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581.  にっぽんぱらだいす
赤線を描いた映画はこれまでも幾つか観てきたが、この映画でも描かれているのは男社会の中で厳しく生き抜く女達を力強く描いていて、彼女らの人生、これから先、見えてこない希望、それでも何かにしがみつきながら生き抜こうとする姿、ラストのあの軽快な音楽の中、絶望的だと解っていながらも明るく振る舞い去って行く姿にはある意味、希望が見えるそんな気がした。
[ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-13 11:27:50)
582.  落第はしたけれど
久しぶりの小津映画!小津監督によるサイレント映画はまるでチャップリンやキートンの映画を見ているような動き、無駄な台詞を極力避けて、俳優の動きだけで解らせる。この場合だとあの教室でのやり取り、カンニングしようとしては失敗する姿が何とも笑える。全体的にやや、しんみりした感じではあるが喜劇としてはなかなか面白い。みんながみんな同じ動きをしている姿などサイレント映画ならではの見事な動きだし、小津監督はやはり喜劇の監督さんなんだなあ!見ていてそう感じた。
[ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-12 20:38:26)
583.  世界大戦争 《ネタバレ》 
凄い。凄すぎる。戦争の恐怖に対しここまで徹底的に描いて見せたこの凄さ。特撮シーンの凄さ、恐ろしいほどのリアルさに眼を奪われがちですが、そんな中、フランキー堺演じるタクシー運転手の一般庶民の眼から見た戦争に対する怒り、悲しみ、そして妻、娘への思いやり、人間の優しさが全てフランキー堺の演技から見てとれる素晴らしい映画です。。娘が恋人との別れを済ませるあの場面のコウフクダッタネの通信、ここらから終わりまで涙で眼の前が曇ってしまうぐらいこれは泣ける。母の死を知らずにフランキー堺や乙羽信子、星由里子達の前で食事をする幼い二人の子供の姿にも涙!この場面なんて生活感溢れる素晴らしいシーンだ。フランキー堺が一人部屋の窓を開け、夕焼けの空の中、「母ちゃんに家を建ててやるんだ」と泣き叫ぶシーンなど泣けて泣けてヤバいぐらいです。その他にも国会議事堂がぶっ飛んだ後、船上の皆に向かって東京へ帰ろう!と言う東野英治郎の船長、更に人間は誰でも生きている権利があると訴えて涙する笠智衆さんと、最後に流れてくるお正月の歌、涙、涙で戦争映画という枠を超えた見事なまでの人間ドラマに文句なしの満点。人間として生まれてきた以上、本当に見るべき戦争映画はずはりこの映画だと言いたいぐらいの映画です。 
[DVD(邦画)] 10点(2008-01-12 11:37:14)
584.  シミキンのオオ!市民諸君 《ネタバレ》 
うひゃ~!川島雄三監督!こんなぶっ飛んだ作品がまだあったとは、これはハッキリ言って、駄目な人には全く受け付けない。どう見ても駄作だと思うだろう!しかし、敢えて言わせて貰う。川島雄三映画を楽しむには、欠かせないものがハッキリと見て取れる。例えば劇中に出てくる宣伝用映画の撮影シーン、あれなど戦争中の国策映画のパロディを思わせる。常に前を見て誰よりも一歩先を見据えている川島雄三監督の視線の先にある時代を読み取る鋭さ、また変わったものきり集めている社長の変な趣味、孫悟空の卵を集めたり、無人島だと思っていたナマズ島にルーレット、酒場に裸祭りと、普通じゃないこの一癖も二癖もある感覚に私は毎度ながら楽しませてもらえるのだ。清水金一のあの個性もいかにも川島雄三作品らしい。一年間も会社からホサレたとか言ってはノーテンキなことばかりしているようなこのノリに付いて行けたらあなたは立派な川島雄三マニアです。これは間違いなく川島雄三映画だ。けして映画史に残るような映画ではないが、これを語らずに川島雄三という監督を語ることなど私には出来ません。
[ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-11 22:23:53)
585.  ナイト・オン・ザ・プラネット
これは間違いなく良い映画だ。この映画を言葉で表すとしたら「全人類が同じ時を過ごせる映画」正に奇跡の空間!住んでいる場所、人種こそ違っても、全ての人間が同じ地球上で生きている。人間の持っているものを全て温かく包んで見せてくれるこの映画、誰が何と言おうと、私は大好きだ!人間が好きになれるし、心優しい気持ちにもなれる。そして、この映画は特に夜遅くに見るのが最高です。観終わって部屋の窓を開け、星空を見上げるとそこには地球上の全ての人の微笑んでいる表情が眼に浮かぶ。素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2008-01-09 19:05:19)(良:3票)
586.  社長漫遊記 《ネタバレ》 
娘に子供が生まれておじいちゃんになった森繁久彌の社長さんがおじいちゃんと言われるのは嫌でという始まりで、その後は会社の中で英語で話す。日本語は禁止だの、そしたら今度は「社長」という呼び方も駄目だのとあれこれ文句を付けたりと、そんな状況においても相変わらずマイペースを崩さない三木のり平、やっぱりこの人、日本映画史上、最高に笑える人間かもしれないと思う。それはそうと前半は面白いものの、後半はあんまり面白くないというのは、このシリーズの特徴なのかもしれない。今作も途中からは会社の経営について、ライバル会社との戦いが繰り広げられる。どうもその人間模様にしても、もっとハチャメチャにやって欲しい。また、フランキー堺の変てこな外国人役にしても、この俳優は絶対に主役を張る人間である。脇役では輝かない。持ち味が発揮されないのだ。ストーリーよりも出ている喜劇俳優の演技で見せる作品ではあるが、フランキー堺を生かしきれてないのがどうも気になる。あと、今回の作品では司葉子も見られないのが残念でもある。
[DVD(邦画)] 6点(2008-01-05 16:52:53)
587.  猫と鰹節
森繁久彌を筆頭に三木のり平、森川信に伴淳三郎と日本を代表する喜劇俳優が揃いも揃っての犯罪喜劇とくれば、面白いに決まってると思うのだろうが、あれ?何か思ったほど面白くないぞ!いや、けして、つまらないわけではないし、それなりに楽しむことは出来た。でも、やはり物足りない。一人、一人の存在感は相変わらず凄いし、演技も観ているだけで楽しめる。しかし、肝心なストーリーがいまひとつ!犯罪映画にしては間が抜けていて、緊張感はないし、何だか中途半端にあばれ放題の最後もぱっとせず!これだけの凄い喜劇俳優を揃えていながら勿体無い。
[ビデオ(邦画)] 6点(2008-01-02 22:26:37)
588.  猫と庄造と二人のをんな
