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81.  ファインディング・ニモ
鮮やかな珊瑚に彩られた海底のオープニングから冒険の旅へと展開されるこの物語は、主要なキャラクターたちが魚ということもあって、その舞台のほとんどが海に限定されている。それだけに視覚的にはどぅしても単調になってしまいがちだが、光が射し込む明るい海の中と暗黒の深海とを対比させたり、遠くかすかにしか見えない薄ぼんやりとした海底などといった、様々なバリエーションを用意して見せ方に工夫を凝らしているのが良く解かる。そして水槽といったもぅひとつの“海の世界”を用意する事で、遠く離れているという距離感を感じさせると共に、ドラマに振幅をもたらせている。さらに終盤活躍するペリカンの登場で、海から空へと空間的な広がりをも感じさせてくれ、実に贅沢なヴィジュアルと見事な構成力で堪能させてくれる。それぞれのキャラクターたちの自然な動きの滑らかさも、これがアニメーションだと感じさせないほどリアルで完成度は高い。ただ余り必要性を感じないキャラも多く、またマーリンとドリーとのシーンになると、話の流れが止まってしまうような印象を受けるのは残念だ。「モンスターズ・インク」のような感動味は薄いが、それでも、溜息の出るような海の中の物語を見せてくれ、これはこれで満足のゆく作品ではないかと思う。
8点(2003-12-15 18:17:39)(良:2票)
82.  PLANET OF THE APES/猿の惑星
「猿の惑星」(第一作目)のリメイクと言うよりも、「最後の猿の惑星」の姉妹篇のような作品となっている。“猿のメイクに数段の進歩が・・”とか“猿の跳躍力が云々・・・”と言うように、いかにも興行サイドが“売り”に苦慮しているのも頷けると言うものだ。いったいそれが何だと言うのか!と言いたくなるほど見所のない作品で、パロディともギャグともつかない中途半端な仕上がりとなっている。ラストなどは昔のTV秀作SFシリーズ「アウター・リミッツ」のパクリそのもの。オリジナルを知らない世代や、あまり物事に拘らない人にはそれなりにウケるかも知れないが、これではあまりにもオリジナルに対して失礼というものだ。興行側は「猿の惑星」ではなく「おサルの惑星」とするべきではなかったか。
2点(2001-08-18 14:59:24)(笑:2票)
83.  アリスの恋
夫に突然事故死され、子供一人抱えたアリスは家財道具を処分して、もう少しマシな地方都市へと車を走らせる。母子の前に広がるのは無限の荒野と長い道だが、心細くなりながらも元気を取り戻していく。これこそがフロンティア・スピリッツで、いかにもアメリカ的人間そのもの姿であり、その活力が彼女たちを生き抜かせていく。友達関係のようなアリス母子の描写が面白く、又、アリスがウエイトレスになって、最初は喧嘩ばかりしていた先輩格の女とやがて仲良くなって、太陽の光を浴びながら二人で話をしているアップの秀逸なカット等々、M・スコセッシの印象的な演出は冴えわたる。
8点(2001-04-01 19:19:13)(良:2票)
84.  ピロスマニ
死して評価された芸術家の代表格としてゴッホの名がまず挙げられるが、本作のニコ・ピロスマニもその一人。「彼の画を鑑賞すれば、グルジアを理解できる」とまで言われたほどで、ピロスマニは民衆の中から生まれ、独学でグルジア民族の魂を豊かに描きあげた偉大な画家である。とは言え、彼の画は日々の糧を得る為に描かれた作品ばかりで、所詮、看板の絵描きに過ぎなかった。この映画は、そんな飢えと孤独のうちに報われぬ生涯を閉じた不遇の天才画家の半生を、詩情豊かに描いた秀作である。本作の最大の見所といえば、ピロスマニがこよなく愛したグルジアの美しい風土と、そこに暮らしている人々の生活を、彼が描いた画そのままを映像化している点にある。画の構図やタッチなどは彼の画そのもので、この映像表現はまさに画期的であり、同時に極めて芸術性が高いものだと言える。その事によって我々観客は、彼の作品世界そのものを存分に味わえるという恩恵に与かるのである。世界映画史にややもすると埋没しかねないほどの隠れた名作とも言え、それだけに出来るだけ多くの人に鑑賞していただきたいと、切に願うのであります。
