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目隠シストさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2253
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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141.  フッテージ 《ネタバレ》 
(未見の方はご注意ください。ネタバレしています)  ホラー映画の登場人物に対して、こんな風に思ったことは無いでしょうか?「あーイライラする。危機感が無さ過ぎる。そんなんだから、殺されるんだよ」と。私はしょっちゅうそう思います。特にB級ホラーで。本作でも、早い段階でそう感じました。「執筆なんていいから、早く家族を連れて逃げろ」何度心の中で叫んだ事でしょう。ところが、ところが、です!そう思った観客は、全員アウト。主人公より先にお陀仏でした。上から目線で主人公を批判した自分が恥ずかしいやら、悔しいやら。主人公(観客)に判断ミスを犯させる手口が実に巧妙だったと思います。犯人特定のヒントは数多く出されていました。①一家惨殺なのに子供一人だけが行方不明。②殺害過程を撮影したのは一体誰?③腕力の要らない殺し方ばかり。観客の脳裏に、衝撃的な殺人鬼の正体が浮かび上がってきます。そう、これが罠でした。重要なのは“犯人は誰か?”よりも“どうしたら殺されないか”。それなのに恐怖と驚きに支配され、冷静な判断がままなりません。注意深く、思慮深く、情報を吟味して行動出来れば、悲劇を回避することは十分可能だったと考えます(事件現場が繋がっているとの情報は事前に提示されていました!!)。それに謙虚な態度も大切。某副保安官を単なるミーハーの情報屋と見下さず、彼からの電話にすぐ出ていれば……。いやー後味が悪いです。でもこの後味の悪さは自業自得。理不尽ではないので納得出来るのです。(以下余談)フィルム観賞で感染。引っ越しで発症。邪神ブグールの呪殺システムは、まるで感染症です。キャリアの段階ならば、命に別状はありません。ここがミソ。ブグールはあの手この手で家人を怖がらせ、引っ越すように仕向けてくるワケです。では、もしカラクリを見抜き、家に居座り続けたらどうでしょうか。ブグールはルール無視で子供を操ってくる?いや、多分そうはなりません。この手のシステムは規則が絶対のはず。子供が成人するまで、引っ越しを我慢できれば助かる気がしました。もっとも私の場合、機械音痴なので8mmフィルムを見つけても無視するかもしれませんが。
[DVD(吹替)] 8点(2014-05-03 19:28:33)(笑:1票) (良:2票)
142.  キック・アス ジャスティス・フォーエバー 《ネタバレ》 
ヒットガールの魅力とイカした音楽。極めて単純な、しかし強力な娯楽性だけで、映画の枠組みと倫理観を吹っ飛ばした快作にして迷作。それが前作『キック・アス』の正体と解します。本作は待望の続編…には違いないのですが、“遅すぎた”ことも間違いありません。いや、続編の間隔としてはごく一般的です(前作から3年)。しかし、それでもやはり遅いのです。何故ならクロエ・グレース・モレッツが成長してしまったから。『チョコレート・ファイター』のジージャー・ヤーニンもそうですが、戦う少女の旬は驚くほど短いです。それはもう絶望的なほど。でもそうであるが故に彼女らは、その刹那、眩いばかりの光を放つとも言えます。ヒットガールという映画史に残る超スターの光が衰えた事で、『キック・アス』が持つ変態映画の本質が、良くも悪くも浮かび上がりました。その味わいは、珍妙の一言に尽きます。コスプレ軍団の血で血を洗う抗争劇は、ハッキリ言ってコントです。でも本気の殺し合い。しかも正義だの悪だの、大層立派なイデオロギーまで語っちゃいます。この悪ふざけは一体何?もしかして自分の感性がオカシイの?と不安になる出鱈目さです。ある意味トリップ映画かもしれません。ジャンルは違いますが『悪魔のいけにえ』の感覚にちょっと似ている気がしました。前作と比較して、クロエ嬢の成長-5点、音楽性-4点、サブキャラクターの追加(主にマザーロシア)+2点、アクション性の向上(特にカーアクション)+2点。というワケで計算上は10-5-4+2+2=5点ですが、8点進呈いたします。何故かって?そりゃクロエ姫の唇が相も変わらずチャーミングだったからですよ。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-11-21 19:28:13)(笑:1票) (良:1票)
143.  ラースと、その彼女 《ネタバレ》 
