Menu
 > レビュワー
 > ドラえもん さんのレビュー一覧。10ページ目
ドラえもんさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 903
性別
自己紹介

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順12345678910111213
>> 通常表示
181.  ごめん
終盤、大阪から京都の彼女のもとへ自転車で激走するシーンが延々と続く。主人公の少年は部活の途中で、しかも剣道着姿のまんま。いつの時代でも若者というのは思いつめたら、なりふり構わず走り出すものだという象徴的なシーンである。“ごめん”と素直に言える純真さ・もどかしさ・不器用さなど、思春期のイタイ想いが詰まった初々しい気分が十分に伝わってくる、近年では出色の青春ドラマとなっている。ぎこちなさがいじらしくなってくる主人公セイを演じる、天才子役の名を欲しいままにしている久野雅弘。この年頃の男の子に常に一歩先を行っているイメージの、マドンナ役の櫻谷由貴花。共に好演で、この作品に生命を吹き込んで、より魅力あるものにしている。
8点(2003-03-06 18:01:21)(良:1票)
182.  インファナル・アフェア
終始暗いトーンで貫かれていて、渋さが際立つ香港のフィルム・ノワールの秀作。いわゆるギャング組織への潜入捜査モノだが、一方の警察内部にも幹部として組織の一員が侵入しているという設定の珍しさが興味を引く。しかもその二人は警察学校からの顔見知りで・・・とくれば、いかにも映画的には格好の素材であり、男たちの世界が重厚で骨太なドラマとして展開されていく。こうった作品に付きものの“いつ正体がバレるか”といったヒヤヒヤ感は案外薄味で、むしろ主演の二人の孤独や哀しみあるいは心の葛藤といった、いかにも香港映画の好みそうな点がより強調されている作品だと言える。そしてひたすらストイックさに徹し、定番の女性との色恋沙汰も押さえ気味にした事も好結果に繋がったようだ。剛直型のアンディ・ラウに対し、トニー・レオンの線の細さが気になるが、共に持ち味を発揮していて好演。しかしやはり二人を両脇から支えるエリック・ツァンとアンソニー・ウォンの存在なくしては、これほどの支持を受けなかったのではないだろうか。
7点(2003-12-11 17:36:19)(良:1票)
183.  プリティ・リーグ
第二次大戦中、男たちが戦場に駆出されたその穴埋め的に、アメリカに実在した粋のいい女子プロ野球チームのお話。トム・ハンクスが少し低迷していた頃の作品だが、これ以降彼自身大ブレイクしたことでも記憶に残る作品。回想シーンから物語は始まり、戦地に行っている男たちの代わりに、アメリカを自分たちの手で守るかのように、威勢が良くて元気な彼女たち(とくにジーナ・ディビスがカッコイイ!)の活躍とさまざまなエピソードのあと、やがて画面は現在に戻る。そして数十年ぶりにかつてのチームメイトが再会する場面で、J・ディビスを始めとして、ここではそれぞれの登場人物が年齢を重ねた女優さんの“ソックリさん”が登場して演じているのには正直驚かされるが、それぞれの人生を経てきた彼女たちには、思わず熱いものがこみ上げてくる。
9点(2000-11-12 23:39:55)(良:1票)
184.  インソムニア
下手な小細工をしたばっかりに、精神的に窮地に追い込まれてしまうカリスマ性を備えたベテラン刑事。しかし案外、小心者のようで、不眠症に悩まされるのは何も白夜のせいだけではなさそうだ。事の発端は猟奇的な殺人事件の捜査からだが、ストーリーは意外な展開をみせる。しかし、猟奇的殺人のようでいて、そのオドロオドロしさは少しも感じられないし、頻繁に挿入される意味ありげなフラッシュバックもさほどの効果がなく、プロットとしては案外底が浅い。しかもA・パチーノもR・ウイリアムスも今までと少し毛色の違う役を、普通に演じているに過ぎない。ピンと張りつめた冷ややかな空気の漂うアラスカの(空撮を含めた)大自然を見事に捉えたカメラが秀逸の一作。
7点(2002-10-14 23:21:40)(良:1票)
185.  ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