9点(2003-11-13 14:30:25)(良:2票)
85.  みなさん、さようなら(2003)
私も↓の方たちのコメントにほぼ同意見です。一人の人間の人生の最期を看取る為に集まった家族、仲間、友人たち。死の病に臥せる父親をも含め、その妻や息子たちらが取った行動や言動をカメラが追う。平たく言えば、ただそれだけの映画である。ベルイマンのように、人の生と死を冷徹に見つめ哲学的に語るというような作品ではないし、M・ライデルのような、しみじみとした情感溢れる人間ドラマにもなっていない。そもそもこの作品から私たちは一体何を見出せばいいのだろうか?一体何に感動すればいいのだろうか?何処に共感する部分があっただろうか?人の死をまでも金で解決してしまおうとする息子。丸々と太って、余命幾ばくも無い病人にはとても見えない好色オヤジ。そして彼に纏わる、その一風変わったインテリぶった取巻きたち。様々な人物たちが画面を賑わすが、しかし父親と息子との確執に象徴されるように、何かにつけ説明不足で、彼ら個々の関係が見えてこないという憾みが残る。このあたり、いかにもフランス映画的と言えばそうなのかもしれないが、特有のエスプリも不足気味で、やはり描くべき抑えどころはきちんと描くべきであろう。つまるところ、ひとつの物語に登場する人物たちに感情移入できないという事ほど不幸な事はなく、またコメディでもなければシリアスでもない作風も災いしたか、近年これほど曖昧で無味乾燥な印象をもった作品も珍しく、個人的にも期待していた作品であり、しかも数々の世界的な賞を授賞しているだけに、余計その罪は重い。いや、むしろ本作に1票を投じたそれぞれの選者たちにこそ、その責任の重大さを認識して欲しい。
3点(2004-05-05 11:57:25)(良:2票)
86.  殺人の追憶
ジャンルを問わず、描写の生々しさというのが韓国映画の最大の特徴とも言え、ひとつ間違うと悪趣味な印象を受けかねないものだが、本作にはその事がむしろ有機的な働きをしたように感じる。日常の何処にでもある田園風景から始まるこの作品は、実際に起こった未解決の猟奇的事件を基に、刑事たちの地道な捜査で容疑者を追い詰めていくという、サイコ・サスペンス的な要素を孕みながらも、純粋な刑事物語としての面白さを魅力たっぷりに描いた本年屈指の力作である。それはまるで初期の黒澤作品のような汗と脂でギラついた感触であり、ある種の懐かしささえ感じさせるほどの雰囲気を醸し出している。映画では、捜査方法や捜査の行き詰まりで感情が縺れ合う刑事たちの遣り場のない姿に焦点があてられているが、なんと言ってもソン・ガンホ演ずる、如何にもといった感じの泥臭い刑事ぶりは本作の白眉であり、捜査に対する苦悩や焦燥感を生身の人間として肌で感じさせる演技は見事と言う他はない。もがき苦しみながら、やっとの思いで追いつめた容疑者の逮捕を断念せざるを得ない彼らの虚無感・脱力感は、我々観客も味わう事となるが、見込み捜査のツケが廻ってきたことと、ハイテクの立ち遅れという当時の韓国の混沌とした社会情勢というものを痛切に感じさせるシチュエーションである。年月を経て、一筋の光明を見いだしたソン・ガンホの自信に溢れた顔は、まさに韓国の今を象徴しているかのようだ。
9点(2004-08-27 01:30:54)(良:2票)
87.  スケアクロウ
