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サーファローザさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 111
性別 男性
自己紹介 日本映画好きです。以前、Yahooブログに1000本掲載していたのが削除されてしまいました(涙)DVDよりスクリーンで観た作品の方が点が高い傾向にあるようです。月に3・4回は東京にある名画座に通ってます。

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1.  楊貴妃 《ネタバレ》 
昔映画館で観た時は寝てました。今回、DVDで鑑賞しました。 楊貴妃について詳しく解らない(鑑賞後に少し勉強)のですが、香港チームとのタックで脚本や時代考証にも向こうの名前があるので、考証は徹底的にやったんだと思いますし、それをしっかり再現しているのだと思われます。  しかし、それがこの作品では窮屈なものになった印象を持ちました。  楊貴妃が自らの意思で成り上がったわけではなく、担ぎ上げた楊一族が成り上がってそれが群衆・兵士達の不満・反乱に繋がる訳で、楊貴妃を「悲劇の主人公」として描く形。 溝口健二はこれまで女性内面の美や醜らを描写(献身愛・不義の愛、転落・復活、救済、、、)するのが上手いと思いますが、今回は、人形のような皇帝と貴妃ですので表面をなぞっただけになってしまった感が。それは、脚本が日本語は仕方ないとしても旧派調ぽい(確かに時代は古いが)というのもあるし、そもそもこの考証どおりの設定では描けないのかなとも思う。 いっそ、楊貴妃が民の不満や皇帝の安定ために成り上がった楊一族を断罪してしまうとか、逆に権力の恐怖がゆえに暴君となってしまうとか、史実と違えども彼女が変貌する契機を設けるか、もしくは、楊貴妃に絡む山村聰や進藤英太郎や山形勲のところをもっともっとエネルギーある悪人に仕立てないとなかなかキツイかなと思った。  最後のナレーションは雨月物語のようだし、雨月では改心した小沢栄太郎もこちらではのし上がって殺される役で本領発揮?だったかな。
[DVD(邦画)] 6点(2018-01-21 04:12:48)
2.  夕やけ雲 《ネタバレ》 
木下監督ほんと巧いわ。いちいち書くとキリがないので省略しますが、この家族のキャラクターや心情を描写する秀逸シーンが頻発。 序盤で魚の配達をする主人公の少年が居て、父が「自転車で行け」というのに歩いていく(後の姉の久我美子の台詞で「岡持ち振り回して行った」も出る)、その配達の帰りに小さな妹が出迎えて一緒に帰るのですが、台詞なしでカメラが遠目から追っているのが良いです。で、終盤に同じく少年が配達終えて傘を持って出迎えるシーンが出てきて、ここでは少年は拒否をしてしまうのですが、少年と小さな妹の心情を風情と併せてとても良く描けていると思った。  これも一例で、姉の久我美子の個性も脚本でもカメラでもしっかり作っているなあと感じた。 結婚して実家へ白いドレスで車で凱旋のはずが突如現れた元カレに頬をぶたれて、そのまま車で帰ってしまう、母のアップ、走って家に帰って嗚咽とかこれも巧いと思いましたね。  でも、久我美子のような美人が貧しい魚屋の娘だったら、そりゃ弟に押し付けて嫁にいってしまうだろうな。 母が望月優子だから貧乏滲みる絶品の演技だけど、対する久我美子の奔放な反応が作品としての真っ暗な中に光を与えていたと思う。  作品時間は短いのに、少年には様々な試練や別れがやってくるのだが、テンポよく無駄なシーンが少なくて物語として芯がとおっていた。  木下監督は器用にこなしてしまう印象で、同時期の小津、溝口、黒澤、成瀬ら(厳密には同時期ではないが)が後世まで評価されてるのに比べると木下だけが何か置かれた印象があるが、それは演出描写の「型」がない「型」の必要がないほど器用な監督だからではないかと思ってしまう(やや大げさに言えばだが)。私の点数もそういうところがあるのかな。
[DVD(字幕)] 7点(2018-01-15 11:36:43)
3.  雨月物語 《ネタバレ》 