仲間たちの目指す旅の目的は同じなのに、計らずも三組に分かれた事により、エピソードのバリエーションが増幅され、前作以上の面白さを引き出すことに成功している。個々のシチュエーションが明確に色分けされていて、ボリュームたっぷりで濃密な映像が繰り出されていくが、CG表現を含めて、些かの手抜きも無ければ破綻も無く、ある一定のリズムで展開されていく物語には、澱みというものすら無い。だからこそ長編でありながら途中でダレることもなく、最後まで飽きさせないで観れるということなのだろう。ただ、血沸き肉踊る最大の山場である戦闘シーンは、あらゆる映像表現が可能というCGの“軽さ”が裏目に出たのか、思ったほどの盛り上がりと迫力に欠けるという恨みが残る。同時に、“二つの塔”そのものの意味合いが、視覚的な部分も含めて、あまり巧く生かされていないという事も感じた。それでも、卓抜した創造力で誕生したニューキャラクター「ゴラム」の演技はまさしく“驚異”であり、これから先も続く旅の“脅威”ともなりうる存在として、本シリーズのみならず映画史においても、特異な存在として君臨し続けることだろう。
9点(2003-05-23 23:25:09)(良:1票)
186.  ジョンQ-最後の決断-
映画としては良く出来ているほうだけど、やはり予定調和・ご都合主義という言葉がちらついてくる。子供を助けたい一心で、人質までとって病院に篭城。挙句の果て自分の命を投げ出そうとする主人公。が、だいたいD・ワシントンの作品ですよ!“とんでもない結末”などあろう筈がないでしょ。そういった観客に気を持たせるような作劇が、なんともあざとく感じられてしかたがない。現在の医療制度の問題や保険システムの矛盾といった社会的側面の描き方も中途半端。
6点(2003-03-17 00:03:55)(良:1票)
187.  ヘヴン 《ネタバレ》 
冒頭、いきなり高層のエレベーターの爆発から物語は始まる。夫を失った悲しみとその恨みから、或る麻薬密売人に復讐する為に爆薬を仕掛けたのだ。覚悟の上での犯行だったが、しかし恨みを晴らすどころか、関係ない人たちを爆死させてしまう結果に。この時のヒロインの英語教師を演じるC・ブランシェットの凍りついた表情が印象的だが、普通の一般市民のテロ行為がまかり通る国家の恐怖を感じざるを得ないエピソードではある。この後、取調べに通訳として立ち会った若き憲兵が、彼女を助けながら思いを遂げさせるという展開となるが、何故彼はそこまでして彼女に想いを寄せるのかは、あまり多くは語られないので、やや唐突な印象を受ける。絶望感に打ちひしがれ、もはや生きていく気力も失いかけていた彼女だが、青年の純粋な愛に応えるべく、共に逃避行を決心するのが物語の後半。それはまさに絶望に向かってのものだが、サスペンス・タッチの前半から舞台がトスカーナ地方に移ったこともあって、陰惨さというものが徐々に薄れていき、いつの間にかピュアで詩情溢れた画調に変転している事に気づく。極度にセリフを抑え、表情だけで純粋な愛の形を描出したT・ティクヴァ監督の、この流れるような演出の手際の良さは実に見事である。ブランシェットと相手役のJ・リビジは共に本作のイメージ通りの透明感溢れる好演を見せているが、既に「ギフト」で共演していた事もあって、さすがに息がピッタリであった。二人を乗せたヘリが上空高く舞い上がり、やがて小さく小さくなって空に吸い込まれていくラストは、まさしく天国に召されていくという象徴的なイメージで、近年における名場面だといえる。
8点(2003-11-25 01:02:45)(良:1票)
188.  天地創造
聖書ってクリスチャンでもない限り、我々日本人にはあまり馴染みが無いシロモノ。そのほとんど断片的にしか知らない内容を、終始一貫して原典に忠実に、しかも解かり易く一大スペクタクル歴史絵巻風に映像化したのが本作。実物大(?)に造られたノアの箱舟の巨大な迫力映像と乗船する様々な動物たち、或いは各国の言葉が生まれる発端となったバベルの塔の崩壊などといった、今ならCGで当然のように再現されるであろう様々なシーンを、この時代の最高レベルの技術と豊かなイマジネーションで、巨匠J・ヒューストン監督が万人向けのエンターティンメントとしてスケール感をもって描いていく。アダムとイヴの若い二人の全裸シーンが当時話題になったのも、今となっては時代を感じさせてくれる。
8点(2002-04-12 00:37:30)(良:1票)
189.  クロスファイア(2000)
なかなか良く出来た面白い作品で、往年の東宝特撮変身モノの香り(主人公が胸に手を当てるところなどは、まさにそれ!)や、デ・パルマの「フューリー」を彷彿とさせるシーンなど、まさに過去の名場面を巧くアレンジしている。さらに炎の演出をさせたらこの人の右に出るものなしと言われるぐらい、金子修介は見事なスペクタクル映像の描出にも成功している。