心を病んだ一人の男が、周りの人々のサポートを受け、徐々に回復していくまでを丁寧に描いたヒューマンドラマ。ラースの心の闇の正体。それは母親を亡くした事に対する自責の念でした。出産に対する恐怖。兄嫁の妊娠に、ラースの心は耐えられなかった。そこで彼が求めたのが、決して死ぬ事の無いラブドールでした。絶対的な“安心”がそこに在りました。ところが、周りの人々の優しさが、彼を気遣う思い遣りが、人形に命を吹き込んでいきます。ラースにとっては、ある意味想定外の出来事だったでしょう。洋服屋のショウウィンドウで働き、ボランティアに勤しむラブドール。操り人形は、いつしか彼の手を離れていきました。もはや人格を持った一人の女性。そんなビアンカの死は、彼女が人として生きてきた事の証です。そしてラースが人間の摂理を受け入れた事実を意味していました。彼女はラースの心を癒す使命を全うしたのです。寂しいけれど、希望に満ちたラストでありました。ラース役のライアン・ゴズリングはもとより、端役に至るまで上手い役者を揃えている本作ですが、MVPにはやはりビアンカちゃんを推したい。その画的なインパクトは絶大で、前半は彼女が映るたびに笑ってしまいました。ところが、物語が進むにつれて、本物のレディに見えてきたのが不思議。湖の辺で佇む2人。彼女の瞳から、その口元から、感情を読み取りました。それは観客(私自身)の想いが創り出した“彼女の心”だった気がします。ビアンカは人の心を映し出す“鏡”でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-28 19:23:58)(良:2票)
144.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
宇宙空間の等速直線運動はまるで“運命”の暗示。己が意思とは関係なく、無慈悲に、ひたすら、流されていく。娘を失った主人公の人生も、おそらく同じだったのでしょう。そんな彼女が必死に生きようと足掻く姿は実に感動的でした。大気圏突入の際の彼女の言葉が印象的です。「誰も悪くない」一生懸命やった結果が成功だろうと失敗だろうと、それはもう仕方のない事。それこそ運命です。しかし、諦めて受け入れる結末と、努力して手に入れる結末とでは、同じ結果でも値打ちが違います。邦題には内容を分かり易くする為に“ゼロ”が付いていますが、原題は単に“GRAVITY”です。そう本作は重力の意味を問う映画でした。ラストシーン。覚束ない足で大地を踏みしめる主人公。彼女は重力に“囚われている”とも言えますし、“守られている”とも言えます。同じものでも、捉え方次第で、その姿を変えるのです。オーソドックスなソリッド・シチュエーション、パニック映画の体裁ですが、多くの示唆が含まれている良作だったと思います。映像技術の評価は二の次で。ただ、もし続編が出来て『キャスト・アウェイ』みたいな話だったら、大笑いしますが。
[映画館(吹替)] 8点(2013-12-24 18:27:47)(良:2票)
145.  クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 《ネタバレ》 
かすかべ防衛隊には、秘伝のソースをケンさんへ届けるというミッションが与えられました。しんのすけ達の行く手を阻む刺客たち。タイトル通りの面白サバイバルアドベンチャーが展開されます。今回の悪玉、B級グルメ殲滅を目論むA級グルメ王子には、実はB級グルメに対して密かな憧れがありました。報われぬ幼き日の自分を肯定するためのB級憎悪。なんと哀れな事でしょう。導かれる結末は……。そう、今回のクレしん映画は、設定・脚本共に実にそつのない、理詰めの映画だったと思います。予定調和と言っても差し支えない優等生映画。それがクレしん“らしくない”というか。観客が困惑してしまう程の、ぶっ飛んだセンスや不条理ギャグが見当たらないのです。これが物足りなさの根拠と考えます。本作を私一人で鑑賞していたら、きっと理詰めで辛口の点数を付けていたでしょう。しかし一緒にTVを観ていた2人の娘(小学3年生、4歳児)は爆笑に次ぐ爆笑。大うけでした。そこで気が付きました。クレヨンしんちゃんにスタイルなんて求めてはいけなかったことに。ナンセンスギャグあり、SFファンタジーあり、格闘アクションあり、感動ストーリーあり。ガッチリ子供向けだったり、実は大人がメインターゲットだったり。様々な顔を見せてくれるのが『クレヨンしんちゃん』の素晴らしさ。何より子供が喜んでいる映画に注文を付けるつもりはありません。今回はちょっと大人しめの優等生アドベンチャー。これもクレしん映画の引き出しのうちということで。
[地上波(邦画)] 7点(2014-04-15 18:58:41)(良:2票)
146.  エスケープ・フロム・L.A.
