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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2257
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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41.  フッテージ 《ネタバレ》 
(未見の方はご注意ください。ネタバレしています)  ホラー映画の登場人物に対して、こんな風に思ったことは無いでしょうか?「あーイライラする。危機感が無さ過ぎる。そんなんだから、殺されるんだよ」と。私はしょっちゅうそう思います。特にB級ホラーで。本作でも、早い段階でそう感じました。「執筆なんていいから、早く家族を連れて逃げろ」何度心の中で叫んだ事でしょう。ところが、ところが、です!そう思った観客は、全員アウト。主人公より先にお陀仏でした。上から目線で主人公を批判した自分が恥ずかしいやら、悔しいやら。主人公(観客)に判断ミスを犯させる手口が実に巧妙だったと思います。犯人特定のヒントは数多く出されていました。①一家惨殺なのに子供一人だけが行方不明。②殺害過程を撮影したのは一体誰?③腕力の要らない殺し方ばかり。観客の脳裏に、衝撃的な殺人鬼の正体が浮かび上がってきます。そう、これが罠でした。重要なのは“犯人は誰か?”よりも“どうしたら殺されないか”。それなのに恐怖と驚きに支配され、冷静な判断がままなりません。注意深く、思慮深く、情報を吟味して行動出来れば、悲劇を回避することは十分可能だったと考えます(事件現場が繋がっているとの情報は事前に提示されていました!!)。それに謙虚な態度も大切。某副保安官を単なるミーハーの情報屋と見下さず、彼からの電話にすぐ出ていれば……。いやー後味が悪いです。でもこの後味の悪さは自業自得。理不尽ではないので納得出来るのです。(以下余談)フィルム観賞で感染。引っ越しで発症。邪神ブグールの呪殺システムは、まるで感染症です。キャリアの段階ならば、命に別状はありません。ここがミソ。ブグールはあの手この手で家人を怖がらせ、引っ越すように仕向けてくるワケです。では、もしカラクリを見抜き、家に居座り続けたらどうでしょうか。ブグールはルール無視で子供を操ってくる?いや、多分そうはなりません。この手のシステムは規則が絶対のはず。子供が成人するまで、引っ越しを我慢できれば助かる気がしました。もっとも私の場合、機械音痴なので8mmフィルムを見つけても無視するかもしれませんが。
[DVD(吹替)] 8点(2014-05-03 19:28:33)(笑:1票) (良:2票)
42.  ストレージ24 《ネタバレ》 
クリーチャーの造形がそれなりに良質で、且つ見せ惜しみしていないので、限りなくC級ながらもギリB級SFホラーと判断いたします。ただし、基本的にはネタ映画として楽しむのが正解でしょう。ご都合主義のみで物語が展開しますし、市販の花火を怪物に撃ち込んで「多分死んだと思う」なんて寝ぼけた台詞を平気で吐きます。アメリカ映画なら当然銃器で応戦するところで、日用品で戦うあたりはイギリス映画の面目躍如。この点は評価します。
[DVD(吹替)] 5点(2014-04-09 19:25:03)(良:1票)
43.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
宇宙空間の等速直線運動はまるで“運命”の暗示。己が意思とは関係なく、無慈悲に、ひたすら、流されていく。娘を失った主人公の人生も、おそらく同じだったのでしょう。そんな彼女が必死に生きようと足掻く姿は実に感動的でした。大気圏突入の際の彼女の言葉が印象的です。「誰も悪くない」一生懸命やった結果が成功だろうと失敗だろうと、それはもう仕方のない事。それこそ運命です。しかし、諦めて受け入れる結末と、努力して手に入れる結末とでは、同じ結果でも値打ちが違います。邦題には内容を分かり易くする為に“ゼロ”が付いていますが、原題は単に“GRAVITY”です。そう本作は重力の意味を問う映画でした。ラストシーン。覚束ない足で大地を踏みしめる主人公。彼女は重力に“囚われている”とも言えますし、“守られている”とも言えます。同じものでも、捉え方次第で、その姿を変えるのです。オーソドックスなソリッド・シチュエーション、パニック映画の体裁ですが、多くの示唆が含まれている良作だったと思います。映像技術の評価は二の次で。ただ、もし続編が出来て『キャスト・アウェイ』みたいな話だったら、大笑いしますが。
