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プロフィール
コメント数 2253
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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421.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
小泉今日子と言えば、30代男性にとってある種のカリスマ的なアイドル。演技力や歌唱力ではなく、ビジュアル(それも顔のみ)でファンの心を鷲掴みにした王道のアイドルです。そんな彼女も今や四十路。もちろん、今でもその美貌は並ではありませんが、黒木瞳や吉永小百合といった怪物には及びません。“若さ”という輝きは失われました。「旬の過ぎたアイドル」。そんな彼女が演じたお喜乃も「薹が立った女郎」。失礼ながら現実の彼女と被る。何となく物悲しい。しかし腐っても鯛です。いや、熟成されたワインとでも申しましょうか。その深み、味わいは極上です。さすが一時代を築いただけの事はある。モノが違う。愁いを帯びた佇まいから漂う色香に惹きつけられます。お喜乃が魅力的であることが本作を成立させる上での最重要ポイント。小泉はベストキャスティングでした。加えて中村勘三郎に柄本明といった渋い旨みの出る役者を脇に揃えたのですから、もう間違いない。題材も落語や昔話で馴染みあり。予想どおり手堅く楽しめました。
[DVD(邦画)] 7点(2008-12-28 21:59:05)(良:1票)
422.  河童のクゥと夏休み 《ネタバレ》 
クゥを無力な小動物ではなく、怪物(妖怪)として描いたところが、本作のポイントと考えます。しかしクゥの“危さ”を、主人公家族は認識していません。観客も同様。拾ってきた犬と似たような感覚です。この無防備さ、無自覚ぶりが、実に人間らしいと感じました。相撲で妹を放り投げたり、カメラを念力で壊したり、その恐るべき能力はきちんと示されています。でもその事実を誰も本気で受け止めていない。だからリスク管理もせずに、クゥをテレビカメラの前へ立たせてしまう。一歩間違えば、どんな惨事が起きてもおかしくなかった。河童を家族の一員に受け入れた家族の善意にウソはありません。それが人間の素晴らしさだと思います。でも正しい判断だったワケでもない。クゥはいわば「自然」の象徴。生命を育む母であると同時に、無慈悲に命を奪う残酷さも併せ持っている。とても人間がコントロールできる代物ではありません。適正な距離を保ち、敬意を払い、お付き合いさせていただくのが筋。かつて人と河童が共存していた時代は、そういう関係が成り立っていたのでしょう。人間は遣りたい放題でここまで来た。繁栄もした。でもそれがいつまで続くのか。「力任せでは勝てない」。主人公がクゥから教わった相撲の秘訣は、いろんな事に当てはまりそうです。クセの無い絵柄は、飾りが無い分テーマと純粋に向き合えます。これは長所。でも反面、魅力に欠けるとも言えます。原監督は、絵力で勝負するタイプでない事は承知していますが、それにしても華がない。キャラクターデザインも然り。ここを改善できれば、更なる飛躍が期待できる監督だと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-23 22:29:17)(良:1票)
423.  うつつ UTUTU 《ネタバレ》 
