Menu
 > レビュワー
 > 目隠シスト さんの口コミ一覧
目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2257
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : カナダ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  MAMA(2013) 《ネタバレ》 
結末に言及しています。未見の方はご注意ください。  端的に言うなら『狼少女ジェーン』(ガラスの仮面より)のオカルトホラー仕立て。描写の中に近代ジャパニーズホラーの礎とも言うべき『リング』から「指さし男」が引用されていたのが感慨深いです。ゴッホの作品に浮世絵が登場するような誇らしさとでも言いましょうか。これはパクリではなく「オマージュ」でよろしいんですよね。 私は冒頭オカルトホラーと書きましたが、ヒューマンドラマとしてつくり込まれており「ダークファンタジー」にカテゴライズする方が適切かもしれません。何といっても『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロが製作総指揮ですから。終盤の救出劇には手に汗握り、ぐいぐい引き込まれました。展開もまさしく『リング』さながら。はじめは寝転んで眺めていましたが途中から正座です。「助けてやってくれ」「見逃してくれ」と何度も心の中で叫びましたが願い届かず。観終えた直後は相当滅入ったものの、冷静になれば納得の結末と言わざるを得ません。「もし・あの時・ああしていれば」が見当たらないのです。そう自分に言い聞かせています。 大量のさくらんぼの種が意味すること、視線の使い方、キーアイテム「メガネ」の役割など、ツボを心得た演出が冴え渡り好印象。ママの造形は怪物に寄り過ぎていた気もしますが、「亡霊の子育て」という設定上おどろおどろしい見た目でなくてはいけなかったのでしょう。最期の瞬間、怨念から解き放たれ穏やかな表情であったのがせめてもの救いでしょうか。2人の子どもは本当に可愛かったです。ずっと「私は行かない」としか言わなかったお姉ちゃんの気持ちが胸を抉ります。妹にはどうしても「行くな」と言えなかったのですよね。姉妹にとって亡霊は母親に違いなく、行先が地獄と分かっていたとしても一緒に居たいと願うのが子ども心。姉は妹の気持ちを尊重したのです。姉妹で明暗を分けたのは人間社会との繋がりの差。「メガネ一つ分」の違いでありました。 タイトルといいビジュアルイメージといいあまりぱっとしませんが、こんなところに傑作が隠れていたとは驚きです。福引で一等賞を当てた気分。覚悟のいる物語ではありますが、皆さんにお勧めします。
[インターネット(吹替)] 9点(2023-09-11 18:20:51)
2.  タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら 《ネタバレ》 
ジャンル”あるある”を逆手にとったパロディ映画は時々目にしますが、『殺人鬼もの』をコメディに、いやラブコメディに仕立て上げるとは、この切り口は新鮮でした。スプラッターホラーお約束の醜男に、お馴染みチェーンソー振り回し。なるほど殺人鬼のディテールをそういう流れで再現しますか。よく考えますな。でも本当に凄いのは、人が死にまくるのにきちんと笑えること。クダラナイのもテクニックのうちと。もちろん、コメディの肝は人物造形。主役2人は絶品の愛されキャラで、感情移入しまくりでした。ホント、人は見た目で判断してはいけませんね(でも悪そうな人は大体悪人なんですよ)。風体はまさに猟奇殺人鬼のそれ。なのに中身は善人、しかも友情に厚いというギャップに萌え、好意と善意が悪い方にしか転ばぬ運の悪さに身悶えしながら観入りました。ですから、溜まりに溜まったアンラッキーの負債をチャラにするラストの多幸感たるや、もう!全非モテ男、感涙必至なのであります(ただし、『果報は寝て待て』な解釈はご法度。デイルは、優れた人間性が正当に評価されたのです。知性も高いですし。原石は磨いて宝石に。市場に出されて、初めて価値がつくという教訓です)。危うく10点を献上するところでした。もうホント大好きです。ただ、肯定前提で注文をつけさせてもらうなら、敵役の大学生がちょっと可哀想でね。彼に殺人鬼の血筋をあてがうのは筋悪。無理して悪者に仕立てなくても、このお話は成立したと思うのです。徹頭徹尾、大学生たちの思い込みと勘違いだけで物語を組み立ててくれたら最高でした。さて、これだけのナイスキャラを一作で終わらせるのは勿体ないような。続編は、セラピスト志望のヒロインも含めて、殺人鬼ファミリーもので如何でしょうか。
