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プロフィール
コメント数 2594
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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501.  塔の上のラプンツェル
「ああ……テレビが小さ過ぎるな……」  目の前では、居なくなったプリンセスを憂いて無数の灯りが夜空に向けて上げられている。 自宅の32型の液晶テレビに映し出される、その美し過ぎるシーンを観ながら思った。 同時に、この映画を映画館で、そして3Dで観なかったという“失敗”に今さら気づき、遅過ぎる後悔を感じた。  理屈ではない。ディズニーはやっぱり素晴らしいとしか言いようがない。 ディズニー映画に対する問答無用の高揚感はもはや条件反射で、それは世界中の子供たちに行われ続けている“幸福な刷り込み”によるものだと思う。 大人になって、ディズニー映画の新作を見てもすんなりとその高揚感を味わうことは少なかったけれど、この映画にはかつて自分自身が子供の頃に“刷り込まれた”愛すべきディズニー映画の“源泉”が溢れ出ているようで、ただただその世界観に包み込まれた。  四の五のと御託は必要ない。今の自分を取り囲む“いろいろ”を一旦ソファーの横にでも置いといて、世界で最も信用度の高いブランドによる「夢の国」に入り込むべし。  P.S.残念ながらDVDやBlu-rayで観るのであれば日本語吹替で可。しょこたんギザウマス+ギザカワユス。
[DVD(吹替)] 9点(2011-12-21 15:50:43)(良:1票)
502.  ペントハウス
高揚感を煽る音楽の中、ベン・スティラー演じる主人公が、絶妙な笑みを浮かべながら“あるところ”を歩いていく。そのラストカットを見ながら、思わずにんまりと親指を立てたくなった。 イントロダクション通りのストーリーで、辿り着く顛末も大体想像通り。それでも、これだけの満足感を観客に与えるのは、アメリカのコメディ映画界が大衆を喜ばせるための「基本」を常に全うしているからだと思う。  もはやアメリカコメディ映画の世界では二大俳優といっていいベン・スティラーとエディ・マーフィの競演については、当然のことながら安心して見られる。  特にベン・スティラーというコメディ映画俳優の存在感は凄い。 主演作の殆どにおいて、彼の演じるキャラクターはあまり笑わない。主人公が真剣になればなるほど、彼を取り巻く環境は大揺れを起こし、可笑しさが生まれる。 それは、すべての人間が真剣に生きているこの現実の世界こそに、本当の可笑しさが潜んでいるということの証明であり。だからこそ、ベン・スティラーの主演映画は面白いのだろう。  が、その一方でこの二大俳優が組んで、しかも一応“幼なじみ”という設定の割には、ふたりの掛け合いが少なく、連携もイマイチだったようにも思えた。 ストーリー構成的には、ベン・スティラーの単独主演で、エディ・マーフィは脇役という印象が強く、勿体ないと感じた。  また、よくよく突き詰めれば、整合性がない部分もチラホラ目につくし、説明不足な展開もある。 そういう部分が、最終的な満足感のわりに作品としてのグレードを幾分か下げてしまっていることは否めない。  しかしながら、この手の映画に“こなれている”俳優たちのアンサンブルは極めて安定していて、気を削がれるようなことは決してない。  “人種のるつぼ”であるアメリカ社会が抱える格差や経済の問題意識もベースに敷きつつ、バランスの良いエンターテイメントに仕上げる“地力”が流石だと思う。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-11-28 23:54:57)(良:1票)
503.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 