8点(2001-10-06 00:35:36)(良:1票)
190.  LOFT ロフト(2005)
ホラー作品に於ける様々な怪現象や超常現象には説明がつかない或いは理由の解らないからこそ、人々はそこに底知れぬ恐怖を感じとるのである。過去にこう言った点を独自の視点でクリアしていった傑作ホラーと呼ばれる作品群がある一方で、物語が進行するにつれそれらの大半が、所謂「怨念話」によるものだと解明された途端に、興醒めしてしまうといった作品が多いのも事実である。それは状況においての辻褄合わせの為の説明過多、つまりは余りにも理屈で語ろうとし過ぎるからに他ならない。見えない、そして説明がつかない「何か」が纏わりついてくるような恐怖。その「何か」の後を追うような視線と、やがてくる覗き見という「禁断の世界」への好奇の眼。黒沢清はD・リンチを意識しているのではないかと、私などは常々感じていて、無理矢理共通項を模索すると前述のようになるが、映画が進むにつれ、リンチ作品は物語性が後退し、迷宮の世界へと入り込み、常識としての話の筋そのものが殆ど意味を持たなくなる。 それに対し黒沢の新作は、「現実」と「非現実」の描写が混沌もしくは逆転し、「曖昧な現実」と「具体的な非現実」として、極めて通俗的に物語れていく。ひたすら意味の解らない独自の世界を映像で語り続け、意味の解らないからこその面白さを探求しているリンチに対し、本作の後半から終盤にかけての説明過多とも思われる回想シーン(主人公たちの悪夢ともとれるが・・・)が具体的に過ぎる反面、未消化に終わっている為、大部分の不可解な謎との均衡を阻んでしまっている。そこにはリンチのような、意味の解らないなりに魅惑的な面白さなど存在する筈もなく、かと言って多くの謎(矛盾と言ってもいい)が解明されるカタルシスも生じない。まるで散りばめられたパズルがいつまでたっても組み合わされないもどかしさを覚えるばかりだ。それを良しとする向きもあるようだが、一般の観客はやはり納得するまい。それでいいのか。
[映画館(邦画)] 6点(2006-10-22 17:22:46)(良:1票)
191.  SOS北極.../赤いテント
実話の映画化で、テーマは、傷ついた隊員を残してリーダーがまっ先に救い出されて良いのかといった、探検隊の指導者の人間性を追及するというもの。北極での飛行船の遭難で、40年もの歳月を経てもなお事件を振り返って苦悩するノビレ将軍。その前に犠牲者たちなどの亡霊が次々と現れ、彼を非難し始める。その中には生涯を極地の探検にかけ、救出に向かったまま消息を絶ったアムンゼンの姿もある。本作では、この偉大な人物を失った深い悲しみとその損失の大きさ。さらに彼が将軍の良き理解者だったことにも焦点があてられていく。この過去と現在を交差させながら、生者と死者がひとつのテーブルを囲み、真実の究明に対峙するという劇的構成がユニークで、テーマを浮かび上がらせるには実に効果的だが、本当の主役は、このちっぽけな人間たちをそっと見守っているかのような北極の大氷原にほかならない。ひたすら真っ白で厳しい大自然の美しさ。まさに本物の迫力には圧倒される。そして氷山が海に崩れ落ちていく美しいラストシーンにかぶる、雄大で哀愁を帯びたA・ザツェービンの旋律が、この作品を格調高くより印象深いものにしている。必聴。
9点(2002-08-18 17:16:16)(良:1票)
192.  Avalon アヴァロン
本物の銃器や戦車やヘリ等とCGによる創造物とが渾然一体となって、ほとんどなんの違和感もない点がまず素晴らしい。モノトーンともいえる作品世界(現実の世界すらバーチャルっぽい!)の斬新な創造力がこの作品の命であり全てでもある。その意味では押井守の意図したことは成功したと言っていいだろう。今後も彼の手によってさらなる映像世界というものを期待したい。
7点(2001-02-04 18:15:52)(良:1票)
193.  日本沈没(2006)