[映画館(吹替)] 8点(2013-12-24 18:34:44)(良:2票)
44.  ロンドンゾンビ紀行 《ネタバレ》 
企画段階では結構盛り上がったのではないでしょうか。「死人VS死にかけ(失礼)なんて、超ハイブローなセンスっしょ。」「イギリスは銃の規制が厳しいからなあ。でも主役を銀行強盗にすれば、銃器使いたい放題じゃん。」「頭蓋骨に鉄板が仕込んであるからヘッドショット無効とか面白くないっすか?」「やっぱロンドンが舞台だから2階建てバスで逃げたいよね。」(注:若者言葉に他意はありません)各アイデアは面白いと思います。ただし、アイデアを活かすアイデアが不足していたような。例えば老人とゾンビのスローモーション対決。画的には面白いですけど、それだけでは“出オチ”のようなもの。亀の甲より年の功。老人ならではの知恵でゾンビに対抗してくれたらもっと面白かったのではないかと。それに主役を銀行強盗にしたのも前述の理由と推測しますが、銀行強盗“未遂”で良かった気がします。主人公は観客にとって感情移入の受け皿。出来れば悪人でない方が好ましいですから。英国製ゾンビコメディと言えば傑作『ショーン・オブ・ザ・デッド』。そのイメージがあったので若干期待値のハードルが上がっていたかもしれませんが、正直イマイチでした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-12-06 19:25:31)
45.  ハンナ 《ネタバレ》 
「心臓外しちゃったみたい」で拳銃ズドーン。その刹那、血を連想させる赤の背景に「HANNA」のタイトル。物語冒頭と末尾の2度繰り返されます。つまり獣も人間も、食糧も親の敵も、ハンナにとっては同じという意味。旅での交流を通じて、人間らしい心を手に入れたかに見えた主人公。果たして彼女の本質は、本当に何も変わっていないのでしょうか。枕を並べて少女と語った夜。約束の地グリムの家でマジシャンと交わした楽しい会話。それが無意味だったとは自分には思えません。養父と2人だけの生活では得られなかった何かを、旅を通じて少女は感じ取ったはずです。同じ台詞だとしても、同じ意味ではありません。いや、自分がそう思いたいだけなのかも。2つのシーン、彼女の表情に明確な違いは認められませんでした。言葉の裏に隠された彼女の思いとは一体何か。人の心を読むという作業は、実は自分の心をなぞる行為である事に気づかされます。ハンナという“人形”に、心を入れるのは観客自身なのだと思いました。観客を突き放した感覚が心地良い、スタイリッシュなサスペンス。でもお洒落だけが取り得ではない映画だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-26 18:51:26)(良:1票)
46.  ウルヴァリン:X-MEN ZERO 《ネタバレ》 
スギちゃんより100倍ワイルドなヒュー・ジャックマン演ずる人気キャラクター、ウルヴァリンの誕生秘話。踊る筋肉、揺れるモミアゲ、今日も切れてるベアークローを存分に愛でられます。ミュータントの特殊能力は単純なものが多く、格闘アクションは見応えたっぷり。ファンは勿論ですが、一見さんでも問題ありません。むしろ本編『Xメン』シリーズより一般向けで観易いかと思います。ところで気になったのはウルヴァリンの肉体再生能力。合成超人の能力をみる限り、もしかして首くらい刎ねられても大丈夫なのでしょうか?驚異的な“新陳代謝”でウルヴァリンの不死身ぶりを説明するならまだしも、頭が胴体から離れても生きていらたらヴァンパイアと変わりません。ミュータントを人間と捉えることがXメンのアイデンティティ。自然の理から外れない匙加減が必要と感じました。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-09-15 21:50:00)(笑:1票) (良:1票)
47.  ダイ・ハード/ラスト・デイ 《ネタバレ》 