ちょっと豪華な2時間TVサスペンスといった趣です。ツッコミどころはありますし、全体的な軽さは否めません。でもそんなに悪くないと思いました。自分がそう感じたのは、“壁から流れる黒い液体”に意味を感じたからです。宮沢との最初の出会いで佐藤が見た幻。最初はB級ホラーにありがちな“雰囲気の演出”だと思いました。特別な意味は無いと。しかし、そうではないようなのです。本作のオチは、「佐藤の妻殺しは夢だったけど、宮沢夫婦の計画は本物だった」というもの。となれば、黒い液体シーンを含む、宮沢と佐藤の出会いは現実の出来事のはずです。しかし“この時点で”、佐藤が幻を見るのはおかしい。この時、彼はまだ情緒不安定ではありません。幻を見る理由がない。なら、このシーンは“佐藤の夢”と解釈出来ないでしょうか。幻の説明がつく。ではどの時点でみた夢なのか。黒い液体から連想されるもの。自分は直感的に血だと思いました。佐藤が妻に殴られた時に目にした、自身の血なのではないか。さらに夫婦の楽しい想い出“イカ墨パスタの色”。夫婦間の不審を黒色とイメージしたとも取れます。つまり黒い液体は夢におけるイメージの集合体。そしてこのことは、【死に際の主人公が、薄れゆく意識の中でみた夢から本作は始まっている】という事実を導きます。物語がループしているのです。(※このプロットは某有名難解作品を彷彿とさせます。ネタバレになるのでタイトルは伏せます。)ちょっと凝っているのでは。少なくともTVサスペンスのレベルではありません。もちろんこれは自分の勝手な解釈です。それに仮にそうだとしても「だから何なの?」と言われると困ってしまいます。凝ったつくりが、作品の魅力に繋がっていないのです。某作品との大きな違い。もっと幻想的に、もっとテクニカルに観客を惑わせて欲しかったと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2006-12-26 18:58:55)(良:1票)
424.  ミッドナイト・エクスプレス(1978) 《ネタバレ》 
「監視状況下での脱出計画の面白さ」と「脱出成功時のカタルシス」。それが“脱獄もの”の面白さだと思います。閉鎖空間がもたらす濃密な空気。秘密裡に事を進行させるという緊張感。設定そのものが秀逸です。その見地からすると、本作は“脱獄もの”とは言えません。そもそも脱獄に重点が置かれていません。刑務所内の緊張感も希薄。主人公に同情は出来るものの、基本的には自業自得という話。カタルシスは小さいです。でも観客に訴えかけるメッセージは痛烈でした。主人公に突きつけられたもの。それは貴重な時を奪われる、人生を無駄にするという現実です。即効性の恐怖ではありません。しかし一度意識してしまうとダメです。その焦燥と不安たるや絶大。人格を崩壊させるほどの威力を持ちます。本作では、あくどい世話人への暴行、面会での自慰行為という形で端的に表現されています。誰でも同じような恐れを感じたことがあるはずです。皆、時間に囚われている。本作はそのことを再認識させます。時を奪われることは、命を奪われること。時間はかくも尊い。
[DVD(字幕)] 7点(2007-02-19 18:23:38)(良:1票)
425.  少女たちの羅針盤
話下手な人の話は、とかく長いものです。それは伝えたい事を全て語ろうとするから(自戒を込めて)。思いが強いと説明過多になってしまう心情は理解できますが、実際は逆効果です。相手の心に届けるためには、ポイントを絞り、相手に考えさせ、想像させる余裕を与えることが肝要と考えます。自身の思いを相手の心で再現してもらう余地を用意するのです。それは映画にも言えること。本作の脚本には、その心得が在りました。まるで程よい間隔の庭園の飛び石を踏む心地良さ。肝となるエピソードは丁寧に描きつつも、省略できる説明は大胆にカット。観客は見えない部分を、自身の頭で補足します。観客の想像力を信頼している良い脚本でした。ミステリーとしては真相部分が弱いものの、謎解きのヒント・伏線・ミスリードは存分に織り込まれているので不満は感じません。本格派ミステリーの風格でした。もっとも本作の見所はミステリーパートにあらず。少女たちの心の内を描いた青春ドラマにありました。対立、葛藤、混乱、そして模索…。彼女らは、その未熟な心と体で、もがき苦しみます。でもそれは何かを創造するために必要な痛み。自分の居場所を確保するための試練。決して無駄な苦しみではありません。現状維持に四苦八苦しているおじさんからすると、それはとても眩しく、羨ましい光景に思えました。人間、若いときに、動けるときに、行動しておかないと後悔しますね。忽那汐里や成海璃子ら実力派の若手女優の熱演が観る者の心を打つ、青春ミステリーの佳作でありました。