うわぁ~噂には聞いてはいたけど、こりゃ、何という豪華な顔ぶれ!森繁久彌に三木のり平、山茶花究と日本を代表する名喜劇役者が勢揃い!更に演技力抜群の山田五十鈴に浪花千栄子、そして、そして、そんな豪華な顔ぶれの中にあって、香川京子!こんなアクメ顔の香川京子、全編のほとんど水着姿で思い切り笑ってるあの顔、なんなんだ!あたしゃ、もう、見ていてクラクラしっぱなし!そんな香川京子の身体を撫で回す森繁久彌めっ!くそう~羨ましいぞ!にじばぶさんが書かれてるけど、これは人間の本質を捉えていて、人間と猫との大きな違いを喜劇役者達の名演技で見せてくれる。人間なんて、いかに愚かな生きものなのだろう!この映画を見ると理性というものを抑えきれない人間のだらしなさ、まるで川島雄三監督の喜劇でも見ているような感覚に陥る。それにしても香川京子ですよ。あの顔、たまらんわ!あの大きな口に噛み付きたくなる。森繁久彌が何とも羨ましいたらない。
[ビデオ(邦画)] 8点(2008-01-01 12:12:03)
589.  王将(1948) 《ネタバレ》 
阪東妻三郎、この俳優を見ていると役者とは何か?それを超えて一人の人間とは何か?って考えさせられる。同じような役者に今は亡き名優、渥美清という人がいる。この二人の共通点、それは言葉のトーンで泣かせることの出来る俳優であって、言葉の奥に秘められた感情表現の仕方、演技、身体全体から伝わってくるユーモアと優しさの全てを持った正に名優中の名優!それが阪東妻三郎という俳優であると言いたい。この映画の主人公、坂田三吉などその典型的人間味溢れる男の中の男!「無法松の一生」の富島松五郎と同じで、阪東妻三郎の男粋、優しさが画面全体を通して伝わってきて、もう、そこにいるだけで泣けて泣けて仕方がないぐらいだ!将棋のことしか頭になく、自分の大事な妻と娘のことをほったらかし状態にしてしまうほどの大の将棋バカであるそんな三吉が将棋など辞めると将棋の駒を投げ捨てる場面で落ちた王将と書かれた駒を拾う妻、水戸光子の演技も素晴らしい。夫の為にと尽くす姿、そこには夫と妻という夫婦の絆が見事に描かれている。そして、再び将棋の世界へと足を踏み入れた三吉がどさくさ紛れに放った手で勝利し、それを見ていた娘(三条美紀)に勝ちさえすればそれで良いの?と涙ながらに訴えかけられるあの場面、どこかのプロ野球チームの関係者全員に聞かせてやりたい!そんな娘の涙する姿に自分が間違っていたと涙する三吉!そんな三吉が関根名人の祝いの会で関根名人への思いを打ち明ける場面と、大阪に残してきた妻がもう、命は短いと解りながらも電話の受話器を持って一生懸命と妻に語りかける場面なんて、見ていて眼の前が涙で雲ってしまうぐらい本当に泣けてやばかった。これは単なる男と男の闘いのドラマではなく、それ以上に人間ドラマとして、素晴らしい大傑作の名に相応しい映画である。文句なしの満点です。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2007-12-31 12:18:06)(良:3票)
590.  社長外遊記 《ネタバレ》 
久しぶりに見る「社長」シリーズ、森繁久彌の女好きでありながらも、けして下品にはならない紳士ぶり、その下で働くいつものお馴染みのメンバー達を見ているだけで、嫌なことを忘れさせてくれるのは良い。しかし、ちょっとだれ気味かなあ!マダムとの浮気現場を娘に見られ、ママには内緒にするかわりに土地を買ってよと迫られたり、部下の相変わらずな大馬鹿ぶり、特に三木のり平はいつ観ても相変わらず可笑しい。そんな笑える場面も多いものの不満も多い。森繁久彌の奥さんとのやりとり、浮気がばれてしまい、あたふたする場面が今回はないのが残念です。ラストも何だかしっくりとこない。ところで毎回のことながら小林桂樹は可哀想だなあ!