『戦う目的が漠然としていたため緊張感が希薄である。』『みんな超人で、全身打撲という概念は無いの?』『ラスボスの最期が悪趣味過ぎる。』すぐに思いつく短所だけでも、これだけあります。正直、満足度はシリーズの中ではワーストだと思います。でも、このような不満は些細な事だという気もするのです。マクレーン刑事が困り顔でマシンガンをぶっ放しながら走ってくれたら、もうそれだけで『ダイ・ハード』認定でいいんじゃないかと。もう寅さんと同じカテゴリーでOKでしょう。このまま息子に主役をバトンタッチなんかせずに、行けるところまでイッちゃってください。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-07-22 19:09:07)
48.  エグザム 《ネタバレ》 
試験の質問を手探りで探していく課程や、受験者の人間性が露呈していく展開はなかなか見応えがありました。社会背景や状況設定をブラインドにしたのも上手いやり方。受験者同様、観客も物語の行方を掴むのに必死で、緊張感を失う事なく最後まで観られました。結末は完全に自分の想定外。とんちか?!と突っ込みたい気も無い訳ではありませんが、不思議と腹は立ちません。あの質問文を読み取れる程の“注意力”と“忍耐力”が合格者には必要だったという事なのでしょう。それに安易に人を蹴落とさない“人間性”も。じゃなきゃ、こんな回りくどい遣り方じゃなく、1万ピースのジグソウパズル作成でも良かった訳ですし。
[DVD(吹替)] 6点(2013-01-13 22:29:01)
49.  トライアングル(2009) 《ネタバレ》 
(他のレビュワー様もご指摘のように、予備知識なく鑑賞する事をお勧めします。ネタバレありますので未見の方はご注意ください。)主人公たちが乗り込んだ客船は、ギリシア神話の風神の名『アイオロス』を冠していました。劇中紹介されているこの神に纏わるエピソード、“死神を騙してこの世に居座った罰として、岩を山に押し上げる苦行を永遠に課された”が、主人公の身の上にも起きていると考えてよさそうです。彼女はシングルマザー。自閉症の息子と向き合う生活。其処に逃げ場はありません。だから逃げたかった。ほんの少しだけでも、楽しいクルージングで厳しい現実から目を逸らしたかった。それが自動車事故で命を失う寸前に、彼女が抱いていた願い。そこを死神(タクシー運転手)に付け込まれた。彼女は“死”という現実から、逃げ続ける誘いに乗ってしまいました。息子を取り戻す挑戦を、彼女は続けるのでしょう。永遠に。TRI・ANGLEはTRY・ANGLEでもありました。なんと哀れな事でしょう。それほど重い罰を受けなければならない程、彼女は罪人だったのでしょうか…。物語は、その構造上同じ場面が幾度も繰り返されますが、主人公の視点が複数存在するため、飽くことがなく緊張感を維持できたと思います。何も知らずにアイオロスに乗り込んできた私。奇妙な繰り返しを阻止しようと足掻く私。自分の役割を理解(思い出した)私。文字通りアングルが変われば、物事の受け取り方も変わります。それが物語の奥行。技ありの脚本でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2013-01-04 18:52:45)(良:4票)
50.  バイオハザードIV アフターライフ 《ネタバレ》 
冒頭のアリス軍団の戦いぶりは圧巻。セクシーボディスーツを身に纏った美人さんが、集団でサムライブレードを振り回し、マシンガンをぶっ放しながら、更にはサイコキネシスまで使うというハチャメチャぶり。まるでラーメンのトッピング全部乗せ状態。お腹一杯。クローンとは、死んだら補充されるゲームのキャラクターにも通じる概念で、ゲームを原作とする本作にはピッタリなのかもしれません。ただし、“替えが効く”主役キャラクターが大挙登場するという流れは、実は大して面白くありません。死という恐怖が、リアリティを帯びないゾンビ映画は問題があるということ。もっともそれを見透かしたかのように、本作ではアリスから超人的なパワーを奪い取る仕掛けが施されますが、無敵感はスポイルされませんでした。マクレーン刑事もビックリのビル飛び降り(しかも必然性なし)は、まともな感覚を持った人間がやることじゃないです。お股ひゅんとするでしょうに。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-07 22:43:06)
51.  バイオハザード(2001) 《ネタバレ》 
