1. 赤ひげ
久しぶりに観賞。やはりいいものはいいですね。加山雄三演じる保本登という若い医師が赤ひげに共鳴していく過程は、心の病を持つ患者、おとよを始め、様々な群像劇の中で自然に進んで、とても心地よいです。 2時間半でも短すぎるくらいです。いっそ、大河ドラマにしてもらいたいところです。 白黒ですが画質も綺麗だし若い人に是非観賞してもらいたい作品です。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2013-01-04 00:18:23) |
2. 青い鳥(2008)
《ネタバレ》 以前どっかの雑誌で、ある脚本家が「西部劇をベースにしているようだが、最後まで主人公が銃を抜かないから完全燃焼できていない」と酷評していました。 確かに、この教師の駒の進め方は「シェーン」や「用心棒」と同じですが、このストーリーで一番変わらなければいけない人物は、生徒の園部少年だということを理解しなければいけません。 「いじめ」という、今ではもう使い古されたテーマを被害者が存在しない形で描いていく、ちょっと変わった展開は、作り手としては難しい挑戦ではなかったのでしょうか? 毎朝、机に向かって「おはよう。野口君」と声を掛ける村内先生は、ちょっと嫌味に感じる人がいるかもしれません。教室内が緊張感漂う空気になるのは仕方がないことです。 最後の授業で任意で原稿用紙を取りに行った生徒の人数はとてもリアルだと思います。 私は今までいじめなんかしたことはない。そう思っている人には理解できないでしょう。 園部少年が村内先生に罪の告白をした後、遺書に書かれた三人目が自分でなかったことを知り、更に井上少年とも和解して、全てが終わったと思ったら、最後の授業がコレです。 今更反省文を書かなければいけないのか……彼が戸惑いながらも原稿用紙を取りに行き、自分がズルくて卑怯な人間であると正直に書き綴ったときは涙が止まりませんでした。 私自身、学生時代、今でも腸が煮え繰り返るほど傷つけられた経験がありますが、と同時に私も無意識に誰かを傷つけていて、もしかしたら、私のことをずっと恨んでいる人間がいるかもしれない。そんなことを思わずにいられなくなる作品でした。 テレビで頻繁に宣伝されている「お涙頂戴」的な映画とは一線を画す、価値のある映画です。 [DVD(邦画)] 10点(2009-10-17 07:37:33)(良:1票) |
3. 網走番外地(1965)
《ネタバレ》 脱獄してからの展開は「手錠のまゝの脱走」のアイデアそのまんまなんですが、本作は、映画というのはラストのワンシーンで傑作になるという、一例ではないかと思います。主人公が「おっかさーん」と言いながら相棒(?)を置き去りにしようとしたとき、あれだけワルだった奴まで「おっかさん…」と呟いたとき、主人公がとった行動は……。それだけで私の涙腺は緩んでしまうのでした。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-02-10 04:08:11) |
4. 遥かなる山の呼び声
《ネタバレ》 賠償さん演じる民子が主人公を待ち続けるという、何とも暗い話なんですが、日本人が大切にする心がわかって、ジーんと来ちゃうんです。 高倉健さんの傑作の一つです。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2014-12-08 04:55:43) |
5. 幸福の黄色いハンカチ
高倉健さん追悼でのテレビ鑑賞。40歳以上の人たちは子供の頃、頻繁にテレビ放送されたのを一度くらいは見ているんじゃないかと思う。それくらい誰もが知っているストーリー。私は子供の頃、出所した健さんが、ビールにラーメン、カツ丼を注文して、特に、滅茶苦茶カツ丼が食べたくなった記憶があったのですが、カツ丼には手をつけてなかったんですね(笑)。それから、この映画を全く知らなかった人のレビューを読んでみたいです。これからも多くの人に見てもらいたい映画ですね。 [地上波(邦画)] 9点(2014-11-30 08:20:46) |
6. 東京ゴッドファーザーズ
これは久々のヒット。それもアニメ。私にとってアニメはハズレが多いのですが、こんなに面白い、泣ける、感動する内容。どうして誰も教えてくれなかったんですか?90分、幸せな気分になれる映画です。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-18 21:26:13) |
7. 苦役列車
