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目隠シストさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2253
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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101.  スイス・アーミー・マン 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意ください。)十徳ナイフ並みの 、いやそれを遥かに上回る“万能死体“を使っての無人島からの脱出劇。ノッケからオナラ風腐敗ガスエンジンのボートに変化という飛ばしっぷり(苦笑)。斬新な着想はキャッチーなれど、出オチの危険性大かと危惧しておりましたが、いやいやどうして、見応え十分でした。しっかりコメディとして成立していたと思います。ただし中盤、観念的なアプローチが過ぎたというか、ハイセンスな部分を見せようと意気込み過ぎたというか、やや中弛みした感は否めません(手作りバスあたりの件ですね)。とはいえ、見終えてみれば主題は明快で、こんなキワモノ設定の中ブレることなく結末までたどり着いた点には拍手を送りたいと思います。いや、やっぱりたどり着いてないかな。スミマセンそこは要審議で(苦笑)。というように、反芻しても“苦笑い”がやたら多いのですが、決して駄目じゃなかったと思うのです。好意的な苦笑い。その最大要因は、ダニエル・ラドクリフくんにあります。もう手放しでホメたいチャーミングな死体ぶりでした。それに天下のハリー・ポッターがよくぞこんなヨゴレ役を引き受けたものだなと感心します。彼の熱演(死体だから冷演かな)無くしては、本作の成功はありませんでした。本年度のアカデミー最優秀死体賞は彼で決定ですな。さて、色んな見方・捉え方が可能なストーリー(真っ当な解釈は妄想・精神疾患系あるいは心理状態の比喩表現。そもそも漂流などしていない)ですが、私的には愚直に“メニーくん=宇宙人説”を推したいと思います(タイガー星雲か、ZOJIRUSHI系からやってきたと睨んでおります)。全部“ほんとう”と信じるなら、これしかラストの状況に対する説明はつかない気がいたします。まあ正直いいますと、“整合性なんてハナから気にしちゃいない“が真相だと思われますが。観客で勝手に判断してくれのスタイル。無責任かもしれませんが、個人的にはこんなのもアリだと思います。映画は究極の自由空間ですし。the endの神タイミングに対し+1点査定で。
[映画館(字幕)] 9点(2017-09-25 08:51:46)(良:3票)
102.  残酷で異常 《ネタバレ》 
ありそうで無かった気がする××の描き方。『後悔先に立たず』されど『反省はできる』がテーマかと思いきや、『どんな完璧なシステムにもエラーは付きもの』という意外な着地点でした。キアヌ・リーブス主演の某オカルト映画のルールに従うなら、主人公は××から〇〇行きへ変更になっても良さそうな気がしますが、婆ちゃんの面目を潰したからダメなんですかね。もっとも彼は覚悟の上ですから、何度同じ体験を強いたところで、満足こそすれ反省などしないでしょう。表情をみれば一目瞭然。こういう人には、諦めて〇〇に行ってもらうか、もう一度『苦行』を課した方がいいと思いますが如何ですか、お婆ちゃん。集会で美魔女が椅子を2つ占拠していたり(一つは踏み台)、急に老化したように感じたり(時間軸が異なる)、芸が細かくて感心します。婆ちゃんやピッカリ君をブラウン管に閉じ込めたセンスもなかなか。唯一邦題だけは頂けないなあと思ったら、原題直訳ですか。なら仕方ないです。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-11-15 01:56:49)(笑:1票) (良:2票)
103.  es[エス](2001) 《ネタバレ》 