予想以上に面白かった最新作Ⅴ。原点回帰との印象を受けたため、比較検証のためにⅠを再鑑賞しました。続編との決定的な違いは、本作は『ゾンビ映画』であったということ。そう、シリーズ唯一『ゾンビ映画』でした。“死”という恐怖の上位に位置する恐怖が描かれるのがゾンビ映画たる所以。自己を失う恐怖。知性を奪われる恐怖。そういう意味では、本作のハイライトの一つである“アリスが三角飛び蹴りでゾンビ犬を倒すシーン”はアクションゲーム『バイオハザード』的には正しくても、『ゾンビ映画』としては間違っていたと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2012-10-01 22:20:15)
52.  月に囚われた男 《ネタバレ》 
久しぶりに(?)邦題が内容にマッチしている映画に出会いました。確かに主人公は月に囚われています。家族に会うという希望を抱きながら、地球から遠く離れた月で3年間働く。それだけのために生まれ、それだけのために死ぬ運命。孕むテーマは人間の尊厳や生死観にかかわる重厚なものでしたが、物語は意外なほど淡々と進みました。ドラマチックな展開などありません。まるでシリアスを拒絶するかのよう。この味わいが絶妙でした。なぜ彼らが真実を知っても取り乱さないのか。その理由に思いが届いたとき、物語は深みを増した気がします。個人的な希望を言わせてもらえば、ラスト。ワンカットで構いません。ハワイの風に吹かれるサムの姿を見たかった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-15 18:39:43)(良:3票)
53.  ゴーストライター 《ネタバレ》 
冷静に考えてみると、“秘密を何故自叙伝の中に隠す必要があったのか?”という疑問は残るワケですが、細かい事は考えず、『サスペンスの様式美』を楽しむというスタンスが正しいかと。引き出しの裏に隠されていた資料、カーナビゲーションに入力されていた行き先、顔を曝さぬ敵、島のロケーション、どれも素晴らしきサスペンスの流儀でした。堪能させていただきました。なお一番怖かったのは、元英国ファーストレディと寝なければならなくなった場面。震えました。もう、お断りする選択肢はありませんもの。ある意味、極道の女に手を出すよりもヤバイのに。絶世の美女なら諦めもつきますが、お美しいとはいえオバサン。縮み上がらずに抱けた、主人公の男気を尊敬します。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-09 20:10:35)(笑:1票)
54.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意ください)物語を味わう上でポイントとなる部分。それは、“何故主人公は危険を冒してまで、暗殺計画を止めようとしたのか?”だと考えます。そもそも自分が携わっていたミッション。阻止する必然性はありません。それに未だ口封じされる危険性が残る中、余計な事はせず速やかに雲隠れするが得策のはず。しかし、彼はそうしませんでした。其処に意味があると考えます。ジーナは言いました。「大事なのは、今何をするかよ」と。過去を捨てるため、新たなアイデンティティを獲得するため、マーティン・ハリスという名の男(=かつての自分自身)と決着をつける必要があった。果たして結果は爆発炎上。彼の過去も綺麗に吹き飛んだ様子。生まれ変わりを望む人間にとっては、これ以上ない結末でした。アイデンティティを失った男と、IDの無い女は、新たな人生を手に入れました。『96時間』のリーアム・ニーソン主演。“頼れる男”が本作では散々な目に合います。彼の枯れた風貌は、所謂アクション俳優に比べ親しみ易い。感情移入が必須となるサスペンスでは大切な要素です。オチに新鮮味はありませんが、よく練られた脚本が心地よい作品でした。シュワルツェネッガー主演の某SF映画と類似点が多くありますので、比較してみるのも面白そうです。
[DVD(吹替)] 8点(2012-07-14 09:50:47)
55.  アリス・クリードの失踪 《ネタバレ》 
物語開始約5分間、台詞無し。上映時間101分のうち、登場人物はたった3人のみ。このコダワリは凄いと思いました。印象に残ります。明らかに不自然ですから。この違和感は、所謂“つり橋効果”と同様に、緊張感にすり替わるという効用をもたらした反面、リアリティを削ぐという反作用もあったように思います。一長一短といったところ。作品のキャッチコピーは「嘘が散らばっている」。内田けんじの映画のようなテクニカルな脚本を期待しましたが、主に人間関係における嘘と裏切りを焦点としたヒューマンドラマの様相に。悪くはありませんが、クライムサスペンスとしては、やや物足りないと感じてしまいます。
