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241.  GODZILLA ゴジラ(1998)
日米の“ゴジラ愛好家”から総スカンを喰った気の毒な一作。初期の頃はともかく、後年、マンガチックなキャラクターに堕ちてしまった和製ゴジラに、特別な思い入れなどあるわけもなく、辟易していたところへ本作の登場。とにかく素直に楽しめました。エメリッヒ監督って見せかたに新しい工夫を凝らせる才能のある人のようで、特に前半、ゴジラが姿を現し街をノッシノッシと歩く姿を、仰角でとらえた撮影方法には度肝をぬかれました。ただ終盤のスリリングだけど“鬼ごっこ”みたいな展開はまったく意外で苦笑してしまいましたし、またミサイル攻撃で呆気なく死んでしまうのには物足りなさが残ります。この監督作品って「ID4」と同様、“画竜点睛を欠く”のような気がしています。さらに続編ができそうなエンディングでもありましたけど・・・。
9点(2000-09-14 13:32:00)(良:1票)
242.  コーヒー&シガレッツ
喫茶店などの喫煙タイムで、我々が日常よく目にする光景を掬い取ったのが今回のJ・ジャームッシュ作品。 11のエピソードから構成されているが、ここに登場する人物たちは必ずと言っていいほど複数であり、寸暇を一人で楽しむR・フレンチ嬢ですらウエイターが絡んでくると言った具合。それぞれのパートには実に個性的な顔ぶれが並んでいる。で、そのアトランダムな組合せから生じるミスマッチな会話の面白さが、本作の狙いなのかと問えば、否、会話そのものは大して面白いものでもなく、むしろ会話の噛み合わなさから来る気拙い空気を、コーヒーや煙草で間を持たせようとする、彼らのリアクションそのものに妙味があるという事なのだろう。エピソードとしてはS・クーガンとA・モリーナのパートが面白い程度で、それ以外は実に他愛ないものばかり。それにしても、ここに用意されている喫茶店あるいは喫煙室の無機質で殺風景なこと。モノクロだから余計そう感じるのかもしれないが、少しも楽しそうには見えないぞ。オセロの碁盤のようなテーブルクロス(カップが何故か余分にある)に、マルボーロとキャメルなど定番ものばかりで、忙しなく啜るだけのコーヒーと、ふかすだけの煙草など、まったく美味そうには見えない。コーヒーと煙草という本来の主役も、ここでは間を持たせる為の道具としてしか存在しないという、アンチテーゼともなっているようだが、旨みやコクといったことにはほとんど触れられない事で、「スモーク」でW・ハートがさり気なくお洒落に煙草をふかしていたシーンから伝わるものが、本作からは感じとれなかった。だから、少なくともこの作品を観た後で喫茶店に入ろうとは、私は思わなかった。
[映画館(字幕)] 6点(2005-06-02 18:33:29)(良:1票)
243.  父と暮せば
「TOMORROW 明日」「美しい夏キリシマ」と描き続けた黒木和雄監督の戦争三部作締め括りの一本。前二作が群像劇だったのに対し、今回は室内劇でありそのほとんどが二人芝居で成り立っている。舞台では珍しくも無いが、 いざ映画となると古今東西を問わず、極めて稀有な例と言えるのではないだろうか。どちらかと言えば集団劇を得意とする黒木監督にすれば、かなり大胆でありかつ実験的な試みだったに違いないが、実に味わいのある見事な作品となっている。二人芝居ともなればその演技力も然ることながら、戦中戦後という時代を間違いなく生きていた人間、そしてその人となりをより的確に表現することを要求される。やや散漫な印象を受けた前二作の群像劇に対し、今回はテーマがより明確になり引き締まった印象を受けるのも、二人の好演に他ならない。黒木と二人三脚で数々の名作を世に送り出してきた原田芳雄は言わずもがな。娘を愛するが故に叱咤激励し心の支えとなる、力強い父親像を自然な演技で体現してみせ、そして、揺れ動く乙女心を「たそがれ清兵衛」からさらに清楚なイメージで、この時代を生きている女性として可憐に演じきった宮沢りえも然り。本来からすると悲惨で重苦しい物語ではあるが、カラッとした明るさをもたらしているのも、二人のキャラ所以だろうか。地味だが心揺さぶられる名作である。
9点(2005-01-16 18:15:02)(良:1票)
244.  ぼくを葬る(おくる) 《ネタバレ》 