私たちは社会生活を営んで生きています。それは少なからず何かを演じて生きているということ。ある人はサラリーマンを。ある人は学生を。意識しようとしまいと、“こうあるべき”という役割を演じて生きているのが、社会的動物たる人間です。本作では、心理学の実験として「看守」と「囚人」の役割が被験者に与えられます。当然、被験者は初め役割を演じます。報酬を得られる単なる実験として。しかし教授という神のもと、与えられた役割という大義名分のもと、次第に自己より役の占める割合が増していきます。物事を決めるのは自己ではなく役割。それはとても心地よい状況のはずです。なぜならそこには自己責任が存在しないから。でも、自分に都合の悪い決定だと逆に息苦しく感じることもある。勝手なものです。でもそれは日常生活でもごく普通に行われている心の動き。心の安定に必要な行為です。だからこそ、本作で起こった事象にはリアリティがあります。社会と隔離された密閉された空間。そこでひとつの社会を形成してしまっている状況。思考を停止させるのになんと好条件なことか。役割が自己を食い尽くしていく恐怖があります。普通の人間に潜む狂気が一番恐ろしい。
[DVD(字幕)] 8点(2006-08-07 17:58:22)(良:3票)
104.  カイジ 人生逆転ゲーム 《ネタバレ》 
ご指摘の方も多々おられるように、最初のゲーム『限定じゃんけん』だけで映画が1本楽々作れます。本作はいわば長編映画3本分の素材を無理やり2時間に収めたようなもの。各ゲームの設定を簡略化し、ドラマをシンプルに作り直す。この方法しかなかったのは理解できますが、結果として原作の長所が失われてしまったのでは価値がありません。ホント、爪の垢ほども残っていなかった。ゲームからは戦略性が削ぎ落とされ、ドラマからは泥臭さと執念が消えた。出がらし。旨味無し。これで『カイジ』という看板を掲げるのは詐欺だと思う。特に腹が立ったのは、石田のおっさんの扱いです。嘘、裏切り、騙まし討ちが当たり前の戦場において、カイジが良心を持ち続けられたのは、おっさんがいたからに他ならない。おっさんは弱者です。搾取される側。でも他人を思い遣る心を失わなかった。その優しさにカイジの心は救われました。おっさんの最期には、この後のカイジの戦い方に影響を与える意味がありました。持たざる者、負け行く者が見せた精一杯の矜持。その感動を観客に十分に伝えるためには、エスポワールでの2人の関係をきちんと描かなくてはいけなかった。この省略は致命的です。本作は『カイジ』ではなかった。きっと『カイヅ』か何かの間違いでしょう。そう思うことにします。麻雀といえば透明牌、漢字1字で「みなごろし」が書ける、人間学園出身でアジフライには目がない原作ファンの愚痴でした。失礼しました。原作未読の皆様へ。もし原作漫画に少しでも興味を持たれたなら、原作本1巻~5巻(希望の船編)だけで構わないので読んでみてください。運否天賦にみえる『限定じゃんけん』のルールの裏に隠された驚愕の必勝法に触れてください。原作は映画の2,000倍は面白いです。(200倍じゃないです。二千倍です。)最後に、貶してばかりではアレなので、良かったところも指摘しておきます。金貸しの遠藤を演じた天海祐希。原作の遠藤は男性なのですが、天海が一番福本伸行キャラを再現していたのは意外。福本が描く女性って確かにあんな感じです。色気無いし、アゴ尖ってるし。
[地上波(邦画)] 3点(2010-10-19 19:59:13)(良:3票)
105.  下妻物語 《ネタバレ》 
本作をとても心地よく、そして清々しく感じるのは、主人公に思い入れが出来たからだと思います。自分も2人と同じ。もちろん、かつて美少女だったわけでも、ヤンキーやゴスロリファッション愛好者だったわけでもありません。同じなのは孤独だということ。人は誰かと共にいることを願う生き物。飾りなく言うなら「社会生活を営む動物の性」。その願いの形が「友人」です。強制的に所属する「家族」や、生殖活動を伴う「恋人」とは少し違います。しかしこの願いは、なかなか叶いません。望む友には簡単に出会えません。でも一人ではいられません。ですからとりあえず数多くの友を得ようとします。質より量で勝負。でも本作の主人公2人はそれをしません。そういう生き方をしてこなかったのです。