結構な“トンデモ映画”であることは覚悟していたのだが、想定を遥かに超えた駄作っぷりに「あ、ああ…そう…」と苦笑いするしかなかった。  個人的に、「ファースト・ジェネレーション」、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」と鑑賞して、それまでテンションが上がり切らなかった同シリーズに対しての評価が急上昇していたところだっただけに、今作の出来映えは正直ショックだ。  「SAMURAI」と銘打たれた今作において、決して褒められたものではない“おかしな日本描写”のオンパレードであること自体には、怒りは無い。 むしろ、主演のヒュー・ジャックマンをはじめとして、製作陣が「日本」という異国の文化に多大な興味を持ち、愛してくれていることは充分に伝わってくるので、とても微笑ましく思える。 外国の映画なのだから、外国の人たちが「見たい日本」を描いてくれればそれでいいのだ。  問題は単純で、アメコミヒーロー映画としての面白味が全くないということに他ならない。更に言うならば、「X-MEN」という素材が本来持つ娯楽性を全く描き出せていないということだとも思う。 その原因も簡単。主人公のウルヴァリンが、彼のミュータントとしての特性である治癒能力を抑えられ、強制的に“弱く”なってしまっているからだ。  やられてもやられても復活する。その唯一にして単純明快な能力を失ってしまったウルヴァリンなどウルヴァリンではなく、そりゃあ期待される娯楽性も生まれない。 そんな彼をフォローするべく、多様な日本版ミュータントが続々新登場するのであれば、この番外編ならではの娯楽性も生まれようが、それもなくただ主人公が傷つき追われ、ノーマルヤクザ、忍者軍団、狂った機械侍との攻防を描き連ねられても、それは逆に僕たちが「見たいX-MEN」ではない。  日本の映画ファンとしては真田広之の役柄があまりにも“おいしくなかった”ことも残念。この程度の作品なのであれば、せめて“ラスボス”ぐらいの役はくれよ!と言いたい。  あくまでも映画世界内の時間軸での前作である「ファイナル ディシジョン」を受けて、最新作「フューチャー&パスト」に繋げるための、ウルヴァリンの“傷心日本旅行”を描いた番外編なのだとは思うが、それにしたって、ちょっと、ねえ?
[DVD(字幕)] 3点(2014-04-13 16:52:12)(良:1票)
504.  アウトロー(2012)
ライフルの乾いた銃声。カマロの唸るようなエンジン音。観ている者の骨にも響く殴打音。 BGMを極力廃し、数々の無骨な音が、“アウトロー”が行き着いた映画世界に響き渡る。  派手なアクションシーンがひたすらに羅列されがちな昨今のアクション映画に対して、この映画の骨格は、とてもオーソドックスで一見地味なシーンが連なる。 それに対して古臭さと退屈を感じる人もいるだろうけれど、じっくりと見れば見る程、深い味わいが染み渡ってくる現代においては少々異質なアクション映画に仕上がっている。  このところのトム・クルーズの最新作を観て、毎度感じていることだが、このハリウッドスターの日々の「鍛錬」と俳優として、映画人としての飽くなき「意欲」は尊敬に値する。 50歳を越えて、また自ら新しいヒーロー像に挑戦し、シリーズ化を目論むなんてことは、並の神経では出来ない。 長年彼の映画を観てきた映画ファンとしては、当然「老けたな」という印象は拭えないけれど、それはそれとして主人公としてしっかりと“様”になっているのだから、文句は無い。  ヒロインがやけに熟女だなと思ったけれど、冷静に考えれば50歳のトム・クルーズの相手役としては相応しいバランスだよな……と思いきや、ヒロイン役のロザムンド・パイクはなんと34歳……。 彼女も含め、過去にトム・クルーズと共演してきた女優たちは時間の流れの“不平等さ”を恨んでいることだろうと関係ないことを思ったり。  一方で、脚本家出身の監督の作品のわりには、ストーリーそのものの面白味は薄かった。 話自体は、思ったよりもミステリー仕立てだったので、もっと二転三転のストーリーテリングがあっても良かったと思う。 が、“ニューヒーロー”のシリーズ第一作目だとするならば、新たなキャラクター性を際立たせることを優先したことも納得はできる。  ともかく、衰え知らずのハリウッドスターが新たに生み出した“ジャック・リーチャー”というヒーロー像は、充分に魅力的で、今後のシリーズ化も彼の目論見通りに期待したくなる。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-11-03 01:26:33)(良:1票)
505.  イップ・マン 葉問