[DVD(字幕)] 6点(2012-07-07 21:51:27)(良:1票)
56.  127時間 《ネタバレ》 
最初から結末は分かっていた物語です。当事者も観客も、助かるためにはあの方法しか無いのは承知済み。127時間という時間は、その脱出方法の決断に必要だった時間。腹を括るのに、実に5日間を要した訳です。どのような心理過程を経てその決断に辿り着いたのか?この部分のドラマを骨太に描くことが「実話の映画化」における正攻法であったと考えますが、やや腰が引けた印象を受けました。正面突破で90分を持たせる自信が無かったのでしょうか。「中国製のナイフだから切れ味が悪い」と、観客の頭から選択肢を消去するミスリードを織り込みます。確かに観客は一時的には結末を見失ったかもしれません。しかし稼げる尺は知れたもの。主人公の内面に対する観客の興味を削いでしまった代償の方が大きかった気がします。彼の葛藤だけを愚直に描く“勇気”が、本作の脚本には必要だったと思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2012-03-19 22:25:47)
57.  リトル・ランボーズ 《ネタバレ》 
国を愛したように、国からも愛されたいと願ったランボー。本作の小さなランボーたちの気持ちも同じです。愛する家族から愛されたいということ。家族が機能していないウィルとリー・カーター。似通った境遇にある2人が惹かれあったのは必然だった気がします。フランスのインチキモテ男とその仲間をも巻き込んで、2人のアウトサイダーが作り上げた『ランボウの息子』は、神編集ながらも客観的にはダメダメでした。もしコンテストに出品していたとしても賞は取れなかったでしょう。しかし心に響きました。その映画には愛がありました。少年たちが心の底から欲していたもの。劇場のスクリーンを前に涙を流すリー・カーターにもらい泣きしました。「今日はオレの人生で最高の日だ」そんな言葉が言える日に、そんな言葉をかける相手に出会えたことに、2人とも感謝しなくては。おめでとう、ランボウの息子とトラウトマン大佐。実を言うと、観始めた当初は楽しめるかどうか不安でした。子供の喫煙とか、頭上の貯金箱をボウガンで射る件とか。でも中盤のデフォルメ表現(撮影中のハード過ぎるアクション、フランス野郎関連のエピソードの数々)が、現実感を少なからず緩和してくれていたと思います。おかげで純粋に物語と向き合う事が出来ました。それにしても主役2人のキャラクターは最高。特にリー・カーターが素敵でした。顔つきが、もう憎たらしい。でもそれが次第に愛おしく思えてくるから不思議なものです。見事な子役たちにやられた映画でありました。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2012-01-10 18:26:11)(良:1票)
58.  宇宙人ポール
『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』の主演コンビには絶対の信頼を寄せているものの、監督がエドガー・ライトでは無いという1点において、いくばくかの不安を抱いて鑑賞に臨みましたが、杞憂に終わりました。いつもの映画愛溢れるパロディ&オマージュに嬉しいやら胸を熱くするやら、大変楽しいひと時を過ごす事が出来ました。特に素晴らしかったのが脇役たちです。宗教女にお馬鹿エージェント2人組。愛すべきサブキャラクターが活躍するコメディにハズレはありません。『僕らのミライへ逆回転』もそうでしたが、こういうお遊びに付き合ってくれるシガニー・ウィーバーには本当に感謝します。そしてお疲れ様でした。ただ、冒頭に挙げた2作品と比べるとやや物足りないと感じるのも事実。ポールとの友情、グレームと宗教女のロマンス等、ドラマパートの処理が淡白だった気がします。喩えるならそうめんのようなアッサリ感。もちろん悪いワケでは無いのですが、観る者の心に楔を打ち込むような“引っ掛かり”が欲しいと思ってしまいます(当日の夜初めて食した某○古タンメンのような忘れられない何かが欲しい。好みではなかったけれど、あの味は忘れません。)そういう意味では、みんな“物分りが良すぎ”でした。『E・T』未見。『未知との遭遇』はどんな話か忘れた。そんな自分でも楽しめたのですから、意外と間口の広い作品かもしれません。本作がキッカケで『ショーン~』や『ホット・ファズ』を観てくれる人が増えると嬉しいです。(2011年9月18日。したまちコメディ映画祭in台東『映画秘宝まつり』・浅草公会堂にて鑑賞)