観るのは5度目くらい。最初はVHSのvideoで画面もセリフも荒くて良く解らなかったですが、リマスターされた溝口健二生誕祭だったりDVDでも格段に見やすくなりました。カメラワークと光の使い方が凄すぎです。  森雅之と京マチ子の「朽木屋敷」のシーンは衣装・美術・照明・カメラ・音楽を含めての形式美が素晴らしい。溝口のサイレント作品時にはドイツの表現主義(ガリガリ博士等)に影響を受け「光と影」をかなり応用していたのですが、朽木屋敷でも姿を影で隠したりと伺えます。 また台詞を途中でフェイドアウトして流れるカメラで次のシーンを繋いだり、森雅之の入浴シーンでも京マチ子が着物を脱いで湯に入る所を影で描写し、カメラは逆の方向に流れてそのまま広い庭で寛ぐ二人へ繋ぐシーンなど絵巻のようだ。 カメラの連続移動で時空を越えるというのはテオ・アンゲロプロス監督ですが、影響受けたはず。  また、森雅之が故郷に戻ってからのシーンも秀逸で、森が家をグルッと一周するのを追うカメラワーク、田中絹代の陰影、彼女の表情と所作、それらが嵌り最高のシーンだと思います。これだけ計算してやられると俳優さんが大変じゃないかと思います。  なお、溝口監督は出来上がりに不満があったようで『「雨月」はもっとカラいものなんだよ。小沢栄の男ね、あれもラストであんな改心したりしないで、もっと出世を続けて行くように書いたけど、会社から「甘くしろ」と指示があった』と(キネ旬より)。 確かに男二人の欲の渇望からも、最後には見事に改心するという流れは溝口作品からすれば甘いと思ったのが、それでも前述の田中絹代のシーンで観る者を救済したのだからOKでしょう。 いずれにせよ、このような映画はもう作れないと思います。死ぬまで何度も観るのだと
[映画館(邦画)] 10点(2018-01-10 00:49:57)(良:2票)
4.  沈黙 ーサイレンスー(2016)
原作既読です。楽しみにしていました。原作が個人的に映画のように光景を想像しやすい作品だったのですが、スコセッシ監督は原作にかなり近い形で映像化していると思います。宗教であったり、政治的な問題が延々と出てくるわけなんだが、ロドリゴが最後に決断した理由など、(原作も映画も)神の沈黙という問いに一つの結論を結び、一人の人間を描き切った所が素晴らしいと思っています。  また、この作品は日本人の宗教観(日本人は人間を超えた存在を考える力ももっていない。基督神の実体を変えている)であったり、幕府側の認識であったり、普段日本人には取っ付きにくい問題を説得力のある描写ではっとさせられます。  あとは個人的にスコセッシ監督がリスペクトする溝口健二監督を思い起こすシーンがいくつか出てきました。 雨月物語の小舟で移動するシーンへのオマージュ?や処刑する所を遠くから俯瞰する司祭二人のアングル、カメラをパン(水平に旋回)するシーンも多かったです(なんでも溝口にみえてしまってるのはいかん)。あと日本人の演出がしっかりしていた(ラストサムライのような違和感がない)のも良い。  音についても極力無駄を省いており、これもハリウッドなら演出のために意図して省くということはあると思うが、スコセッシ監督は音も重要な描写として考えている点が非常に好感が持てました。  最後に自分は原作を読んでいなかったら、映画の意図する処を理解できぬまま終わっていたかと思います。あと、欧米の方は理解できたのか?どういう感想を持ったのか興味深いですね。
[映画館(字幕)] 9点(2017-01-26 17:39:47)
5.  暗黒街の弾痕(1961) 《ネタバレ》 
題材として産業スパイを取り上げているが、そのスジよりもエンターテインメントに重きを置いているのが何より良い。三船・鶴田ではなく、加山・佐藤允を主役に抜擢した事で、監督のテンポ・センスを存分に発揮されてる感強し。この二人は俳優としてのキャラが対照的なので、とても相性が良いのでは。喜八・暗黒街シリーズでは断然この作品が好き。
[DVD(邦画)] 8点(2014-03-06 20:44:46)(良:1票)
6.  清須会議