[DVD(邦画)] 8点(2012-03-10 18:59:11)(良:1票)
426.  N号棟 《ネタバレ》 
キーワードは言わずもがな「生死の堺」です。教授にこの概念を問われた主人公は意識の問題と答えました。死んだ瞬間意識が無くなるから考えることに意味は無いと。デジタル的に1と0の関係と言い換えても良さそうです。おそらく無神論者(私も含む)の一般的生死感もこれでしょう。しかし本作では生死の堺が存在しました。それがN号棟。イメージとしては淡水と海水が混じり合う河口付近。アナログ的に捉えるなら1から0になるまでの途中の領域と言えましょう。 さてここで疑問が湧きます。なぜ主人公ほか2人はこの境界に入り込めたのかということ。N号棟は社会的には廃墟として認識されている場所です。住人は居ないはず。にも関わらず生活していた人たちは何者?死者でしょうか。あるいは生者だけど極めて死者に近い存在なので、通常は(社会的には)認識されない状態とか。いずれにしても普通の人は彼らに気づけないのだと思います。そこで物語序盤を思い返してみましょう。主人公は教授から飲み物をご馳走になっていました。N号棟住民から提供されていたマグカップと同じマグカップで。中身は「死にゆく者から搾り取った血」と推測します。生死の堺にいる者の血を摂取することで、境界に入りやすくする効果を得たのではないかと。男子学生にN号棟へ行くよう唆したのも教授だったと考えると辻褄があいます。教授の企みに学生はまんまと嵌まったわけです。 結末について。何時でも逃げ出せるチャンスがあったのにN号棟に留まった主人公にイライラ。結果、命を落としました。しかしあのまま逃げ遂せたとしてもハッピーエンドと言えるのかどうか。主人公は「死恐怖症(タナトフォビア)」に悩まされていました。もしN号棟の住人として、これから安らかな日々が送れるのだとすれば、これもひとつのハッピーエンドと捉えられるのかもしれません。N号棟のNとは代数のN。あなたのそばにも生死の境があるに違いありません。 ご指摘のレビュワー様もおられるように『ミッドサマー』を彷彿とさせる世界観で、独特の雰囲気がありました。それでいてきっちりオカルト。演出も冴えていたと思います。邦画ホラーの中では当たりの部類と判定します。何より筒井真理子さんの存在感が抜群。ベストキャスティングでした。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-12 19:15:35)(良:1票)
427.  未来のミライ 《ネタバレ》 
個人的にこのテーマはドストライク。くんちゃんが、お気に入りの黄色いズボンを前にして、青いズボンを脱ぎかけてまた履くシーンがツボ。映像で語るとはこういうこと。ファンタジー設定も理屈っぽくなく軽やかで良いじゃないですか(クレヨンしんちゃんか)。唯一注文を付けるとすれば、細田守は宮崎駿を目指さなくていい。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-06-07 18:26:59)(良:1票)
428.  コララインとボタンの魔女 《ネタバレ》 
脚本に不満あり。コララインのパパママ救出&亡霊の目玉取り返し作戦の出来が良くありません。結構な難題を偶然と助っ人の手を借りてお手軽にクリア。時間的制約も事前のアナウンスは無し。主人公と一緒に謎解きしようと身構えていたのに、まさかの肩透かしをくらいました。冒険心が萎んでいく。減点法で脚本を採点したら7点に届きません。ところが、マイナスを吹き飛ばしてしまう長所を本作は有していました。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』や『ジャイアント・ピーチ』を深化させた独特の世界観です。影を孕んだ魅惑的なキャラクターと豊かな美術表現に圧倒されました。魔法が解け、世界が崩れていく様の見事なこと!自分はこのセンスを全面的に支持します。テーマもオーソドックスながら、自分の心を捉えました。