アメリカ特有のヒッチハイクという旅(=差迫った身の振り方、貧困、冒険などを連想させる)、それは何事にも拘束されない、そして同時に孤独な・・・。その二人が出逢ったのだという強烈な印象が、オープニングのシーンを秀逸なものにしている。人間というものは一人では生きていけない。誰かに少なからず影響を受けて生きていくものだし、時には人間的に成長をみるという事もあるだろう。その象徴がバーのシーンで、普段なら喧嘩するところを即興のストリップの真似事を演じる、マックスの変貌ぶりが明らかにライオンの感化であり、言わば“スケアクロウ”としての自分を自覚し始めたわけで、又、ラストのほうの病院でのシーンでは、錯乱したライオンに改めて強い絆で結び付けられている自分を発見するのである。結局本作は、現代社会の我々の無力さからみて、自嘲に陥らずに自分たちの営みを見つめる事は難しい。かといって人間は自分を否定することもできないから、川の流れのように落ち着くところへ落ち着くというのが妥当なのだろうと、語りかけているように思う。
9点(2000-11-26 17:07:33)(良:2票)
88.  バットマン ビギンズ
T・バートンにより創造された「バットマン」は、強烈な個性で鳴らす彼の世界観に見事なほどマッチしたものであり、ゴシック調のスタイリッシュなダークサイドを描いていながら、劇画的で遊び心が満載といったどこか安っぽいムードが、むしろ作品そのものの魅力だったと言える。しかし、本数を重ねるたびに劇画タッチが漫画チックに変貌していき、また飽きられてきたのもシリーズものの宿命である。行き詰まりを感じての軌道修正でもなかろうが、気分一新で臨んだのが今回の「新生バットマン」。それにしても、“誕生秘話”は今やハリウッドの流行りなのだろうか。同じ題材でありながら少しでも目先の変わったものを供給するという事に腐心しているように思えてならない。映画産業も安閑とはしていられないのだろう。しかし本作は、ストーリー、アクション、豪華なキャスティング等々、どれをとっても気合は十分感じとれる作品となっている。人間ドラマにかなりの比重を置かれて描かれているのが特徴であり、苦悩するヒーローといった構図などは、かなり「スパイダーマン」を意識しているように思う。しかし娯楽作品としては、やけに重々しくて理屈っぽくなり過ぎたきらいがあるのは否めず、また手強いはずの悪役そのものにさほど魅力がないのも残念だとしか言いようがない。余裕綽々の演技で脇を固めるベテランたちに混じって、C・ベールの演技はやはりどこか硬い印象を受けるのも宜なる哉。しかしながら、キレのあるアクションやスピード感はやはり本格派と言えるものであり、オリジナルとはまた違った趣向で魅力たっぷりに描かれている事や、リアリティ溢れるメカやセット・デザインなどから感じさせる本作に対する製作側の真摯な姿勢と意気込みは大いに買いたい。
[映画館(字幕)] 8点(2005-08-03 18:34:50)(良:1票)
89.  花様年華
キワドいセリフもなければ、濃厚なベッドシーンもない。「不倫」という言葉すら一般的には浸透していなかった時代の、これはオトナの男と女の恋愛模様を、ウォン・カーウァイ監督の独特の映像センスで描ききった秀作。二人がいつから恋愛感情を持ち、どの程度の関係を結び、どうして別れたのか・・といった細やかな説明を省略している点で、ストーリーなどまったく重視されていないことは明白だ。あるのはマギー・チャンのチャイナ・ドレスの着こなし(とりわけ真赤なドレスで階段を駆ける姿を捉えたショットが素晴らしい!)と、彼女の匂い立つような成熟した大人の女の色香を見事に映像化した点だろう。
8点(2001-05-13 16:51:28)(良:1票)
90.  ハリー・ポッターと秘密の部屋
第一作目よりも評価が上とされている本作だが、暗く閉ざされた魔法学校の中で繰り広げられる物語という点で、いったい何処がどう違うと言うのか。所詮なんでもアリの魔法の世界のお伽噺。その実にとり留めの無い物語は前作と何ら変わることなく展開し、しかもダラダラ長い。魔法を前面に出している割に、ファンタジーのかけらも感じられないのは何故か。世界的超人気の原作にのめり込んでいる人たちは大喜びに違いないが、関心の無い者にとって、これは苦痛以外の何者でもない。