《ネタバレ》 原作の西村賢太さんは私小説作家です。だから本作の内容は彼のウィキペディアの人生の内容ほとんど重なっています。 私は西村さんに比べて年齢は若いですが、同じような青春時代を送っていました。 私の場合、口だけは役者を目指すと言いつつ、バイトに明け暮れる毎日。 恋愛経験も映画の主人公と同じように不器用でした。 何が面白いのかわからないと思う人も沢山いるでしょう。 原作が芥川賞を受賞した時、村上龍さんは「人生は不条理というテーマは陳腐」と言ったそうですが、若くして人生を成功させた人には、この映画の意味はわからないと思います。 映画の時代設定はバブル全盛期か、その前あたりかと思うのですが、美味しい想いをしたのは弁当のレベルだけです。 「夢」という言葉が沢山出てきましたが、歌手の夢を捨てたオヤジが足の指を切り捨てられ、酔いつぶれたあげく、主人公に「夢は作家です」と言われた途端、カラオケのマイクを横取りし、「襟裳岬」を上手に歌うシーンには心が打たれました。人生は上手くいく人といかない人がいるんだということを改めて痛切に感じました。 役者陣がよかったですね。前田敦子ちゃんはキスシーンや下着姿で海にも入れるんですね。 私はAKBには興味はありませんが、応援したくなりました。 話は西村さんに戻りますが、以前、石原慎太郎さんの番組にゲストで呼ばれたとき、サスペンスとか書いたら?とアドバイスされ「自分は私小説しか書けないのでフィクションは無理なんです」と言ってました。 これから先、何を書こうにも西村さんは素晴らしい作家でいることを祈ります。 話は映画に戻りますが、内容は自堕落な青年が本気で物書きに(なろうと…)たどり着くまでの道のりを描いたロードムーヴィーのように感じました。だからタイトルに「列車」がついたのでしょう。ロードムーヴィーは面白いんです。 [インターネット(字幕)] 9点(2013-07-28 18:22:39) |
8. 11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち
《ネタバレ》 滅茶苦茶低予算と思えるシーンが多かったですが、まずキャスティングがいい。シナリオがいい。エンディングロールに流された膨大な量の参考資料。 当時の映像を交えながら、役者たちの熱意が映画を生き生きとさせる。 三島由紀夫を語る上で若い人にも理解できるように丁寧に仕上げた監督の力量に脱帽。 でも最後の5年後は必要だったか? それに加えて、エンディングロールで突然流れたダサい歌。あれにはガッカリ…。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-05-01 03:27:29) |
9. 八日目の蝉
人それぞれ覚えている記憶の時期って違うじゃないですか? 中には10歳以前の記憶がないっていう人も私の周りにはいます(笑)。 私は、この主人公と同じ3歳から5歳くらいなんですね。 5歳の時、両親が離婚して借金を残したまま父は姿を消しました。 それから、およそ40年ぶりくらいに父方の叔母に会い、主人公と同じように記憶をさかのぼったんです。 映画に出てくるカルト教団、東京は勿論、叔母も新興宗教に嵌っていて、観ていてヘドが出てきそうでした。 私の人生経験から、現在私は完全無神論者ですが、叔母に会って父の話を聞いたとき、今歩んでいる私の道と父の歩んだ道が同じように聞こえたんです。 どうしてでしょうか。血は争えないと言えばいいのでしょうか? 叔母から話を聞いて、なんとなく憎しみが薄れていってました。 でも、この映画のように、希望までは持てない自分がいるのも、現実はそれほど甘くないという実感が残りました。 映画自体は最高のエンディングでしたよ。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-01-03 23:50:43) |
10. 宮本武蔵 巌流島の決斗
シリーズ物であるが、とりあえず一番興味を引くこの作品から観た。 画像も綺麗で、今でも現役の役者さんが出演しているが若い人は驚くこと必至。 台詞は今の時代劇のように現代語ではなく、かなり侍用語が並んでいるが聞いていて全く違和感がない。むしろカッコいい! シリーズの最初から観なくても充分面白い。私はこれから第一部から観直そうと思う。 中村錦之助は役者の中の役者だ! [DVD(邦画)] 9点(2008-12-17 11:12:31) |
11. ザ・マジックアワー
最近、「僕達と駐在さんの700日戦争」「アフタースクール」と、立て続けに鑑賞した映画が、どれも冷たい私の心をヒットさせていたが、三本目の本作は、まさに満塁ホームランだった。(三本目だと正確にはスリーランだけど……) 「有頂天ホテル」があまりパッとしなかっただけに、観る前は不安もあったが、本作については、劇場へ足を運ばなかったことを、今とても後悔している。 こういう作品って満員のお客さん達と一緒になって観ると満足度はさらに上がる。 三谷監督はビリーワイルダーを超えてしまったようだ…… 今は亡きワイルダー監督は生前、周防監督の「Syall We Dance」をとても満足されていたそうだが、この作品を観たとしても、きっと満点をくれると思う。 [DVD(邦画)] 9点(2008-12-10 05:59:10) |