[映画館(字幕)] 8点(2011-09-20 02:32:07)(良:1票)
59.  ノッティングヒルの恋人 《ネタバレ》 
ラブコメはこうあって欲しいという見本。とくに前半の出来がすこぶるイイ。主人公の同居人、スパイクのトボけた味が猛威を振るいます。大笑いしました。コメディパートでしっかり笑えるから、恋の切なさが際立ちます。まだ2人の関係が進展する前からウルウルでした。主役2人以上に脇役キャラが際立っているのも本作の長所。先に述べたスパイクは勿論、タッカーの家族や友人達がみな魅力的です。正直見た目はイケてませんが、心根の優しいイイ奴ばかり。類は友を呼ぶ。周りの人を見れば主人公の人間性も分かるというものです。躊躇なくアナに友人たちを引き合わせたのもポイント高し。さて、問題はアナです。自らの秘密や不安を語る彼女は、スターではなく何処にでもいる三十路間際の女。人間味が感じられる。でも恋人の存在にはガッカリしました。タッカーをホテルに誘った時点では完全に浮気ですから。ここがほぼ唯一の不満点。恋物語に敵役は必要ですが、彼女の人間性を貶めない配慮が欲しかった。至福の喜びと落胆の繰り返しでタッカーの心はズタボロです。アナからのプロポーズを一度は断ったのも理解できる。いろんな面でこの恋愛のリスクは高過ぎますから。でも、しかし!リスクなんかクソ食らえ!!人を想う気持ちに損得勘定なんか要りません。タッカーに間違いを気付かせたスパイク、ここでもいい仕事をしてくれました。ホテルのフロントもナイスアシスト賞。ラストの告白シーンもベタだけど良かったです。ハッピーエンド版のローマの休日でした。本作を現実的でないという事なかれ。これは夢物語。それに夢を現実に変えるのが人生の楽しみでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2011-09-02 22:18:09)(良:2票)
60.  キック・アス
米国人にとってのアメコミヒーローって何なのでしょう。想像するに、日本人にとっての水戸黄門じゃないかと思う。あるいは桃太郎侍とか暴れん坊将軍とか。ソウルフードならぬソウルヒーロー。絶対正義、完全懲悪、国民の希望…。基本的に拍手喝采・大歓迎しますけど、全面支持ってワケでもない。さっさと印籠出せよ、なんてツッコミは当たり前。愛しているからね。甘えているからね。本作は、そういう映画だと感じました。倫理道徳的観点に立てば、少女の殺戮など許されない。力を持たぬキック・アスは役立たず。でも彼らが無性にカッコ良く見えてくる不思議。人間は、頭と心で相反する基準を持っていることが分かります。好きだけどキライ。批判したいけど認めてもいる。銃社会、ラブ&ピース。結局、アメリカ人はヒーローが大好きで、アメリカという国を愛しているのだと思います。もっとも、こんな分析をしたところで、本作の魅力は微塵も伝わらない。ていうか、これアメリカ映画って訳でもないのか?まあ、どっちでもいい。とにかく見てもらわないと。ヒットガールちゃんを!めくれた唇は瀬戸朝香より100倍魅惑的で、黒アイマスクの下のたれ目は萩本欽一を超えた。それに加えて見事なアサシンぶり。初登場シーンのインパクトは絶大で、BGMもキマッてた。ココロ鷲摑み状態です。バイオレンスアクションムービー史上、最強ではないが、最高のヒロインが誕生したと言い切ります。スプラッターやロリコン趣向は無かったはずなのに、面白すぎて涙を流した自分が怖くなる。名作、ヒット作へのオマージュ満載。クソ映画には違いない。それも超ド級のクソ映画。でも、感謝の言葉しか出てきません。ありがとう。心の底からありがとう。『シン・シティ』等の映画のネタバレがあったので1点引いておきますが、それでも10点です。
[映画館(字幕)] 10点(2011-01-22 17:54:25)(笑:1票) (良:2票)
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