将来に夢も希望もある若者に、突然の死の宣告。映画は、彼が如何に運命を受け入れその日を迎えるかを、淡々とした描写で綴ったものである。その点ではよくある物語と言えるが、他の作品と少し違うのは、彼は誰よりも孤独な人生を送ってきたと言うこと。そして自らの死を親や姉に告げずに死を迎えようとしていること。余計な心配や同情は無用と言わんばかりに。それは、彼がゲイであることと無縁ではなさそうだ。自らがゲイであり恋人もいることは、家族にも既に認知されていて、時代は確実に進んでいることを痛切に感じさせる一方で、息子の薬物癖に顔をしかめる父親という図は、いかにもフランスというお国柄を再認識させられるエピソードではある。彼も本来なら普通に女性を愛し、結婚生活に憧れを抱いていたであろう年頃だが、計らずも、その願望が絶たれた時から、親族とりわけ姉に対して反撥を抱くようになる。自分の性癖を呪い絶望した挙句、その遣り切れなさがやがて憎しみとなり、反撥と言う形で苦悩を滲ませるのである。しかし、本心ではないだけに、気持ちは絶え間なく揺れ動く。それだけに幼な子との幸せな姉の姿を写真に収める彼の姿には、切なさが漂う。中盤以降、映画は彼の生き急ぐ姿をひたすら追い続ける。ひとつは彼の良き理解者で、唯一心の拠りどころである祖母にひと目逢うこと。自らを曝け出せる相手として、ときに旧友のように、ときに恋人でもあるかのような彼女自身も、実は孤独な人生を歩んできたことが窺い知れる。言葉少なだが、彼女に癒されていく事で改めて生を実感し、良き思い出だけを胸に刻もうとする彼の姿には、もはや思い残す事がないかのような決意を滲ませる。だから、生きてきた証として、他人の妻に自らの子孫を孕ませる 、一見突飛ともとれる行為も、話としては自然な流れとして理解できる。愛する者たちとの無言の別れ、そして純真無垢だった幼い頃の自分と決別し、過去の呪縛から解き放たれたかのように静かに体を横たえる若者。其処は、今やオゾン監督作品のモチーフとも言うべき“別離の砂浜”である。切迫した物語が決して陰鬱に陥らないのは、オゾン作品のひとつの美徳だろう。
[映画館(字幕)] 8点(2006-06-24 23:18:49)(良:1票)
245.  エクソシスト ビギニング
世界的なメガ・ヒットでオカルト・ブームを巻き起こし、社会現象にもなった第一作目からほぼ30年。その間に続編も作られて、それぞれに個性的な味わいを残すも、本家本元がいかに偉大であったかが思い知らされる内容のものばかりだった。それらはむしろシリーズものというよりも、様々なバリエーションものと考えたほうがよさそうで、今までの設定が“その後”だったのに対し“その前”を描いたのが今回の作品。確かに第一作目、悪霊バズズが何故メリン神父の名を叫んだのか、などと言った気になる部分が多かっただけに、今回のビギニングは待望久しい正統派前史と言える。が、やはり無理矢理思いついた企画といった感は否めず、ハリウッドの企画の貧困さは一層深刻なようだ。で、作品的には無難に纏めてはいるものの、とりわけ際立った印象はなく、可もなく不可もなくといったところだろうか。所詮、急遽代役監督になったハーリンには、ホラーのようなジャンルは向いていなかったのかも知れない。  スケール感を伴ったアクションに無類の才能を見せつける、ハーリン特有のいい意味でのハッタリが不足気味で、彼らしさがまったく出ていないのだ。夜や暗闇のシーンの多さが画像を単調なものにしているのだが、おそらく“暗闇=恐怖”という図式にこだわりすぎた為なのだろう。白日の下でも悪霊の恐怖は存在するということは、第一作を見ても分かるはず。本当の悪魔は人間の闇(病み)の部分に巣くうものだから。
6点(2004-10-31 18:42:16)(良:1票)
246.  亡国のイージス
戦後60年を経た今、諸外国の地域紛争やテロの恐怖など、世界情勢は相変わらずキナ臭い状況が続いている。そんな中、“平和ボケ”と揶揄されながらも、自ら戦争を行使することなく、とりあえず平和を堅持している日本に突如、クーデターが生じたら・・・というのがこのドラマの発想である。アメリカのような、伝統的に育んでいく為の土壌というものが無く、本来こう言ったポリティカル・サスペンスは日本映画が最も苦手とするジャンルである。確かに上映時間の都合もあり、原作をダイジェスト版のように端折って描いた事で、未読の者には意味不明な部分も少なくない。その為か人物描写の中途半端さが感情移入することを遮ってしまっている。