5点(2003-02-01 00:29:02)(良:1票)
91.  ドッペルゲンガー
剥き出しの欲望とその大胆な行動力。曖昧さというものが無い分身たち。社会の様々なしがらみの中でもがき苦しみひたすら正常さを保とうとする我々だが、果たして自分らしさとは、そして自分らしく生きる事が出来たなら・・といった事は万人の久しき願望である。人間の二面性というものを、ドッペルゲンガーという具象化された分身を登場させる事によって、作品は寓意に満ちたものとなっている。何かと深読みしたくなるようなテーマ性を感じるが、黒沢清流ナンセンス・コメディといった趣の作品だ。しかし見所はたっぷりで、何と言ってもまったく違う性格を匠に演じ分ける役所広司の上手さ。この人が演じる狂気には他の誰とも違う凄味があり、迫力をも感じさせるのはさすがだ。同一画面に登場させる特殊技術のみ頼ることなく、分割画面を多用するなどのアイデアで、単調になりがちな画面にひとつのリズムを生み出している。その撮影技術の見事さ。そして薄暗がりの部屋の片隅にぼんやりと立っているだけで、得体の知れない恐怖感を味あわせてくれる、お馴染みの黒沢流ホラー演出は今回も健在で、まさに恐怖の極致といえる。永作博美や柄本明といった登場人物たちの前半部分と後半とでは、性格やその行動力が微妙に違うと感じたのは私だけだろうか。“彼らもひょっとしてドッペルゲンガーか?”“だとしたら本人たちは・・・?”“本音剥き出しの分身たちばかりの世界になったら。”・・・などと考えたら際限がないが、しかしそんな事は所詮どうでもいい事であって、要は確りとしたアイデンティティーを維持していく事の大切さと難しさを、試作ロボットが叫んでいるようだ。
8点(2003-11-13 18:17:39)(良:1票)
92.  メメント 《ネタバレ》 
几帳面な人ほど痴呆症になり易いという説を聞いた事があるが、人間本来の喋る事や食べる事、或いは車を運転するといった生活習慣は忘れないそうだ。そう言えばこの映画の主人公は10分前の記憶が途切れるという事は忘れないようで、その為のメモを採ることもしっかりと覚えていようとする、実に神経の細やかな男のようだ。(しかし体中にメモを刺青にするという行為は、いくらなんでも悠長な話ではないか?)もうひとつ、主人公が車を乗り降りするたびに何度も繰り返し使用するドアリモコン(キーレスエントリー)。本来他人の車であるのにもかかわらず、決してその行為を忘れることがないという事を、ことさら強調するかの如く執拗に描写することで、主人公の性格を炙り出してゆく過程が何とも面白い。冒頭での、記憶が薄れていく暗喩としてのポラロイドが上手く生かされていると思うし、またどこかで記憶が廻り廻って、その度に主人公が混乱している様子も巧く表現されている。
[映画館(字幕)] 9点(2002-04-05 23:33:23)(良:1票)
93.  こころの湯
親子愛、兄弟愛、そして夫婦愛。失われていく思い出へのレクイエム。下町の銭湯での人情溢れる人々たちとの交流を通して、老人や障害者といった様々な問題を孕みながらも、しかし決して深刻にはならず、むしろさり気なくユーモラスに描いてみせる。風呂場では周囲の迷惑も気にせず大声で“♪オー・ソレ・ミオ”を熱唱する青年も、のど自慢のステージでは何故かさっぱり歌えない。が、あるきっかけ(習慣)で堂々と歌えるようになるというエピソードは、本来爆笑ものなのだが、何故か涙が止まらなかった。本年屈指の秀作だと思う。
9点(2001-11-18 00:04:24)(良:1票)
94.  ザ・ディープ(1977)