不器用なのでしょう。桃子はファッションに、イチゴは単車と族に傾倒することで、心のバランスを保っていました。でもそれは代替手段でしかありません。イチゴのいた族も彼女の心を満たすものではなくなりました。やはり心の隙を埋められるのは友達。それも本当に信じられる友なのだと思います。親友、いや真友とめぐり合えた2人。清々しくも羨ましいお話でした。独創的な青春コメディを見事に体現した主役2人。土屋アンナは確かに良かったですが、個人的には深田恭子の方が印象に残りました。まだ役を選びますが、はまった時の爆発力が深田にはあります。今後の日本映画界に必要不可欠な女優になってくれることでしょう。笑って感動でき、何度も観たいと思う作品にはなかなか出会えないもの。オッサンが年端の行かない小娘に共感してしまう。それだけで結構凄いことだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-04-16 19:30:23)(良:3票)
106.  アフロ田中 《ネタバレ》 
社長「これはこれは、無断欠勤中の田中くん。今日はどうしたんですか」田中「はい。私、今日はずっとダラダラとしておりました。あ違います。正確にはヘラブナ釣りを少々」社長「で、わざわざ私を探しに来たということは、私に何か言う事があるんだろ」田中「いえ、私の方からは何も言える事はありません。あるのはただ、無断欠勤をしたという事実だけです」社長「だからこそね、何か言う事があるんじゃないのかってこと」田中「いえ、私からは何も。あるのはただ、無断欠勤をしたという事実だけです」社長「そこを押すよな、さっきからな。ま、でも一応反省はしているんだよな」田中「それはもちろんです。社長」社長「ん、それならまあ今後マズい事やんないようにな」田中「ありがとうございます。失礼します」社長「もやもやするなあ」以上完全再現させていただきました。この件に大爆笑。腹を抱えました。完全無欠の謝罪技術、社会人なら是非身に付けたいものです。さて、本作の長所はキャラクター造形の素晴らしさに尽きると感じます。超絶美人だけれど、今まで魅力的とは一度も思った事がない佐々木希を、これだけ愛おしく撮れるのは凄いと思いますし(『ハメ●り?!』なんて台詞を吐かせたのは金メダル級の大仕事)、悪友たちもみな、肩の力が抜けていてイイ感じ。そして主演の松田翔太。菩薩もびっくりアルカイクスマイルから、悩み慄く眉間の皺まで、表情豊かで観ていて楽しかったです。童貞倫理審議会が認定する優良童貞ボーイでありました。そんな田中にシンパシーを感じてしまう自分が情けないやら愛おしいやら。披露宴会場ロビーにて、肩を寄せ合いタバコをふかす野郎どもが美しく見えました。失恋上等。情けなくてバンザイ。死ぬ間際、きっとあいつら5人は思いだし笑いで死ねる。そんな人生の一コマを集めるために、人は生きていくのだと思います。
[DVD(邦画)] 9点(2013-01-01 00:00:00)(良:3票)
107.  のんちゃんのり弁 《ネタバレ》 
弁当屋開業初日、支度中の主人公は何故泣き出したのでしょう。夢を叶えた達成感?納得の弁当を作れた充実感?それとも周りへの感謝の気持ち?どれも違うと思う。彼女が泣いたのは自分の責任を自覚したからだと感じました。小料理屋の主人いわく彼女の手は“子供の手”。それはすなわち“大人の手”ではないということ。無論“親の手”でもない。「そういうの何か嫌なんで」そんな理由で彼女は慰謝料も養育費も求めなかった。ただ働きも喜んでした。心意気は悪くない。でも彼女は自分が置かれた状況を判っていない。おそらくは“家を出た”“行き場所が見つかった”という状況の変化に酔っていたのだと思います。夢を追うのに必要なのは情熱のみ。それが許されるのは子供だけです。大人は違う。ましてや人の親ならば。まず考えるべきは生活の糧を得ること。子供を育てること。夢を追うのは次の話です。真っ当な大人は、間違っても恩人の店で暴れたりしない。子供の権利を放棄したりしない。日が昇る前から調理をはじめ、出来た弁当は20個ほどか。確かに美味しそう。でも採算は取れるのでしょうか。趣味の疲労は苦労にあらず。小遣い稼ぎも似たようなもの。