オリジナルが公開された当時と大きく世界が変貌を遂げた現在、刻々と加速する社会情勢に我々は否応なく向き合わなければならない今だからこそ、この再映画化の意義はあると思う。物語の骨格は基本的に同じだが、主人公の男女のラブロマンスを中心に据え物語を肉付けしていく事で、ドラマに一段と厚みと膨らみをもたらせている。その事は作品世界の描出力に実感が乏しく、所詮ホラ話の域から脱していなかった前作と大きく違う点で、テーマが自然な形でより鮮明に浮かび上がる密度の濃い脚本はリメイク最大の成果だと言える。前作では到底表現できなかった視覚効果もCG技術の進歩で大部分が可能となり、その出来映えはハリウッド大作と遜色ないほどだ。特徴的なのは、絵葉書等で見慣れている日本の代表的な景観が次々とその姿を変貌させていくショットだろう。その効果はミニチュアの建造物が崩壊していく事以上にインパクトがあり、実感を齎せている。未曾有の大災害という意味でハリウッドが9.11ならば、我国では1.17を作品に色濃く投影させているのは至極当然であるが、破壊スペクタクルとしての映像表現が抑え気味なのは、一説によると震災被害者に配慮したものらしいが、むしろそれが映画全体のバランスを保つ事となり、結果的には功を奏したのだと言える。自己犠牲という地球規模の解決方法を採用する事で、パターン化されたハリウッド大作の名残のような味わいのする作品だが、そこに至るまでの伏線の張り方や主人公たちの様々な想いが納得する形で描かれている為、決して唐突で場当たり的な印象はしない。パターンを踏襲する以上は、そのあたりをきっちりとわきまえると言う事が基本姿勢にあるからなのだろう。ラブロマンスがベタベタとしたものにならないのも主人公二人のキャラがそうさせているのだろう。中でも柴咲コウはこういった活動的で男勝りの役柄が似合う女優で、男たちの世界で一段と光彩を放つという、まさに適役であり、どこまでも冷静なイメージの草彅クンとのコンビネーションは快調そのものだ。夕暮れ時、二階の物干し場で語合う二人の姿に、私などは名作「世界大戦争」での市井の人々の終末観を思わずダブらせてしまったが、平穏な日々が戻ってきた事を、ツバメの巣で象徴的に表現するなど、本作はハリウッドのスタイルに拘りを見せながらも、どこまでも純粋な日本映画なのである。
[映画館(邦画)] 8点(2006-10-15 18:00:29)(良:1票)
194.  ブラック・サンデー
公開一週間前に突然中止となるという(当時、新聞にも大々的に報道された)前代未聞の曰くつきの作品である。それはドラマの背景にイスラムとアラブとの問題が絡んでいて、ストーリーとしてはイスラエルへのアメリカの武器援助に抗議する為、アラブのテロリストが満員のフットボール会場を襲うというもの。で、中止の直接の原因となったのは、「イスラエル問題を支援する会」と名乗る過激派グループによる、アジビラが各所に撒かれたことに端を発し、その後、脅迫状が上映予定館に送られた為である。このJ・フランケンハイマー監督作品は、エキソチズム、ドキュメンタリータッチ、バイオレンス、国際諜報もの、パニック、空中アクション、そしてチェイスといったヒット要因を取り入れ、見事に一本の作品に仕上げている。特に無数のダーツが一瞬のうちに四方に発射される、創作の大量殺戮兵器を砂漠での実験を克明に描くシーンや、主人公3人が根本的に生きる事の執着がなく、社会からはみだし、死も暴力も恐れず繰り広げる戦いがもの凄い迫力でせまってくる。公開されていれば大ヒット間違いなし、ベストテンにも入っていたであろうこの作品、今ではビデオでしか見れない事に苦々しい思いをしてる人も多いと思います。
9点(2000-10-01 23:34:26)(良:1票)
195.  タイタンズを忘れない
スポコン青春ドラマってハリウッドお得意の(懲りない)ジャンルで、今まで星の数ほど創られてはきたが、出来のいいモノは案外少ない。今回は人種差別がまだまだ激しい時代に遡った点が目新しい。が、その描き方は決して深く掘り下げたものではなく、あまりにも通り一遍だし、また登場する学生諸君はヤンキー気質まるだしの単細胞という、いつもながらの画一的イメージでしか描かれていない。ストーリーも総花的で、近頃これほど印象に残らない作品も珍しく、映画館を一歩出た途端“タイタンズを忘れ”てしまった。
5点(2001-05-13 15:33:47)(良:1票)
196.  サテリコン
F・フェリーニ監督が“映像の魔術師”と呼ばれるようになったのは、この作品あたりからだろうか。キリスト教的倫理観が浸透する以前の古代ローマの享楽と退廃を、フェリーニが自由奔放にイメージを膨らませて、独自の夢幻世界を描いてみせる。その次々と展開される鮮烈で絢爛たる映像美と、圧倒的なスケールとエネルギーは見る者を魅了してやまない。そしてこの貪欲なまでの享楽ぶりや道徳観・倫理観の欠如そして絶望感や暴力等々はまさに普遍的であり、鋭く現代を突いている。それと同時にこのローマ人特有のエネルギッシュでバイタリティ溢れる生命力を賛歌しているようにも思う。
10点(2001-08-25 17:42:17)(良:1票)
197.  JAWS/ジョーズ