子どもの頃の記憶がよみがえってくる。「友達の家では、しょっちゅう玩具を買ってくれるよ。夏休みには旅行だってさ。羨ましいよー。ずるいよー。」駄々を捏ねて親を困らせたものです。こんなとき、両親の台詞は決まっていた。「それなら、友達の家の子になりなさい。」そう言われると黙るしかない。だって、うちがいいから。お父さんとお母さんじゃなきゃダメだから。愛情とか、信頼とか、そんな言葉で説明ができない繋がりが親子にはある。今にして思えば、大富豪の養子になら貰われて行っても良かったと思うけど(笑)。ボタンの魔女の誘惑に乗らず、父と母を助けるため毅然と立ち向かう主人公に、あの頃の自分を重ね合わせ胸を熱くしました。前述のとおり冒険としてはイマイチだったけど、結果良ければ全て良し。それにしてもあの黒ネコは頼もしかった。素敵でした。これからは黒ネコが横切っても不吉だなんて思わないことにします。
[CS・衛星(吹替)] 9点(2011-03-02 19:55:50)(良:1票)
429.  イントゥ ザ ブルー
青い海と水平線。水着のギャルに宝物。麻薬もからみ、人は結構沢山死にますが、それにかかわった主人公達に特に後悔の念は無い。いかにもアメリカ作品らしい娯楽作品です。別にそれは悪いことではなく、そういう作品もないと息が詰まってしまいます。ジェシカアルバの水着は絶品ですのでそれを目当てに見るのが正しい見方で、いいと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2006-04-15 11:53:23)(良:1票)
430.  セーラー服と機関銃 -卒業-
『セーラー服と機関銃-卒業-』とかけまして『腕のいい大工』と解く。その心は・・・かんな使いが上手いでしょう。
[DVD(邦画)] 7点(2019-03-30 21:04:52)(笑:1票)
431.  クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱 《ネタバレ》 
クレしん映画を劇場で観るのは『ロボとーちゃん』以来。基本的に好きなシリーズではありますが、欠かさず鑑賞するファンやマニアではありません。そのような立場での感想です。総体的な感想は「凄くちゃんとしてる!」。ぷにぷに拳の設定、見応えあるカンフーアクション、往年のジャッキー・チェン映画を下敷きとした起承転結ある筋立て。全くもって高クオリティで、大人も普通に楽しめます。まさにこれが劇場版クレしんの長所ではあるのですが、もっと無茶苦茶やってもいい気もしました。オチこそ誰向けかわからないナンセンスギャグで締めてくれましたが、とてもバランス感覚の良い、ある意味真面目な映画との印象です。であるが故に、メッセージがいささか説教臭く感じてしまったのだと思います。きちんとつくって苦情なんて酷い話ですが、クレしん映画の持つ自由さは、それだけ価値が高いと考えます。エンドクレジットを観るまで関根勤さんに気付かず。お見事な声優ぶりでした。モノノフは、エンドロールを観るためだけに劇場へ足をお運びください。※4月29日追記。GWに二女(8)と三女(5)を連れて劇場再鑑賞。二女の感想は「修行のシーンが面白かった」三女は「どこということはないが面白かった」そして父(45)の再感想は「しんちゃんのボケに漏らすことなくツッコむ風間君が面白かった」。初見で変に理屈っぽい見方をしてしまったことをお詫びします。劇場内の他のお子さんのウケも上々でしたし(前回は平日の昼間で観客は私ひとりのみ!)、子どもが楽しめているのなら、無問題。親子が同じ目線で楽しめる貴重な映画シリーズが、どうか末永く続きますように。
[映画館(邦画)] 8点(2018-04-20 12:54:20)(良:1票)
432.  修羅雪姫(1973)