邦題「イップ・マン 葉問」は、同じ人名がただ並んでいるだけで意味不明だが、原題「イップ・マン2」もなんだか安いヒーロー映画みたいに思える。ただし、このタイトルには意味があると思う。  前作に引き続き、反日感情、さらには反英感情の鬱積した思いが、過剰に描写されていることは、映画ファンとしてよりフラットな視点から観たい者として、居心地の悪さに繋がっていることは否めない。 ただし、前作鑑賞時と同様、抑えきれないその“感情”を描けることが出来るのは、当然その国の人間だけであり、これが映画である以上、他国民には理解し難い描写があることは致し方ないとも思えるし、それは映画表現においてある意味大切なことだとも思う。  そして、この優れたカンフー映画に対して、そういうどうにもならない感情と表現に対してあれこれと難癖を付けることは、無粋だと思う。 ドニー・イェンとサモ・ハン・キンポーが真っ向から拳を交えるという、この映画の最大の見所、それを心の底から楽しむということ。それが真っ当な映画ファンが取るべきスタンスだと思う。  前作は、日中戦争の渦中を舞台にし、主人公の武術家としての盛衰をドラマ性豊かに描き出したことに対し、今作は戦後の香港を舞台にして、より分かりやすい娯楽性を伴って仕上げられている。 プロットとしては、諸々のブルース・リー映画、ジャッキー・チェン映画、さらには「ベストキッド」やら「ロッキー4」やら、各国のカンフー映画、スポ根映画をごちゃ混ぜにしたような話になっている。  実在の人物を描いているとはいえ、とても“リアル”とは言い難い。 でも、もはや「イップ・マン(葉問)」という人物は、近代中国武術とそこから生まれたカンフー映画における「伝説」であり、タイトルに示された通り、特に中国人にとっては紛れもない「ヒーロー」であるのだろう。 ならば、真実のみを描くことが必ずしも正しいわけではないと思う。  ラストの小さな“李小龍”登場も含めて、中国国内に向けたこの映画のサービス精神、娯楽映画としての在り方は、圧倒的に正しいと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2013-09-03 17:08:41)(良:1票)
506.  ディープ・ブルー(1999)
“人喰い鮫”を描いた映画と聞いて世界中の誰しもが思いつくのは、もちろん「JAWS/ジョーズ」だろう。 しかし、人喰い鮫の“モンスター映画”とジャンルを更に絞るならば、今作はかの名作をも凌ぐ。 高校生の時に今作を映画館で観て、その想像を超えた面白さに驚いて以来、その考えは今なお揺るがない。  かの名作の存在に怯え、誰もビッグバジェットで同じ題材の映画製作に挑まなかった中、持ち前の大仰なエンターテイメント性を全面に打ち出し、挑んでみせた監督のレニー・ハーリンを褒めたい。 他のモンスター映画の傑作を見ても感じるが、誰が撮っても同じだろうと安易に考えてしまいがちなこの手の娯楽作品ほど、監督の手腕が大いに影響するもので、今作はまさにその顕著な一例だと思う。  遺伝子操作によって生み出された“マンガ”のように巨大で凶暴で利口なサメ自体のキャラクター性とビジュアルも凄いが、この映画で特筆すべき最たるポイントは、モンスター映画における「生き残りの固定概念」が通用しないということに尽きる。 その辺のモンスター映画であれば、映画の冒頭で登場人物が一通り紹介された時点で、誰が死んで誰が生き残るだろうということは何となく分かるものだ。 しかし今作は、誰がどの順番で死に、最終的に誰が生き残るという予測が立たない。 僕自身そうであったように、序盤のある人物の死に対して「え!いいの!?」と、大いに面食らってしまうハズ。 (特に1999年の公開時においては、あの人があのタイミングでヤラレるというのは反則にすら思えた)  そして、いちいち登場人物たちの“ヤラレ方”が豪快なのも良い。 これが最も「ジョーズ」とは異なる部分かもしれないが、襲われそうな恐怖を感じさせることよりも、巨大な人喰い鮫に襲われるまさにその瞬間の迫力を優先している。問答無用に殺される登場人物たちも、“喰われ甲斐”があるというものだ。  そういういかにもモンスター映画の宿命的なB級ノリに相応しい豪快さが、この映画を何度も観たくなる最大の理由だろうと思う。
[映画館(字幕)] 8点(2003-11-26 00:24:08)(良:1票)
507.  スペシャリスト(1994)