でも家計を担う労働は身にこたえます。責任は重圧に変わり疲労を倍化させる。彼女は身をもって働くことの意味を知ったのだと思います。だから泣けた。価値のある涙でした。親子2人が暮らせる利益が出る弁当を作れて、初めて彼女は弁当屋になるのです。その道は易しくない。でも彼女は母親です。涙の向こうには子供の笑顔がある。頑張れるはずです。一日も早く大人の手を、いや親の手を、手に入れて欲しいと願います。身の程知らず、世間知らず、でも一生懸命だから応援したい。そんな微妙なスタンスのヒロインを小西真奈美は好演しました。演技は上手い。表情のみで魅せられる女優さんだと思います。岸辺も貫禄の存在感でした。小料理屋の主人のような大人になりたいものです。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-17 18:28:41)(良:3票)
108.  予言 《ネタバレ》 
三上博史の過剰な演技、血管の浮き出た顔はホラー向きだと思いました。酒井法子もこういう作品がすっかり板に付いたような。堀北も本来は影のある役でこそ本領を発揮するタイプ。小野真弓の地味目の顔立ちにも不幸が似合う。概ねキャスティングは良好だと思います。物語は、往年の名作オカルト漫画『恐怖新聞』からアイデアを頂戴しているとのこと。本作で示される恐怖新聞の法則は、“新聞に書かれている事実を変えてはいけない”。変えた場合は、災いがその身に降り掛かる。しかも単純に死ぬのではなく、時限の隙間(あの世とこの世のハザマ)をさまよう罰が与えられるようです。それはある種の地獄。見たくない悲劇を永遠に繰り返す。山本圭がそのことを証言しています。ですからラストに救いはありません。おそらく三上は、我が身を犠牲にして永遠に家族を救い続けるのでしょう。切なく、やるせない。本来であれば、感動系にシフトしてもおかしくないお話です。三上は命を賭して元妻を救っています。でも“あえて”その部分を、物語の焦点にしていません。もっと大切なことがある。最後に突きつけるのは、過去はどんなにあがいても変えられないという厳しい現実。“後悔先に立たず”です。ただし、逆説的なメッセージが隠されていることも見逃せません。悲劇が起こるまでの僅かな時間、三上は幸せを味わうことが出来る。彼はようやく家族の幸せに気付きました。恐怖新聞のせいで事故が起きたのではありません。誰だっていつ死ぬのか分からない。だから今を大切に生きる必要がある。本作はホラー。救いはありません。でも少しだけ優しい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-16 17:59:15)(良:3票)
109.  夜のピクニック 《ネタバレ》 
主人公の願い事。それは、ある同級生と話をすること。本当は何時話しかけたって構わないのだと思う。でも彼女はそれを先延ばしにした。一度先延ばしにしてしまうと、もうダメです。今日と同じ明日が来るなら、また先延ばしにしない理由はない。明日から始めるダイエットは成功しないのと同じ。彼女は何かキッカケが欲しかった。それが年に一度のピクニック。3年生最後の鍛練歩行祭でした。彼女の心境はよく分かる。そういうことってよくあると思う。小さな勇気をケチったばかりに、大きな勇気が必要になってしまう。願いを叶えることなく歩行祭を終える可能性は、実は高かったと思います。彼女はそこまで追い込まれていない。そういう意味で、ローサのおまじないは(ちょっとムカつくけど)有り難い。友達は大切です。それは主人公の母が遠回しにかけた、おまじないでもあったと思います。彼女は心の蟠りを解きました。心が軽くなれば高く跳べる。彼女と彼は、今日とは違う明日を迎えることが出来るでしょう。それは人生をより豊かにすることだと思います。いいお話でした。キャストも嫌味が無い。清々しい青春ムービーだったと思います。ただ惜しい箇所がちらほら。筋立てはシンプルなので、退屈しないように小ネタを仕込みたいのは分かります。でもそれは物語の雑味になる。必要ないと思いました。このテーマを扱うならば、勇気をもってシンプルな味付けで勝負して欲しい。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-22 17:56:08)(良:3票)
