居の付け方が素晴らしく、演技を観ているだけでも面白い。加えて不在の桐島についてどのような落とし前をつけるのか気になって最後まで興味が持続する。音楽はあまり使用されておらずほぼ現実音のみなのに、クライマックスではそれが劇的な効果を上げるように設計されている。不意打ち的に涙腺を緩ませるその使い方はちょっとあざとさを感じるものの許容範囲内だ。「エレファント」の先鋭的な手法を下敷きにしながら分かり易いテーマとドラマチックな展開を持つ本作は、娯楽性と文学性を高次元で合体した良作だ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-01-04 16:05:49)
12.  座頭市地獄旅 《ネタバレ》 
市のライバル成田三樹夫氏がえらくカッコイイ!プライドのありかが将棋と剣の勝負のみに集中しきっている浪人。剣豪が日銭を稼ぐのに自分を打たせる大道芸なんかしているのがいい。そのことが彼のニヒルな人間性をさらっと表現していて上手い。物語り的にも市との脳内将棋バトルが要所要所に挟まれていて、二人の関係の深まり具合を示す良いアクセントになっている。仲良く遊んでいたのに結局対決することになる動機が判然としないが、成田氏の佇まいと行動を見るとくだくだした理屈は不要と感じてしまう。そういう狂犬のような人同士なのだな、と。三度目の対局で、徐々に将棋を指すテンポが上がっていき、一気に斬り合いになだれ込むくだりのカタルシスが気持ちいい!このクライマックスは同年発表の博打映画の傑作「シンシナティ・キッド」とそっくりなテンポと目のアップだが影響をうけているのだろうか。それにしても三隅監督は行間で語るのが本当に上手い。
[映画館(邦画)] 8点(2011-11-04 09:16:23)
13.  黒い画集 第二話 寒流
素晴らしい点が3つ。1:主要登場人物みんながいやな奴であること。主役の池部良も悪人というほどではないがつまらない仕返しを企んだりする。2:終盤になっても新たな登場人物、新たな場面が展開すること。丹波哲郎のやくざ、宮口精二の探偵などおっ、と思う意外な人物が良いタイミングで登場し退屈させない。特に丹波哲郎の存在感は圧倒的だ。少ない出番にもかかわらず思わず背筋が伸びてしまった。3:テルミンを多用した音楽。無機質なテルミンの音色は余計な情緒誘導を感じさせず、この物語がどっちに転ぶかわからないという点に大いに貢献している
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-02-13 17:54:49)(良:1票)
14.  ハウス/HOUSE(1977)
珍奇で楽しい映画だねー。バカなせりふ回しも背景を背景画として見せちゃうメタなノリもチープな特撮も適度のグロさも活きのいい女優陣も~すべてがうまくかみ合ってる感じ。これほどポップに明るさとグロさが共存している邦画は他に類例をみないのではないか。その後作られた同監督の漂流教室なんかの失敗をみるとこれがいかに奇跡的な作品か良くわかる。ラストに近づくと女の戦い的テーマが思わせぶりぽく立ち現れるが、到底そんなこと本気で描きたかったとは思えないので無視!大林氏はバカになりきることに罪悪感でもあるのかな?いいじゃん変態で!
[映画館(字幕)] 8点(2005-01-17 17:57:55)(良:1票)
15.  眠狂四郎 女妖剣
苦悩に満ちた重苦しい基本フォーマットを利用しつつ実はエログロナンセンスがやりたいだけという好きなタイプの作品。冒頭、禁欲を宗とする宣教師と色っぽい女性を同牢させてコロばすというシーンが出てきます。溢れる性欲と思想信条の板挟みになった宣教師の苦しむ様子を幻覚キノコをキメたような映像でしつこく表現しているの。う~んバカっぽい。そんなん悩むな!換わってくれ!
[映画館(邦画)] 8点(2005-01-13 20:42:49)(笑:2票)
16.  忍ぶ川 《ネタバレ》 
これは珍品。単純な恋愛物、それもハッピーエンドのラブストーリーなのだが、作品全体を覆い尽くす不穏なムードはレベッカあたりの心理サスペンスのようだ。精神的に壊れた小姑のいる旧家に嫁ぐ栗原。普通ならどえらい事が起きるはずのプロットなのに、小姑はよくいるアスペというくらいのもので結局何も起こらない。では見所はどこか。まず画面構成が素晴らしい。日常風景の中の幾何学的オブジェ(階段や橋のトラスや障子の桟など)を上手く画面に活かすその美意識に感服した。そしてそれらの素晴らしい背景画にはめ込まれ、テクスチャマッピングみたいな異様な顔の加藤剛と、これまた人間離れしたハイパーブリッ子演技の栗原小巻。このプラスチッキーな二人のラブラブな様を見ているだけで、人様の悪夢の中に迷い込んだような居心地の悪さと不条理感を味わえる。主役なので当たり前とはいえ、両人ともこの世のものとは思えない浮きっぷりで、画面からせり出すような顔の圧迫感が凄い。物語はそんなカップルがラストは初夜の貫通式を無事迎えられてめでたしめでたしという脳天気な話で、恐ろしげなムードは一体何だったの?と肩すかしを食らわせられる。これが却って意外性があって良いのだから映画って不思議だ。但し残念なことにクライマックスの濡れ場があまりいただけない。栗原が浴衣を脱ぐプロセスで、裸のバックショットを狙える場面があるのに手慣れたストリッパーのようにサッと隠してしまい、尻とか一切見えない。乳首がチラチラ見えるのは結構なのだが、終始布団に入っていて体全体のボリューム(特に下半身)が分かるカットがひとつも無い。愛撫に対する反応もごく控えめでまるで不感症のように見える。ウブな女ということを表現したのだと思われる硬い演技の結果、全く欲情をそそられない。これでは加藤剛も内心あてがはずれたのではないか。清楚系女子は性行為中狂気を感じるくらい豹変してこそ、その清純さが価値を持つのだ!