前作に当たる『ニューヨーク1997』(邦題)を鑑賞済みである事が、本作を味わい尽くす上上での重要な要件。本作単独で観るのと、『ニューヨーク1997』の後日談として観るのとではまるでコクが違う。「牛丼並盛」と「牛丼特盛つゆだく玉入り鬼盛紅生姜」くらい違う。前作の設定と脚本を踏襲しているのですが、それがイチイチ面白いのです。監督は山田洋次かと思いました。自分が配給会社の宣伝マンなら『スネークはつらいよ・LA恋のコウモリグライダー』という邦題を提案します。そして上司から怒られます。終末世界にバカ要素がいい具合にブレンド。チープなCGが華を添えます。ラストの取って付けたような文明批判がこれまた芳しい。悪くない。悪くないです。これくらい思いっきりバカをやってくれた方がスッキリ楽しめるというもの。前作もバカでしたが、本作は大バカです。いわゆるB級映画のテイストが好きな人には、タマラナイ映画だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-07 20:14:54)(良:2票)
147.  ゾンビランド 《ネタバレ》 
“32のルールを駆使して生き残れ!”というキャプションは少々大げさながら、確かに劇中指定のルールを破らなければゾンビ世界を生き抜くのは難しくないと思えます。事実、危機感はあまり感じられません。この温めの空気感が気に入りました。こんなに和んだ気持ちで観たゾンビ映画は久しぶり。ですから、終盤戦4人全滅モードに突入した時には焦りました。なんだよ、結局お決まりバッドエンドパターンかよと。なので、この結末で個人的には万々歳。ただしヒロインを救い出した直後のシーンに異議があります。終始徹底していた「2度撃ち」を何故この場だけやらないのでしょうか?キスの最中に頭にズドーンとやってこそゾンビ映画でしょうに。本作が米国で支持された理由の一つは、「トゥインキー」やローカルな地名、ビル・マーレーを本人役でキャスティングしたセンスに有ると思われます。このニュアンスは日本人には理解し難いところ。トゥインキーは「うま○棒」、ビル・マーレーは竹中直人あたりに置き換えてみればいいのかな?それにしても、ビル・マーレー。ゾンビメイクでゾンビに間違われて殺される。あれはある種の自殺だと考えますが、最高のギャグでした。希望の無い世界で考えるのは、どう生きるかではなく、どう死ぬかなのかもしれません。梅図かずおの『漂流教室』よろしく希望の象徴“遊園地”を目指した主人公たち。彼らだって其処が本物の楽園だとは思っていないはず。手ごろな死に場所を探していたのではないかと。「ヒーローになるな」というルール破った主人公。それは価値観の転換を意味しました。自分の命よりも大切な命の存在を認めること。世界を生きぬくためのルールは、“自分がマシに死ぬための注意書き”ではなく“家族を守るための約束ごと”に変わったのだと思います。決して4人の未来は明るくはないけれど、今彼らが抱いている希望は、本物です。
[DVD(字幕)] 8点(2011-08-22 18:57:18)(良:2票)
148.  君たちはどう生きるか(2023)
宮﨑駿監督が全てを捧げた集大成たる「名残し」の映画。やりたい放題でありながら、きちんと大衆性を担保し優れたエンターテイメント作品に仕上げているのが素晴らしい。今の私の稚拙な知識や経験で解釈するのは申し訳ない、というより勿体ない。今後100年は充分に楽しめる映画でした。もっとも私の場合、残された時間は30年くらいのものなので30年かけてこの映画を自分なりに咀嚼して理解したいと思います。ですから点数は現時点での数値とお考えください。死ぬまでに私の中で10点にするのが目標という意味です。大変なお宝を頂戴しました。劇場で観られて幸運です。感謝しかありません。
[映画館(邦画)] 7点(2023-07-27 11:18:57)(良:2票)
149.  明烏 あけがらす 《ネタバレ》 