今になって考えると、この映画からスタローンの落ち込みが始まったのではないかと思う。見応えのないアクションシーンと希薄なストーリー展開には辟易させられる。シャロン・ストーンとの絡みのみをウリにした映画自体、非常に問題だ。
2点(2003-11-30 12:37:12)(良:1票)
508.  エリジウム
ニール・プロカンプ監督の前作「第9地区」は、彼の出身国である南アフリカ共和国でかつて行われた人種隔離政策(アパルトヘイト)が社会にもたらした影響を如実に反映した特異なSF映画だった。 個人的に、映画としての面白味は認めつつも、その年のアカデミー作品賞にノミネートされるなど、過剰な評価の高さに違和感を覚えた。 作品の性質上、もっとカルト的な人気を得るべきタイプの映画であると思えたし、この監督自身も限定的な製作環境の中で無限の可能性を示すタイプのクリエイターに思えた。  そういう思いがあったので、前作の思いもよらない大成功を経て、ハリウッドの潤沢な製作資金を与えられた作り手が、果たして“持ち味”を維持出来るものかどうかという危惧が期待を大きく上回っていたことは確かだ。  そうして、映し出された映画世界は、はっきり言って「凡庸」の一言に尽きる。 それほど悪くもないが、特筆すべきハイライトや目新しさも殆ど無かった。 SF大作として、映画全体のクオリティーはぎりぎり及第点に達しているとは思えるけれど、主人公にマット・デイモン、敵役にジョディ・フォスターを引っ張り出しておいて、「この程度」ではやはり低評価は免れないと思う。  莫大な資金を使って、近未来のロサンゼルスを自分のホームグラウンドである“ヨハネスブルグ化”して描き出した映像世界は見事なクオリティーだったとは思う。 しかし、理想郷である“エリジウム”との対比により、世界各地で見られる富裕層と貧困層との各社社会を反映する意図は充分に理解出来るが、描き出された世界観は明らかに前作やその多くのディストピア映画の二番煎じと言わざるを得ず、新しい映画としての高揚感がまるで無かった。  製作環境が一変しようとも、己の趣向を貫き通すだけの“エゴイズム”が、この新鋭監督に備わっていなかったことがもっとも残念に思えることだろう。 次回作は「第9地区」の続編かな?成功によるしがらみをかなぐり捨てて、原点に回帰出来るかどうか。この映画監督にとって、結構大きな分岐点になるような気がする。   監督の“お友達”のシャールト・コプリーは、良い味を出している。「第9地区」、「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」に続いて、演じるキャラクターの“イカレ具合”が安定している。勿論褒めている。  
[映画館(字幕)] 5点(2013-10-14 23:27:52)(良:1票)
509.  怪盗グルーの月泥棒
何だか知らぬ間に、ミッキーマウスやハローキティ並の大人気キャラクターになっちゃってる“ミニオンズ”。今更感は強いが、ミニオンズが初登場する今作を子どもたちと鑑賞。  なるほど、ミニオンズの造形や動きはユニークで、ポップアイコンとしての魅力は抜群だ。子どもや女性に人気があるのはよく分かる。 「その他」と言っちゃあなんだが、主人公グルーのビジュアルやキャラクター性も、アニメらしく過剰な娯楽性も含めて良いと思う。 少なくとも、共に鑑賞していた6歳と3歳の子どもたちは画面に釘付けだったので、アニメ映画として及第点だろう。  ただ、ピクサー映画やディズニー映画のように、老若男女が楽しめる映画かというと、その点は少々疑問だ。 キャラクターの造形が魅力的な反面、キャラクター性に説得力がない。 特に主人公グルーは、端々の描写から察するに、もっと心の奥底に「孤独」を抱えたキャラクターであるべきだったと思うが、今ひとつ真に迫ったものが伝わってこない。 彼がなぜ「月」に執着したのか?「母親」との関係性に鬱積があるのか?そういう主人公造形の核になるべき部分の描き込みが極めて軽薄で中途半端なので、あって然るべきののドラマ性が生まれていないと思う。  とはいえ、前述の通り“子供向け”だということを割り切れば問題はなかろうし、本来アニメとはそういうものだろう。 そして、“ミニオンズ”という人気キャラクターを生み出したことによる商業的成功も、賞賛すべきことなのだろう。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2018-05-05 20:21:58)(良:1票)
