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161.  渚にて
第三次世界大戦が勃発。核兵器により北半球のほとんどが全滅し、やがて参戦していないオーストラリア大陸にも死の灰の恐怖がひたひたと迫り、人々はそれぞれ最後の時を迎えようとしていた。人類最後を見とどける為、原潜に乗ってサンフランシスコへ向かう。廃墟と化した光景。とりわけ、キャッチした謎のモールス信号が空のコーラの瓶が風にはためくカーテンの紐に引っ掛かり、無線機に接触して発信しているシーンが強烈な印象として残っている。ドキュメンタリー的でむしろ静かに語られているだけ、かえって胸に迫ってくるものがある。終末SFモノの秀作。この作品を撮った巨匠スタンリー・クレイマーが先日亡くなった。今は数々の名作をありがとうと言いたい。合掌。
8点(2001-03-02 23:50:38)(良:1票)
162.  硫黄島からの手紙
太平洋戦争の中でも最も過酷な戦いと言い伝えられているのが、本作で描かれている硫黄島での攻防戦である。それは、記録映画やニュース・フィルムでしか知らなかった我々日本人が体感する、恐らく初めてと言ってもいいほどの本格的な映画化であり、しかも日本人が遠く忘れ去ってしまった感のある出来事を、米国人の手による映像化で喚起させられたと言う事には感慨深いものがある。実在した歴史上の人物と無名の兵隊たちとの物語を巧みに綴った原作を基に練り上げられた脚本も然ることながら、これが本当にハリウッド映画なのかと目を疑いたくなる程、日本人の心情を見事に描ききっている。共同制作がS・スピルバーグ、脚本にP・ハギスを擁し、そしてC・イーストウッドが監督に当るという、現ハリウッド最高峰の頭脳が集結して創り上げた本作には、単に日本人が出演していると言うだけでは説明がつかない、伝統的な日本映画の香りがする。これは、代表される2人の知日派により日本あるいは日本映画が研究され、日本人というものを本気で描こうとしている証しであり、今まさにそういう時代に差し掛かってきたのだと感じさせてくれる。企画の貧困によりアジアに目を向け、活路を見出そうとしている多くのハリウッド人とは一線を画するのである。もちろん原作を脚本化する事により、明瞭さを身上とする英語とはまるで違う日本語の微妙なニュアンスが十分に表現できたかは疑問が残るが、しかしその事は些かもこの作品の傷にはなっていないし、むしろ、だからこそ当事者たちの心情が痛いほど良く分り、心にストレートに響くのである。それがアメリカ映画の美点と言うものだろう。また塹壕に向けて火炎放射器で日本兵を焼き殺すという、硫黄島の戦いに於ける象徴的なシーンは、その余りの残虐性から日米双方に配慮し必要最小限に抑えられ、別の視点から戦争の残虐性を訴えたのは賢明な判断だったと思える。本作をさらに魅力的なものにしているのは、事実上の主役と言ってもいい二宮和也を措いて他にない。とりわけ、追いつめられ次々と玉砕していく仲間たちの無残な死に様を目の当たりにした事で、生への執着を見せる行動は、卑怯者としてではなく、人間として生き抜く知恵であり有りのままの素直な感情表現だと言え、この時代に生きた典型的な日本人青年というイメージを打砕く圧倒的な存在感を見せつけて圧巻である。
[映画館(字幕)] 9点(2007-02-11 17:20:31)(良:1票)
163.  ルート225