[インターネット(字幕)] 9点(2020-04-25 11:49:17)(良:1票)
3.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 
ホラーの看板を掛けながらにして、その実売るのは青春ドラマ。恐頭青肉。普通なら誉められた商売手法ではありませんが、 極上のジュブナイル映画を見せられては文句など出るはずもありません。それにしても、邦題の悪質なこと(笑)。映画ほど予習不要な娯楽は無いですね。個人的には嬉しいサプライズでありましたが。まず素晴らしかったのが人物造形。典型的なキャラクターの例示は、あなたもこの中のひとりですよの意。みんな愛すべき“私たち”です。ミステリーとしての手際もなかなかのもの。次々と提示される“ピエロが見える理由”。複数の仮説を観客から検証してもらう仕立てです。廃墟でメガネくんの失踪チラシが出てきたときには震えました。このような絶妙なタイミングでのフェイントやフェイクが、謎解き要素を終盤まで持続させてた所以。見事な手際でした。さて、メインとも言うべきピエロはどうでしょうか。ジェイソンやレザーマスクのように表情を見せない&喋らない派が主流の殺人鬼業界にあって、彼のようなスタイルは異色です(ゆるキャラ界のふなっしー的存在でしょうか)。はっきり言って、怖くないのです。特に大人視点だと子供騙しにしかみえません。そこに意味がありました。ピエロは、子どもが大人になるために乗り越えなければならない壁。それを恐怖の対象に据えたと。このアイデアが秀逸でした。早く大人になりたいと背伸びしつつも、行動はガキそのもの。ホント思春期の子供は、自身がピエロに相違ありません。大人の階段を昇る子供が戦う相手は、勿論自分自身でしょう。それに大人になるのは、確かに怖いことですから。守られる立場から、守る立場へ。自分自身を守ることが最初の一歩。そういう意味では、子どもなのに全然守られていない(あるいは過度に守られて腐る寸前な)“毒親持ち”が複数人いたのはショックでした。恐怖に立ち向かう勇気の源を、そもそも持たせてもらってないなんて酷い話です。それでも負け犬連合には、幸運にも仲間がいました。一人で駄目なら、皆で戦えばいい。私自身そういうことが出来るタイプではなかったので、彼らが羨ましく思えました(ピエロに立ち向かう姿は、まるでノロイと戦うガンバとその仲間たち)。ベバリーが言うように、戦った記憶さえ無くしてしまうのが大人になった証拠なのでしょう。それは多分当たり前のことであり、だけど少し寂しいこと。だからこそ大人は、自身の記憶の欠片を呼び起こして胸を熱くするのだと思います。劇場には多くの若者の姿がありましたが、この映画のメインターゲットは彼らではありません。そう、この映画を観て、大いに笑って、感傷に浸って、大人になった自分自身を誉めてあげて欲しいのは、かつて子供だった皆さんです。
[映画館(字幕)] 9点(2017-11-15 00:27:03)
4.  ラースと、その彼女 《ネタバレ》 