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-30 14:09:32)
591.  有りがたうさん 《ネタバレ》 
「有りがたうさん」良い響きだ!観終わって一言、心から「有りがとう」てこの映画の人達みたいに大きな声で叫びたくなった。そのぐらい本当に観ていて気持ちの良い映画だ!話そのものは、物凄いアクションがあったり、何か特別に凄いことが起きるわけではないのに、それが返って物凄く新鮮で本当に観ていて心地が良い。伊豆から東京へと向うバスの運転手とそこにそれぞれ色んな悩みを抱えている人達が乗り込んできて、その道中、様々な人間模様が繰り広げられるのたが、それがまた面白い。全員がこれまた善人かと言うと、そうでないところもこの映画の面白さの一つである。バスの動きにまるで合わせるかのようなのんびりとした台詞、これがまた何とも観ていて不思議なぐらいの心地の良さを感じる。車の中での桑野道子と髭をはやかした老人との会話、やりとりがこれまた凄く面白い。甘いのは苦手だからとウイスキーを勧めておきながら、やっぱり車の中でのアルコールは駄目だとか、髭をいじくっているとそれを見て、あんまり伸ばすと取れてしまうだのと皮肉いっぱいのこの面白さ、上原謙のバスの運転手と他のお客さん達、そして、地元の人達との「有りがとう」「有りがとう」の連呼!これもちっとも嫌味というものを感じない。それどころかむしろ、本当に「有りがとう」ていう気持ちに見ていてなるぐらいの心地の良さ、全編オールロケてのもこれも素晴らしい。のどかな大自然を生かした素晴らしい風景の中に輝く人間の優しさと人生に対する厳しさみたいなものが1時間半にも満たない僅かな時間の間で、しっかりと描かれているのも素晴らしく、何だかまるで小津監督の映画を見終わった後のような本当に心地の良いそんな映画を見た気がして、この監督さん、一気に好きになってしまった。この清水宏という監督の他の作品も見たいなあ!
[DVD(邦画)] 9点(2007-12-24 11:02:19)(良:1票)
592.  ある殺し屋の鍵 《ネタバレ》 
前作同様、またしても市川雷蔵の殺し屋ぶりは殺し屋ぽさを感じさせずに仕事を取り組む。前作との比較で言うならば、私には前作の方が楽しめました。そんな中で、にじばぶさんが書かれていらっしゃる。佐藤友美って女優さんがとても良い。私もあの細い足、好みです。どこかで見覚えのある女優さんだと思ったら「喜劇・逆転旅行」に出ていたあの女優さんかあ!ところでそんな佐藤友美を捕まえておいて「金で動く女には用はねえ」なんて事を言っておきながら、そういう自分は金で動くのは、何か違うんやろ?て突っ込みを入れたくなります。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-12-23 16:28:25)
593.  座頭市血煙り街道 《ネタバレ》 
勝新「座頭市」の産みの親である三隅研次監督によるシリーズ第17作!やはりこの監督のものは面白い。そして、何よりも殺陣のシーンの凄さ、殺気が漲っている。前半のなべおさみとの賭けごとのちょっとしたお遊び、勝新「座頭市」のユーモアも良い感じである。そんなユーモアを描きつつ、それでいて作品全体に漂う緊張感、美しい構図、映像的にもシリーズの中で上位に入るぐらいの美しさの中での緊張感漂うあの雪の中での二人の対決シーン!近衛十四郎演じる侍(赤塚多十郎)との一騎打ち!「侍なんてものは自分さえ良ければ、他人なんてどうなってもいいのかい?」と言う市の人間としてのあるべき姿、子供に対しての優しさ、子を持つ親への愛情が伺えるあのシーンのやりとり、赤塚多十郎との死闘に勝利し、去っていく市を追う旅先で出会った一人の男、そんな男庄吉の子供の涙、それを橋の下から見上げて涙する市、そう、これは時代劇ではあるけど、そこに流れる空気は、間違いなく家族の物語り!人間ドラマとしても見応え十分の作品です。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-19 21:27:18)
594.  山の音 《ネタバレ》 