生きていく事の不安や戸惑いといった思春期からやがて自立していく過程で誰しもが思い悩む時期を、二人の姉弟を通してひたすら爽やかに描き切った青春映画の好編。内容はミステリアスであるものの決してファンタジックではなく、ホラー的要素もがあるが、全体のトーンは大林宣彦作品的寓話に近い。従って「時をかける少女」あるいは「転校生」(本編中のセリフにも暗示されている)を意識しているのは明らかであり、基本的には「スタンド・バイ・ミー」の系譜を汲むものだと言える。人生とは過去に戻れないという事、大人になるという事は親に頼らずに生きていくという事を、一種の不条理劇のように姉弟のドラマとして描かれていくが、CG等に頼り切った今風の味付けなどには固執せず、あくまでもセリフと正攻法の演出で勝負してるのは好ましい。さらに、この時期に体験する最も不可思議な記号√(=ルート)を不条理の象徴としてタイトルにしている点には感心させられる。そして本作が何より魅力的なのは主人公を演じる二人のキャラクターである。姉を演じるは期待の新星・多部未華子。俗っぽさの欠片も感じさせず、理知的あるいは知性派とも違う、何処か遠くを、しかし確りとした眼差しで見つめる利発な少女といったイメージで、演技の未成熟な部分そのものすら魅力に変えてしまうという、顔の美醜や演技の上手下手などでは推し量れないサムシングが作用し、映画の中で紛れもなく存在し息づいていることを感じさせる点では抜きん出ている。そしてその彼女をも食いかねないのが弟役の岩田力クン。甘えん坊でイジメられっ子という、如何にもといった風体で彼女の弟であることを、身をもってモノノ見事に体現してくれている。公衆電話ボックスで背中向きに「お母さ~ん」と涙ながらに受話器を握り締めている姿などは、絶品だと言っていい。この大型新人は侮れない。過去の様々な映画のエッセンスを採り入れた青春映画だが、全編の大半が二人芝居で成り立っている映画でもあり、それだけでも立派に非凡な作品だと言えるのではないだろうか。希望を言えば、叔父さん役には大林さんに演じて欲しかったけど、あの高圧的で意地悪そうな役柄は、やっぱり崔さんかな?
[映画館(邦画)] 8点(2006-06-11 18:32:46)(良:1票)
164.  イージー・ライダー
ヒッピー、マリファナ、SEX、人種差別といった風俗を描きながら、当時のアメリカを語った原初的で後続の大きな規範ともなった作品で、今尚様々に語り継がれている。主人公たちはかつてのアメリカ的価値観の支軸を失った、言わば糸の切れた凧のような存在である。そこで彼らはもう一度自分の眼でアメリカを再発見する為に放浪の旅に出る。それは所謂、西へ西へとフロンティアを求めて運命を切り開いていった男たちと違って、西から東へと向かうと言うアメリカ内部での先進地に戻ろうとする、求心的な旅なのだ。しかしそのアメリカに自己同一性を求めた彼らの旅も、結局アメリカの歴史そのものに圧殺されるというラストが待ち構えていた。ショット・ガンの一撃でバイクがブッ飛んでいくシーンは、やはり衝撃的で強烈な印象として残っている。当初、音楽をボブ・ディランが担当するという話もあったらしいが、実現していれば随分と肌触りの違った作品になっていただろう。
8点(2001-03-16 14:24:39)(良:1票)
165.  THE 有頂天ホテル
「グランドホテル」の“形式”だけを真似たコミカルな群像劇。いや正確には“コミカルに描こうとした”と言うべきか。本来、三谷幸喜作品は舞台でこそ映えるものであり、映像といった表現手段ともなると、何故かその面白さが十分に伝わってこないようなもどかしさを覚える。そもそも本作のストーリーのどこがそんなに面白いのか、私には良く分らないし、極めてオーソドックスな描き方が、古めかしさばかりが目立ってしまい、目新しさというものがまったく感じられない。また、オールスターキャストと言えども、少々地味な人選が災わいしたのかも知れないが、若手のオーバーアクションとヴェテランの渋めのトーンとが上手く噛み合わないまま、登場人物たちをただ右往左往させているだけでは、なかなか面白くなってはこないし、これで2時間はもたない。どんな役柄をもこなせる日本映画のエース役所広司も、今回ばかりはどこか浮いた存在に終始し、彼にも苦手なジャンルがあることを図らずも露呈してしまったようだし、破天荒なキャラを演じる西田敏行に説教めいたセリフを吐かすという無粋な作劇も戴けない。そんな中でも、場面場面をさらってしまうYOUはまさに儲け役で、唯一の救いだ。結局、生まれも育ちも生粋の浪速っ子の私からすれば、昔から東京漫才ほど面白くないものは無く(失礼!)、本作はまさにそんな感覚の作品だと言っていい。
