81. 完全なる報復
《ネタバレ》 報復とは同じ思いを味あわせる事。 クライドの10年越しの怨念は犯人、司法、市政に向けられた常軌を逸したもので、奥歯を噛み締めた面持ちが正気と狂気の狭間にある不気味さを感じさせ、「どこまでやってしまうのか」力が入りました。しかし、トンネルに脱力させられ、ニックのクライドに対する「報復」に醒めきってしまいました。クライドは甘んじて罰を受けたのに対して、ニックは「正義の鉄槌を下しました」気取り。唾棄すべき「ご都合主義の正義」が極まれる作品でした。 [DVD(字幕)] 3点(2013-05-20 22:29:27)(良:3票) |
82. カプリコン・1
《ネタバレ》 初見、予備知識ゼロ。書き下ろされた脚本が素晴らしい。車の暴走シーンとヘリVS農薬散布機シーンの手に汗握る迫力が素晴らしい。あの(失礼)カレン・ブラックに秋波を送る朴訥さと勝ち目のない相手に怯まない鋼の意志が同居する、魅力全開のエリオット・グールドが素晴らしい。己の卑劣さと姑息さを言葉で取り繕うご都合主義者どものツラが目に浮かぶラストシーンが素晴らしい。鑑賞直後は文句なしの10点でしたが、一呼吸おいて、宙返りしても振り落とされないのはちょっと・・・など幾つかのシーンを思い返してこの点数です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-30 22:22:56) |
83. カレンダー・ガールズ
「何時やるの? 今でしょ」というCMが思い浮かんだ、団結した熟女の面々の行動力が眩しく映りました。ハリウッドの件があればこそ、人々の価値観を考えさせてもらえたと思います。当初の目的を遥かに超えた成果に驚き、実話である事に更に驚きました。太極拳の光景は溜息ものの美しさでありました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-29 20:04:20) |
84. 過去のない男
登場人物の押し殺した表情から滲み出る喜怒哀楽の感情に味わい深さがありました。特に人生を後ろ向きに進んでおとし前をつけた強盗犯のエピソードが印象深く、作品全体から監督の押し殺した思いも滲み出ていました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-17 01:23:22) |
85. 華麗なる週末
世間の仕組み・不条理・温かみ・恋心・男らしさ。少年がこれ等を感じ取った4日間の濃密さが感慨深い。「コミカル」「純朴」という、らしくない役柄でも光り輝くマックィーンの魅力で全編カラリとした空気が心地良い。その中でのボスの存在感が圧倒的で、「自分の行動に責任を持ち、結果が招いた重荷に耐えろ」と両手を広げる姿が圧巻。草競馬の迫力も特筆もの。深い余韻に浸った作品。 [DVD(字幕)] 9点(2012-09-25 01:32:12) |
86. 隠された記憶
40年も前の幼少時の行為を悔いながらも「悪い事をしてしまった」の一言が言えないジョルジュの民族的な感情や疚しさを浮き彫りにさせるマジッドの息子が何とも不気味でした。唐突な感がするエンドロールを眺めながら、「二人は何時の時点で知り合ったのだろうか?」「彼の復讐は終わったのか、これからなのか?」とあれやこれや考えさせられました。観る者を画面に引きずり込むかのような強烈な2つの血のシーンに仰天。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-22 01:34:16) |
87. 神に選ばれし無敵の男
ナチスによるユダヤ迫害の暗雲立ち込める不気味さが漂っていました。ナチスの本質を感じ取っていたハヌッセンのキャラが際立っていたのに対して同じく感じ取っていたジシェは何とも中途半端な存在でいけません。思わせぶりなだけの弟もいけません。盛り上がりのない退屈な作品でした。 [DVD(字幕)] 3点(2012-01-05 03:10:21) |
88. カビリアの夜
オスカーの真意が薄々想像出来たので重苦しい思いで見ていました。幸せなんて望むもんじゃないよ、負け組は死ぬまで負け組なんだよ。不貞腐れる私をラストで黒い涙を流しながらも前を向くカビリアが励ましてくれました。ジュリエッタ・マシーナの魅力満載の作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2011-12-17 16:49:06) |
89. 影の軍隊(1969)
全編を覆い尽くす陰鬱な空気はメルヴィル監督ならではのもので、陰惨極まりない展開と結末が胃に堪えます。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-11 00:05:05) |
90. 會議は踊る