歴史ものでここまで娯楽的な作品って案外なかった(加藤泰の「真田風雲録」みたいなぶっ飛んだ作品が昔あったが・・・)ので楽しめました。時代劇では大体こういう素材は重厚で真面目で陰湿なものになってしまうが、三谷さんの演出にかかると、みんな明るく憎めない人物になってしまう。勝家も秀吉も長秀も池田も姫達のキャラクターに親近感を持ってしまう。勝家なんか昭和の地方の社長さんにもいそうな・・・そういう親近感がこの作品の魅力じゃないですかね。
[映画館(邦画)] 7点(2013-11-17 05:30:01)
7.  黒の奔流
山崎努・岡田茉莉子の名優の演技の良さを生かしきれていない印象も。田宮二郎が演じそうな出世意欲に飢えた弁護士が女中を弁護し救済したことで変調していく、そこには松本サスペンスの妙もあって面白い展開なんですが、何かが噛み合っていないっすね。岡田茉莉子(無論大好きな女優)の格の高さが、女中~ストーカーという役柄には不具合だったのか?時に砕けてしまう渡邊監督の演出にあるのか? 最後の湖でのシーンもコメディに近い演出にみえてしまいましたね。
[映画館(邦画)] 6点(2013-04-01 11:41:16)
8.  波の塔
原作を読んだ方ならば不満をもたれるとおもいます。『そのまんま撮りました』という印象が強くて、中村監督は現代サスペンスは苦手なのかと思ってしまいます。検事役の津川雅彦の演技もイマイチ。なにか一本調子で、時折見せるはずの陰鬱な部分であったり、有馬への愛といった部分も見えなかった。原作自体がサスペンス的要素が他の松本作品に比べれば弱いだけに、映画として脚色を加えても良かったのでは個人的に思いました。総花的な部分はやはり尺の問題もあるのだろうか。
[DVD(邦画)] 4点(2013-04-01 11:20:02)
9.  かぞくのくに
よく出来た映画だと思いますが。
[映画館(邦画)] 7点(2013-04-01 11:07:52)
10.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
この監督さんの作品ははじめてですが、香川さんの役の設定と演出に「監督は映画が本当に好きなんだな」と感じましたね。ナンセンスコメディーは一貫してナンセンスが理想ですが、転結の部分はどうしても調和しなければならないものだが、上手く流れたとおもいます。特に、香川さんの殺人請負人からニート、そして便利屋とそれぞれ人格が変わるハチャメチャな設定を、脚本・演技共に破綻しなかった点が見事だし、広末・堺のキャラクターも面白かったね。
[映画館(邦画)] 7点(2013-04-01 11:04:45)
11.  ラブホテル
前にVIDEOで観たんですけど、今回スクリーンで観て良い作品だなあと感じた。2人が再会するタクシー内で流れる山口百恵「夜へ…」がとにかく滲みた。長回しもそれぞれに見応えを持たせてて、特に、最後の二人のベッドシーンのゆっくりと移動するカメラと水の滴る音が良かった。
[映画館(邦画)] 8点(2013-02-01 01:30:07)
12.  緋牡丹博徒 仁義通します 《ネタバレ》 
個人的に岡田茂氏追悼で、シリーズで唯一観ていなかったのですが、完全に侮ってました。シナリオも丁寧に練られいて、待田京介や長門裕之の役回しがとても巧かったと思います。殴りこみのシーンの盛り上がりは屈指ですね。そのなかで、藤純子の肩に待田の刃が止まるシーンには涙。「お竜参上」のような安部徹の度が過ぎる悪役ぶりがなかったのがやや残念でもあるが、片岡千恵蔵が出るラストはまるで藤純子に「シリーズご苦労だった」という緋牡丹流の演出にもみえた。このシリーズには、人にせよ、背景にせよ日本的な美しさが散りばめられていますね。
[DVD(邦画)] 8点(2011-05-12 22:57:38)
13.  川の底からこんにちは
堂々と「中流階級」よりも下、「中の下」を宣言している作品。登場人物はみんなロクでない人物(不倫・駆け落ち・復讐・・・下ネタ)だったりするのだが作品は暗くない。笑える部分もある。各登場人物を掘り下げているためか、観る者も近いものをかんじるのではないか。「どうしようもない」人生と割り切って生きる事のエネルギーを頂きました。主人公の満島ひかりはとても魅力がありました。高得点!