『キル・ビル』に代表される昨今流行の血飛沫どっぱー系ソードアクションの先駆け的作品でしょうか。復讐劇の筋立て自体はかなり濃厚で、とてもじゃないけど娯楽作品に適さないと思われますが、これがなかなか良い塩梅に漫画チックに味付けされていると感じました。多すぎる血糊。荒唐無稽な特訓。妙にヌルイ歌謡曲主題歌。リアリティを削ぐ要素が豊富なのです。さらに梶芽衣子の演技!大きく眼を見開き眼力全開。大味過ぎて上手いとは思えませんが、その大雑把な演技プランが、本作からシリアスさを奪っていて逆に好都合。結果的に娯楽色豊かな復讐チャンバラ映画が出来上がったというわけ。面白いです。21世紀の今こそ、この感性を楽しみたい映画。
[DVD(邦画)] 7点(2010-04-28 22:51:18)(良:1票)
433.  サプライズ(2011) 《ネタバレ》 
先制攻撃のチャンスを棒に振り、止めを刺さずに逃げ出して反撃を食らう。被害者(主人公含む)の行動指針が“逃げる”に設定されているホラーが目につきます。逃げ惑う恐怖を描くワケですから不自然ではありませんが、正直ストレスが溜まります。その点、本作のヒロインは天晴れでした。チャンスは逃さず、止めは念入りに(←コレ重要!)。この主人公になら安心して感情移入が出来ました。さて、ラストシークエンスについて。客観的にみれば完全に過剰防衛です。というより、普通に殺人です。(本来善良であるべき)主人公にあるまじき行為。しかし彼女を責める気にはなれませんでした。奴の殺意は明白でした。仮に見逃したとしても、後々命を狙われる可能性は大。腐った人間性の持ち主です。どさくさに紛れて(その場の感情の勢いに任せて)、禍根を絶ったのは正解。殺人者は、逆に殺されても文句が言えないのは道理でしょう。ただし、現場を警官に目撃されていたのは誤算でした。裁判になれば有罪間違いなし。さてどうしたものでしょう。しかしこの問題も予想外の方法でクリアされました。やはり準備は大切です。警官はお気の毒でしたが、戦地に不用意に踏み込んだ甘さは万死に値するのです。面白かったですよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-27 19:53:02)(良:1票)
434.  フォーン・ブース 《ネタバレ》 
興味を惹き付けるシチュエーションと、テンポ良く進む物語。あれよあれよという間に事件に引き込まれていきます。ただ、冷静になってみると結構粗い。パッと見はイイけど、結構安普請だったりします。蜘蛛の糸に絡み取られていくような恐怖を感じたいところですが、そうでもない。何度でも電話を切るチャンスがありました。自分なら絶対切っている。そう思えるということは、ご都合主義があるということ。銃で狙われていることが判明する前の段階で、もう一つ主人公が電話を切れない仕掛けが欲しいと思いました。生還の方法もあっけない。真犯人の大オチに至っては、オマケみたいなもの。伏線が無いから驚きもない。脚本はまだ練り込めたと思います。ただ、サラッと楽しむ分には十分な出来です。
[DVD(字幕)] 6点(2008-03-14 22:44:17)(良:1票)
435.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 
細部に至るまで綿密に計算されたテクニカルな構成に感心しますが、とくに言及したいポイントは2つあります。一つ目は俳優交代について。主人公姉妹は、ローティーンと成人、都合2つの年代が描かれます。N〇Kの朝ドラでもない限り成長期を跨いで一人の役者に任すのは無理筋ですから、俳優交代は絶対条件。とはいえ経年違和感のない交代俳優を探すのも大変です。観客の脳内補完必須でしょう。ところが本作では、役者交代に何の違和感もありませんでした。ほとんど完璧なバトンタッチでは。よく似た子役をキャスティングした点もさることながら、顔がボコボコだったり厚化粧だったり人相判別を困難にした事が功を奏したと考えます。なるほど、単純ですが上手いやり口です。これは称賛ポイントでしょう。二つ目は、終盤の展開について。殺人鬼系ホラーで見慣れた典型的な流れで、ご都合主義も目につきました。趣向を凝らしたこれまでの展開と比して無策に思えます。しかしこれも観客を惑わす計略のひとつ。なぜなら本作の肝は『主人公はホラー小説家志望』という基本設定にあるからです。