冒頭、山村聡と原節子の二人を映すシーン、鎌倉の駅のあの描写を見て、真っ先に小津監督の「晩春」を思い出してしまった。まるで小津映画でも見ているような錯覚に陥る。成瀬巳喜男監督作品に付きまとう重苦しい雰囲気が漂う。ある意味、それこそ成瀬巳喜男監督の映画の持ち味なのかもしれないと思う。しかし、ちょっと期待をしすきだか?私の好きな成瀬巳喜男監督作品とはどこか違う。相変わらず一つのシーンにおける何とも味わい深い描写、風景の画き方などは素晴らしい。主演の二人、山村聡と原節子が歩きながら会話している場面が何度も登場するのだが、あのラストの並木道を歩く二人の姿なんて、どことなく「第三の男」を思わせるシーンだし、そして、やっぱり全体的な雰囲気は小津監督の「晩春」を思わせるものの「晩春」のような感動を味わうことは出来なかった。けして、駄目な作品だとは思わないが個人的な好みとしてそれほど高い点数は付けられません。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-18 20:32:20)
595.  炎上
三島由紀夫の有名な原作を市川崑監督が演出したことで有名なこの映画、かなりの評価も解ることは解る。しかし、個人的には市川崑監督というと、私は喜劇の方が好きですし、文芸作品なら「ビルマの竪琴」勿論、最初のです。が一番だと思ってます。市川雷蔵の演技も素晴らしいし、宮川一夫のカメラ、撮影は相変わらず素晴らしい。特に金閣寺が炎上していく場面におけるあの映像は宮川一夫カメラマンにしか撮れない美しさと力強さを感じる。それでも話としての暗さがどうも気になって仕方ない。好みの問題という意味でこの点数ですが、一人の人間の心の中に潜んでいる闇、悪、心の葛藤など様々なものをきちんと映画化している所は流石は市川崑監督です。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-16 09:28:38)
596.  ああ爆弾
オープニングの歌舞伎の世界を思わせる何とも言い様のない、得体の知らない始まり方、相変わらず伊藤雄之助の演技の可笑しさ、そして、あまりの馬鹿ばかしさ、国家権力に立ち向かう男の姿を岡本喜八監督独自の世界観によって描かれるこの変な世界はどこを取っても岡本喜八監督ならでは!伊藤雄之助の演技がとにかく凄い。銀行でのあの変な踊り、ミュージカルシーンにおける馬鹿ばかしさ、人間なんてものはいかに馬鹿な生きものか?てこれを見るとそう思わずにはいられない。布団に寝ている妻とのやりとり、お経の場面のはちきれんほどのパワー、何ともふざけているものの、そのふざけている場面においてもどこか人間の可笑しさ、哀しさみたいなものが滲み出ているのは岡本喜八監督の他の作品にも多く見られる共通点でもある。いつの時代においても岡本喜八監督が描く人間はやっぱり変人だ!そんな変な人間の変な部分を正々堂々と描こうとしている。この映画は完全にミュジカル映画に対して喧嘩を売っていると思えてならないのだが、こんなミュージカルがあっても別に良いのでは?いずれにしてもこの変てこな世界はやはり岡本喜八ワールド!他の監督にはない。岡本喜八監督の岡本喜八監督による岡本喜八作品です。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-15 21:18:36)(良:1票)
597.  座頭市鉄火旅 《ネタバレ》 
相変わらず勝新の座頭市はトボケた味わいと殺気が漲っていて面白い。これなんかその中でもトボけているという意味では最高かもしれない。眼啖であるにも関わらず、その巧みなまでの剣の使い方、按摩としての市も面白く、悪人に対してのあの態度、眼が見えないことを良いことに態と力を入れて悪人の肩を力いっぱいに揉む姿なんぞ、本当に可笑しい。で、今回はそんな市が飲み屋で出逢った一人の老人との話、その娘との話がこれがこの映画のキーワードとなって、色々と話に関わるのだが、何と言っても東野英治郎が抜群の存在感を示しています。殺陣のシーンの凄みは勿論、今回はそれ以上にストーリー重視の作品になっている。あと、一度しか斬ることの出来ないと言われた刀について語る場面がこの映画の中で最も印象に残る。そして、そんな刀を使って雪の降る中、悪人を叩き切る市!絶対絶命の大ピンチに、さあ、ここから先は見てのお楽しみってことで、しかし、あの市の刀の使い方、悪人のやっつけ方のあっという間の速さといい、悪いが北野武には真似出来ない。それほどの早業です。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-12 22:18:57)