510.  第十七捕虜収容所
サスペンス、スリル、可笑しさ、爽快感……映画の娯楽性を彩る要素は多々あるけれど、ビリー・ワイルダーの映画には、そのすべてが詰まっている。 捕虜収容所での“スパイ探し”を描いたこの変わった趣向の戦争映画には、想像以上に娯楽性を高める様々な要素がバランスよく入り交じっていて、それぞれの要素が見事に主張し合っている。  第二次世界大戦中の捕虜収容所を描いた映画と言えば、有名過ぎるのはやはり「大脱走」だろう。ドイツ軍管理下の捕虜収容所からの脱走を図る捕虜たちの群像劇を描いたプロットは、今作との類似を大いに感じる。 大名作として誉れ高いのは「大脱走」の方だと思うが、制作年数は今作の方が圧倒的に早いので、ヒントを得た部分は大いにあるのだろうと思う。 そして、個人的には圧倒的に今作の方が面白かった。  ナチスドイツ管理下の捕虜収容所というイメージ的には陰惨極まる舞台設定において、決して不自然ではない映画的娯楽を展開させる巧さに、ビリー・ワイルダーという映画人の偉大さを改めて感じずにはいられない。  そして、スリルやコメディの娯楽性の裏には、しっかりと悲愴な環境下で生き抜く人間たちのドラマと戦争による混沌も見えてくる。 そうすると、収容所内の人間たちの少々仰々しい感情表現も、生き抜くための一つの“手段”に思えてきた。  映画は終始薄汚れた捕虜収容所内で展開され、派手さは皆無だと言っていい。しかし、噛めば噛むほど様々な味覚が存在を主張し、そのどれもが深まっていく。 週末の深夜、巧い映画とはこういうものだということを改めて知った。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-04-22 23:44:07)(良:1票)
511.  ラスト サムライ
この映画のもつ価値は、あらゆる意味において計り知れない。クライマックスの合戦シーン、おもわず身震いと同時に「見事…」とつぶやいてしまった。勝元の眼差し、氏尾の剣技、たかの静粛さ、SILENT SAMURAIの寡黙、そして日本の情景の美、この映画で燦然と描かれたすべては、現代の日本人が「忘れている」ではなく、もはや「知らない」と言わざるを得ない日本という国の美学、サムライという生き様の崇高さに他ならない。ひとつひとつのシーン、何気ない言動までもにこれほど感動と興奮を覚えた映画は本当に久しぶりだ。紛れもない傑作である。渡辺謙、真田広之ら日本人俳優たちは本当に素晴らしかったが、私はあえて、この映画をハリウッド大作として、尊敬すべき侍魂をもって体現してみせたトム・クルーズに深い賞賛を送りたい。
10点(2003-12-14 03:53:04)(良:1票)
512.  エスター 《ネタバレ》 
長年に渡って各方面からの好評は当然耳に入っていたものの、ホラー映画が大の苦手なので、常に“鑑賞予定リスト”に入りっぱなしだった今作をようやく鑑賞。 当然ながら序盤からビクビクしっぱなしで、恐怖感と不穏感をこれでもかと煽る演出と、卓越した画作りは際立っていたと思う。  基本的なプロットとしては、ホラー映画の傑作「オーメン」を彷彿とさせる。ただ、描き出される物語の本質は、現代社会と、或る夫婦間における普遍的な「鬱積」を炙り出しており、主人公と同様に二人の子を育てる同世代の者としては、殊更に映画世界が醸し出す居心地の悪さと不気味さを感じずにはいられなかった。 決して著名な監督が手がけていたり、有名な俳優が出ているわけでもない極めてミニマムなバジェットのホラー映画でありながら、評判通りに独自性に溢れた恐怖感を生み出す映画ではあったと思う。  しかし、ある意味致し方ないことではあるのかもしれないが、“ネタバレ”以降のクライマックスにおける恐怖感は、それまでに比べて著しく急降下してしまっていることは否めない。 “エスターは実は○○でした!”という真相は確かに衝撃的だけれど、それを突きつけられた途端、得体の知れない不穏な恐怖感は一気に霧散した。 その真相は、ある意味では確かに恐ろしいけれど、裏を返せば、ただただ“イタい”浅はかな狂った女の凶行にしか見えず、一旦そういう見え方をしてしまうと、この映画が行きつく顛末も容易に想像できてしまう。  