[映画館(邦画)] 6点(2006-10-22 18:18:03)(良:1票)
166.  椿三十郎(1962)
黒澤作品としては「天国と地獄」と並んで最も強烈に印象が残っている「用心棒」の姉妹篇。時代劇であるにも拘わらず、登場人物のセリフは現代劇調で喋らせるという、ユニークな手法が話題ともなった。コミカルでほんわかした雰囲気と凄まじい殺陣の見事さといった、緩急自在の黒澤演出は素晴らしく、ラストの決闘シーンは今尚語り草ともなっている。
9点(2001-08-19 00:19:36)(良:1票)
167.  ピッチブラック
ほとんど無名に近い俳優を使って良質のリアル感を醸し出している点は、スケールの違いこそあれ「エイリアン」(第一作目)に一脈通じるものがある。この作品の卓抜なアイデアと視覚効果による恐怖感には、思わず唸ってしまうほど。前段のド迫力の不時着シーンや色調を押さえた惑星のリアル感、さらに日食から暗転してからの無数のコウモリ型のエイリアン(空飛ぶイカかも?)の飛来シーン等々、かなりのこだわりを感じるし、しかもそれ相当の効果を上げている。護送中の犯罪者(結局、彼が事実上の主役となる!)が生き残りを賭けて、自ら運命を切り開き力の限りを尽くす姿には感動すら覚えるし、決して改心などしない点にも潔さを感じる。最近、これほど惹かれたアンチ・ヒーローはいない。まったく意外な拾い物で、未見の方は3度のメシを抜いても観るべし!
8点(2001-02-04 17:31:24)(良:1票)
168.  戦場のピアニスト
戦争の悲惨さ、とりわけナチスのユダヤ人虐殺をテーマにした映画は、過去にも数多く作られてきた。本作もその中の一本で、評価もかなり高い。監督はR・ポランスキーで、今まで大半が小品ばかり撮ってきた人だけに、そういう意味においても初の超大作だと言える。入魂の一作と言おうか、彼としてはかなり思い入れがあるようだが、果たしてどれだけの人々の心に響いたのだろうか。実在のピアニストであるシュピルマンの回想録を元に映画化されたものだが、本作に限らず、どうもこの“実話に観客は弱い”のが気になる。要は、この主人公にいかに感情移入できるか否かで、評価も変わってくるように思う。個人的には、ピアニストという職業というだけで何故、彼が戦場を渡り歩き生き延びられたのかという部分に、どうしても引っ掛かってしまう。彼は単に運が良かっただけと言う以上に、高名なピアニストだったから助かったような描き方では、他の人が浮かばれまい。そんなにピアニストが偉いのか。終盤のドイツ高官との本来感動的である筈のエピソードも、これではご都合主義ととられても仕方があるまい。目を覆いたくなるような殺戮シーンに比べ、このシュピルマンに対してだけ、やたら描写が甘いのは何故か?そして彼の家族はその後いったい何処でどうなったのか?時間の経過(年数の経ち方)の解り難さも含めて、実話だからと言って、その辺りにもっと説得力ある描写がないから、単なるピアノ好き、音楽映画好きの為だけの作品と言われても仕方がない。
6点(2003-03-21 21:43:38)(良:1票)
169.  ファム・ファタール(2002) 《ネタバレ》 