心を病んだ一人の男が、周りの人々のサポートを受け、徐々に回復していくまでを丁寧に描いたヒューマンドラマ。ラースの心の闇の正体。それは母親を亡くした事に対する自責の念でした。出産に対する恐怖。兄嫁の妊娠に、ラースの心は耐えられなかった。そこで彼が求めたのが、決して死ぬ事の無いラブドールでした。絶対的な“安心”がそこに在りました。ところが、周りの人々の優しさが、彼を気遣う思い遣りが、人形に命を吹き込んでいきます。ラースにとっては、ある意味想定外の出来事だったでしょう。洋服屋のショウウィンドウで働き、ボランティアに勤しむラブドール。操り人形は、いつしか彼の手を離れていきました。もはや人格を持った一人の女性。そんなビアンカの死は、彼女が人として生きてきた事の証です。そしてラースが人間の摂理を受け入れた事実を意味していました。彼女はラースの心を癒す使命を全うしたのです。寂しいけれど、希望に満ちたラストでありました。ラース役のライアン・ゴズリングはもとより、端役に至るまで上手い役者を揃えている本作ですが、MVPにはやはりビアンカちゃんを推したい。その画的なインパクトは絶大で、前半は彼女が映るたびに笑ってしまいました。ところが、物語が進むにつれて、本物のレディに見えてきたのが不思議。湖の辺で佇む2人。彼女の瞳から、その口元から、感情を読み取りました。それは観客(私自身)の想いが創り出した“彼女の心”だった気がします。ビアンカは人の心を映し出す“鏡”でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-28 19:23:58)(良:2票)
5.  エンジェル ウォーズ
この映画はプロレスだ。本物の、リアル“プロレス”だ。現役プロレスファンは勿論のこと、かつてのプロレス者も是非劇場へ足を運んで欲しいと思う。プロレスについて長く考えた人、深く考えた人は、この映画の意味がよく分かると思う。私たちが何故プロレスを愛したのか、愛しているのか、その答えがこの映画の中にある。惜しむらくは、自分が40歳目前のオッサンだということ。出来ることなら20年前に本作に出合いたかった。限りなく満点だが、満点は付けられない。それが私の20年の道程だ。マイナス1点の大人の自尊心。それが悲しくもあり、嬉しくもある。
[映画館(吹替)] 9点(2011-05-01 22:50:23)
6.  2012(2009) 《ネタバレ》 
崩壊する住宅街、巨大ビル群、そしてランドマークの数々。家が一戸つぶれても結構なインパクトなのに、それが連鎖するのですからもう大変。大海原に大陸プレートが引き込まれていく様など圧巻の一言。これほど見事に文明を壊すとは恐れ入りました。恐怖を通り越して、ある種の爽快感さえ感じる大崩壊劇でした。さらに素晴らしいのは、アクションに娯楽性が存分に加味されていること。車が行過ぎる傍から崩れ落ちていく道路。火山弾と爆煙を掻い潜り飛ぶ飛行機。アニメ等ではよく見かけるシーンですが、実写だと荒唐無稽過ぎて意外と敬遠されがち。実際リアリティなんてありません。でも徹底してそんな場面ばかりだと、これまた快感になってくる。もう何でもやっちゃって頂戴って感じ。自分の中の「想像の幅」が広がりました。これぞスペクタクル。これぞパニック映画。極めて正しいCGの使い方を見せていただきました。脚本は一貫してバカなのですが、悪いとは思いませんでした。助かるために必要な権力と財力が無い主人公は、人脈と運と必死さで勝負した。この世は不平等だけど、嘆いていても仕方が無い。死に物狂いで道が開けることもある。希望のある結末だったと思います。なお、個人的にはどうしても助けたいキャラが2人いました。一人はゴードン医師。主人公一家結束のダシに使われたのは可哀想。頑張った彼には助かって欲しかった。そしてもう一人、強烈キャラのロシア人大富豪。『エンジン・スタート』は笑撃の名台詞でした。彼もまた助かるに足る人間力の持ち主だったと思います。こういう映画は劇場で観なくてはダメだと痛感しました。満足度の高い映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2010-01-22 00:15:22)(良:1票)
7.  サイコ・ゴアマン 《ネタバレ》 