作風に同じ匂いを感じた「オーメン」は、“オーメン”の天性的な悪魔性と表現した演出同時に、彼を「悪魔」の権化として捉えてしまう要因が、主人公夫婦をはじめとする周囲の人間の精神的な脆さにも起因するのではないかという疑念を絡ませたストーリー展開が極めて巧かった。  今作に隠された「真相」の部分が決して悪いとは思わないが、そういうことなのであれば、もっとエスターの言動は天才的に狡猾なものとして描き出されるべきだったのではないか。 すべての言動があまりにも子ども臭く、そもそも狂人であったとしても、もう少し上手く世渡りしろよと、いらぬ感情を抱いてしまう。 “ネタバレ”された瞬間に、そういった点での符号が成されなかったことが、ホラーとしても、サスペンスとしても、非常に残念だったと思う。  まあ、同じ人の親として口幅ったく言わせてもらうならば、実子たちの瞳に滲み出ている明確な「恐怖」を感じ取れていない時点で、主人公夫婦は「親失格」だったと断言せざるを得ない。 そういう意味では、不気味すぎるエスター役の子よりも、勇敢なマックス役の子の女優としての表現力の確かさの方が凄いと思える。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-09-24 01:02:33)(良:1票)
513.  ボーン・スプレマシー
前作「ボーン・アイデンティティ」は、演技派のマット・デイモンがリアルなアクションシーンをこなし、ヨーロッパを舞台にしたスタイリッシュな映像が秀でたアクション映画だった。悪くない映画だったけど、スパイ映画としては“展開力”に今ひとつパンチがなくて、それほど印象が強い作品ではなかった。 なので、続けて製作された続編に対しても、興味は薄く、公開から6年が経過してようやく観た。ようやく観た理由は、ある雑誌の企画上のランキングで、このシリーズの続編2作品が揃ってランクインされていたからだ。  アクション映画において6年という年月は“劣化”を覚悟しなければならない期間だと思う。 しかし、今作にはそういった安直な劣化は微塵も感じなかった。むしろ作品の隅々までが洗練されていて、新しいと感じた。  主人公に対する追走劇が世界を股にかけて展開される様は、前作から引き継がれた魅力だが、その各国での各シーンがより研ぎすまされ、それぞれの場面が完成されている。 映画の展開によって変わっていく雰囲気が、各都市のシーンでマッチし、ロケーションそのものが主人公の心情を表しているかのようだった。 世界各国各都市での撮影を売りにしたアクション映画は多々あるが、各シーンにおいて、その都市で撮影を行う”意味”を持たせ、それを如実に表現する映画は少ない。  そういった映画作りに対するきめ細かさが、用意されたプロット以上にこの作品の面白味を高めていると思う。  すぐに続編が観たい。第三作目を一緒にレンタルしなかったことを悔やんだ。
[DVD(字幕)] 8点(2010-04-07 16:37:21)(良:1票)
514.  レッドクリフ Part I 《ネタバレ》 
ジョン・ウーによる「三国志」の完全映画化。 トニー・レオン、金城武というアジアきっての世界的映画スターのそろい踏みは、エンターテイメント作品としてやはり魅力的である。  ただ、ここ数年のジョン・ウー作品にはあまり“当たり”がない。 実のところ、「フェイス/オフ」を越える作品は生まれていないのではないかという感はある。 もはやハリウッドでも幅を利かせる大アクション映画監督というポジションに与えられる潤沢の資金が、総じて作品の「大味感」につながっているように思う。  そこにきて何十億という制作費を投じての大エンターテイメント作品として誕生したらしい今作。 しかも、半年後に公開されるPART2との二部作。 「大味感」に対する不安は捨てきれない。  で、どういう映画だったかというと、 ものすごく贅沢に作られた「歴史ドキュメンタリードラマ」という感じ。  冒頭のドキュメンタリー番組の1コーナーのような歴史的背景の説明モノローグから始まり、主要キャラクターが登場する度に表示される役名の字幕。 「三国志」自体に明るくない者にとっては、「~の将軍」などという説明は分かりやすくはあるが、当然ながら映画としての質を落とすモノだったことは間違いない。  詰まるところ、全編通じて、三国志の中の「赤壁の戦い」の始終をただなぞっていくような印象が抜けず、各人物についてのドラマ性が薄く、のめり込むような感情が生まれない。  俳優たちの表情や一つ一つのシーンには雰囲気があり、それぞれを切り取ったなら質の高さを感じる。 しかし、一つの映画作品としては決して面白味のある映画とは言い難い。 そもそも「三国志」という物語そのものにある程度の造詣があったなら、もう少し印象が違うのかもしれないが。 