やりました!やられました!!完全な『吉岡里帆』祭り!!!彼女の振り切れた演技、豊かな表情(大きなお口!そして絶品の般若顔!!)、その見事なコメディエンヌぶりに心を打ち抜かれました。デコおっぴろげ前髪ぱっつんイモ姉ちゃんぶりと、化粧バリバリドレスアップお嬢の落差は、『マルホランド・ドライブ』のナオミ・ワッツをも凌ぐ別人感。これなら堂々とポスターに顔出し出来るハズです。まさか『幕が上がる』の下級生メガネ娘が、これほどのポテンシャルを秘めていたとは。個性溢れまくる芸達者な役者陣の中で一際光る存在感たるや、驚愕の一言です。本作で完璧に彼女の大ファンになりました。『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツ級の衝撃。大絶賛させてください!さて、作品の評価の方。台詞回しの妙や、役者固有の演技力に由来する面白さを楽しむ趣向が強く、映画自体の完成度はさほど高いとは思いません。ワンシチュエーションに(舞台を店舗内に固定)出来る設定なのに、必要性の薄い店外カットを入れるコダワリの無さ。金の無い客の肩代わりをするなど、ホストとしてマイナス査定のはずなのに、美談風に仕上げるテキトー脚本。元ネタは落語のマルパクリという部分も含めて、点数的には6点が妥当と考えます。しかし、です。これが相当に笑えるのです。一人の男を立ち直らせる為の、思いやりに起因する幸せな笑い。コメディは笑いこそが正義。全ての短所が無効化します。初笑いにオススメできます。ただし、遊びの借金がある方は新年早々、キツイ説教をくらう羽目になるのでご注意を。吉岡里帆ちゃんへのお年玉込みで9点進呈いたします。
[DVD(邦画)] 9点(2016-01-01 00:00:00)(良:2票)
150.  家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 《ネタバレ》 
刑事事件でなくとも、日常生活にミステリーは存在します。本作はある日突然始まった妻の奇行(といってもカワイイものですが)の真意を探る物語。私の推測が正しいとは思いませんが、謎解きに予備知識は不要。というわけで、鑑賞後にお読みいただければ嬉しいです。(以下ネタバレを含みます。ご注意ください…)正直言いますと、いつか榮倉ちゃんが「実は私の余命は…」と言い出すのではないかと冷や冷やしておりました。序盤はコメディタッチで油断させておいて、後半にシリアスドラマをぶち込んでくるのはこの手のストーリーの常套手段ですから。幼いころに母親を亡くしていること。「私より長生きして」に、“人生のまさか”。そしてツガイのインコ片方の死。どれも若き妻の死期を予感させるものでした。死のショックを柔らげるため、妻が仕組んだ予行演習ではないかと。ところがこの予想は大外れでありました。妻の死んだふりには、別の意味があったわけです。劇中では、夫が妻に自身の推理を披露するシーンがありますが、観客に詳細は知らされません。あくまで夫婦間の秘密ということなのでしょう。というコトで、ここからが私の推測。なぜ妻は死んだふりを始めたのでしょうか?夫同僚が口にしているように”構ってほしい”が一般的な見立てでしょう。愛情の確認。この要素も無くはないと思いますが、なぜ今なのか、そして執拗に行う理由は別にありそうです。結婚3年目の節目に、妻の胸のうちに去来した思いとは何でしょうか。ヒントは以下のとおり。「お城に行きたい」「月が綺麗ですね」「私は一度も別れたいと思ったことは無いですよ」夫同僚の妻の境遇に涙。答えはずばり”子供をつくりましょう”。死んだふり=ボケは、夫にノッてもらってはじめて成立するコント。2人の共同作業で生まれる笑いです。榮倉ちゃんは、夫に人生のパートナーとしての役割と自覚を問うたのではないでしょうか。いい加減、腹をくくれと。もう、ちゃんと夫婦なんだぞと。「アイラブユー」が「月が綺麗ですね」に訳されたように、「子づくりしようよ」=「死んだふりコント」であったと考えます。随分回りくどいアプローチだと思いますが、これを理解するのも夫に求められる資質と考えれば納得できます。そういう奥さんなんです。そして、オチがなんと秀逸なことでしょう。妻の見事なダブスタに大笑いしました。2人は本物の夫婦に近づいたに違いありません。