[DVD(邦画)] 8点(2011-04-29 20:25:39)(良:1票)
14.  ハッピーフライト(2008)
面白かったです。肩の力を抜いて楽しめる群像劇ですね。様々なトラブルが発生しうるので小ネタが満載なんですね。俳優陣の好演も作品の雰囲気やテンポに収まっていて監督が巧いのでしょう。管制官の人たちが味がありました。
[DVD(邦画)] 8点(2011-02-08 12:11:37)
15.  座頭市(2003) 《ネタバレ》 
正直な感想ということで、やはり勝新の座頭市を比較してしまう。北野武監督も無論、違うアプローチを意識したと思う。そのせいか娯楽として楽しめた。ただ、時代劇として違和感をいくつか持った。■両親を殺された姉弟の復讐劇と市との出会いが柱となっている。この姉弟が市との出会い後に殺気を失ったかのように大人しくなる。後半に子供の回顧シーンで悲劇チックとなるが、そもそも、復讐を果たすためとはいえ人殺しをしている悪党なのである。しかも、復讐は市がトドメをさしている。■市が何故、居合の達人なのか?この正体が解らない。勝新のように社会への反骨という訳でもなく、その精神を引き継いでいる訳でもない。それが、何故にあそこまで肩入れをするのか?■勝新の「座頭市物語」には無論、殺陣の素晴らしさとしてのヒーローとしての魅力もあるが、好敵手・天知茂と心底通じる仲となりながらも雇い主の対立に巻き込まれ、立場故に対決をする。その無常さ潔さが美しくあったりする。そこが傑作たりえるが、この作品にはスジがあかんかった。ただ、市の存在感、何か俯瞰・いや、回りを引き立てているいるような印象があったのですが、これは監督兼主役だから?
[DVD(邦画)] 7点(2011-01-24 07:24:02)
16.  白と黒(1963)
よく出来た作品ですね。良心の呵責に最後まで苛まれる難しい役目が仲代達矢で良かった。小林桂樹さんは本当、庶民的で正義感ある日本人のイメージにピッタリで、刑事や検事の役が合う。松本清張原作で黒澤明作品でもおなじみの東宝製作陣がしっかり作りあげた作品でした。白と黒という題に反してカラーで作ったら面白いのに・・・
[映画館(邦画)] 7点(2010-11-04 23:21:50)
17.  白痴(1951) 《ネタバレ》 
「黒澤明生誕100年」ということですが、「七人の侍」「用心棒」などはもう充分に評価されているのだから、こういう松竹・大映で撮った作品にも評価・批評が欲しいと感じます。作品はかなり原作を踏襲されていると思います。特に、台詞なんて「劇?」と思うほど、役者の演技が脚本設定どおりに制限されているかに感じます。ただ、それは主役4人を除いての話。原節子・森雅之・三船敏郎と久我美子の演技が凄いんです。他の役者さんには申し訳ないが、四人の引き立て役です。 冷静に観ると、札幌の冬の中であんな日本人同士の恋愛・嫉妬劇がある分けないじゃないかと思うのですが、それが、それが、那須ターシャこと原節子と森雅之のすざましい演技を観るにつけて、もはやどうでもよくなる。上手く書けないのですが凄い。「赤ひげ」「生きる」「七人の侍」などの名作たる所以に、人や社会との関連を訴える必然があるのですが、この作品は、青年の純真無垢なオーラに回りの人間が 己の良心とエゴが衝突し、波紋を拡げる。その緊張感が凄くて、森雅之と原節子、久我美子、三船敏郎の素晴らしい演技でもって描ききってしまう強い力があった。そもそも、激しい嫉妬や憎悪というのはなかなか日本人として表現できない印象があるのですが、原節子と久我美子の終盤のやり時なんか、凄いですよ。皆、良心は持っているのに。。。黒澤作品の名作の殆どは「脚本の妙」というものが必ずありますが、この作品は『日本人・侍・日本社会』を描くという次元ではなく、『人間』(核心的なもの)を描いている崇高な作品。傑作であると思いました。やはり、原作を読んでから観るべき作品なんでしょう(原作をきちんと理解していない私が言うのも変ですが)。  フィルムセンターで近々上映があるので必ず見に行く。あと、完全版!出てこいや(笑)