巻頭、エロティシズム溢れる白昼の宝石略奪シーンからデ・パルマ印全開の本作は、結論から言うと、昨今流行りの“脳内映画”の変種だと言える。仲間を裏切って宝石を独り占めして姿を眩ましたまではよかったが、追われる者の恐怖感からか、はたまた後ろめたさからくる強迫観念からか、延々と続くヒロインが見る悪夢(しかしそれは実に刺激的で魅惑的な)に、我々観客は否応なくつき合わされ、そして翻弄される。従って映画の大半はいわゆる「騙し絵」であって、要はルール違反なのだが、それでも先の展開が読めないほど巧妙に入り組んだプロットを、流れるようなカメラワークとデ・パルマの見事なストーリーテリングで、観客に有無を言わさず、ぐいぐい引き込んでしまう手腕はさすがで、実に魅力的な作品に仕上がっている。
7点(2003-12-03 00:30:42)(良:1票)
170.  ボーン・スプレマシー
“続編に妙味なし”という定説が崩れつつある昨今、それを決定的にしたのが本作で、近年のアクション映画の中でもピカ一の作品とだけは言っておきたい。前作に引き続きハード・ボイルドな姿勢は一切崩されておらず、大技小技を効かせたアクションは全編に渡り、そのリアルさは些かの輝きも失ってはいない。ひたすら一直線に雪崩れ込んでいくストーリーは、人物造形の巧みさもあり、よりシリアスで濃密なドラマへと展開していく。不自然さなど微塵も感じさせないほど、本作が稀に見る上質のエンターティンメントだと言えるのも、ポイントとなる場面を正確に把握し、ディテールをきっちりと描き重ねてきた結果に他ならない。だからこそ、クライマックスへ到達するまでの数々の逃走劇が見事に描かれることにより、この荒唐無稽なカーチェイスも生きてくるのである。鞄に入れた銃をロッカーに忍ばせるているシーンに示されるように、満身創痍のJ・ボーンが孤立無援の中、脱出するスリリングさは、スパイ映画の王道を行くものであり、007がすでに失ってしまったものを、ここで改めて復活させているように感じる。(そう言えば、ジェイソン・ボーンのイニシャル“J.B.”はジェームズ・ボンドに符合する!)まさにD・リーマン製作総指揮のもと、監督P・グリーングラス、脚本B・ヘルゲランドといった頭脳集団のチ-ムワークの良さが勝利に導いた作品だと言える。ただ、実年齢よりも老け顔のJ・アレンに対し、童顔のM・デイモンのラストのあの決めゼリフはいかにも不釣合いな感じがした。
[映画館(字幕)] 9点(2005-04-29 18:23:31)(良:1票)
171.  突破口!
これ見よがしな演出を極力排した燻し銀のようなドン・シーゲル監督の旨みとコク。冒頭の静かな地方の町での銀行シーンから一転して著しい展開でサスペンスを盛り上げていき、ラストまで一気に見せきってしまう。これはまさにB級アクションの傑作だ。
8点(2001-03-17 23:12:06)(良:1票)
172.  八月の鯨
ストーリーには起伏にとんだ展開があるわけではなく、ごくありふれた日常を淡々と描いているすぎないのに、全編に綴られる老いと生の心地よい緊張感が人の心を捉えて離さない。老いていく人間と変わらぬ美しい自然の風景との対比を詩情豊かに描き出す。それでも肉体が衰えてもなお限界まで自分の力で、そして自分の家で生き抜こうとする老人の生き様は、人間の尊厳というものを、静かだが鮮烈に主張している。老いて目が不自由なためのイライラで、なにかとトゲトゲしい姉役のベティ・デイビスと、献身的に尽くす妹役のリリアン・ギッシュという往年の名優の共演がこの作品の命でもある。珠玉の名作とはこういった作品を言うのだろう。
9点(2001-01-21 18:37:09)(良:1票)
173.  戦場にかける橋