[地上波(邦画)] 7点(2017-11-23 15:49:17)
17.  乱れる 《ネタバレ》 
惜しい。実に惜しい。互いに引かれあいながら女の異常な潔癖症のために、なかなかぐさっ!といかない二人。「あたしだって女よ」なんて重大な告白した高峰秀子と温泉旅館の部屋に二人っきりになった時点でもう加山雄三は勝利を摑んだも同然だったのに!密着を期待しつつも狂人クラスの古い貞操観念が邪魔をして心の準備が充分できていない高峰が反射的に放った「堪忍して」の一言に、これまた反射的にむくれちゃったのが加山の敗因だ。あそこはあんなにすぐふて腐れちゃっちゃあいけない。眠狂四郎みたいな気分になって「一度味をしめたそなたの肌が男を求めていることはそなたがいちばんよく知っておろう」と余裕を持って切り返すべきところであった。そこまで達観できなければ植木等みたいに「お呼び出ない」とか言って誤魔化してちょっと間をおけばいい。そうするとスタンダール先生が「恋愛論」で仰るように彼女の中でエッチな妄想がどんどんふくれあがることだって大いに期待できる♥ とりあえず風呂に入って(これ重要)、とりあえず飯を食って酒でも飲んで、とりあえずふとんに入る。その間浴衣をはだけるとかしてちょいちょいそっち方面に意識を行かせるようにすれば、性交成功の確率は3000倍くらい上がったのに。ああいう無理して性欲を堰き止めてるっぽい女はセルフ寸止め状態だから、ひとたび一線を越えるとありえないくらいにひーひー「乱れる」ことも期待できたのに。和風旅館の小道具、浴衣の紐や座椅子や梁なんかもうま〜く使えばいいのに♥♥♥ ちなみにブチッと唐突に終わるタランティーノみたいなエンディングは文句なく素晴らしい!
[DVD(邦画)] 7点(2016-12-31 11:32:01)
18.  FAKE 《ネタバレ》 
今までの報道や経過から想像していた佐村河内像を出ない。序盤監督が彼に「私を信じていますか」なんて問いかけ「信じています」と言わせるといった気味の悪いやりとりなんかあって驚く。目に映るものの嘘・まがまがしさがテーマの作品なので全てが意図的なものと思われるが、佐村河内氏の発言は嘘も真実も中途半端に含んでおり、信じる信じないなんてことを大真面目に問うてもあまり意味が無いように感じる。彼は筋金入りの演技性人格と思われるので虚と実がぐちゃぐちゃに混ざり合っているのだろう。演技性人格という点では監督も相当なものだが。表面上二人が低次元でかみ合っているせいかその展開に意外性はほとんどない。中盤民放テレビマンが登場して信じられないくらい嘘くさい振る舞いを見せてくれ、その卑しさに圧倒される。「あなたをおもちゃにしない」などとテキトーなことを言っているくせに、誠意があるように見せるため意志の力で目が泳がないようにしているのが見え見えで、このシーンが一番興味深かった。仕事とはいえ気の毒なことだ。相対的に佐村河内氏の方がまともな人に感じられてしまうこのシークエンスが、映画の意図を最も端的に表現した部分だろう。彼は豆乳が異常に好きだということが明らかになる不思議なエピソードも実に怪しい。あの底知れない人風のキャラは奥さんと一緒に作り上げたものではないか。というか「人形使い」ではないが、奥さんの方が本体で佐村河内氏は彼女の期待に添うように演じているだけなのではとさえ感じさせる。彼女がいなければ佐村河内氏は別のキャラで新たな人生を演じる可能性が高いと思った。試写会で「絶対に口外しないで」とアナウンスされたラストはそんなに驚くほどのものではない。これもまがまがしさ演出の一端だったのだろう。総じて今村昌平のメタドキュメンタリー「人間蒸発」の系譜という印象。
[映画館(邦画)] 7点(2016-11-30 22:09:01)(良:1票)
19.  黒い画集 ある遭難
話自体はシンプルな心理物ですが移り変わる美しい風景が一種ロードムービー的な効果をあげていて飽きさせません。あの高地までカメラを持っていくのは随分苦労したと思われます。山の素晴らしさと怖さをしっかり感じることができたので優れた山岳映画と言えるのではないでしょうか。途中で人称が変わる点もこのミステリーに於いては良い効果を上げているように思います。開始1時間のあたりに編集上のミスがあります。連続したシーンなのにカットが変わったところで雲が派手に移動してしまっているのです。しかしCG全盛の今の目で見るとそれがかえって生々しいロケ感を表現していて好ましいことのように思えました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-30 00:50:10)
20.  侍(1965)
テーマも深く、物語としてもたいそう面白い。複雑な人間関係を上手く整理して、じっくり時間をかけて小出しに見せていってくれるので中だるみがない。史実に沿った話でもあり、要所に書記の視点を挟む構成も説明調の台詞もナレーションも、ドキュメント風味の味付けに貢献していて実に心地良い。特に複数の証言者の回想を劇中の実時間と無理なくからめていく手腕には感心した。主要登場人物のすべてが、ストーリーの中で重要な役割を与えられていて一切無駄がないのも素晴らしい。さすがは「幻の湖」を世に出した脚本家だ。わずかに残念なのは、脇を固める役者陣の説得力に比して、肝心の三船氏の演技がいまいち地に着いていないように見える点。舞台劇調の台詞回しをうまく消化仕切れていないように感じるのだ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-06 13:26:50)
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