[映画館(字幕)] 4点(2008-12-01 00:02:55)(良:1票)
515.  メカニック(2011)
ジェイソン・ステイサムという俳優が、もはや映画史において“クラシック”と化している「アクションスター映画」の主演を張れる現在唯一の存在だということを、今年に入って初めて観た彼の主演作の幾作かを見て認識しなおしている。  ストーリーが薄い大味アクションと揶揄されようが、他の燦然たる名作と比較し蔑まれようが、自分を含め幅広い世代の世界中の男たちが、「そういう映画」を見て映画ファンになった事実は否定出来ないし、やっぱり面白いものは面白い! そういう意味で、この時代だからこそジェイソン・ステイサムという俳優の立ち位置は貴重だし、映画ファンとして嬉しく思う。  そんな彼が毎度のごとくアウトローな一流の殺し屋として登場する今作。 ストーリー展開は当たり前のように強引で、細かいところを見れば粗は尽きないが、そんなことはどうでもいい。これはきっぱり面白いと思う。 流石はあの大味名作アクション映画の代表格である「コン・エアー」を撮ったサイモン・ウエストだなと思った。  超一流の殺し屋が主人公のアクション映画は大量にあるが、まず今作が面白いのはその“殺し方の美学”だ。 ただ単に確実に殺すのではなく、出来る限り誰かに殺されたことすらも分からない方法で殺すという主人公のスタンスが面白い。 綿密な設計図のような計画表を立てて実行する様は、まさに熟練の“メカニック”を彷彿とさせ、殺し屋映画としてのオリジナリティをとても高めている要素だと思う。 まあその優れたオリジナリティの部分が、弟子を迎えてから以降、弟子の荒削り感に同調するようにあからさまに脱線していってしまうのには眉をひそめたが……。  最終的には、殺し屋という職業に付いてまわるであろう本質的な非情さや孤独感などもしっかりと描かれており、アクションというよりも描かれるドラマ自体がとても印象的な作品に仕上がっている。  新時代のアクションスターによるとても面白味があるアクション映画であると思う。
[DVD(字幕)] 8点(2012-02-23 23:57:13)(良:1票)
516.  アヒルと鴨のコインロッカー 《ネタバレ》 
ふとこういう色々な意味で驚きに溢れた良い作品にめぐりあうから、映画はやめられない。  進学のため越してきた普通の大学生が、突然隣人に「本屋を襲わないか?」と誘われる。 なぜ、隣の隣のブータン人のために本屋を襲わなければならなかったのか?……なぜ、ディランを歌うのか?……なぜ、「じゃあ河童の方」の河なのか?、さりげなく散りばめられた伏線が結びつき、紡ぎ出された「真実」に、突如として感情が揺さぶられた。  伊坂幸太郎の原作は未読で、「映像化不可能」と言われいた文体がどういうものなのかは、この映画化作品を見た後だからこそ、殊更に気になる。  こういう映画は、感想の言葉を並べれば並べる程、蛇足になってしまう。  ボブ・ディランの「Blowin' in the Wind」によって繋がった出会いは、きっと神様が「彼」に差し伸べた「救い」だったのだろう。
[DVD(邦画)] 9点(2008-06-21 16:55:53)(良:1票)
517.  ヒート
10分以上の銃撃戦以外はこれといったアクションシーンはないのでやはり見るべきはパチーノVSデ・ニーロの男のドラマのはずなんだけど、そのへんの印象が極めて薄い。なんだか両雄とも忙しい中を無理やりブッキングされましたという感じで、インパクトがなかったように思う。
[ビデオ(字幕)] 4点(2003-10-14 15:00:16)(良:1票)
518.  ホワイトハウス・ダウン