「ジョーズ」と同じP・ベンチリーの原作の海洋冒険モノの映画化。確かに水中撮影による海底の美しさなどに見所はあるものの、ストーリーにインパクトがなく、P・イェーツ監督にしては演出が凡庸で、とても「ジョーズ」のような面白さを引き出せていない。テーマが基本的に彼の資質に合わなかったからかも知れないが、ユニークなテーマ曲しか鮮明に印象に残っていない。
6点(2001-03-15 15:38:14)(良:1票)
95.  トゥームレイダー2
P・ブロスナン=ボンドの「007」シリーズにしても本作にしても、最近のアクション映画の大半がアクロバッティックで見かけだけは派手だが、胸のすくような活躍というよりも、まるでサーカスまがいの曲芸でも観ているかのようだ。要はアクションに移る時の“タメ”がなく、全てが“段取りアクション”になっていて、ただ映像が流れているだけだから、そこに興奮もなければカタルシスも生まれない。つまり“見せ場”が“見所”になっていないので、ほとんど印象には残らないということ。そして世界中を舞台にしているシリーズの割には、作品的な大きさや広がりといったスケール感がまったく感じられないし、A・ジョリーに至っては女サイボーグじゃないかと思われるぐらい表情の変化に乏しく、とりたてて魅力は感じない。(パート1で父親に相対したときの人間味のある表情は印象的だったが・・・。)
6点(2003-10-30 23:36:16)(良:1票)
96.  チーム★アメリカ ワールドポリス
“面白ければ何でもやってしまえ”精神で満ち溢れた、久々のゲテモノ映画の登場である。全編ブラック・ジョークのオンパレードとは言え、冗談では済まされないほどの悪臭を放ち、まさにヤリたい放題・言いたい放題の内容。観客のウケもすこぶる良く、ストレス発散には持って来いの作品だ。しかし、評価が難しいのも事実で、0点か10点かのどちらかに偏ってしまいそうなタイプの作品である。それほど人を選ぶ映画であり、好き嫌いがはっきりするというのも大きな特徴ではないだろうか。日本ではかなり待たされた事もあって、その過激さ故に公開が危ぶまれていたが、いざ蓋を開けたら、然も有りなん。内容は「サンダー・バード」をパロディにしたマペット・ムービーだが、タイトルで象徴的に示されているように、世界の警察たるアメリカの剥き出しの本性がまんま映像化され、それをギャグとして徹底的に茶化したものである。スタッフたちは、少々ぎこちない人形の動きにはあまり関心はなく、むしろ破壊スペクタクルの緻密さ精巧さに心血を注いでいるように感じる。有名な歴史建造物を流れ弾(?)によって破壊の限りを尽くす、その徹底ぶりが大いに笑いを誘うものの、一方では世界転覆を狙う金正日に加担する者として、ハリウッドの主役級スターたちを実名で登場させるなど、人形劇とは言え、その描写は実に生々しい。人形にしか出来ない、いや人形だからこそ出来るエロ・グロも満載で、人形を隠れ蓑にしたゲリラ作戦が功を奏したと言える。中でも、金正日がひとりで歌う姿は、「チャップリンの独裁者」での風船の地球儀と戯れるシーンを彷彿させ、独裁者の寂しさや孤独を笑い飛ばした秀逸な場面となっている。いかにも好戦的な破壊ショー映画「パール・ハーバー」を徹底的にコケにしているのは、手作り映像に拘る製作者側のCG万能映画への対抗意識の表れとも取れるが、所詮目糞鼻糞である。むしろ自虐的な意味が込められているようであり、また社会を風刺するほどの反骨精神を有しているとも思えない。そう言った実に掴み所のない点が本作の魅力であり、世の中の善悪の価値観が揺らいでいる今こそ、全てをぶっ壊すことから始めようという、まさしく清濁併せ呑んだような印象を受ける作品だ。10点満点とも考えたが、我が“ジェイソン・ボーン”をからかった罪は重く、減点3とする。
[映画館(字幕)] 7点(2005-08-23 18:48:47)(笑:1票)
97.  スパイダー パニック!