それにしても特筆すべきは榮倉ちゃんの役作りの素晴らしさ。純粋で、幼い面もありつつ、それでいて頭がよく、教養もある。基本敬語。いやーこんな若妻、たまらんじゃないですか。もっとも榮倉ちゃんだから許せるわけで、もしこれがガンバレルーヤだったら、2回目の死んだふりでボコボコにしますけども(冗談ですよ。冗談。DV反対!)。事件らしい事件はおこらず、妻の奇行の種明かしさえもない、日常ドラマ。でも、妙に染みるのは、そこにリアルな人生を感じるから。要所でのBGM廃止の演出も冴えていたと思います。自身に置き換えてみると、私自身こんなに人生と正面から向き合っていないなあと思ったり。もっとも、ちゃんと向き合わないのも作戦のひとつであり。でも、その作戦を採用した夫同僚夫婦は破綻したんですよね。いやはや、なかなかに考えさせられるドラマです。とりあえず、注意すべきは伏線の読み間違い。何事も、思い込み厳禁であります。妻の地雷を踏まないように、慎重かつ大胆に、人生を乗り切りたいと願う結婚14年目の夫の感想でした。
[映画館(邦画)] 8点(2018-07-16 00:17:52)(良:2票)
151.  スチュアート・リトル 《ネタバレ》 
本来人間の子供が演じる役回りをネズミに置き換える。この力技を違和感なく観客に納得させているのは、ネズミというチョイスが絶妙だからだと思います。ネコやイヌではこうは行かない。世界観をファンタジーに逃げるのではなく、あくまで現実世界の中でコレをやっている。結構スゴイと思いました。(注:あらゆる動物が人間と会話するのであれば、完全なファンタジー。でも本作は、ネズミのみに例外を認めている。ですから本作の世界観は“現実”と考えます。)主人公をネズミにしたことでコメディの要素を生み、楽しい作品に仕上げています。その手際はお見事。ただ設定とは裏腹に描かれる物語はどこまでも現実感を欠きます。家族愛。偏見を失くすこと。美しいテーマは垣間見えます。しかし心を捉えません。実の子を亡くしたとき、ネコを亡くしたとき、スチュアートを亡くしたとき。あの一家は同じように泣くのだろうか。偏見を失くそうというメッセージもそう。偏見とは、壁の無いところに壁を立てるようなもの。本作では逆に、在るはずの壁を無いものとして扱っています。両方とも結局は同じこと。“違い”を誤魔化すのは偏見と同じくらい危ういことです。ただサラリと表面だけを楽しむには最適な作品だとは思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-04-05 19:56:28)(良:2票)
152.  模倣犯 《ネタバレ》 
中居くんのオチについては、予備知識として得ていましたので、さほど驚きませんでした。「おお、これが有名な首ロケットか!」という感じ。むしろ珍しいものを観られたという喜びがありました。それよりも今現在、ワーストランキングで本作より上位に10作品以上もあることの方が驚きです。『死霊の盆踊り』『北斗の拳』…まだ観ぬ強豪の実力はいったいどれ程のものなのでしょう。ちょっとワクワクしますね。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2006-09-12 18:43:22)(笑:2票)
153.  カオス(2005) 《ネタバレ》 
『トランスポーター』シリーズで一躍名を上げたジェイソン・ステイサム。今、最高にセクシーでダンディーな中年男。彼の魅力はその渋い雰囲気と、格闘系アクション。本作では一方の売り、アクションをほぼ封印しています。しかし満足。彼には、佇まいでその場の空気を締める力がある。正直演技は上手くないような気がしますが、この雰囲気は役者として得がたい財産だと思います。今後も目が離せません。そのステイサムとコンビを組む新米刑事もなかなかいい。若者の青さと、ステイサムに負けない利発さを発揮しています。彼が後半の主役。24時間の間に彼が成長していく様は爽快でした。カオス理論を持ち出すのはいささか大げさだと思いますが、サプライズありの面白いお話でした。難点はステイサムがもはやビッグネームだということ。オチを悟られないようにするために、もう一工夫あっても良かったと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2007-09-05 00:08:20)(良:2票)