はっきり言って「サイコー」だった。まずそれを断言したい。 久しぶりにローランド・エメリッヒ監督らしい大仰でどストレートな娯楽映画を心から堪能出来たことに、満足感を超えて幸福感すら覚える。 1996年公開の「インデペンデンス・デイ」を観て以来、誰が何と言おうと僕はこのドイツ人映画監督のファンだ。そのことを再確認出来たこともまた嬉しかった。  ホワイトハウスがテロリストに襲われ、そこに偶然居合わせた主人公が現職大統領とタッグを組みつつ絶体絶命の危機に挑むというプロット。実際に描かれるストーリーの大筋にそれ以上のひねりなどは正直無い。おそらく大抵の人が容易に予想できる大団円を迎えて映画は終幕する。  だが、「サイコー」なのだから仕方ない。ストーリーの顛末が読めようが予想通りだろうが、それでも面白いのだから何の問題もない。 僕が長らくこの大味なエンターテイメント映画ばかりを作り続ける監督が好きなのはまさにその部分で、「娯楽」の王道を貫き通した愛すべきベタ映画を見せてくれるからに他ならない。  それは言い換えれば、「俺たちが観たいアメリカ映画」を見せてくれるということだとも思う。 「インデペンデンス・デイ」と同様に、今作も紛れもない“アメリカ万歳”映画である。  自国が発端で巻き起こった世界的な危機を、世界中の誰が見ても“分かりやすい”崇高なる意地とプライドで挑み、駆逐する。 「どうだい、やっぱりこの国は凄いだろう!?最高だろう!?」と極めて直接的に訴えてくる。  その工夫の無い娯楽性、あまりに現実的ではない映画世界に対して、現実の世界情勢などを引き合いに出しつつ否定し嫌悪感すら覚える人も多々いることは理解できる。  ただし、そういう否定的感情と同時に、それでも世界中の人々がこの超大国に対して多大な“あこがれ”を抱いていることも事実。 映画を観て、空想と現実の狭間で揶揄しつつも、心の中では「こういうアメリカであってほしい」「アメリカはこうでなくちゃ」という感情が少なからず存在するのだと思う。  このドイツ人映画監督が長いフィルモグラフィーを通じて、“アメリカ万歳”の娯楽映画をひたすらに作り続けている意味は、まさにそういうことだと思える。  ともかく、小難しい感情は一旦抜き去って、馬鹿らしいアクション映画の世界にただ浸ることが、この映画に対しての正しい在り方だ。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-03-22 01:53:46)(良:1票)
519.  崖っぷちの男
「え?え?何するの?何するのーッ!?」てな感じの主人公のクライマックスでの“アクション”で、この映画のリアリティーラインは確定される。 そのライン設定は想定外ではあったが、それならそれで楽しい映画だったと言えよう。  同時期に公開された「ザ・レッジ -12時の死刑台-」という映画があり、その映画も一人の男がビルの縁に立つということから端を発するサスペンスだった。 着想は極めて類似しているが、描き出されたテイストは大いに異なっており、比較してみると結構ユニークだ。  「ザ・レッジ」は、色香に溢れた人妻役のリブ・タイラーを巡る色情濃サスペンスで、これはこれで想定外な映画世界に見応えがあった。 そして今作はというと、これまた想定外の“ケイパーもの”。繰広げられる強奪計画はフレッシュで充分な娯楽性を備えていたと思う。  勿論、手放しには褒められない粗はある。 ルパン三世ばりの綿密な強奪計画を、一介の刑事だった男が考えたというのはちょっと無理がある。  ただそこで冒頭に記したリアリティーラインが効いてくる。 こういうリアリティの映画であれば、少々無理目な強奪計画もまかり通るというもの。 強奪計画の実行犯を請け負う主人公の弟とその彼女のキャラクターも良く、それぞれが受け持つコメディ要素とセクシー要素は、この映画の娯楽性において意外な程に重要なものになり得ている。  底の浅い悪役にキャスティングされているエド・ハリスは勿体なかったが、全体的にはバランスの良いお手軽なエンターテイメントだと思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-21 23:57:50)(良:1票)
520.  九龍の眼/クーロンズ・アイ
「ポリスストーリー」シリーズの第二作である今作は、同シリーズの特色であるジャッキー・チェンらしいアクションに溢れており楽しめる。ただ1や3に比べると若干ストーリー展開が散漫な感じがして、印象がやや薄い。
[地上波(吹替)] 5点(2003-10-14 12:01:05)(良:1票)

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