[試写会(邦画)] 10点(2010-11-02 21:38:05)
18.  どん底(1957)
役者が強く喚いたり、強い主張をしたりする黒澤明の演出の一部にはロシア文学の影響を感じます。特にゴーリキあたり・・・この原作は未読ながら、やはり、劇のような台詞回しが黒澤演出を感じさせます。これが、時代劇であれば良いのですが、現代劇とかになるとどうも違和感を持ってしまう。それに、「白痴」でもそうなんですが、ロシアの原作をした場合、舞台設定が消化不良で役者達の巧い演技が作品の質をなんとか高めているような印象があります。山田五十鈴の狂人ぶりなどは、なんか日本・江戸?という設定とは離れているような気がする。面白いのだが私にはなにか引っ掛る作品でした。 私個人の推測ですが山中貞雄の「人情紙風船」を意識しているのかな?と感じさせるシーンがいくつかありました。山中貞雄はさらりとみせている(庶民的な世界)のに対し、黒澤明は力が入り過ぎているような・・・
[DVD(邦画)] 6点(2010-11-02 20:36:39)
19.  お嬢さん社長
川島雄三松竹時代の作品。お嬢さんのひばり嬢が菓子会社の社長になるのは強引だったが、専務に諌言したり、宣伝で番組に出演したり、会社経営を建て直す部分をしっかり描かきつつ、ドラマあり、歌あり、得意のユーモアとテンポまで加わり見応え充分の逸品と仕上っている。美空ひばりの才能を生かしつつ、所々に川島節を持ってきているのは流石。「美空ひばりを前に出して一本撮ってくれ」とまだ若くて力のない川島雄三が言われて、「ハイハイやりますよ」と撮った感じがする。 
[映画館(邦画)] 6点(2010-04-08 18:08:42)
20.  孫悟空 前後篇(1940) 《ネタバレ》 
全般オペレッタ形式で、日劇ダンシングチームが中国風、砂漠のオアシス、大宮殿など各エピソードで豪華絢爛のダンスショー。そして、半蔵・悟空・八戒・沙悟浄らの「学芸会的」なエノケン一座のおとぼけ劇がミックスされるという何ともスケールの大きい娯楽映画だ。  もう、ハナから娯楽を目的としていて「孫悟空」という物語は借りただけに過ぎない。悟空の如意棒は「プロペラ機」に変身するし、金角大王・銀角大王は科学者で遠隔カメラで監視をし、光線やロボットが出てくるんですよ。完全に未来要塞。 テレビがまだ無い時代に良くぞやった!  後半、一行が「お伽の国」の夢を見るシーンなどは完全にハリウッドの影響もあり、ディズニー「白雪姫」などの世界がそのまんま。それでいて、ポパイのテーマソングがバックに「ほうれん草」を食べて元気いっぱいになったり、太平洋戦争開戦間近によくOKでましたね。  高峰秀子・李香蘭などの両姫も素晴らしい輝きを放ったし、もうお腹が膨れてしまう。  あげくに最後は戦闘機同志のドッグファイト!もう「孫悟空」はそっちのけなのが良いですなあ。これらのシーン全てに関わった特撮監督の円谷英二の技術は脅威的。  映画を観ることに自由が利かなかった時代(1939年に映画法が施行【脚本の検閲、制作・配給の許可制、外国映画の上映制限など】)であった中で、国民に希望を与えるべく、こういう仕事をしたというのは奇跡に近い。娯楽映画としては夢のような作品だと思います。  
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-04-08 17:58:38)
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