110.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
ゾンビ映画は数々あれど、本作ほど“ゾンビとは何?”という問いに明確に答えている映画は無いと思う。いや、おバカ映画ですよ。くだらないです。それは胸を張って言える。でも一周すると、いろんなものが見えてくる。それが何とも楽しい。例によって原因不明のまま、いつの間にかゾンビで溢れる世界。圧倒的に人間の能力のほうが上なのに、多数に圧倒されて食われてしまう。これって実生活でも経験している気がする。多数決で負けたり、世論に流されたり。理不尽なことも多い。人間は群れると、集団という別の生き物に変わります。大いなる意思に従い、盲目的に動かされる。まさにゾンビだと思う。それが、人間という生き物の本質だと言われているよう。結末も皮肉が効いています。でも本作では終始一貫、人間とゾンビを並列に扱っています。ゾンビも人間も否定していない。愛すべき存在として受け入れています。エドなんか、生前の生活とちっとも変わっていません。人に対する優しさがある。だから嫌味がない。屈託なく笑えるのだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 19:52:32)(良:3票)
111.  コン・エアー 《ネタバレ》 
低予算・低クオリティのB級C級映画は星の数ほど存在しますが、本作のように大金をつぎ込んだA級バカ映画には、年に何本もお目にかかれない。バカを大スケールで、しかもコンスタントに届けてくれるハリウッドには、心から感謝申し上げたい。まるで豪勢な『お笑いウルトラクイズ』を観ているようでした(失礼)。もっとも、本作を観始めた頃は、真っ当なクライムアクションだと思っていました。深刻なトラブルに巻き込まれた主人公を本気で心配した。ところが様子がおかしい。主人公が友達思いなのは分かります。正義漢だということも。だだ、それにしても楽観的過ぎやしないか。ポーにとっては、妻子に会う事が最優先事項じゃないのか?そんな疑問は、爆発炎上を背にダイブする主人公を見て吹き飛びました。ああアレか。“主人公だから死にません”っていう、アレか。娯楽作品のお約束。そういう映画だと分かればシメたもの。こちらも、そのつもりで観させてもらう。そんな観客のスタンスを見透かしたかのように、バカは加速して行きます。空飛ぶスポーツカー。ラスベガス市街地に突っ込む飛行機。大惨事?いえいえ、死者数はゼロに決まってます。777でコインが飛び出す能天気なカットがその事を裏付けている。本作は素敵なバカ映画でした。あんまり素敵なので、クソバカ映画と呼ばせてもらいます。もちろんマジで褒めてます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-24 18:55:23)(笑:1票) (良:2票)
112.  ラストナイト・イン・ソーホー 《ネタバレ》 
伏線の張り方、ミスリードの仕込み方、意外な真相、どれをとっても脚本は一流です。凝った演出技法や、キャスティングセンスの良さも流石エドガー・ライトという感じ。出来の良い映画なのは間違いありません。ただし今回は手放しで称賛という訳にはいきません。エロイーズの悪夢を延々とみせられ閉口しました。前述したとおり見せ方は凝っていますが同じシチュエーションが反復されるのでどうしても単調になりがち。さらに妄想ともオカルト案件とも判別が着かない状況下、打開策や回避方法が示されぬ為ただ苦痛な時間を過ごす羽目になります。エロイーズもキツイでしょうが観客もしんどい。これがまさしく「無間地獄」かもしれませんが、苦行を課されて喜ぶ観客はいません。サスペンスやホラーで興奮や高揚感を覚えるのは、恐怖の先に希望をみているから。エロイーズの悪夢には絶望しかなかったので、言い方は変ですが「退屈」したのだと思います。 繰り返しますが映画の出来は悪くありません。良い映画です。しかし良い映画である前に、まず面白い映画であることが大事では。エドガー・ライト監督はそういう映画を撮る監督だと思っていたのですが、今回は違ったようです。是非また『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ』みたいに、愛おしくなるような娯楽作品を撮ってください。