物語の裏地にぴたりと張り付き、観客の判断を惑わせます。目を凝らして観るほどに『ここが不自然な気がする』と疑問符がつく仕立て。題材(展開)はプレーンなほど好都合というワケ。虚実の境目の見極めは、観客に委ねられました。極端な話、主人公はまだ捕らわれているかもしれませんし、イチから全部小説との見立ても可能でしょう。解釈に幅があり、物語に奥行が感じられるのは、優れたミステリーホラーの証と考えます。なお、壮絶・胸糞なストーリーにも関わらず『観易い』のも本作の特徴です。前述した丁寧なお仕事をベースに、各種配慮が行き届いていました。『鬼畜監禁もの』とは思えぬマイルドな暴力表現で、後味も悪くありません。デートムービーにさえ使えるレベル。この大衆性・汎用性の高さはセールスポイントでしょうが、多方面に気を配った結果、ホラー映画としてのパンチ力(狂気)を欠いた気がしないでもありません。(以下余談)と書き終えて、他の方のレビューを拝見したところ、私の感覚に大きなズレがある事が判明しました。やっぱりデートムービーは無理みたいです。ご注意を。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-02-15 22:47:02)(良:1票)
436.  蝋人形の館 《ネタバレ》 
本作の場合、タイトルでネタばれしているので、作品の魅力をオチに頼ることが出来ません。物語の展開で魅せるしかない。監督の力量が問われるところです。しかし残念ながら、粗さが目立ちました。ホラー作品の“典型的な悪いところ”と言ってもいいかもしれません。圧倒的に有利な状況から、いとも簡単に窮地に追い込まれる主人公たち。あまりに不自然です。言い方は変ですが、“納得できる流れで”窮地に追い込まれて欲しかったです。わずかな心配りで可能なことだと思います。また、犯人たちが思った以上に“普通”だったのも残念。それは見た目ではなく、精神的な部分の問題。行動は十分残虐なものでしたが、犯人たちのパーソナリティからその狂気性がイマイチ伝わってこず、常識人に見えてしまいました。常識人相手であれば、恐怖の底は知れてしまいます。“痛み”の描写は良かったと思いますが、“恐怖”という面では物足りなさを感じました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2007-01-03 20:31:39)(良:1票)
437.  銀色の髪のアギト 《ネタバレ》 
率直にいって『未来少年コナン』+『風の谷のナウシカ』という感じ。そういえばタイトルの語感も『ナウシカ』っぽい。もっとも、後発作品ゆえ設定や世界観が先行作品に似通ってしまうのは、ある程度仕方が無い。問題なのは、物語としての出来が芳しくないことです。本作の肝は、何故アギトはトゥーラを奪い返しに行ったのかということ。森を助けるという目的は2の次。2人には(少なくともアギトの方には)強い恋愛感情があったはずです。口を開けば「トゥ~ラ~」と叫ぶ、サカリの付きっぷりを見てもそれは明らか。だのにアギトがトゥーラに恋する過程が描けていないと感じました。自分は2人が初めて出合ったシーンが本作の最重要シーンと考えます。ここに全精力を注ぎ込む必要があった。いかにトゥーラを魅力的に描くか。アギトの一目ぼれを印象付けるか。この娘のためになら命を賭してもいいと思えるほどに。ココさえ押さえてしまえば、全ての流れに必然性が出る。アギトの決意に感情移入できます。最初の躓きが作品全体の躓きに思えました。火山のエネルギーがイストークの源動力といいつつ、地面を離れて立ち上がってしまう等、不合理な設定も目に付きます。それでもキャラクターに魅力があれば印象は良くなるのですが、誰一人として“生きている”感じがしませんでした。これは声優の力量不足も当然影響しています。メッセージは理解できますが、表面的な部分で終結していると感じました。軍事国家ラグナの位置づけを単純悪で片付けてしまうのは浅い。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2007-05-27 00:29:39)(良:1票)