鉱山のある小さな田舎町が巨大化した蜘蛛の集団に襲われるというもので、ストーリーは至って単純明快そのもの。その定石通りの展開とエンディングは“生物パニックもの”のお手本のようでもある。出演者の顔ぶれからして、作りはいかにもB級然とした作品だが、製作者がR・エメリッヒ&D・デブリンだと知り大いに納得。CGの利点を巧みに取り入れたそのVFXの完成度の高さは、ひたすら映像技術というものに拘りつづける彼らの期待を、今回も裏切る事はなかったようだ。様々な種類の蜘蛛たちが何故人間を襲うのか・・・と聞くのも野暮だが、それはもともと我々人間の蜘蛛に対する一種の先入観があるからかも知れない。それにしても“彼ら”の動きの見事さ、特にショッピング・モールの天井をゾロゾロ這いまわるシーンや、ジャンピング・スパイダーたちとの砂漠でのバイク・チェイス・シーンは一見の価値あり。正月映画としては、やたらダラダラ長いばっかりで、結局どこが面白かったのかさっぱり印象に残らない、世界的超ベストセラーの某ファンタジー映画より、よっぽど面白くできている痛快作だ。
8点(2002-12-24 18:15:01)(良:1票)
98.  ファミリービジネス
親子3代が泥棒稼業というお話。ここで言う“Family”とは“家族”と言うよりも、むしろ“一族”もしくは“民族”と解釈したほうが良さそうだ。映画の中の彼らが揃って風貌も考え方もまったく似ていない(いや、敢えて似させていない)のも、明らかにアメリカへ渡ってきた移民の末裔であることを強調したかったからに他ならない。これは多民族国家アメリカの大いなる特徴であり、舞台がニューヨークであるならば、尚更似ていなくとも何ら不思議ではない。大柄でダンディな女好きの祖父ジェシー(=コネリー)に何かと憧れを抱いている典型的なお爺ちゃん子で、泥棒というにはまだヒヨッコの孫アダム(=ブロデリック)。そんな彼らの間に立つヴィトー(=ホフマン)は息子アダムの将来を案じ、何かと反目し合う父ジェシーを警察に売ったりする小男・・・といったアンサンブルが面白く、彼ら名優たちの演技合戦もまた楽しい。泥棒映画としてのサスペンスフルなストーリー性よりも、親子の反撥と和解といったテーマをベースに、民族を大切にしニューヨーカーとして生きてきた彼らの人間ドラマにより重点が置かれた作品だと言える。サイ・コールマンの都会的なスコアが心地よく、劇中で歌われる“♪ダニー・ボーイ”が胸に染みる。
7点(2003-09-28 16:12:14)(良:1票)
99.  少女 an adolescent
初監督作品とは思えないほど監督としての奥田瑛二は、老練な職人の如くその手腕を遺憾なく発揮している。それ程、この作品を映画化するには深い思い入れと執念があったと言うことだろう。ただ多くの入浴シーンや衣服ごと水に濡れたり、あるいは汗まみれの素肌といった、本来官能的なシーンが何か爽やかさの印象が強いのも、彼の生真面目さによるものだろうか。共演者では、これが映画初出演とはとても思えない少女・陽子役の小沢まゆと、その兄・助政役の小路晃が強烈な存在感をみせている。そしてその母親役の夏木マリがさらにいかにもベテランらしい凄みのある演技で画面を引き締めている。
8点(2001-10-06 17:21:53)(良:1票)
100.  オーシャンズ11
悪役が魅力的で強大であればあるほど面白いとよく言われるが、そういう意味からすれば、この作品のA・ガルシアの悪役としてのインパクトのなさは致命的だと言わざるを得ない。しかも、何故このカジノ王をおとしめようとするのかという動機がなんとも底が浅く説得力を欠く為、話が薄っぺらで、これでは面白くなりようがない。肝心のJ・クルーニーとJ・ロバーツとのヨリを戻す話なども添え物といった印象しかなく、さらに全編、意外性やハラハラ・ドキドキ感というものが期待した程もない。ラストの方での噴水をバックに目的をやり遂げた男たちの満足げな表情も空々しいばかりだ。まさしく顔見世興行に終わったような作品だ。
6点(2002-03-10 16:46:28)(良:1票)

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