[インターネット(吹替)] 6点(2022-09-02 01:54:18)(良:3票)
113.  インサイド・マン 《ネタバレ》 
逃亡プランは最初からネタバレしていますし、獲物の持ち出し方も、冒頭で示唆されています。ですから事件の外観はよく分かる。でも真相は不明な部分が多い。そこで自分なりの想像を含めて、事件の全貌を整理してみます。犯人の狙いは現金ではなく、会長のお宝でした。貸金庫に眠る大量のダイヤモンド。ナチスの資料は、立て籠もりとダイヤ窃盗を刑事事件にさせないための保険。弱みを握られている会長は、秘密保持のために事件にさせないはず。ただし人質が死んだら話は別。そのためのモデルガン。倉庫に隠れる発想は面白いですが、行員に気付かれる可能性は高い。にもかかわらず実行に移せたのは勝算があったから。トイレをつくる余裕まである。その自信の源こそが「インサイドマン」。貸金庫の存在と中身を知る人物で、計画の立案者。古参の会長側近で要職にある人物と推測します。彼の力があれば、倉庫は安全なスペースに変わります。ちなみに実行犯は4人。お宝を持ち帰った車の中は5人。多い1人が“彼”。会長のもう一つのアキレス腱は指輪です。「指輪を追え」は、会長の過去を追えということ。このメッセージを警察に送った理由。そこには“復讐”“制裁”の意味が垣間見えます。証拠を手にした犯人と、秘密を探る警察からの挟み撃ち。会長の精神的苦痛は甚大です。犯人の安全を確保するだけなら、ここまでする必要はありません。もっとも会長は、こんな日が来るのを待っていたのではないかと。書類や指輪を捨てられない。つまり自分の行為を割り切れていない証拠。そこに会長の良心が見える。なお、犯人が指輪の秘密を託す相手は“知りえた事実をマスコミに売ったりしない”真面目な警官でなくてはなりません。秘密が公になったら切り札の価値が無くなってしまう。そのお眼鏡に適ったのがデンゼル。結果彼は、スキャンダル回避と昇進と一粒のダイヤを手に入れます。彼が直接要求した見返りではないと思います。でも予想していなかった訳でもない。会長もジョディも、人の弱みに付け込んでのし上がった人間。残念ながら正直者はバカを見るのが現実です。デンゼルが受け取った報酬は正当とは思えません。でも彼ら“成功者”よりは随分マシ。インサイドマンの顔が明らかにされないのは、物語の欠点だと思います。でもその分解釈に幅はある。例えば“神”や“良心”と呼ばれる心の内にあるもの。それもまた、インサイドマンと言えないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2007-10-11 18:52:23)(良:3票)
114.  トランス・ワールド 《ネタバレ》 
(ネタバレ厳禁映画です。鑑賞前の閲覧はご注意ください。) 予算規模、脚本・演出・演技のクオリティ、どれをとってもお馴染みフジ系TVドラマ『世にも奇妙な物語』のそれと寸分違いません。これで本作がどんな映画か、伝わる人には伝わると思いますが、言及したいポイントが1か所あります。それはトム(クリント・イーストウッドの息子)の扱い。過去を変えることで、女性2人の運命が好転するのは明白でした。彼女たちが父親(祖父)を助けたいと考えるのは当然です。ただしトムだけは違いました。母親の人生が変われば、彼は存在しなくなります。これもほぼ確定事項。そのことに気づきながら、トムは曾祖父の命を救おうとしました。これって凄い献身です。ほんと感動ポイントなんです。彼の決断と勇気にきちんとフォーカスした演出があれば、もうワンランク作品の完成度が上がったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2014-10-09 20:57:34)(良:3票)
115.  PERFECT BLUE 《ネタバレ》 