598.  江分利満氏の優雅な生活
普通のことを普通らしくただ生きている男、それがこの映画の主人公、江分利満!この映画を見て、またこの映画の主人公の生き様こそ本当に人間らしい生き方ではないかと思う。やたら偉そうな顔をしている政治家、大金を使って他の球団からFA宣言した選手ばかりをやたらと欲しがるどこかの球団の○○恒雄!お前らのように何でも金の力を利用して這い上がろうとする奴らよりもこの映画の主人公の方がずっとずっとかっこ良い。人間らしくて良い。また、この映画の主人公にはまるで偽善的なものを感じない。だからこそそんな人間味溢れる主人公に憧れる。そういう人間をきちんと描いて見せることの出来る岡本喜八監督に憧れる。これは一人の人間の眼を通して、一人の人間の生活から人間の生き様とは何んなのか?て問いに応えている。岡本喜八監督の描く人間はいつも少し変わってはいるけど、その変わっているものこそ人間の本来の姿なんじゃないでしょうか!いずれにせよ、岡本喜八監督らしいユニークさを散りばめた人情的コメディに相応しい映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-09 17:18:45)(良:1票)
599.  石中先生行状記(1950) 《ネタバレ》 
石坂洋次郎原作、成瀬巳喜男監督による三つのお話からなるオムニバス映画!でもって、舞台は東北は青森の田舎町、もう、これだけでこの映画の興味が沸いてしまう。日本で一番好きな川島雄三監督の故郷である青森ってだけで、何だかそれだけで良いのだ!一つ一つの話がどれも面白く見られる。第1話の木匠久美子って女優さん、初めて見る気がするけど、とても元気はつらつ、リボビダンDて感じで良い。どんな感じや?第2話の池部良と杉葉子が互いの父親のことで喧嘩してしまい、仲直りするシーンも良い。石中先生に秀一(池部良)のことを君はどのくらい愛しているのかね?て聞かれてこのぐらいと両手いっぱいに広げて見せる杉葉子の演技も微笑ましくて良い。二人の父を演じている藤原釜足と中村是好も良い味を出してます。そして、最後のお話、これは何と言っても若山セツ子の初々しさに尽きる。本当に笑顔が素敵です。勿論、三船敏郎も黒澤映画では見れない。別の意味で良い雰囲気を醸し出している。それでもやはり一番は若山セツ子!最後の方で三船敏郎と並んで歩きながら二人一緒に「青い山脈」を歌うところなんて、こんな演出をする成瀬巳喜男監督、原作者であって、タイトルにある石中先生でもある石坂洋次郎へのオマージュと感じることの出来るシーンを描く辺りは人間としての優しさを感じる良い場面だ!いずれにせよ、これまたほのぼのとして、良い気持ちにさせられるそんな作品を見せてもらった思いでいっぱいになりました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-12-09 10:13:07)
600.  点と線
松本清張の原作は元々が面白いだけに期待して見ることにした。確かに話そのものはよく出来でいるし、面白いとは思う。ただ、画面に山形勲が出てきた瞬間にどう考えたところで、この映画の犯人はこいつしかいなと思ってしまう。それは山形勲だけでなく高峰三枝子にしても同じで、それにしてもこのキャスティングの何たる凄さ、誰が見たって善人は全く似合わない二人、山形勲と高峰三枝子が夫婦だなんて、普通じゃないよ。その他に眼を向けると三島雅夫も当然、悪者なんだけど、それを上回る山形勲の悪人ぶりもやはり時代劇の中での山形勲の印象が強すぎて、ここでは確かに悪人なんだけど、山形勲にしてはごく当たり前のような感じしか見えず、高峰三枝子にしても松子夫人に比べたらちっとも恐くない。そんな二人をどう逮捕するかというそれまでの話とあのラストにやや引っ掛るものが残ってしまい悪くはないが、あと、一押し物足りない。これはやはり元の原作があまりにも素晴らしいので、原作を超えることはやはり厳しいと痛感させられた。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-08 14:23:36)
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