しかしその一方では無駄なシーンも多く、バランスの悪さばかりが目立つ作品である。これがハリウッドで将来リメイクでもされたら、もっと上手く料理して、さぞかし面白い作品になるだろうに・・・と、つい考えてしまう。この作品の問題点の一つには、やはり監督の力量にあるように思う。もちろんこれだけのスケール感をともなった人間ドラマを演出できる監督など、そうザラにはいない。骨太の男っぽい作品という意味では、いかにも阪本順治らしさが出ているが、どちらかと言えばローバジェット作品を主体に活躍してきた事もあり初の大作映画に気負い過ぎたのか、ドラマもアクションもどこかぎこちない印象を受ける。過去の映画の良いとこどりをしている割に、アレンジが巧くいっていないのだ。庶民の日常生活という狭い範囲でのドラマに冴えを見せてきた人だけに、作品の資質に見合っていたかが疑問である。さらに著名な俳優が多く出演している事が作品の格でもあるまいが、顔ぶれそのものには新味は無く、むしろ何の為に出ているのかすらも分からない人が多い。佐藤浩市と吉田栄作の役や女性工作員ジョンヒなどがその最たるものだが、「原作にあるから・・・」という程度の理由なら、余りにも主体性が無さ過ぎる。彼らの存在は一見意味ありげだが、思わせ振りなだけで、ドラマの中でほとんど機能していないではないか。登場人物をどうせ生かせないなら、むしろそう言うところこそ割愛するべきなのではないだろうか。自衛隊の協力もあり実物の船が航行するシーンなどの撮影は素晴らしいが、船内の暗さと船外の明るさのコントラストをもっと明確にする事で映像にメリハリが生じ緊迫感もより高まったように思う。
[映画館(字幕)] 6点(2005-08-19 01:08:26)(良:1票)
247.  太陽に灼かれて
ロシア郊外の別荘を舞台に、明らかに特権階級だと分かる人々の優雅な日常会話からドラマは始まる。しかしやがて、スターリンの恐怖政治という時代背景が重苦しくのしかかっているのが分かるようになる。その状況下で引き裂かれた男女と、もう一人の男とを中心に物語は進展していき、やがて破滅的な結末を迎える。不幸な時代に生き、その時代がもたらす悲劇を誰もが味わい、しかしそれでも確かに生きたという人間の真の姿を、静かだがドラマチックに描き出した名作。
9点(2001-12-14 23:33:11)(良:1票)
248.  寝ずの番
師匠の死を弔う、落語家一門の通夜での大騒ぎを描いただけの映画かと思いきや、次々と突発的に生じる後日談もあり、原作を知らない者にとっては少々意外であり、またその事が巧みな映画的構成力により、ひとつの魅力ともなっている。かつて、伊丹十三が斬新な発想による「お葬式」で鮮烈な監督デビューを果たしたのと同様に、津川雅彦念願の監督デビュー作は、しかしながら似て非なるものだった。強烈さと言う意味ではこちらの方に軍配が上がるかも知れない。終始繰り返される下ネタ自慢が映画の本筋かと勘違いする程の徹底振りは、所詮、芸界(芸事)は大なり小なり、こういった艶話のみで成り立っているのかと、ついつい考えてしまう。それに世間で誤解を招く恐れもあるぞ。落語のとりわけ艶笑小噺は、オチ(もしくは下げ)にチラッと表現されるのが粋と言うのならば、冒頭の“聞き違いエピソード”だけでも下ネタの役目は十分だと思うのだが・・・。しかし、それではこの作品の存在意義がないという事なのかも知れない。マキノ雅彦初監督作としては及第点だと思うが少々ハメ外し過ぎで、芸達者な出演者たちの熱演で救われている感は否めない。それにしてもこの映画、“通夜”で“艶”話と洒落てでもいるのだろうか。
[映画館(邦画)] 7点(2006-05-14 18:30:32)(良:1票)
249.  MIND GAME マインド・ゲーム(2004)