天下国家を語る作品であれば貧相なストーリーでしょう。しかし、市井の人々に共通するのであろう、クリステルの束の間の時めきを魅せる作品として、そんな粗を掻き消しています。「ただ一度だけ」に心底見惚れ、映画の醍醐味をしみじみと味わいました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-12 22:59:04) |
91. カリガリ博士
「人を操って自身の黒い欲望を満たす」ストーリーと全編を覆う病的な雰囲気の映像が相まった、心冷え冷えとする作品。ラストのオチが余韻を残します。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-06 00:11:33) |
92. 華麗なる賭け
生涯愛に溺れる事はない男、虚無の中で生きる男。マックィーンの一挙手一投足に身悶えするひと時でありました。彼以外でこの男を演じられる者はおりません。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-02 23:48:55) |
93. 哀しみの街かど
《ネタバレ》 ヘレンの変わりっぷりにクスリの怖さを見ました。自分の意志で手を出しておきながら、たびたび見せる泣きっ面がどうにもこうにも鬱陶しい。ラストの二人の未来、私は、ボロボロになってごみ溜めの中で朽ちている姿が思い浮かびました。 パチーノのラリっぷりに、若い時から芸達者である事が窺がえます。 [DVD(字幕)] 4点(2011-06-23 19:15:51) |
94. カリフォルニア・ドールス
本作は、プロレスを楽しみたきゃプロレスを観ればいいというプロレスものとは一線を画す出来栄えです。決戦に到るまでの巧みな話の盛り上げ方、じっくり魅せてくれた決戦模様。三人組同様に観る者を楽しませる精神に満ち満ちた作品に大いに満足しました。 [映画館(字幕)] 8点(2010-09-23 17:58:30) |
95. 化石の森(1936)
アランとガブリエルの一期一会をメインにデューク一味、チザム夫妻が絡む密室劇。デュークが野蛮でも酷薄でもないので緊迫感がなく盛り上がりません。アランのとった行為は愛情よりも厭世観が色濃く滲み出ているように見えました。その後の彼女を観たかったので尻切れトンボな結末も残念です。 [DVD(字幕)] 5点(2009-12-20 23:47:16) |
96. ガントレット
悪役長官の性根と頭脳がお粗末過ぎる事による荒唐無稽なストーリー、新味のないバスシーン、強引にも程がある結末に唖然とさせられます。しかし、ゲーム感覚で観るロードムービーとしてそこそこ楽しめる作品で、雨あられの銃声から、昔、ガンバレットにはまって夜毎に撃ちまくって熱くなっていた事思い出しました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-12-04 04:45:10) |
97. ガラスの動物園(1987)
登場人物4人が織り成す密室劇。舞台を覆い尽くす何とも言えぬ重苦しい雰囲気が本当に辛かった。元凶のアマンダ。子供の幸せを一心に願いつつ自身の価値観以外は一切受け付けない、その言動に省みさせられるものがありました。親元を巣立つ動物のような親子の在り方がローラにとっての幸せであった気がします。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-14 01:45:19) |
98. 華麗なる女銀行家
階級社会かつ男性社会である当時のフランス金融界を、一介のユダヤ人帽子店の娘、エンマ・エケールがのし上がって行く。見応えあるドラマでした。多様な人間模様の中で彼女の気位の高さに終始圧倒されます。バニステールの最後の手段は彼女への敗北宣言にも見えました。演じる、お目当てトランティニャンの観る者を凍りつかせる酷薄さを堪能出来満足です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-23 17:27:26) |
99. カサノバ(2005)
「愛」のタイムサービス、終了間際に完売、といった印象を持ちました。楽しそうに小悪人を演じているアイアンズが笑えます。下品過ぎず、上品ぶらず。艶笑コメディとしていい塩梅でした。 [DVD(字幕)] 4点(2009-10-16 17:09:58) |
100. カサブランカ
身勝手なナルシストぶりがどうにもこうにも鼻持ちならない二股女イルザと、都合のいい男に甘んじるやせ我慢ぶりが痛々しいキザ男リック。これ見よがしなダラダラとした絡みのよろめきドラマは陳腐の極みで白け返ります。真に男らしいルノー署長に敬意を表してプラス3点。 [DVD(字幕)] 3点(2009-10-11 17:34:07) |