80年代少年漫画でありそうなベタなファンタジー設定と、CG全盛の今となっては懐かしい「特撮」の相性や良し。50代の私にとっては、ある意味ノスタルジーに浸れる作品でありました。宇宙人(もはや怪人)のデザインは『真・女神転生』や『ベルセルク』あるいは日本特撮系アクションヒーロー悪者の系譜。コメディパートはシュールかつクレイジーで遣りたい放題。人物造形も気持ちがいい。特にミミちゃんとお父さん。好きな人には「たまらない」のは間違いなく、かくいう私にとっても「あざとい」と感じるくらいドストライクなB級映画でありました。ただし一般的には「なんじゃこりゃ」であろうことも想像に難くありませんが。 オチについて一考。宇宙を滅亡させるほどの力を持った(ホントかな?)サイコ・ゴアマンを世に放った点をどう評価しましょうか。これは「罠にかかった熊を可哀そうだから森へ逃がしてあげました」と同類なのか、あるいは「人知及ばぬ自然災害は諦めるしかない」なのか。おそらくどちらの要素もあるでしょうが、一切丸く収める気のない無責任な結末に痺れました。化け物に変えられてしまった少年の顛末についてもそう。せめてサイコ・ゴアマンに元に戻してもらうお願いくらいすればよいものを、ミミちゃんにそんな素振り全くなし。ヒトデナシが過ぎます。きっと「腹水盆に返らず」「悔いても仕方がない」「それなら前を向きましょうよ」なのでしょう。所詮他人事だからとも言えますが(ホントに酷い!)ブラックコメディとして正しい姿勢ですし、見方を変えれば「達観している」とも言えます。下品ではありますが、なかなかにハイブローでは。「好きな人にとっては」という注釈が付くものの見事な出来栄えだと思いました。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-01-19 19:47:19)
8.  ウィッチ 《ネタバレ》 
コミュニティから弾かれ孤立する家族。唯一の拠り所は信仰心。しかし柔軟性なく凝り固まった心は、最も大切にしなければならない家族の絆を断ち切っていく。行き着く先が悲劇なのは必然でした。王道のオカルト様式でありながら、スーパーナチュラル確定でなく、精神疾患(追い詰められた主人公が脳内で作り出した架空のお話)の可能性を感じさせるあたり作品の奥行きを感じさせます。派手さはないものの、ホラーとしては一級品です。恐ろしいのは魔女か、悪魔か、はたまた人の心か。
[インターネット(吹替)] 8点(2022-02-10 22:50:19)
9.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 
細部に至るまで綿密に計算されたテクニカルな構成に感心しますが、とくに言及したいポイントは2つあります。一つ目は俳優交代について。主人公姉妹は、ローティーンと成人、都合2つの年代が描かれます。N〇Kの朝ドラでもない限り成長期を跨いで一人の役者に任すのは無理筋ですから、俳優交代は絶対条件。とはいえ経年違和感のない交代俳優を探すのも大変です。観客の脳内補完必須でしょう。ところが本作では、役者交代に何の違和感もありませんでした。ほとんど完璧なバトンタッチでは。よく似た子役をキャスティングした点もさることながら、顔がボコボコだったり厚化粧だったり人相判別を困難にした事が功を奏したと考えます。なるほど、単純ですが上手いやり口です。これは称賛ポイントでしょう。二つ目は、終盤の展開について。殺人鬼系ホラーで見慣れた典型的な流れで、ご都合主義も目につきました。趣向を凝らしたこれまでの展開と比して無策に思えます。しかしこれも観客を惑わす計略のひとつ。なぜなら本作の肝は『主人公はホラー小説家志望』という基本設定にあるからです。物語の裏地にぴたりと張り付き、観客の判断を惑わせます。目を凝らして観るほどに『ここが不自然な気がする』と疑問符がつく仕立て。題材(展開)はプレーンなほど好都合というワケ。虚実の境目の見極めは、観客に委ねられました。極端な話、主人公はまだ捕らわれているかもしれませんし、イチから全部小説との見立ても可能でしょう。解釈に幅があり、物語に奥行が感じられるのは、優れたミステリーホラーの証と考えます。なお、壮絶・胸糞なストーリーにも関わらず『観易い』のも本作の特徴です。前述した丁寧なお仕事をベースに、各種配慮が行き届いていました。『鬼畜監禁もの』とは思えぬマイルドな暴力表現で、後味も悪くありません。デートムービーにさえ使えるレベル。この大衆性・汎用性の高さはセールスポイントでしょうが、多方面に気を配った結果、ホラー映画としてのパンチ力(狂気)を欠いた気がしないでもありません。(以下余談)と書き終えて、他の方のレビューを拝見したところ、私の感覚に大きなズレがある事が判明しました。やっぱりデートムービーは無理みたいです。ご注意を。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-02-15 22:47:02)(良:1票)