サイコサスペンスとして上質です。主人公の夢、ドラマの役柄、現実が目まぐるしく入れ替わります。非常にテクニカルで、存分に惑わされます。やや卑怯な作りだと思わなくもないですが、アニメならではの利点を活かしていることを支持したいです。ただ、ラストの台詞はどうでしょう。観客を惑わしたことに対するお詫びなのか、随分とあっさりとした(ベタな)印象でした。後味はいいのですが、少々余韻に欠けました。ところでタイトル『パーフェクトブルー』について。“憂鬱”だけでなく、ほかの意味もありそうです。ブルースカイ=空想。ブルーフィルム=猥褻映画。ブルーセックス=同性愛。ブルーボーイ=男性から女性に性転換した者。あと主人公のニックネーム「ミマリン」のマリンにもかかってたりして。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-11-21 18:08:39)(良:3票)
116.  セルラー
この作品、とても時間にこだわっています。短い上映時間はもちろんですが、次から次へと襲い来る難題は、すべてタイムリミット付です。さらに終盤には、ご丁寧にもセリフとして「あと20分で終わる」と観客に説明しています。とにかく展開が速く、テンポ良く、ストレスを感じず観ることが出来ます。ストーリー自体には結構無理があるものの、細かいことは気にせず楽しみましょう。警官役のウイリアム・H・メイシー、カッコイイです。ホームランではありませんが、2ベースヒットくらいの良作です。
[DVD(字幕)] 7点(2006-05-05 01:02:45)(良:3票)
117.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 
野生の世界に「暴力」という言葉は存在しません。動物たちの“暴力的”アクションは、全て自然界のルールの下に、生きるために使われる(はずの)ものだから。「暴力」という言葉は、社会が決めた呼称。ゆえに極めて人間的な価値観であると思います。ですから暴力の是非を問うなら簡単です。暴力は全て悪。なぜなら、スポーツとしての格闘技も、正当防衛の殺人も、自己防衛の戦争も「暴力」ではないから。人間はルールに外れたもののみを「暴力」と認識します。その根元にあるのは強烈な自己保全。自己の存在を脅かす暴力に恐怖する一方、自己を守るための暴力を否定しません。いや、映画、小説、漫画、ゲームなどヴァーチャル分野での人気を見るにつけ、能動的に暴力を欲しているようにさえ思えます。自分の身が安全という条件が付けば(もしかしたら付かなくても!)、暴力による闘争を好むのが人間。そういう生き物であることを誤魔化してはいけないと思います。本作における「暴力」の描写は的確です。何の前触れもなく我が身に降りかかってくるもの。またかつての自分の蛮行は同じ暴力によって報いられるということ。セックスも暴力を語る上で避けて通れません。息子の暴行は明らかに父親に感化されたもの。暴力のあるがままの姿を描いています。そして重要なのは、本作の姿勢がニュートラルであるということ。正当防衛だから肯定するのではなく、かといって暴力は全て悪だと断じることもしていない。“暴力によってでしか守れないもの”と、“暴力によって失うもの”の両方を等しく示しています。主人公を迎え入れる子供たちと、うつむく妻。主人公は大切なものを守れたのでしょうか、失ったのでしょうか。答えは出ないまま唐突に終わります。でもそれが本作の答え。それは現時点での人間の「暴力」に対する回答でもあります。答えを出すために考えなければならない。人間は暴力を好む生き物。でも他人のために涙を流せる生き物でもあります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-05-01 18:22:51)(良:3票)
118.  ドッペルゲンガー 《ネタバレ》 