期日までに橋を完成に漕ぎつけたという日本の軍隊としての面子。一方、日本軍だけでは出来なかった事を英軍の手によって成功させたというプライド。斎藤大佐もニコルスン中佐も、お互いのアイデンティティーや信念の違いによるものだからこそ、お互いに一歩も譲ることができない。そのことは本作の基本的な対立の構図の最も顕著に表われた部分である。戦場での友情の証のような完成された橋が、一瞬のうちに破壊されることで、戦争(この場合、“無理解”と定義すべきだろう)の不条理さがより強調され、クワイ河マーチのメロディと共に、虚しさの余韻を残すエンディングは秀逸。両国の将校を演ずる早川雪舟とアレック・ギネスの火花散る熱演は素晴らしいが、とりわけギネスの毅然とした英国軍人ぶりは見事で、作品をより味わい深いものにしてくれた。
10点(2002-05-06 18:06:49)(良:1票)
174.  結婚しない女
夫に裏切られ、娘とも断絶している主人公は、もはや結婚という形式だけの愛には踏み切れないでいる。その知り合った画家が旅立つ記念に残した大きな画を、女手ひとつでしっかりと支えて街頭を歩いていくという象徴的なラストシーン。彼女の人生はまだまだこれからで、きっと自立のきっかけを掴んだのだろう。テーマ曲が実に爽やかな余韻を残す。
8点(2001-06-03 16:57:30)(良:1票)
175.  マッケンナの黄金
アパッチが隠し持った黄金の眠る渓谷を目指して、保安官や無法者たちが争奪戦を繰り広げると言うお話し。グランドキャニオンを舞台にしていることで、いかにも正統派西部劇といったイメージだが、趣向とすればむしろ秘境アドベンチャーものだろうか。G・ペック、O・シャリフ、T・サバラス、エドワード・G・ロビンソン、A・クエイル等々、実に豪華な顔ぶれが並んだ作品だが、捕われの身となり道先案内人になってしまうという、保安官としては何とも情けない設定からして、ペック以下多彩な共演陣のキャラが、あまり生かされていなかったように記憶している。要は、この作品の目的はすべてクライマックスにあるということ。インディアンの呪いがかかっていた黄金を手にした瞬間から、周囲の巨大な岩壁が次々と崩落。襲いかかる岩盤をかわしながら馬を走らせ脱出を計るスリル。当時のシネラマの大画面に展開されたこの大スペクタクル・ショーは、まさに圧巻のひと言に尽きる。本作が、後の「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」シリーズに、少なからず影響を及ぼしていることは間違いはない。
8点(2003-05-22 11:22:55)(良:1票)
176.  未知との遭遇
この作品に対するコメントの少なさは、いったいどうしたことだろう?当時「スター・ウォーズ」派か「未知との遭遇」派かって分かれたような事ありましたっけ。僕はもちろん断然この後者のほうで、全編ファンタジックなやさしさに包まれた(母船やUFOすら“女性的”に描かれている)この壮大な“夢”を観せてくれたスピルバーグには感謝しなくてはいけないし、又、この作品をリアルタイムで体験できた自分というものが、実に幸運だったと思います。
10点(2000-09-28 11:49:14)(良:1票)
177.  少女の髪どめ
M・マジディ監督の新作は今までとは趣が違い、貧困に喘ぐアフガン難民の問題に深く切り込んだ作品である。しかしその語り口はあくまでも静謐で詩情溢れるものであり、決して声高に主張したりはしない。いかにもマジディらしい暖かい眼差しを感じさせる作品である。少女へ無償の愛を捧げようとすることに懸命になるラティフ。何かを語るすべも知らぬ少女は、ただ日々生きていく事に懸命であり続ける。彼の一途さに応える気持ちの余裕などあろう筈もない彼女の姿に、ラティフの苦悩もまた深まる一方なのだが、純粋な淡い恋心というよりも、もはやこれは人間愛にまで昇華しているのである。少女との刹那的な出会いと別れ。アフガン難民の象徴が彼女なら、ラティフは監督自身ではないだろうか。「一日も早く平和が訪れますように・・・」 マジディ監督の祈りにも似た切ない願いが心に重く響く秀作。