154.  300 <スリーハンドレッド>
シネコンの中でも一番キャパが小さいスクリーンで鑑賞。狭い空間のせいもあったでしょうが、張り詰めた空気を感じました。多くの観客が、物語に引き込まれていたと思います。事実、非常に堪能しました。絶望的に不利な状況。その中で鬼神のごとき強さを見せるスパルタの戦士。戦闘シーンの見事さは特筆に価します。システマチックな集団戦にはリアリティがあり、個の闘いにおける華やかさは、格闘技マンガを読んでいる感覚に近い。あるいはシューティングゲームをプレイしているよう。手や首はバンバン飛びますし、血しぶき出まくり。しかし、壮絶な殺し合いの描写に目を背けたくなるような事はありません。絶妙なセピアの色合いが、痛ましさを緩和していました。言葉は適切ではないかもしれませんが、面白い。不謹慎かもしれませんが、楽しい。それが率直な感想です。ただ、こういう注釈を付けざるをえないところが、本作の弱点だとも思います。何故素直に「面白い」「楽しい」と言えないのか。それは、物語の体裁が紛れもなく戦争映画だから。コメディ以外で、楽しい戦争映画というのは、やはり無理がある。痛みが伝わらないから、薄っぺらく感じます。なまじ史実に基づいているから尚更です。娯楽に特化した弊害がここにある。ただし戦闘シーンが出色の出来映えであるのは間違いありません。ですから題材を変えれば相当イケるはず。三浦健太郎の傑作漫画『ベルセルク』をこの手法で是非とも実写化していただきたい。
[映画館(字幕)] 7点(2007-06-25 18:08:06)(良:2票)
155.  クロサワ映画 《ネタバレ》 
森三中の黒沢をはじめとする登場人物は、基本的に現実世界と同じキャラクターを配されています。フェイクドキュメンタリー+ラブコメディ。このような設定ですから、彼女たちの台詞やライフスタイルは、現実のそれに近いのかなと想像してしまいます。もはや言いたいだけの「たんたかたん」も、大久保にはぜひ愛飲していて欲しい(笑)。ベタが多いコメディ部分は、結構自分好みでした。自転車に轢かれる80年代アイドルとか、物干し竿ブラックジャックとか(一番笑えたのはフランケン村上でしたけど)。笑いが恋の切なさを引き立てます。でも結果的に本作に“ラブストーリー”は存在しなかったのですね。黒沢の独り相撲。それがまた切ない。一度奈落に突き落とされ、這い上がったところでまた突き落とされる黒沢。まるでダチョウ倶楽部の熱湯風呂芸を見ているような。二度目のハートブレイクでは満面の笑みを湛えてみせます。ラストの「マジっスか~」には傷心の欠片さえ見えません。凄い。これぞ芸人魂。苦しみも悲しみも全て笑いに換えて、女芸人は生きていく。いじらしくて、胸が締め付けられました。クレジットのみのエンドロールだったなら、多分自分は泣いたと思います。ですから最後のネタばらしシーンの羅列は、ラブストーリーに対する拒絶であったと考えます。しんみり不要。笑ってもらってナンボよ、という主張。その心意気は理解できます。でもエンターテイメントは笑いだけにあらず。観客を上手く泣かせて、終わらせても良かったと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-06 19:44:58)(良:2票)
156.  サバイバルファミリー(2017) 《ネタバレ》 