(こう考えたら面白いなという自分なりの解釈です。)ドッペルゲンガー(以下ドッペ)は、何故役所と永作弟に現われたのでしょう。2人の共通点は「本体」に強いストレスがあったこと。役所は人工人体の開発、永作弟は小説の執筆で。しかしそれなら誰にでも当てはまる。他の要因が必要です。役所の場合、佐藤仁美からドッペの話を聞かされた直後に、自身のドッペが発現しています。つまり“ドッペの存在を意識した”。このことが重要である気がします。次にドッペの特徴は何か。ドッペは本体よりアグレッシブ。本体がしたくても出来ないこと(役所の場合は研究室破壊、資金調達、佐藤と永作に××など)を次々と行います。それに神出鬼没。そして最後は本体に殺されます。(”ドッペを見た者は死ぬ”の逆です。)永作弟の自殺も、役所の場合と同じと考える方が自然です。となると“死んだ弟はドッペ。しかも本体に殺された”ことになります。これも自殺といえます。いや、そもそも「本体」という考え方が正しくないのかも。本体=ドッペ。“こうありたい自分”になったのなら、もう一人の自分は不要です。憎悪の対象ですらある。それは役所がもうひとつの分身、人工人体と別れを告げた場面とも重なります。まとめると【強いストレスのある人間がドッペを意識したとき、ドッペは発現する。ドッペは本体より積極的で、本体の欲求を満たしてくれる。しかしいずれ片方は殺される。残るのは、両方の人格を統合したひとりの人間】。そう捉えると、ひとつの考えが浮かんできます。“ドッペは役所と永作弟だけなのか?”役所と永作の周りの人間は、ドッペの存在を意識した可能性が高い。そしてストレスの無い人間はいない…。柄本は役所と同じように会社を辞め、何故か大金を手にした。さらに神出鬼没。最後は車に轢かれて死にます。運転手は誰?ユースケもあの高さから落ちたのに平気。終盤の永作は、はじけていました。ということは…。ドッペは“意識することで発現する”伝染病のようなものではないか。本作の観客もまた、自身のドッペルゲンガーを意識したはずです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-09-29 18:10:50)(良:3票)
119.  忍たま乱太郎(2011) 《ネタバレ》 
(TVアニメの予備知識なし。もうすぐ6歳になる娘と劇場鑑賞しました。)次々と登場するキャラクターの名前と相関を頭に入れる間もなく突き進む物語。誰が敵で誰が味方なのか良く分からない。寝不足もあってか思考停止状態に陥りました。そんな中、しっかりと伝わってきたのは三池映画特有のアクの強さ(要するにう○こですな)と、俳優陣が皆楽しんでいること。とくに大御所俳優のノリノリぶりは凄かった。平幹二朗、松方弘樹、加賀丈史…。素顔が特定できないほどの特殊メイクを施し、忍たま、いや三池映画の世界に浸る様は、アニメの実写版という特有の胡散臭さと相まって、えもいわれぬ雰囲気を醸し出していました。少なくとも子供が理解できる“面白さ”ではないと思う。そう、本作は子供向け映画の皮を被った極めて大人向け作品であると解釈しました。「忍びとはガッツじゃ!」をメインテーマと思い込ませつつ、主人公の努力をいとも簡単に反故にするオチの付け方に痺れます。正直、面白いともツマラナイとも言いづらいのですが、娘曰く「最後、鐘がチーンと鳴ったのが良かった!」そうなので、これはこれでアリなんだろうとは思います。ほとんど採点放棄の5点。
[映画館(邦画)] 5点(2011-08-01 20:13:28)(笑:2票) (良:1票)
120.  パージ:アナーキー 《ネタバレ》 
暗視ゴーグルのアドバンテージだけで、防弾チョッキひとつ身にまとわず「狩り」を愉しむ富裕層って、どんだけアホやねんと。絶体絶命の大ピンチに正義の味方が颯爽と現れて助かるなんて、そんな脚本よく通したなと。基本ウソだらけの映画ですが、一番の大嘘は人が人を好んで殺すという点と考えます。人が殺人を嫌うのは、殺したくないし、殺されたくないから。種の衰退に加担する行為を忌み嫌うのは自然の摂理です。それは富裕層とて同じこと。机上の理論は、悪意に満ちた偏見でもありました。貧困層が殺される側に甘んじる設定にしても同じこと。全ての犯罪が罪に問われない“人生一発逆転タイム”にただ逃げ隠れするだけなんて、ご冗談でしょう。
[DVD(吹替)] 5点(2017-05-15 22:25:35)(良:3票)

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