8点(2003-11-18 00:19:23)(良:1票)
178.  華麗なるギャツビー(1974)
御婦人の前では、たとえ暑くて顔に汗をかいていても、ピシっとスーツを着こなし平然としているのが、この時代の上流階級の男のダンディズムか。この作品、ストーリーなどどうでもよく、ただ次々と登場するラルフ・ローレンの華麗なるファッションに身を包んだ美しい男と女に、ただただ見とれていればいい。そんな作品です。
7点(2001-01-07 21:45:30)(良:1票)
179.  長江哀歌 《ネタバレ》 
別れた妻と子を捜しに、中国は山西省から三峡ダムへやってきた男と、時を同じくして、音信不通の出稼ぎ夫を追ってきた女。その二人に纏わるドラマを軸に、巨大事業の進む長江の“今”をセミ・ドキュメンタリーで描いた作品。雄大な自然をバックに、人々の感動的な出会いと別れといった、豊かな娯楽性を秘めた内容ではあるが、独特の作風で知られるジャ・ジャンクー監督の手になると、かなり趣が異なった作品の仕上がりを見せているのが特徴だと言える。タイトル(日本の)から受ける風光明媚な叙情的イメージも、メロドラマになりそうな男女の再会のシーンすらも、その描写たるや、まったくと言っていいほど素っ気ないのは、描こうとしている対象が、この地に暮らす普通の人々の生活そのものであるからに他ならない。つまりドマラチックな味付けをする事からくる、嘘っぽさを極力廃したいという、彼の基本的なポリシーによるものだろう。(ただ、建物が突如ロケットになったりするような、意味不明な“遊び”もありますが・・・)従って、読後感と言う意味では、まったくと言っていいほど盛り上がりに欠け、一般の観客には不向きだという烙印を捺されかねない作品だとも言える。しかしながら、ここに描かれる、昔ながらの人海戦術で建物を解体する、労働する男たちの逞しく生きる姿こそが、近代国家としての今日の中国を下支えしてきた人々の生身の姿であることは疑いようの無い事実であり、そういった中国人の活力と生活感というものが、画面を通してビビッドに伝わってくる。それだけで十分なのではないだろうか。国策に翻弄され、周囲がどんな状況に変わろうとも、生きていく為には、なり振り構わぬ姿勢と結束力をみせる彼等だが、それぞれ一人一人には、やはり事情もあり苦悩がある事を、さり気無く諭す幕切れが、ことの他、印象的だ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-05-06 17:28:56)(良:1票)
180.  13ゴースト(2001)
こういった“お化け屋敷モノ”は、ストーリーなどあって無きが如しで、要はどのような仕掛けでいかに観客を怖がらせてくれるかがポイント。“全米を恐怖に陥れた作品”というフレコミだが、怖いと言うよりは凄まじいと言ったほうが妥当かも知れない。それほどこの作品に登場する様々な幽霊たち(・・・と言うよりゾンビに近い)は極めて攻撃的・暴力的で、主人公たちを執拗に追い詰め、積極果敢に痛めつける。“彼ら”のその特殊メイク及びコスチュームの凝りようから、むしろ中世の戦士のイメージに近い。だからRPGの映画化といった趣きを感じる作品となっている。それにしても舞台となる近代建築の粋を集めたようなセットデザインは特筆モノで、広大な部屋といい迷路のような通路といい、そのほとんどの壁面・天井・床がガラス張りという凝りようで、CGを駆使した視覚効果も含め、制作費の大部分がここに費やされているのではないだろうか。
6点(2002-11-25 00:15:02)(良:1票)

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