BGMを極力廃し(たまに挿入されてもシンプルなもの)、スクリーン上で繰り広げられる物語が“電気のない世界”であることを控えめに、でもしっかりとアピールします。そう、本作は真面目なサバイバルシミュレーション。とはいえ、そこはそれ、矢口監督お得意の大衆向けコメディ。修羅場レベルはミニマムに抑えられています。強盗、略奪、強姦といったハードな展開は一切ナシ。家族揃って安心してご覧になれます。この甘口仕様は、リアリティ至上主義の観客の口には合わないかもしれません。でも、どんな予測にも幅があって当たり前。日本人の国民性を希望的に見積もれば、こんな優しい展開だってナイこともナイでしょう(そもそも電気がないだけで、社会秩序が失われるとしたら、人類は途方もなく退化したことになりますし)。それに矢口監督は、きちんと本作が寓話であることを示唆しています。お父さん奇跡の帰還(流石に無理あり過ぎ)、電気復旧でいきなり家に明かりが灯るなんて(誰が発電してたの)ホラもいいところでしょう。必要なのは矛盾点探しではなく、テーマをきちんと受け取ることと考えます。かつて夫の手をさりげなくかわした妻が、自から夫の手を握った変化。電気復旧時の妻の寂しげな表情に、本作の主張が見て取れる気がします。地方創生が叫ばれる時代の「バックtoザ日本人の原生活」映画。一次産業最強、田舎暮らし最高な筋書きは、リアル田舎生活を送る者からすれば、悪い気はしません。しかし、そう単純な話でもありません。この世の中は、それぞれの役割分担で成り立っています。野菜をもらって、卵をあげる。お手伝いをして、お肉をいただく。それは、情報や娯楽、あらゆるサービスにも当てはまるでしょう。キレイ事ではない、真の“助け合い”が、サバイバルの極意と感じました。百かゼロかの極端な選択ではなく、丁度良い塩梅に文明と、そして隣人と、付き合っていくことに、ヒトが人間らしく豊かに暮らしていく為のヒントが隠されていると思うのです。(以下余談)劇場(シネコン)を出た途端、違和感に襲われました。当たり前の風景が当たり前でないというか。地に足が着かない感じ。こんなに便利な世界でいいの?という疑問。この感覚は作品世界にどっぷりハマった時特有のもの。良い映画で間違いありません。
[映画館(邦画)] 8点(2017-02-15 00:29:07)(良:2票)
157.  テケテケ 《ネタバレ》 
邦画ホラーは本当にハズレが多いので、この出来なら自分は及第点を付けられます。ただ、もう少し何とかならなかったものかとも思う。難点は後半部の脚本の粗さです。『リング』よろしく、テケテケの死の呪縛から逃れるため、解決策を模索する主人公たち。手をこまねいて死を待つのではなく、生き延びる努力をするから緊張感が生まれます。結構ドキドキしました。だからもう一歩、感情移入するための工夫が欲しい。問題解決までの道のりを丁寧に描いて欲しかった。棚ぼた方式で難問の答えが見つかったのではツマラナイです。テケテケが人を襲う理由もいまいちグッと来ません。都市伝説のオモシロ解釈もお楽しみの一つでは?グロテスクな殺傷シーンを極力抑え、クライマックスの“真っ二つ”にインパクトを与える演出プランは悪くありません。でも折角グラマラスな女優さんを血祭りにあげる訳ですから、その肉体的魅力を事前にアピールしておかない手はありません。真実ちゃんにはセクシーな衣装を着せてあげてください。下世話なところもB級ホラーには必要です。そういう意味では、もっとガツガツとスプラッターシーンを放り込んでも良かったかもしれません。予告編を観る限り、『テケテケ2』はそんな映画っぽいですが、同じアートポート製作の2部作・『制服サバイガール』を鑑みると、2作目の方の出来が芳しくない傾向にあるようです。(またもや仲村みうが主役級ですよ!)『テケテケ2』観ようか観まいか、悩むところですな(嘘)。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-06 19:09:03)(笑:1票) (良:1票)
158.  空気人形 《ネタバレ》 