10.  残酷で異常 《ネタバレ》 
ありそうで無かった気がする××の描き方。『後悔先に立たず』されど『反省はできる』がテーマかと思いきや、『どんな完璧なシステムにもエラーは付きもの』という意外な着地点でした。キアヌ・リーブス主演の某オカルト映画のルールに従うなら、主人公は××から〇〇行きへ変更になっても良さそうな気がしますが、婆ちゃんの面目を潰したからダメなんですかね。もっとも彼は覚悟の上ですから、何度同じ体験を強いたところで、満足こそすれ反省などしないでしょう。表情をみれば一目瞭然。こういう人には、諦めて〇〇に行ってもらうか、もう一度『苦行』を課した方がいいと思いますが如何ですか、お婆ちゃん。集会で美魔女が椅子を2つ占拠していたり(一つは踏み台)、急に老化したように感じたり(時間軸が異なる)、芸が細かくて感心します。婆ちゃんやピッカリ君をブラウン管に閉じ込めたセンスもなかなか。唯一邦題だけは頂けないなあと思ったら、原題直訳ですか。なら仕方ないです。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-11-15 01:56:49)(笑:1票) (良:2票)
11.  ターボキッド 《ネタバレ》 
チャリ版『マッドマックス2』あるいは『北斗の拳(実写版のほう)』。それ以外の適切な表現が思いつきません。使い古された世界観、超テキトー設定、やり過ぎゴア描写。全くもってB級映画のテンプレート満載です。ザ・安普請。ただ、見捨てておけない魅力があるのも事実。おそらくそれは、主役2人のキャラクターに起因するのでしょう。ひたすら真面目な主人公、明らかに可愛いアップルちゃん。主役2人のラブストーリーが微笑ましく、血飛沫ハラワタ飛び散る“汚らしい”世紀末バトルとのギャップに眩暈を覚えました。荒地の2人鬼ごっこ。いい雰囲気で見つめ合ってゲロ。妖精バットでタコ殴り、人体串刺しユニコーン。何んだこりゃ。でもいいぞ!クライマックス、血の雨が降り注ぐ中、パラソルの下で交わしたファーストキスは、極めて映画的な美しさに溢れていました。人とロボット。血は通わずとも、通うものがある奇跡。ああ、良い映画を観たなと錯覚するのです。鉄拳カウボーイや丸ノコガイコツ男、悪の親玉隻眼ゼウス。サブキャラクターも良い味出しまくり。美術は並かそれ以下、脚本は穴だらけながら、演出と役者の技量で一本勝ちなんです。愛すべきB級映画をまた一つ見つけました。
[DVD(字幕)] 8点(2018-04-05 00:27:55)
12.  メッセージ 《ネタバレ》 
巨大宇宙船、タコ型地球外生命体、そして“未来の記憶”。トラディショナルなTHE・SF映画の体裁です。ストーリーは“異星人との意思疎通”にほぼ終始するという極めて地味な展開ながらも、情感たっぷりのヒューマンドラマを孕み、見応は十分でした。最終的には親子愛という普遍的なテーマに落とし込むあたりも、王道中の王道のSF作品。個人的な好みで言えば『コンタクト』や『インターステラ―』と甲乙付けがたい傑作SFとの認識です。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2018-03-20 19:59:44)
13.  キングコング: 髑髏島の巨神 《ネタバレ》 
大味なバカ映画なんだろうなと高をくくっていたところ、意外にもシニカルかつポリティカルなメッセージが込められていたことに驚きました。“本当は戦う必要のない相手がどうして敵なのか”。頭空っぽにしてコングの大暴れが観られればいいと思っていたので、少々面食らった次第です。とはいえ基本は、巨大化け物バトル・ロワイアル。コングだけでなく、”ひたすらでかい”水牛、蜘蛛、怪鳥、そしてトカゲも頂戴できて大満足でした。劇場大スクリーンで迫力を楽しまなきゃ損の娯楽作品で間違いありません。PJ版キングコングから早12年ですか。CGのクオリティに関しては、もう文句のつけようのない極上の仕上がりで、本音を言えばストーリーなどどっちでもいいのですけれども。エンドクレジット後のオマケは、和製怪獣映画に対するオマージュという捉え方でよろしいんですよね。はい、大変面白かったです。