人間の精神世界を実験的な手法でアニメ化した、まったく新しいタイプの作品で、その独創性と斬新さだけで言えば宮崎アニメをも凌駕していると断言してもいいほど、今年最も興奮し魅了させられた一本。舞台はしっとりとした下町情緒溢れる大阪。この静かなオープニングは極めて写実的な画調であり、出演者には声のみならず、彼らのナマの顔をアニメの登場人物たちに被せて、そのキャラを際立たせるという演出テクニックがユニークであり、また生活臭を感じさせる関西弁と相俟って実に効果的だ。が、焼き鳥屋での大騒動で、主人公の西が“一度”あの世へ行ってからは、物語が大きく動くと同時に画調も変化する。丸みを帯びた写実的なきめ細やかさから、鋭角的で奔放な線画に変貌するや、夢とも現実ともつかない異空間へと舞台が移っていく。アニメとはいえ、アイデア満載で何故かリアルで手に汗握る湾岸線でのカーチェイスから海へダイブ。気がつけばクジラのお腹の中へ。ここでの様々な出来事は現実には有り得ない、実に破天荒な設定だが、アニメだからこその説得力をも感じるし、これこそがまさにアニメとしての醍醐味というものだろう。そしてこの作品のハイライトは、何と言ってもクジラからの脱出劇。まさに怒涛のクライマックスであり、 地獄から天国へと這い上がるといったイメージで描かれるこのシークエンスは延々と続けられ、生への渇望というものを否応無く感じさせられる。その画像の力強さと躍動感、エネルギーの凄まじさには圧倒されてしまうが、言葉でうまく表現できないのが口惜しい。“イメージの洪水”とは、まさにこういう映像をこそ言うのだろう。いずれにせよ本作はアニメーションの真髄というものを嫌というほど感じさせられた傑作である。
[映画館(字幕)] 9点(2004-09-14 00:38:22)(良:1票)
250.  トリプルX
新しいタイプのアクション映画ということだが、その出来はかなり荒っぽい。アクションと言うよりも、むしろアクロバットと言ってもいいようなスポーツ感覚の作品だとも言える。そのスタントたるやなかなかのもので、雪山での雪崩チェイスなどは、近年の数々のスペクタクル・シーンの中でも、とりわけ驚嘆に値するほどの迫力ある映像となっている。しかし、スケールを感じるのはこのシーンぐらいで、「007」を意識している割にはいかにもB級的な安っぽさが目立つ。全体的には水準以上の作品と言っていいが、V・ディーゼルにはカースタントだけではなく、やはり肉体を生かしたアクションを望みたいものだ。
7点(2002-11-23 17:12:10)(良:1票)
251.  午後の五時
ひとりの女性の視点を通してのタリバン政権崩壊後のアフガニスタンの理想と現実を描いた作品。男たちに押さえつけられてきた古来の因習から逃れられず、旧態然とした存在の女性たちと、その一方で変革という国の将来を見据え、脱男社会を目指すという未来志向に燃える女性たち。冒頭から描かれる彼女たちの意見の衝突に示されるように、新しい社会に対する考え方の違いは互いに譲らないままだが、この国の若き女性たちそれぞれの信念を的確に感じさせるエピソードである。ハイヒールに折りたたみ式のワンタッチ・パラソルといった、いわゆる自由社会に憧れを擁くヒロインのノクレは、自国での初の女性大統領をも夢見る理想主義者として描かれる。が、それが余りにも絵空事だと感じさせるのが物語の現実部分。そこで、日々の食べるものにも困るほど窮乏生活を強いられている事と、奔放でまさに翔んだイメージで描かれる彼女の姿とに、なにか奇妙なアンバランスを感じてしまうのだが、映画は徐々に現実はそう簡単には変わらないという深刻なメッセージ性を帯びてくる。帰還民たちに家を占拠された挙句、放浪の旅に出ることを余儀なくされた父娘と乳飲み子を抱えた嫁。荒野を彷徨い、生きていく術をも知らない彼らにやがて夕暮れが迫ってくる。“アフター5”などと我々が日常的に使っている意味合いとはまったく違い、彼らにとってそれはまさに死を意味する“午後の五時”なのである。映画はこの国の人々の苛酷な未来を暗示するかのように終わるが、その重く深刻な現実的テーマとは裏腹に、映像のシャープさがからっとした明るさを生み出している。
7点(2004-07-27 16:07:16)(良:1票)
252.  トンマッコルへようこそ
昔から“裸のつき合い”とはよく言ったもので、例えば、語らう事、眠る事、食べる事(ついでに排泄する事)と言った人間本来の在るべき姿を曝け出す事で、人の心は通じ合うとされるものである。いがみ合う兵士たちが心を通わせていく、ひとつの切欠となる象徴として、イノシシを捕獲するシーンが印象的に描かれる。反目しながらも、皆で初めて力を合わせて勝利したという達成感。(この事が終盤に繋がっていくのだが・・。)宮崎アニメを彷彿させる作者の思い入れとリスペクトを感じさせる、本作の最大のポイントとなるシーンである。本来、生きていく事の目的や手段、方向性が違うという事に加え、争い事よりもイノシシに畑を荒される事のほうが重大事な村民にとって、敵対意識丸出しの兵士たちはまるで異星人のように映る。この浮世離れした平和な村には動物の肉を食べる習慣が無いのに対し、その肉を食べる事で兵士たちが雪解けムードになるとは、何とも皮肉な話だ。そもそも、トンマッコルとは一体何なのか?どこか懐かしく人を惹きつけて已まない。何処にでも在りそうで、何処にも存在しない。それはまさに「奇跡の地」と呼ぶに相応しい。“まだ見ぬ汚れを知らない無垢なるもの”の象徴がトンマッコルならば、兵士たちはさしずめ“神の啓示を授かった使者たち”と言えないだろうか。負け戦と知りつつ、彼等を突き動かすもの。それは義務感、使命感、村人たちへの恩義。 そのどれでもなく、またどれでもある。悲惨さや悲壮感から突き抜けた彼等の覚悟を決めた表情の清々しさ爽やかさが、そのまま作品の読後感となって、我々の心に染み入る。落下していく爆弾すら美しく撮られているが、落下しているのではなく彼等が昇天しているように見えたのは私だけだろうか。やがて魂の静まる地へ戻ってきた彼等の見る夢は、果たして何だったのだろうか。戦禍の犠牲となった幾多の魂が蝶となって、そんな彼等を歓迎しているように思える。 至福にも似たこの不思議な味わいと余韻は、他に類を見ない。リアリティ溢れる確かな演出力で、そういったプロセスを描出すればこそファンタジックなシーンも生きてくるわけで、本作は決して優しく美しいだけの夢物語ではないのである。
[映画館(字幕)] 9点(2006-12-03 00:02:01)(良:1票)
253.  コヨーテ・アグリー
憧れを抱いて都会へ出てきた若者が、仕事や恋に悪戦苦闘するといった青春モノの定番ながら、ここには安心して見ていられる心地よさがある。バーの乱痴気騒ぎは過剰気味だが、音楽とダイナミックな踊りの編集の巧さは際立っていて、この作品の人気の高さを証明している。
7点(2001-03-14 11:39:26)(良:1票)
254.  マジェスティック(1974)
都会型アクションが少々マンネリ化してきた為に目先を変える意味で、郊外に活路を見出したアクション映画が登場したのがこの頃。本作もそのうちの一本で、なんとC・ブロンソンが西瓜畑の経営者という設定も珍しい。しかしその風貌からしてまったく違和感のない役柄で、ことさら田園風景がよく似合っている。話は、自ら経営する畑と雇い入れたメキシコ移民たちを、ならず者の襲撃から守ってやるという、ごく単純なもの。このならず者のリーダーがこの時期の売れっ子悪役A・レッティエリで、凄味があって迫力をも感じさせるが、いつもどこか間の抜けたようなキャラも併せ持っていて、心底憎めない人だ。で、散々嫌がらせを受けたブロンソンはついに怒りを爆発させ、一気呵成に反撃に出るが、美しい田園風景の中で展開されるアクションは、R・フライシャー監督のテンポのいい演出もあって、実に爽快感溢れたものとなっている。とりわけ大きくバウンドするトラックの荷台からの銃撃戦や、窓ガラスを突き破って飛び込みざまショットガンをぶっ放して相手を倒すなど、軽業師顔負けの活躍で、むしろ悪役たちが気の毒になるほど。こんな強い西瓜畑の経営者がいることも不思議だが、だからこそそれだけ余計痛快さが際立った作品だったともいえる。
7点(2003-11-27 23:49:07)(良:1票)
255.  ブレーキ・ダウン
スピルバーグの名作「激突!」を連想するシーンもあって、実によく出来たサスペンス・アクションで仕上がりは上々。ただ前半のミステリアスな展開と緊迫感に比べて、徐々に犯人像が明確になってくる後半になってくると、安手の活劇映画っぽくなったのが惜しい。
7点(2000-11-26 23:37:14)(良:1票)
256.  スチュアート・リトル2
画面にダイナミズムを吹き込んだことから、その映画的興奮と語り口の旨みは前作をさらに上回る。「S.W.」も「S.L..2」も趣の違う作品であるものの、SFXが凄いという点では共通している。しかし大掛かりでないだけに、誤魔化しがきかない本作のほうが、高等テクニックの冴えというものを感じる。実写との違和感など微塵も感じさせない、実に地味で細かな作業の積み重ねで出来上がった作品。本当に凄いとはこういう事を言うのだろう。
9点(2002-08-18 17:51:03)(良:1票)

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