438.  スズメバチ
最初の30分は退屈しました。自分の場合、レビュワー登録をする前なら挫折していた可能性大です。滑り出しは展開に乏しく、かといって状況設定を説明するような親切さもありません。時間経過を示す描写もあまり効果的とは思えませんでした。しかし物語が動き出してからは画面に釘付けです。暗闇の中飛び交う銃弾。誰が誰を狙っているのか。状況が分かるにつれ、最悪の状況へ向かう不可避な流れの中にいることに気付きます。漠然とした不安から絶望へ。事態を打開する術を見つけられない中での銃撃戦には悲壮感が漂います。ハリウッド映画で慣れ親しんだ単純明快なガンアクションとは一味違った迫力と生々しさがありました。観る価値ありです。それだけに、面白くなる前に脱落する観客がいるとしたら残念です。とくに娯楽作品では“つかみ”は重要だと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-09-24 17:31:29)(良:1票)
439.  ステルス
芳しくない評判を耳にし、心の準備が出来ていたせいか、言い方は変ですが思ったよりも“大丈夫”でした。戦闘機のエアアクションをはじめ、視覚部分では結構楽しめました。ただ、満足できるのはこの部分のみ。こと、ストーリーに目を向けるとダメです。いかにもアメリカらしい大雑把な価値観がまかり通っているのが鼻に付きます。もちろんフィクション。現実ならば、ここまで無茶はしないでしょう。でも根底に見えるのは、今のアメリカそのもののような気がします。“正義”とか“真実”という言葉を何の疑問も持たずに使えること。自己の利益を何よりも優先できること。その迷いのない姿勢は羨ましくもあります(これは皮肉ではなく)。ですから娯楽作品と割り切れれば、アメリカ作品ほど面白いものはない。でも現実の問題とダブッてしまう題材の場合は、なかなかそうは行きません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2007-04-13 18:37:20)(良:1票)
440.  人狼ゲーム 《ネタバレ》 
数多存在するB級(以下の)邦画シチュエーションスリラーと寸分違わぬパッケージ。正直全く期待していませんでした。ところがどうでしょう。これが見応え十分の力作だったのです。徹底的にBGMを排し、お化け屋敷的ドッキリに頼らぬ真摯なサスペンス演出。若手俳優のリアリティを担保した熱演。元ゲームの醍醐味をスポイルせず単純化し、敷居を低くしたルール設定。そして何より物語で魅せてくれました。主人公は“平和ボケの日本人”を体現する女子高生。観客もまた唯一カード(村人)が明かされた彼女の立場で、ゲームに強制参加させられる仕組みです。彼女の精神的な成長を主軸に置いた事で、キワモノホラーの中でドラマ性が際立ちました(彼女に多少イライラするくらいが、また丁度良い匙加減です)。また“実は主人公が人狼でした”なんてありきたりな、でも手軽に衝撃を与えられる結末をハナから放棄したことも評価します。ストーリーで勝負する決意の証ですから。プレイヤーの中に血縁者を配した仕掛けが値千金と考えます。家族愛が単なる“殺し合い”を超えた“騙しあい”に繋がりました。もしあなたが“人狼A”の立場なら、どのように葛藤し、どう行動するか、是非自分自身に置き換えてみてください。決着のつけ方にも美しさを感じます。“人狼B”の選択、いや生き様に胸を打たれました。最後の村人殺害に武器を使わなかったこと、そして決死の全力疾走。尊厳と覚悟の輝きが其処にはありました。これは掘り出し物。個人的には『口裂け女2』以来の衝撃です。まさに“人間の皮を被った狼”ならぬ“駄作の皮を被った佳作”であったと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-01-24 21:29:39)(良:1票)

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