[映画館(字幕)] 8点(2017-05-10 21:42:52)
14.  バイオハザード: ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
謎が謎を呼ぶというよりは、迷走していた印象が強い本シリーズ。ヒロインはどんどん無敵化していきますし、アリスプロジェクトだの、クローン軍団だの、正直「私は一体何を見せられているの??」な状態でシリーズを追ってきました。ですから、最新作プロモーション用地上波放送で観返したⅣやⅤは兎も角も、7年以上前に観たⅡやⅢに至っては漠然とした記憶しかありません。(Ⅱではアリスがビルを駆け下りていたな、Ⅲではカラスが沢山燃えていたな、程度)。恥ずかしながら、ウェスカーって何者なのか未だによくわかりません。そんな状態でも本シリーズを見放さなかったのは、ミラ・ジョヴォビッチの美しさと、エンターテイメントに特化したアクションに惹かれたからに他なりません。つまり完全にストーリーを追う事など放棄していたのです。そんなワケですから、完結編となる本作にも正直期待しておりませんでした。今更「辻褄合わせ」などいらないと。しかし、です。“オリジナルアリスもまたクローン”が確定したことで、シリーズ全体に一本筋が通った気がします。世界浄化計画を促進する“攪拌要素”であり“道具”であったアリスが“製作者”の意図に背き、自らの意思で行動してきた事実。さらに大ボスの最期には、オリジナル>クローンという価値観を覆す効果がありました。クローンだろうと、ゾンビだろうと、元は同じ人間。リスペクトされるべき命。“代替品の矜持”を見せてくれた本作のアリスが一番素敵に見えました。完成度の高いシリーズ映画ではないかもしれませんが、足かけ15年全6作にも及ぶ長編の大風呂敷をちゃんと畳んでくれたという意味で、私は本作を支持いたします。完結ご祝儀込の8点献上です。以下余談:仮に人類浄化計画が計画どおりに成就したとしても、アリスのようにTウィルスに適応する者も僅かに生き残るのか生命の掟では。箱舟に乗った者たちよりも、明らかに生存能力に優れた者。アリス一人手に負えなかった彼らが、思うような新世界を築けるとは思えませんが……。
[映画館(字幕)] 8点(2017-01-15 11:26:52)(良:1票)
15.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
“死ぬ度に何度も同じ一日をやり直す”そんな設定と原作が日本製ライトノベルという事前情報だけで、勝手に「夢オチ」「妄想オチ」とタカを括っていたのですが、ちゃんとタイムパラドックスを扱ったSF映画だったのですね。失礼いたしました。ジャンルとしては『ミッション8ミニッツ』『バタフライエフェクト』『プライマー』等数々の傑作を排出しているシネマ界の超優良カテゴリーに属するもの。かくいう本作も御多分に洩れず良作認定で問題ないと思いますが、前述したタイトルと比較するとタイムワープ(ループ)理論の設定はかなり単純化されています。客観的な視点を一切排除し、あくまで主人公目線で世界を固定します。「我思う故に我あり」とでも申しましょうか、要するに主人公だけがこの世界を定義できる唯一無二の存在なワケです。それはまるでRPGの如し。セーブポイントから何度でもゲーム(人生)をやり直します。これは言い換えるなら、主人公以外の人生の価値を全く認めていないということ。主人公がリセットしたら、周りも強制リセットされるのですから。考えてみれば、酷く理不尽なシステムです。確かに仲間が死なずに済んだ未来はハッピーでしょうが、懸命に敵と戦って命を落としたバッドエンドだって、否定してしまったら報われないと思うんです。人生一発勝負だからこそ、素晴らしい。その点に気づかせてもらえた点で、本作は私にとって価値のある映画となりました。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2015-06-13 01:29:39)
16.  トールマン 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。ご注意ください。)「衝撃の結末」「意外な真相」この手の煽り文句はミステリー・サスペンスジャンルの常套句。しかしながら経験則では十中八九はハズレです。もはや期待値ゼロ。ところが本作は僅か1,2発に該当したようです。貴重な当たりサスペンスですので、存分に楽しむためにも予備知識なしで鑑賞することをお勧めします。 ≫≫≫≫≫ 横転したトラックから這い出た男の子。拉致犯人が抱き抱えようとした時、子は協力的に手を差し出したように見えました。ともすれば見逃してしまいそうな些細な描写。しかし小さな違和感は確かに心に突き刺さりました。棘はやがて疑惑の核となり、ついには大きな疑念となって物語の進む方向を見失わせました。たった一本の包丁から喚起されたのは、死体の山と血の海。イメージ映像さえ、全く無かったのに。ほんの小さな、でも丁寧な仕掛けが、迷宮の入り口となっている巧みな脚本でした。既定事実が覆り、善と悪が入れ替わる快感。それが一度ならず二度まで味わえるのです。こうも先入観と想像力を手玉に取られるとは、恐れ入りました。バッドエンドとも、ハッピーエンドとも取れる極めて不安定な着地点も素晴らしいです。何故主人公にジェシカ・ビールが選ばれたのかも納得です。惜しむらくは、二段のオチのうち一回目と二回目が間延びしてしまったこと。この間をコンパクトに纏められたなら、傑作になったこと間違いなしです。
[DVD(字幕)] 8点(2013-09-03 18:27:45)
17.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意ください)物語を味わう上でポイントとなる部分。それは、“何故主人公は危険を冒してまで、暗殺計画を止めようとしたのか?”だと考えます。そもそも自分が携わっていたミッション。阻止する必然性はありません。それに未だ口封じされる危険性が残る中、余計な事はせず速やかに雲隠れするが得策のはず。しかし、彼はそうしませんでした。其処に意味があると考えます。ジーナは言いました。「大事なのは、今何をするかよ」と。過去を捨てるため、新たなアイデンティティを獲得するため、マーティン・ハリスという名の男(=かつての自分自身)と決着をつける必要があった。果たして結果は爆発炎上。彼の過去も綺麗に吹き飛んだ様子。生まれ変わりを望む人間にとっては、これ以上ない結末でした。アイデンティティを失った男と、IDの無い女は、新たな人生を手に入れました。『96時間』のリーアム・ニーソン主演。“頼れる男”が本作では散々な目に合います。彼の枯れた風貌は、所謂アクション俳優に比べ親しみ易い。感情移入が必須となるサスペンスでは大切な要素です。オチに新鮮味はありませんが、よく練られた脚本が心地よい作品でした。シュワルツェネッガー主演の某SF映画と類似点が多くありますので、比較してみるのも面白そうです。
[DVD(吹替)] 8点(2012-07-14 09:08:26)
18.  ミスター・ノーバディ 《ネタバレ》 
“右のお菓子と左のお菓子、どちらを買う?”悩ましい選択です。結局、少年はどちらも買いませんでした。確かに今買わなければ“可能性”は残ります。“希望”と言い換えてもいいかもしれない。でも悩んでいる間にお金を無くしてしまったら、元も子もありません。これは人生における課題を端的に表しているエピソードでした。そして本作で伝えたかった事の全てだった気がします。父の元に残る選択、母と共についていく選択、どちらが正しかった?ニモ老人の回想はどれが本物?あるいは全部ニモ少年の空想?この答えを探すことにあまり意味は無いと考えます。大切なのは、自分の選択が正しいと信じること。いや、受け入れること、でしょうか。モラトリアム(執行猶予)も結構だけれど、残された人生の持ち時間を消費していることも忘れてはいけない。ミスター・ノーバディは、誰でもありません。それはすなわち、命ある全ての人間の事でもあります。宇宙が収縮を始め、時間が逆行するとしたら、それは希望でしょうか絶望でしょうか。