今さらコメントするまでもない、これは若き日のスピルバーグの溢れんばかりの才能と、その映像テクニックとを見事に結実させ、我々観客を興奮・熱狂させた海洋冒険アクションの名作。公開から四半世紀たっても色褪せる事なく、未だに多くを語り継がれる作品がどれだけあるだろうか。R・シャイダーの水泳客が襲われるのを初めて目撃するショットや、R・ショウが黒板に爪を立てて登場するシーン、R・ドレイファスが船底の穴から死体の顔が出た瞬間、“ワンテンポずれて”驚くシーンなど、今でも鮮明な記憶として残っている。
10点(2001-05-13 17:44:43)(良:1票)
198.  ドリヴン
クラッシュした弾みでタイヤが高く舞い上がり、やがて観覧席に落下するというシーンを、上空からワンカットで捉えたショット。あるいは雨粒が風防ガラスに当たる様を、わざわざCGで克明に再現したり、さらには、レーシング・カーが夜の街をド派手に走りまくるという(おそらく映画史上前例がない?)シーン等々。レーサーたちを主人公にした作品というのは、どこをどうヒネってもお定まりのストーリーにしかならない訳で、後は如何にして観客の興味を引くような趣向を展開するかがポイントとなる。そういう意味では、未だ誰も見た事の無いアクションを常に追い続けているR・ハーリン監督らしさが随所に発揮された作品だと思う。
7点(2001-09-02 11:24:13)(良:1票)
199.  樹の海
古くから自殺の名所として知られる富士山麓の青木ヶ原樹海を舞台にした群像劇。4つのエピソードから成るオムニバス作品だが、それぞれのパーツが微妙に絡んでいる点が、人間の運命の不思議さをまず感じさせる。各エピソードが前後しながら描かれていく構成は巧みで、長尺でありながら些かもダレる事なく興味を繋いでいく点では、実に効果的である。テーマは人間の「生と死」を見つめたものだが、決して陰惨な物語ではなく、「死」と対峙して始めて「生」の意味を知るという、むしろ「人生賛歌」という肯定的な意味での「再生の物語」だと言える。「生」の象徴である富士山が「正」のイメージならば、その裾野に広がる樹海はさしずめ「負」のイメージということになろうか。しかしながらこの樹海こそが「生命の宿る源」なのであり、生い茂った木々に抱かれて、人々は生まれ変われるのである。そういう意味においても、樹海はこれ以上ない舞台設定だと言える。映画の中で実際に自殺してしまうのは一人の中年男だけだが、この「田中さん」を演じる田村泰二郎の“死にっぷり”は見事(?)で、自分が生きてきたという痕跡を残すことで、死してなお人に知って貰いたいといういじらしさと、死にたくて死ぬのではないという深い孤独と哀しみを感じさせる。生き延びた萩原聖人のセリフ、“田中さん、臭いがきつくなってきましたヨ”などと、夜を徹してのこの「死者との対話」はアブノーマルながら、むしろ人生のしみじみ感を溢れさせている。そしてそれ以上に感銘を受けたのが津田寛治と塩見三省の居酒屋での芝居。二人の何気ない会話には、庶民のささやかな生活感というものが滲み出て、今まさに生きているという実感が込められて描かれている。時間の経過と共に徐々に客が少なくなっていき、やがてガランとした店内風景の描写。 そしてひとつのアクセントとしての、ぞんざいな女店員との間の取り方の巧みさ。店を出た後、意気投合した二人が調子外れで「遠い世界に」を口ずさみながら夜の町へ消えていくまでの一連のシークエンスと、小さく折りたたんだ虎の子の壱万円札への思いを鑑みると、新たな人との出会いと一期一会の切なさに、胸に込み上げるものがある。東京タワーの置物、ピンクチラシ、携帯電話、お供え物といった小道具も実に意味深く、また瀧本智行は初監督としての気負いをまったく感じさせず、ベテランのような充実した仕事ぶりである。
[映画館(字幕)] 9点(2005-09-27 18:31:16)(良:1票)
200.  E.T.
この作品を褒めようと思えばいくらでも褒めれるし、ケナそうと思えばいくらでもケナせる。ただこういう日本人だと照れてとても言えそうにないようなテーマの作品(まず日本では企画として通らない)を、スピルバーグは堂々としかも感動的なエンターティンメントに仕上げてしまう。その点だけはどうしても評価しておかなくてはならない。ただ彼の実力からして、本作は最良の作品ではあっても、最高の作品ではないように思う。ヒッチコックじゃないけれど、最高作は常に“NEXT”を目指して欲しい!
10点(2001-02-10 00:35:54)(良:1票)

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS