121. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 べつに反核である必要はないんだけど、まがいなりにもゴジラを描くわけだから、核兵器を使用することに対するメッセージ性を、もっと明確に描くべきだろう。方向性は二つある。 「やったー!核兵器使ったからモンスターをやっつけられたぞ!核兵器は必要だー!」または 「だめだー、核兵器なんかがあるからモンスターが現れて、世界は破滅するんだー、、、」 繰り返すが、前者でぜんぜん構わない。むしろ前者の映画を観てみたい。『G』は、このどっちでもなかった。核兵器に対する思想がない。オープニングは、かつての水爆実験が、実はゴジラをやっつけるための攻撃だったんだよーというはなしが語られる。ナイスなアイデアだが、監督らは、核兵器を攻撃目的で使ってよいとお考えのようだ。 「核兵器は絶対使ってはいけない」というジレンマが無いからつまらない。かろうじて渡辺謙が唯一の被爆国の代表者として、核兵器使用を反対するけど、なよなよしてるんだよな。そもそもあの深刻な作戦会議の場で誰か一人「あのー、相手って核兵器をエサにしてるんですよね、そんな奴に核兵器を使っても、おいしく召し上がって終わりなんじゃないっすか?」と気づかなかったのか? 使ったら使ったで、それによって被る終局がぜーんぜん描かれない。それは『インデペンデンスデイ』でもそうだった。ただ、『イ』については、核兵器使用を大統領が結構躊躇していて、ジレンマが描けていて、あげく核兵器が相手にぜーんぜん通用しないことで、核兵器否定を描いている。『G』はそれが無い。いまいち。 そんなんだから、このゴジラは、渡辺謙がこだわった日本語発音の「ごじら」ではなく、やっぱりアメリカの価値観によって構築された「ゴッジーラ」である。 ただ、良かった点もある。映画館の音響によるゴジラの咆哮はそうとう痺れる。特に悪いモンスターをやっつけた直後の咆哮は最高。僕も一緒に映画館で「ぎゃあああああご!」って(小声で)叫んだ。 [映画館(字幕)] 6点(2014-08-12 23:43:38)(良:1票) |
122. LEGO ムービー
これに関しては多くを語るのをやめる。超面白い。ありえない。うそだろこれ。身悶えするくらい観て良かったと思える。僕はこの映画を観たんだ、という事実が僕の中にある、そのことが幸福である。今ならば、次は字幕版でもう一度観たいと考える。この映画が作られ、上映されたこの時代に、居合わすことが出来てよかった。今後しばらくは、人と会ったら、この映画を勧めることにする。 [映画館(吹替)] 9点(2014-04-18 00:43:31)(良:1票) |
123. 戦艦ポチョムキン
ポチョムキンという言葉の響きが実は面白いですよね。ポチョムキン。とくにポチョってところが。でも自由を渇望する人間の熱さがほどばしる力強い名作だと思います。赤ちゃんがとにかく見ていてつらい。 9点(2005-01-24 16:50:41)(笑:1票) |
124. 犬神家の一族(2006)
あんなクルーザー、昭和22年にはないだろー スケキヨがアイドル化されているのはなかなかいいことだと思います。 [映画館(邦画)] 8点(2006-12-18 23:02:37)(良:1票) |
125. ウルトラミラクルラブストーリー
《ネタバレ》 首なし男と松山の会話のシーンが良い。カメラ固定でくねくねした道を歩くのだが、その道の異様な曲がり具合がファンタスティックであった。 麻生久美子の内面が後半見られない。松山に死なれて良かったと思ったのだろうか。最後の脳の扱いからして、さてどうでしょう。 赤塚不二夫の世界観に似ているかもしれない。 [DVD(邦画)] 8点(2010-02-21 23:00:48)(良:1票) |
126. 素晴らしき哉、人生!(1946)
いい映画だと思います。けれども本作からちょっと離れて考えてみます。いまこの世の中で、産まれてこれなかった人はたーくさんいるはず。使い捨てられたコンドームの数+中絶件数+α。この子たちがいればこの世は更に良くなっていたのでしょうか?あるいは天国から今のこの世を見て「もし私が生まれていたら(自分にとって)すばらしい人生になるのに!」と思っているのでしょうか?。身近なところで、両親が避妊失敗して兄弟がもう一人いたとしたら、僕の人生はその兄弟にとってすばらしいものなのでしょうか。兄弟がいた人生と、いなかった人生、はたしてどちらが優れているかなんて採点できるでしょうか?。また、その兄弟の兄弟、その友人、そのいとこ、……と、無限連鎖するパラドックスになります。更に、「自分が生まれていなければあの時モノゴトは良いほうに運んだに違いない」ということが少なからず必ずあるはず。劇中、ジョージがそんな自分にとってのネガティブな面を見なかったのはあの天使のおかげなのでしょう。もし悪魔だったら・・・ 6点(2004-03-28 15:30:32)(良:1票) |
127. ひまわり(1970)
僕の心の容量には有り余るほどの感動をもらいました。ソフィアローレンの惜別の演技は人類の為しえた奇跡です。そしてその直後のひまわりのドアップ!僕の中でひまわりは夏の花ではなくなりました。それでもひまわりはかすかに笑っています。風に揺れています。 10点(2004-01-20 18:23:09)(良:1票) |
128. 皇帝ペンギン
真っ白な南極の世界へつれてってくれるのはとても貴重な体験でした。あんな世界が地球にあるとは、一度歩いてみたいですね。寒いのは嫌ですが。 で、内容。えー、多分、「極寒の地でたくましく生きるいたいけな姿のペンギンさんたちの、生きることの残酷で不思議な真実の生態のドキュメンタリー」を伝えようと、製作者達は必死に映画を撮っていたんだと思います。 でも、実際、ペンギンたちは本当に過酷な生活を送っているのだろうか?もちろんそんなこと人間には一生わからないことなのだが、映画を観ていて僕は「こいつら、あんまり辛くないんじゃないか?」と思いました。それはおそらくペンギンの演技が下手だからです。「もっと辛そうに!」っていう監督の指示をちゃんと聞いていたのでしょうか。それと、過酷さを演出する音楽とナレーションが、逆効果だったと思います。ナレーションが「母ペンギンは、吹雪の中、凍りついた海を求め歩く・・・」とかテンション低く語っているのに、肝心の俳優は、ペタンコペタンコ愛らしく列になって歩いている。こういったなんか“温度差”があるんです。 だから例えば「何でこいつら毎年寒い時期に限ってこんなところに集まってくるんだろうね、馬鹿じゃね?」とか「おなかで滑っていけるなら最初から歩いてないで滑れピッコロ」とか「あららー、雛がカチコチですねー」といったぐあいに、逆に反転色の演出をつけていけば、伝えたかった過酷さ、生命の尊さ、ペンギンの愛らしさが出来たのではないか。せっかく映画なんだから、テレビでは出来ないような虐待的なナレーションくらい聞かせてほしい。 [映画館(字幕)] 8点(2005-07-29 01:20:23)(良:1票) |
129. ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
《ネタバレ》 マ男よ、これくらいの会社をブラックなんて言ってるようじゃいけないよ。 本当に恐ろしい会社というのは、社員や管理職ひとりひとり単体ではとてもいい人であって、それが集合体になると、常人では考えられないような愚行にスタンピードしてしまうところ。みんななんとなく間違ってると気づいているのに誰もそれを止めることができないのだ。気づけばみんな不幸のどん底。 その点、この映画の会社はまだましと感じる。 でも、そういったブラックな会社で命を削って働く人たちがいてこそ、この国が動けている。 [DVD(邦画)] 4点(2010-07-01 22:52:15)(良:1票) |
130. あの日、欲望の大地で
《ネタバレ》 『めぐりあう時間たち』のような構成の、母、その娘、その娘の3代にわたる愛を渇望する女たちの物語。非常にうまくできている台本で、現在、過去、過去の過去が、まるで切り絵細工のように並べられている。後半いよいよそれらの散逸なストーリーが収斂されていく。あー、つながってきたなあーと思った矢先、衝撃の事件の真相がむき出しにされる。 昔母は濃厚で壮絶な不倫をしており、密会場所の事故で母は死亡。その娘も現在、行きずりの野郎どもと付き合いまくっている。そんな自分が嫌なのだろう、自分の娘にはこのヤリマンの血が引き継がれないようにと、娘を産んですぐに行方をくらます。そんな生き別れをせざるをえなかった主人公が、ラストのラスト、娘と和解し、夫の元へ足を進める。久しぶりに、99の絶望の中に光る1の希望を感じる映画であった。 [映画館(字幕)] 9点(2010-01-11 23:29:05)(良:1票) |
131. シュガー・ラッシュ:オンライン
《ネタバレ》 ディズニー映画にしかなしえない、ディズニー自虐ネタは、豪華だったし面白かった。もっともあの自虐はこれまでも何度か扱われているけど。 歴代プリンセスの吹き替えが、神田沙也加だったり松たか子だったり中川翔子だったりと本物らしいんだけど、言われないと分からない。そんなことより、白雪姫とかアリエルとかは、当時のアニメのテクスチャを踏まえた質感のほうがよかった。 ラプンツェル以降のディズニーは、自立した女性観を描かなきゃいけないノルマとかあるのだろうか。世界の潮流への対応なのか。はてさて今作のベネロペにもそれを適用しなければならないのか。べつによくね?このノルマみたいなのを諦めれば、いろいろ整うと思う。 そもそもベネロペは、スローターなんとかという荒廃した世界に魅力を感じるような子じゃなかったはずだ。そもそも、映画つくりてたちの、ああいった現代的な暴力的なゲームに対する姿勢がよく見えない。なんなら「是」としている?非常に魅力的な女性シャンクを、肝心なところで裏切るやつにするなどして、あのスローターなんとかの世界観を「否」してほしかった、ディズニー映画ならば。 [映画館(吹替)] 7点(2018-12-27 23:23:00)(良:1票) |
132. キング・コング(1933)
ピータージャクソンに、キングコング’05という映画を撮らせたことが、この映画の讃えるべき点である。 今作のヒロインはとにかくキャーキャー叫びまくり。記号である。 なので襲ってきた恐竜から守ってくれたり、足を挟んだ倒木をどかしてくれても、少しもキングコングの気持ちを分かろうとすることが出来ず、キングコングはそれに対して特に悲しい表情をみせることもない。 最大の悲劇、それは、コングの顔がマヌケだったから美女に愛されなかったのではないかということである。 その点、ピータージャクソンキングコングはかっこよかった・・・ [DVD(字幕)] 8点(2006-01-18 22:57:55)(笑:1票) |
133. ゆきゆきて、神軍
《ネタバレ》 確かに奥崎謙三はDQNでどうしようもない男だが、彼のおかげで貴重な戦争の体験談をこうやって残すことができたのは偉業といえる。 それよりも、奥崎の奥さんの何も言わないでついていく姿が泣けた。二人とももうこの世にはいない。 [DVD(邦画)] 9点(2008-12-31 03:16:09)(良:1票) |
134. 東京裁判
《ネタバレ》 とてもおもしろかった。ただ黙って判決を受け入れるA級の彼らの表情をみていると、目頭があつくなった。ぜひテレビで放映すべきだろう。 [DVD(邦画)] 9点(2006-07-20 00:40:26)(良:1票) |
135. 春にして君を想う
でもなー、こーれはつまんない映画でしょー。作った側の美徳は感じられますが、面白くない。 3点(2004-11-05 00:46:01)(良:1票) |
136. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 世の中には「原爆は正しかった!」といまだに言ってる人がいるらしいけど、一方その頃我々japは、8月6日の呉で冗談言いあいながら草鞋を編む人々の映画を観て笑っている。我々japの勝ちだ。 [映画館(邦画)] 10点(2016-12-30 22:28:53)(良:1票) |
137. プロミス(2001)
監督が何を言いたかったのかよくわからなかったが、戦争と対立の理不尽さを訴える映画というよりは、現地の子供たちの普段の顔を世界の人に披露しようという映画のように見えた。僕のイメージだと、飢えと地雷に脅え、ぼろぼろのシャツや女の子なら頭からすっぽり布で覆っていて、大人たちと同じく「復讐!」とか叫んでいるのかと思っていた。しかし先入観とは違い、彼らはとても朗らかだった。印象的だったのは、10分ぐらいで着くような近所なのに話すことすら考えられなかった対立する民族同士の子供達、監督の提案でお互い会って遊ぼうということになり、検問所(⇒この存在が諸悪の根源ではないかと感じた)を越えてお家に行く。そこで食事したり遊んだりするわけだが、字幕は敢えてかはしらないが入らなかった。楽しそうにじゃれあう子供たちの顔を、話の内容なんてかまわずみせていた。これがとても感慨深かった。その後に机を囲んでリアルに対話を始める。別れが寂しくて涙を流す。きっともうしばらくは(検問所のせいで)逢えなくなるのだ。とにかく、子供たちがキャーキャー遊んでいる姿を見ると、どの子がどっちの民なのかなんて区別つくはずない。ここになにか長い長い喧嘩の解決の糸口があるんじゃないかって思った。 7点(2004-11-15 23:48:55)(良:1票) |