12. 座頭市血煙り街道
うん、高得点どおり面白かったよ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-07-16 15:53:11) |
13. 刑事物語 くろしおの詩
刑事物語はどのシリーズも面白い。 今回は植木等の女装が最高!(笑) [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-26 20:20:11) |
14. ねこタクシー
久々に邦画っていいよなぁって思えた作品。 私には主人公みたいな少し影のある性格がハマっているようです。 幸せいっぱいじゃないけど、皆が何かを求めて生きているのがよかったです。 [地上波(邦画)] 8点(2016-02-20 19:31:58) |
15. トラック野郎 天下御免
ヒロインを三人も起用してストーリーを作っちゃうなんて凄い。それでも最後は上手くまとめてあるんだもんね。 [地上波(邦画)] 8点(2014-12-08 02:02:54) |
16. トラック野郎 望郷一番星
《ネタバレ》 島田陽子さんが美人だった。ストーリーも面白い。いつも似たようなストーリーだが作る方は難しいんじゃないかと思う。 ジョナサンを騙した詐欺男は結局捕まんなかったのね。 [地上波(邦画)] 8点(2014-12-08 01:56:27) |
17. 千年女優
「東京ゴッドファーザーズ」の今敏監督ということで期待して観賞しました。 今監督の映画は脚本がイマイチというレビューも少なくないですが、私的には満足しました。 沢山登場人物が出てきますが、ヒロインの一人称的ストーリーとして考え、決してつまらない作品ではないと思います。 現実と非現実の交差ともレビューに書かれていたりしますが「perfect blue」や「パプリカ」に比べたら、全く違和感なく観れるかと…。 最後のセリフですが、一人称として彼女だけを追いかけて観れたからこそ私は私なりに納得のいく結末だと思いました。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-09-07 03:40:13) |
18. 静かなる決闘
《ネタバレ》 三船敏郎さん演じる正義感燃える医師と千石規子さん演じる見習い看護師の5分近い長回しセリフのやりとりには圧巻でした。 梅毒って怖かったんですね。 感想が書きづらい映画ですが見ごたえ十分です。 西部劇みたいなタイトルで誤解されそうですね。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-01-06 02:54:58) |
19. 切腹
脚本家、橋本忍さんの自伝で書かれていたのですが、実は黒沢明監督は「七人の侍」や「用心棒」のような娯楽作品には興味が薄れて、ただひたすら2時間、切腹のシーンを映す映画を考えていたそうです。脚本を依頼された橋本さんは、これが現実に出来るわけがないと思い、当然、映画会社も却下されたそうです。 その切腹の脚本から生まれたのが本作。 現代社会を皮肉に風刺されたシーンを散りばめながら描かれた武家屋敷の連中、仲代達也さんも脂が乗った時期。時代劇が、暴れん坊将軍だけではないことを証明した日本が誇れる作品だと思います。 [地上波(邦画)] 8点(2011-12-01 00:31:32) |
20. 若者たち
《ネタバレ》 NHKで「山田洋次が選んだ名作100」という番組で紹介されて、若き日の田中邦衛さん目当てで観賞しました。 感想は、製作された44年前も今も、何一つ変わっていないんだなぁってこと。 東日本の震災で「仕事探そうにも住んでいたところ言ったら採用されないだろう…」と嘆いた人達の姿を観ました。 この映画の中でもヒロインが好きになった男性の後ろ姿を「あの人、ピカ(被爆者)よ」と言われるシーンがあります。 「学歴」「欲」「金」という言葉が頻繁に出てきます。 そして、それらを乗り越えようとする不器用だけど純粋な5人の兄弟たち。 そして、それぞれの兄弟たちにぶつかってくる世間体の波。 「いつか、そんなこと関係なくなる日が来るよ!きっと!!」 …否、皮肉にもそれだけが関係している現実が今ここにあります。 インターネットの普及でテレビや雑誌などのマスメディアが現実を捉えていない、この不信感。 この映画、当時はドラマ化もされていたそうですが、再び価値を見出されてもいい、とんでもない作品です。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-24 23:52:36) |