男は何故、のぞみにもう一度空気を抜いて欲しいとお願いしたのでしょう。空気が抜けることは、彼女にとっては死を意味します。彼は死に触れたかったのではないかと思うのです。「自分も君と同じようなものさ」空虚な心の内を見せる男。おそらくは、写真の中で微笑む女性が原因。彼女の死に際を彼が看取っていたとしたらどうか。写真の彼女にもう一度会うために、彼はのぞみを利用したと考えられます。のぞみはここでも代用品だった事になる。男の思惑など知らぬのぞみは、その息で恍惚の表情を浮かべます。それはそうでしょう。空気を吹き込まれるのは、命を注がれるのと同じなのだから。彼女にとっては、紛れも無い性交です。偽りの性器では得られぬ本物の悦びを感じる空気人形。自分と同じ幸せを相手に与えたいと思うのは当然のこと。それが愛です。男を“切った”のぞみは、何も悪くない。それにもし男が生きることを望んでいたのならば、助かることは容易だった。彼は自分の意思で死んだのです。何も知らぬ空気人形に多くのことを教えた男。潮の香り、ガラスのきらめき。美しいと感じる心、恋する楽しさと切なさ。限りある命の意味も伝えたのに、何故尊さを教えてやらなかったのか。あの男が憎いです。最後に男が教えたものは、愛する人を失う痛みでした。深い悲しみに耐える術を知らぬのぞみは、自ら男の後を追いました。方や燃えるゴミ、方や燃えないゴミ。2人の魂がこの先、交わることはあるのでしょうか。この作品はペ・ドュナに尽きます。外国人であるが故の“違和感”が良い方向に作用しました。役柄とは正反対、彼女の代わりになる役者は居ないと思わせます。本当に素晴らしかった。そのほかのキャストも概ね良好。ARATA、板尾、岩松、いいですね。ただ、星野真里の存在意義だけがイマイチ薄く、惜しいなあと。生と密接な関係にある“食”パートを担当した彼女が本筋にきっちり絡んできたら、より一層深みのある物語になった気がします。
[DVD(邦画)] 8点(2010-12-21 20:58:26)(良:2票)
159.  デス・プルーフ in グラインドハウス
監督が愛情と郷愁を込めて作った“ザッツB級”映画。例えるなら駄菓子だと思いました。大人にとっては懐かしの味。駄菓子の特徴は、欠点がそのまま長所だということ。曰く、品質が悪い、安っぽい、栄養価が低い、子供騙し…。けなすことならいくらでも出来ます。でも好きな人にはソコがたまらないポイント。だから本作は批判を受け付けない作品だと思います。文句を言ったほうが負ける。でもあえて言いましょう。本作は『う○い棒』だと。その心は…味は濃いけど中はスカスカ。でも好きなんだよな、チーズ味。
[DVD(字幕)] 5点(2008-06-12 19:33:43)(笑:1票) (良:1票)
160.  北の零年 《ネタバレ》 
大勢の人たちが汗水たらして鍬を振るう。序盤とラストで象徴的に使われるシーンです。画的な華やかさがあります。ただどうも引っかかる。経験がないので、的外れな指摘だったらゴメンナサイなのですが、あんなふうにやるものでしょうか。右を向く人、左を向く人。四方八方に散らばって鍬を振り上げるのは危険です。それに無駄も出る。一列に並んで耕すのが普通では。(そのほうが連帯感も感じられますし、画面手前から奥にかけてずらりと並んで鍬を振る姿は壮観ではないかと。)ここで自分が指摘したいのは、作業方法の問題ではありません。この場面に集約されている“雰囲気重視”の姿勢が気になるのです。大仰な音楽が多用されることにもそれが言えます。“感動”を安易に考えている気がしました。主人公の人物像。どこまでも清らかで、耐える姿は美しいです。でも“正し過ぎて”近寄りがたい。本作は開拓の物語。切り開くのには、途方も無い労力を要します。もがき、苦しみ、絶望することもあるでしょう。でも成果の喜びは、何物にも代え難いはず。苦労は存分に描かれていますが、喜びの描写がほとんど無いのは何故でしょう。それは感動を生むロジックを、画一的に捉えているからではないかと思いました。ですから感動ポイントが決まっています。でも優れた作品の場合はどうでしょう。不意をつかれて涙を流したことはないでしょうか。厚みのある作品は、点で心を捉えようとしません。雰囲気重視の一面的な描写で得られる感動は、やはり“それなり”である気がします。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2007-05-17 18:07:03)(良:2票)

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