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-13 18:28:39)(良:1票)
19.  エスター 《ネタバレ》 
怖い・気持ち悪い・腹立たしい、の3拍子揃ったA級ホラー。なんといってもエスター役のイザベル・ファーマンが素晴らしい。あの目つき、表情、口ぶりの忌々しいこと。そして恐ろしいこと。反社会性人格障害は、人格障害の中でも殊更タチが悪い。一般人が対処できるものではありません。でもそれ以上に悩ましいのは、彼女への攻撃が許されぬこと。子供は弱者です。社会的にも肉体的にも。どんなに憎くても、大人が手を出したら負け。悪者にされる。実際、母親はエスターに手を上げたことで貴重な時間を奪われ、大切なものを失った。この制約は大きなストレス。ですからエスターの正体には驚いたものの、同時に安堵もしました。心置きなく戦えるから。反撃の許されぬ自衛など無意味です。交戦力を持たぬ者は逃げるしかありません。でもエスターがこれほどのタマとは思いも寄らない訳で、逃げ遅れたことを責めるのも酷かなと。ただし、多分に自業自得な側面はあります。まるで猫の子でも貰ってくるような気軽さで、エスターを家族に招き入れてしまった。これは軽率を通り越して罪です。おそらくはエスターが指摘したように、今いる2人の子からは得られぬ喜びを彼女に求めたのでしょう。子を持つことは、その子の全てを受け入れること。利発さと芸術の才だけ望むことはかないません。人の親なら重々承知のはずなのに。この両親は、養子をもらう覚悟を理解していなかった。ですから、仮にエスターが良い子だったとしても上手く行かなかった気がします。それにしてもイザベル・ファーマン。本作では某デ○夫人みたいに見えますが、素の彼女は普通にチャーミングなんですよね。この化けっぷりには舌を巻きます。本物の女優でした。これからが楽しみ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-06 19:55:48)(良:3票)
20.  ナイト ミュージアム2 《ネタバレ》 
本作はファミリー向け映画。失礼ながら大した期待はしていませんでした。前作は自分基準で7点の採点ですから、続編となる本作は6点なら十分と考えていました。ところがどっこい、これが法外に面白かったのです。続編の強みを遺憾なく発揮した快作でした。前作は“博物館の展示物が動き出す”というアイデア一本で勝負した作品。もし本作が単なる2番煎じに終始したなら、予想どおり5~6点の代物だったでしょう。しかし違いました。設定の強化と友情ドラマという付加価値があった。何と言っても、2次元の芸術作品に命を吹き込み、中の世界へ出入り可能にしたのが値千金のナイスアイデア。一気に世界観が広がりました。古い写真の中で落とした携帯電話のエピソードは爽快の一言。石板の新たな活用法の発見に夢は広がるばかりです。前作では主人公と反目していた展示物たちが今度は最初から仲間。その繋がりが嬉しくて。主人公とのちょっとした会話から、気の置けない関係だという事が伝わってきます。喧嘩した友ほど仲が良い。そんな友情がベースにあるから、チープなドラマも特別に思えるのだと思います。前作の主要キャラをきちんとフォローした点も評価したい。ニューフェイス、カムン・ラーをはじめとする悪役たちも憎めないオトボケぶりを発揮してくれました。アドリブとしか思えない、しつこくてくだらない掛け合いを楽しみました。パロディも技ありの切れ味。コメディセンスは自分好みでした。消えたり壊れたりした展示物があっても心配ご無用な点も、続編の強みと言えるでしょう。細かいことは気にしない物語だって事は前作で学習済みですもん。ホント、大満足の続編でした。アメリカ史に詳しければ、もっともっと楽しめたでしょう。
[DVD(吹替)] 8点(2010-10-25 20:52:01)(良:2票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS